Trademark Appeal Case
nonPVCの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−17122(T2003−17122/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、願書記載のとおりの商品を指定商品とし、平成13年3月26日に登録出願され、その後、指定商品については、同14年3月5日、同14年4月3日付け及び同16年6月7日付け手続補正書をもって、第10類「医療用機械器具(ポリ塩化ビニル製のものを除く。)」、第20類「プラスチック製の包装用容器(ポリ塩化ビニル製のものを除く。)」及び第21類「化粧用具(ポリ塩化ビニル製のもの並びに『電気式歯ブラシ』を除く。)」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『non』の文字をやや小さく『PVC』の文字を大きく二段に書し、上段の『n』の文字の終わりから、下段の『P』の文字の下まで丸みを帯びた細い二本の線を配した構成よりなるものであるが、構成中の『PVC』の文字は『ポリ塩化ビニール』を意味する英語『polyvinyl chloride』の略称を表し、『non』の文字は『非、無』等を意味する仏語であるから、これからは『非ポリ塩化ビニル』の意味合いを看取させるものであり、図形部分は格別人の目を引く程の強い識別性をもったものともいえないものである。そして、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride)は、焼却処理に伴うダイオキシンの発生源となっており、また、PVC製品化時に可塑剤と使用されるフタル酸エステルは環境ホルモン物質であることから、最近では、日用品及び玩具等ではPVCでない素材への切り替えが進められていることがインターネットを通じて伺い知ることができる。そうとすれば、これを本願指定商品中上記文字に照応する商品に使用しても、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、本願商標のその構成中上段にやや小さく書された「non」の文字部分は、「非、無」等を意味するものとして親しまれているものであって、また、下段の「PVC」の文字は「ポリ塩化ビニル(通称塩化ビニル)(polyvinyl chloride)」を意味する略語として使用されているものであるから(新英和大辞典第5版 株式会社研究社発行)、全体をして「非ポリ塩化ビニル」を認識するものである。
また、一般的に、表示している文字を目だ立たせ強調するため、輪郭や地を設けその中に文字を表示する方法等が行われている実情からして、本願商標中の二重線で表した部分は、文字部分を引き立たせ強調するにすぎない付記的なものであり、自他商品を識別する標識として機能するものとは認め難いものである。
そして、「NONPVC」、「nonPVC」及び「NonPVC」の文字が、取引上普通に使用されている実情としては、例えば、次のような新聞記事及びインターネットによるホームページの情報により認めることができる。
(1)「41.MONO
NONPVC
(トンボ鉛筆)」の見出しのもと、「誰もが知っているMONOの
NONPVC
消しゴムです。PVCというのはポリ塩化ビニル(塩ビ)のことで、この消しゴムには使用されていません。(普通のプラスチック消しゴムには使われています。)要するに環境にやさしいということです。」と記載している(http://osaka.cool.ne.jp/radar80/eraser/22.html)。
(2)「子どもたちの文房具、環境に配慮したものを使ってみませんか」の見出しのもと、「多くのメーカーのカタログにはエコロジー商品のページが巻頭にあって熱心に取り組んでいることが伺われます。でも燃焼時に有毒ガスを発生させないと銘打った非塩ビ消しゴムのとなりに塩ビ消しゴムが並んでいて、理由は再生紙のスリーブ(カバー)使用となっていたりして、私たち消費者の目からみると『?』のつくものもあります。(中略)けしごむ...(
nonPVC
)非塩ビ製品。」と記載している(http://www.city.kanazawa.ishikawa.jp/ecolife/tusin.html)。
(3)「協力企業・協力者一覧」の見出しのもと、「(株)タジマ ポリプロピレン板、
NonPVC
シート」と記載している(http://www.ojima.arch.waseda.ac.jp/~prh/k-kyusyu/company/company.html)。
加えて、「non PVC」に通じる「非塩化ビニル」、「非塩化ビニール」及び「非PVC」の文字が、近年の環境に配慮した製品の原材料の名称として、普通に使用されている実情としては、例えば、次のような新聞記事及びインターネットによるホームページの情報により認めることができる。
(4)「サンクス、非塩ビ系ラップを採用」の見出しのもと、「(株)サンクスアンドアソシエイツは、弁当、調理パンや惣菜などに使うラップを現在の塩化ビニルから、燃焼時にダイオキシンを発生しない
非塩化ビニル
系のポリオレフィンラップに変更する。」と記載している(1998.04.03 日本食糧新聞)。
(5)「環境配慮商品、どれだけ普及? 府などが調査隊 来月から府内全域/大阪」の見出しのもと、「再生紙配合のトイレットペーパーやダイオキシンが発生しない
非塩化ビニール
のラップ、廃材を利用した鉛筆など九種類の環境配慮型商品や、はだか売りの野菜・果物について、販売しているか、売り場面積のどの程度を占めているかなどを調査し、どの業種や地域が積極的に取り組んでいるかを分析して、府のホームページで公開する。」と記載している(2002.09.06 読売新聞社 大阪朝刊 31頁)。
(6)「代替品普及、課題はコスト 早期解明望む医療現場」の見出しのもと、「プラスチック製医療用具に含まれる化学物質の溶出はここ数年、これらの物質に内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の疑いが指摘され始めたことで、注目されるようになってきた。(中略)大手医療器具メーカーのテルモ(東京)やニッショー(大阪市)は、問題視されているフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)を使う必要がない
非塩化ビニール
のポリブタジエン、ポリプロピレンを使った輸液セット、チューブなどの販売を、昨年後半から本格的に始めた。」と記載している(2001.03.13 共同通信)。
(7)「機能性百景 Vol. 004【コンバーテック2003.1月号掲載】」の見出しのもと、「昨年12月の東北新幹線『はやて』開業は、まだ記憶に新しいだろう。そのニュースの中に小さく『塩化ビニル系の素材を減らした素材を採用』という記述があった。この素材とは、リケンテクノス(株)のPET系化粧粘着シート『RIVESTAR fino(リベスター フィーノ)』のことだ。
非PVC
系でありながらPVCと同等の意匠性を有し、可燃処分ができる環境対応性を兼ね備えた期待の新素材。また、
非PVC
系化粧シート初の不燃認定も生かし、建材用途など多岐にわたる方面へ拡販していくという。」と記載している(http://www.ctiweb.co.jp/cti/sinkinou/4_riken.html)。
(8)「住民基本台帳カードへの取り組み」の見出しのもと、「●耐久性 強度、高品質を保つ信頼性の高い非ポリ塩化ビニール(
非PVC
)系採用」と記載している(http://www.smartcard.kyodoprinting.com/j-card/j00.html)。
(9)「テルモは環境に配慮し塩化ビニル(PVC)を使用していない医療器具を品揃え」の見出しのもと、「今年度は、製品の包装素材のほとんどを、PET(ポリエチレン・テレフタレート樹脂)などの塩素を含まない
非PVC
素材に変更いたしました。また輸液用医療器具のチューブ部分に、
非PVC
素材のポリブタジエンを採用した輸液セット等を開発し、現在その品種の拡大を進めています。」と記載している(http://www.terumo.co.jp/press/2000/00_29.html)。
(10)「松下電子部品株式会社 環境保全活動 グリーンプログラム」の見出しのもと、「■脱PVCアルミニウム電解コンデンサ・電気二重層コンデンサ 焼却時有害物質(ダイオキシン)発生の危険性のない
非PVC
外装スリーブ採用」と記載している(http://panasonic.co.jp/maco/environment/keydevice/p18j/green3.html)。
以上よりすれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、上記実情からしても、これに接する取引者、需要者は、その商品が単に「非ポリ塩化ビニル製の商品」であると認識し、商品の品質及び原材料を表示したものと理解するにとどまるものであるから、本願商標は、結局、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきでない。
なお、本願商標は、前記1のとおりの補正がなされた結果、本願指定商品からポリ塩化ビニル製の商品が除外されたことから、これをその指定商品に使用しても商品の品質について誤認を生ずるおそれはなくなったから、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するとした拒絶の理由は、解消した。
また、請求人は、過去の登録例を挙げて、種々述べているが、本願と事案を異にするので、採用することができない。
加えて、請求人は、平成16年6月7日付けで審理再開申立書を提出し、そこで「審判請求書において、指定商品の範囲を減縮する補正を行った旨記載したが、確認したところ当該補正書が提出されていなかったので、本審判の審理の再開を申し立てる。」旨述べ、あわせて同日付けで商品を減縮する手続補正書を提出しているが、該補正書は、上記認定・判断に影響を及ぼすものとは認められないから、本件審判事件に係る審理の再開は行わないこととした。
よって、結論のとおり審決する。
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