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Trademark Appeal Case

不使用取消の商標同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2003−31061(T2003−31061/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3270388号商標(以下「本件商標」という。)は、「ハスラー」の文字を横書きしてなり、第25類「被服」を指定商品として、平成6年6月9日登録出願、同9年3月12日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。

1 請求理由

本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中「被服及びこれに類似する商品」については使用されていないから、上記指定商品についての登録は、商標法第50条第1項により取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

(1)乙各号証中には、本件商標と同一の商標を「被服」に使用しているものは含まれていない。また、被請求人は、本件商標の使用の立証に際し、本件商標と類似する商標をスラックスに使用している旨主張する。

しかし、商標法第50条第2項は、被請求人に登録商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標の使用の立証を要求するものであるから、上記被請求人の主張は、本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標の使用をしていないことを自ら認めるものである。

(2)仮に被請求人が主張する「類似商標」が「本件商標と社会通念上同一と認められる商標」を意味するものとした場合においても、以下のとおり、本件商標の使用の事実は立証されていない。

(a)乙第2号証の1及び乙第3号証の1は、外注製造指図書、乙第2号証の2及び乙第3号証の2は、仕上仕様書であるが、これらは、製品の仕様を記載した書類にすぎず、これらの書類によっては、当該仕様に基づいた製品が存在したことは証明されていない。

乙第3号証の3は、ラベル印刷業者の納品書、乙第2号証の5及び乙第3号証の5は、ラベルの写真である。これらは、仮にこのようなラベルが存在したことを証明するとしても、当該ラベルが「被服」について使用されたことまでを証明するものではない。

乙第2号証の3は、豊島株式会社名古屋本社の売上げ請求書、乙第2号証の4は、得意先(株式会社高島屋)の販売実績表、乙第3号証の4は、得意先(サンエー株式会社)の売上実績表であるが、これらの書類には、「HUSTLER」の文字が全く記載されていないことから、何についての売上げ又は販売実績を示すものであるのか不明である。

乙第1号証は、広島県被服工業協同組合の証明書であるが、本証明書に記載されていることが事実であるのならば、本件商標を付した「スラックス」を掲載したカタログ等、通常商品の販売広告において使われる書類が証拠として全く提出されていないのは不自然である。被請求人が上記のような証拠しか提出していないこと等にかんがみると、乙第1号証は、証拠としての信頼性に欠けるといわざるを得ない。

(b)乙第2号証の5及び乙第3号証の5に示されたラベルに表示された商標は、「HUSTLER」の文字、図形、「Enjoy your natural life in this splendid pants」の文字及びこれらを囲む枠及び四隅の飾りから構成されるものである(以下「使用商標」という。)。

使用商標中の「HUSTLER」の文字は、カーブを描いており、その下に位置する図形部分と一体感を持たせるような構成となっている。

このような構成の下では、「HUSTLER」部分の独立性が失われていると考えられるため、仮に、被請求人の提出した証拠によって、使用商標を付した「スラックス」が販売されていたことが証明されたとしても、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標には該当しない。

(3)以上より、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者等のいずれかがその請求に係る指定商品「被服」についての登録商標の使用をしていることを証明していないのであるから、本件商標の登録は、取り消されるべきである。

第3 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)を提出した。

1 使用商標について

(1)本件商標は、片仮名で「ハスラー」と書し、指定商品を「被服」としたものである。本件商標は、請求人が本件審判と同時に行っている商標登録取消し審判事件(取消2003−31057、登録商標「HUSTLER」)との対比で、単に片仮名とした外観において相違するのみで、称呼及び観念のいずれにおいても同一となる類似商標とみなされるものである。

(2)本件商標は、平成9年、同10年ころに国内生産したスラックスの一部に対して使用したことがあるが、一般に商標使用の態様は、得意先(販売業者)や商社などとの各種販売条件や要望に左右されることが大きいため、近年では専ら上記した英文字の「HUSTLER」の使用に集中している。

(3)英文字「HUSTLER」の登録商標についての使用態様は、乙各号証のとおりである。

2 むすび

以上のとおりであるから、「本件商標が3年以上一度も使用された事実が存在しないとする」とした請求人の主張は、当を得たものではない。

第4 当審の判断

1 乙第3号証の1ないし5によれば、以下の事実を認めることができる。

(1)乙第3号証の1は、被請求人がマツオカに宛てた「処理日」及び「指図日」をいずれも「2003/06/04」とする外注製造指図書(パンツ)であるところ、「契約番号」を「A03M58159」とし、その「品番」欄には「2519」の、「型番」欄には「B03−00N000」記載がある。また、表中の右中程の「合計」欄には「1,460」の、同下段の「ウエストラベル」欄には「HS−7」の各記載がある。

(2)乙第3号証の2は、平成15年6月4日付けの仕上仕様書及び包装図であるところ、左上の表には、「品番/2519」、「型番/B03−00N000」、「契約番号/A03M58159」、「生産本数/1460本」などの記載がある。また、下部に示された「HS−7」の記号が付されたラベル(以下「HS−7ラベル」という。)には、「NO.2519」などの文字とともに、別掲のとおりの構成よりなる商標(使用商標)が表示されている。さらに、表の右に表示されたパンツ(ずぼん)の図のウエスト部分には、該HS−7ラベルが付されることを示している。

(3)乙第3号証の3は、清川株式会社(大阪市中央区所在)が被請求人に宛てた2003年6月20日付けの納品書であるところ、「オーダーNo./2519 74」欄の「品番/品名」欄、「色別数量」欄には、それぞれ「HS−7/下札」、「1,498」が記載されている。

(4)乙第3号証の4は、「処理日」を「2003/11/26」とし、「対象年月日」を「2003/09」とする被請求人における担当得意先品番別売上実績表と認められるところ、「得意先」欄には、「サンエー(アダルト)」の、「品番」欄には、「2519」の各記載があり、その品番の売上数量は「242」である。

(5)乙第3号証の5は、乙第3号証の2に示された「HS−7」のラベルと同一のものである(但し、「COL.1」と「COL.2」の差異がある。)。

2 前記1で認定した事実を総合すると、被請求人は、2003年(平成15年)6月4日に、マツオカに品番を「2519」とするパンツ(ずぼん)1460本の製造を依頼し、同時に、該パンツ(ずぼん)に付されるラベルの取付け位置を指示したこと、該ラベルの一つに、ウエスト部分に付されるHS−7ラベルがあり、これには、品番と認められる「2519」が表示されているとともに、別掲のとおりの使用商標が表示されていること、HS−7ラベルは、2003年6月20日に大阪市中央区に所在の清川株式会社が被請求人に1498枚納品したこと、被請求人は、その得意先であるサンエーに対し、2003年9月に品番を「2519」とするパンツ(ずぼん)を242本販売したこと及び取引の対象となったパンツ(ずぼん)にはHS−7ラベルが付されていたことが優に推認される。

そうすると、被請求人は、本件審判の請求の登録日(平成15年9月3日)前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の「パンツ(ずぼん)」について別掲のとおりの商標(使用商標)を使用していたというのが相当である。

そして、乙第3号証の1ないし5に関し、これらが不使用による商標登録の取消しを免れるためにのみ作成された虚偽の証拠であると認めるに足る証拠は見出せない。他に、上記認定を覆すに足りる証拠の提出はない。

3 使用商標について

(1)本件商標は、前記したとおり、「ハスラー」の文字を横書きしてなるものであるから、これより「ハスラー」の称呼及び「活動家、プロの玉突き」の観念を生ずるものである。

(2)使用商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであるところ、その構成中の「HUSTLER」の文字部分は、大きく明瞭に書されているのに対し、その下の図形部分は、一見して何を表現したものか理解し難いものであるから、これより特定の称呼、観念が生じないばかりでなく、該図形部分の下に小さく書された「Enjoy your natural life in this splendid pants」の文字部分は、「このすてきなパンツであなた本来の生活を楽しんで」なるキャッチフレーズ的意味合いを表したと理解され、自他商品の識別標識としての機能を有しない部分であるといえる。また、これらの文字及び図形を囲む線及び四隅の図形は、装飾的に付加されたにすぎないものであり、それ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を有しない部分である。

そうすると、使用商標に接する需要者は、その構成中、外観上見やすく、かつ、称呼しやすい「HUSTLER」の文字部分に強く印象づけられるというのが相当であるから、使用商標中の「HUSTLER」の文字部分は、他の構成要素と切り離されて独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。

してみると、使用商標の構成中、自他商品の識別標識としての機能を有する「HUSTLER」の文字部分は、これより「ハスラー」の称呼及び「活動家、プロの玉突き」の観念を生ずるものである。

(3)したがって、使用商標は、本件商標と同一の称呼、観念を生ずるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標と認めざるを得ない。

4 むすび

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定商品中の「パンツ(ずぼん)」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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