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Trademark Appeal Case

商標不使用取消の立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2002−30558(T2002−30558/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3367890号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3367890号商標法(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成8年1月24日登録出願、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、同9年12月26日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。

1 請求理由

本件商標は、その指定商品「せっけん類,化粧品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)乙第1号証について

乙第1号証の契約書は、天然系粉末洗剤の製造委託に関する契約書であって、本件商標に関する使用許諾契約書ではない。

一般的に商標の通常使用権許諾の契約を結ぶ場合は、使用に係る商標、使用商品、使用範囲、使用期間、対価などを明示するのが常である。

しかしながら、同契約書第6条第1項、同第10条のいずれにも、本件商標の使用を許諾する旨の文言は見当たらないし、又その様な意味にも読み取れない。

また、同契約書第6条第3項に「甲方の書面による同意無しでは、乙方は勝手に本契約商品の販売を行ってはならないものとする。」と明記されている点をみても、日本石鹸株式会社(以下「日本石鹸」という。)が通常使用権者でないことは極めて明白である。また、製造元が日本石鹸と表示されていることと、通常使用権者であることは直接関係がない。

したがって、日本石鹸は、本件商標の通常使用権者ということは出来ない。

さらに、同契約書第4条及び第6条第3項などからは、日本石鹸は、被請求人の下請け企業には該当するものとはいえない(甲第4号証)。同契約書第4条第1項によると、日本石鹸が原料を調達し、生産、包装の責任を負うと取り決められていること及び第6条第2項より、商品の配合については、日本石鹸が提供すると取り決められていることから、上記要件を満たさず、日本石鹸は、被請求人の下請け企業には該当しないものである。

したがって、仮に日本石鹸が本件商標製品を製造しているとしても、被請求人自らが我が国内で本件商標製品を製造していたことにはならない。

また、乙第1号証は、被請求人と日本石鹸の購買契約書であるが、被請求人または日本石鹸が製品を製造した事実及び製品を販売した事実を立証するものではない。

(2)乙第2号証について

乙第2号証の納品書は、西暦1998年(中国暦1987年)2月当時のものであることが推察される。したがって、本件審判請求の登録前3年以内の取引を証明するものではない。

(3)乙第3号証について

乙第3号証は、本件審判請求後に撮影したパッケージの写真であり、乙第3号証に係る製品がいつ製造され、何処で販売されたかについては全く言及がなく、不明である。

乙第1号証の契約書によれば、日本石鹸は製品を販売してはならないことから、全て被請求人に引き渡すことになっている。したがって、在庫の存在をもって、日本国内での使用の立証とはなり得ない。その在庫が如何なるルートで被請求人から日本国内へ入り、販売されたかの立証も全くない。

さらに、乙第3号証に係る製品が、本件審判請求の登録前3年以内に製造、販売されているものであるならば、被請求人のホームページ(乙第4号証)にその紹介がされているはずであるのに、同一製品は掲載されていない。

また、被請求人の商品カタログ(乙第6号証)は、1996年以前から現在に至るまでの本件商標製品を掲載されているとのことであるが、乙第3号証に係る製品は掲載されていない。被請求人の1996年以降の商品カタログに乙第3号証に係る製品が掲載されていないということは、乙第3号証に係る製品は1996年より以前に製造されているもの、あるいは、本件審判請求後に作成されたものと推測されるが、いずれにしても本件審判請求の登録前3年以内の製造販売を証明するものではない。

被請求人は、パッケージに日本語の記載があることから、日本国での需要者が使用できるように製造されたものであると主張するが、製品のイメージ作りのために、製品のパッケージに外国語を記すことは多々あることであり、そのことをもって当該外国語を使用する国で製品を販売する予定であるとはいえない。

日本の製品はその品質の高さから、特にアジアの国では高級品として通っている。そのため、日本製であることを商品アピールにする場合は、パッケージに日本語を使うことは多々あることである。

そして、そのような場合において日本国の需要者が使用することを目的としているのであれば、パッケージにわざわざ中国語を使用することはなく、また、使用方法や成分表示に日本語を用いるのが通常である。しかし、乙第3号証製品は、使用方法や成分表示の記載は全て中国語である。このようなものを、日本国の需要者を対象にして製造販売しているとは考えられない。

さらに、本件商標製品が誰により、何時、何処で製造され、誰にどのようなルートで販売されたかについては、全く何の立証もない。

東京商工リサーチ企業情報(甲第5号証)によれば、日本石鹸は、従業員3人からなる「合成洗剤、液体洗剤、入浴剤、シャンプー等企画・販売」会社であることが認められる。

甲第5号証によると、日本石鹸は製造業を営んでおらず、さらに従業員3人の会社で乙第1号証の契約に基づいて、被請求人の委託する商品を実際に製造しているのか疑問である。

同契約書第14条によると、本契約製品の製造をその他のメーカーに生産させてはならないと規定していることから、日本石鹸が他のメーカーが製造した本件製品を仕入れた後に、本件製品を被請求人に販売することも出来ないことは明らかである。

(4)乙第4号証ないし乙第5号証について

商標法第50条の使用は「日本国内」における使用を要件としており、一方、被請求人が提出したホームページは中国語と英語から構成されるページであって、日本国内での使用を想定しているものとは考えられない。

インターネットは、世界中のホームページに世界中からアクセスできることがその特性である。その特性を鑑み、多くのホームページでは想定できる主たる取引者・需要者の母国語と、英語で構成されていることが多い。少なくとも日本国内の日本人を対象とした商品の宣伝広告は、日本語を以って行わなければ効果は無く、広告の意味が無い。そのため、日本国民を対象としている場合は、日本語を記載して然るべきであるが、被請求人のホームページ及び乙第5号証のホームページはいずれも中国語と英語から構成されており、中国人(台湾人)を主たる需要者と想定していることが分かる。

日本の需要者が日本から、本件商標製品を探す場合、直接ホームページアドレスを入力することは皆無に等しく、日本における主要サーチエンジンで検索することが通常である。

ここで、日本の主要サーチエンジンで被請求人の商標製品を検索すべく「PAOS 洗剤 台湾」と検索してみたが、乙第4号証も乙第5号証もヒットしなかった(甲第2号証)。また、検索範囲を「PAOS」のみでも検索をしたが、乙第4号証も乙第5号証もヒットしない(甲第3号証)。

日本の主要サーチエンジンから検索できないものを日本人が購入することは通常考えられず、そのため、乙第4号証及び乙第5号証をもって日本における商標の使用に該当するものとは認められない。

(5)乙第6号証について

乙第6号証には全く日本語の記載がなく、且つ日本で配布された事実を何ら立証するものではない。

また、乙第6号証の1は、1996年の商品カタログであり、乙第6号証の3は、1998年の商品カタログであるが、これらは本件審判請求の登録前3年以内のカタログではない。その余のカタログについては、その製作年月日が不明であり、且つ何の説明もされていない。

したがって、このような製作年月日も不明であり、日本語の記載もなく、さらには日本で配布された事実も何ら証明されていない乙第6号証をもって本件商標の使用を立証したものとは認められない。

(6)以上のとおり、乙第1号証ないし乙第6号証は、いずれも、被請求人の日本における商標の使用を証明するものとは認められないから、これらの証拠によっては、本件商標が本件審判請求の登録前に使用された事実は証明されていない。

第3 被請求人の主張

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。

1 被請求人である商標権者は、本件商標「PAOS/泡舒」を付して指定商品「洗剤」を製造する日本国の企業、日本石鹸と本件商標製品を輸入購買する契約を1998年1月21日から2001年1月20日まで締結している(乙第1号証)。

同契約書によれば、商標権者は、日本石鹸から本件商標製品を買い受けること、第6条第1項で本件商標が商標権者に帰属することを確認していること、第10条での製品の瑕疵担保責任が日本石鹸にあること、本件商標製品の製造元が「日本石鹸株式会社」と表示されていることから、日本石鹸は通常使用権者に該当する(乙第3号証の4)。

したがって、商標権者の通常使用権者は、1998年1月21日から2001年1月20日まで、我が国内で本件商標製品を製造していた。

念のため、契約締結当時に取引の実情を示す納品伝票類を添付する(乙第2号証)。

仮に、通常使用権者による使用でないとしても、第4条で日本石鹸は商標権者の指定するメーカーから指定商品の材料を購入しなければならず、また製品の包装等のデザインに至るまでの指揮権を商標権者がもち、第6条第3項において商標権者の同意なしで日本石鹸は、本件商標製品を他へ販売することができない契約となっていることから、日本石鹸は、商標権者の下請け企業にも該当する。そのような場合には、少なくとも1998年1月21日から2001年1月20日までは、商標権者自ら我が国内で本件商標製品を製造していたことになる。

2 被請求人が本審判請求の登録前から在庫として保有する本件商標製品についての包装用箱(商品のパッケージ)の写真を添付する(乙第3号証の1ないし乙第3号証の5)。

これらの写真から確認できるように、本件商標製品のパッケージには「環境にやさしく、手にもやさしい」「スーパーコンパクト、泡立ちを抑えた節水タイプ」「環境にやさしく、おどろきの洗浄力」「たんぱく分解酵素と新ビルダーで、たくましい洗浄力を発揮」「無リン」等の他と製造元「日本石鹸株式会社」など日本語で記載されている。

このことから、日本国の需要者が使用できるように製造されたものであることが認識できる。

以上のとおり、本件商標製品は審判請求の登録前から継続して3年以上日本国内において商標権者又は通常使用権者によって製造され、販売されていることから、本件商標の使用に該当する。

3 また、被請求人はインターネットのホームページを運営するプロバイダー”INTERSOFT Company”と契約を1997年12月末日において取り交わし、自社のホームページ上で指定商品に関する広告に本件標章を付して展示し、また本件商標製品を内容とした情報を電磁的方法(商標法第2条第3項第8号)により我が国はもとより世界各国の一般需要者に提供している(乙第4号証の1及び乙第4号証の2)。

さらに、被請求人のホームページ以外においても他の事業者の開設するホームページ上でインターネットを通じて本件商標製品は取引されている(乙第5号証の1ないし乙第5号証の4)。我が国の需要者も同ホームページ上の”Negotiation Cart”から本件商標製品を購入することができ、本件商標には我が国に止まらず世界的市場を通じて高い業務上の信用を獲得していることが容易に認識できる。

4 さらに、被請求人は、1996年以前から現在に至るまで本件商標製品を自社の企業案内や商品カタログに掲載して、本件商標の業務上の信用維持に務めている(乙第6号証の1ないし乙第6号証の4)。

第4 当審の判断

被請求人の提出した乙各号証によれば、乙各号証は次のとおりである。

(1)購買契約書(乙第1号証)は、被請求人(商標権者)が本件商標を付した商品「天然系粉末洗剤」(以下「本件商標製品」という。)を日本国の法人、日本石鹸より、輸入購買する契約を1998年1月21日から2001年1月20日まで締結している購買契約書であるから、日本国内においては販売することを前提としたものではないこと。

(2)取引の納品伝票(乙第2号証)より、1998年(中国暦1987年)2月に、実際に取引された事実が窺えるが、その日付は、本件審判請求の登録日である平成14年6月12日以前の取引であること。

(3)使用の事実を示す、洗剤の包装用箱(パッケージ)の写真(乙第3号証の1ないし乙第3号証の5)の記載をみると、包装用箱(パッケージ)には、「環境にやさしく、手にもやさしい」「スーパーコンパクト、泡立ちを抑えた節水タイプ」等日本語で記載されているとしても、使用方法や成分表示等は中国語で記載されていることよりすれば、日本国内において販売することを目的とした商品とはいえないこと。

(4)被請求人は、インターネットのホームページを運営するプロバイダー「INTERSOFT Company」と契約を1997年12月末日において取り交わし、外国のホームページに本件商標製品を紹介しているが(乙第4号証の1及び乙第4号証の2)、そのホームページは外国語のみのホームページであって、日本国における販売を想定していないものと認められること。

(5)被請求人以外の外国のホームページでも、本件商標製品を紹介しているが、そのホームページは外国語のみのホームページであって、日本国における販売を予定していないものと認められること。

(乙第5号証の1ないし乙第5号証の4)。

(6)台湾で発行されたと推認される1996年、1999年の商品カタログ(乙第6号証の1ないし乙第6号証の4)及び被請求人の会社案内(乙第6号証の5)には、本件商標製品を紹介していることが認められるとしも、その商品カタログは、台湾での販売を目的としてもので、日本国内の販売を想定しているものではないと認められること。

2 以上のとおり、いずれの乙各号証をみても、日本国内において、商品「洗剤」ついて使用していたものと認め得る証左は見あたらない。

そうとすれば、被請求人(商標権者)は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の指定商品について、使用していたものということはできない。

なお、被請求人は、当審における平成15年6月2日付審尋に対して、同16年9月3日付答弁書及び回答書に代わる各上申書において、被請求人が外国法人であるから、連絡や準備に時間を要しており、回答書に添付する資料を整え、1ケ月以内に提出する旨述べているが、その後、相当の期間を経過するもその手続はなされていない。そして、該上申書の提出より相当の期間を経過する現在に至るも、手続の進捗等に関し何ら応答するところがないから、これ以上本件の審理を遅滞させるべき事由はないものと判断した。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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