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Trademark Appeal Case

周知図形商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2003−35431(T2003−35431/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4493218号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成12年6月19日登録出願、第9類「測定機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,理化学機械器具,電気磁気測定器,光学機械器具」を指定商品として、同13年7月19日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下(A)ないし(C)のとおり。

(A)登録第2403419号商標(以下「引用A商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和63年4月15日登録出願、第11類「電気通信機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成4年4月30日に設定登録され、その後、同14年4月24日に指定商品の書換登録がされ、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」となったものである。

(B)登録第2403424号商標(以下「引用B商標」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、昭和63年5月26日登録出願、第11類「電気通信機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成4年4月30日に設定登録され、その後、同14年4月24日に指定商品の書換登録がされ、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」となったものである。

(C)登録第4318467号商標(以下「引用C商標」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成10年8月21日登録出願、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知機,ガス漏れ警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,消防車,消防艇,スプリンクラー消火装置,盗難警報器,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,磁心,自動車用シガーライター,抵抗線,電極,溶接マスク,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーンョン用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,計算尺,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,潜水用機械器具,レギュレーター,アーク溶接機,家庭用テレビゲームおもちゃ,金属溶断機,検卵器,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,メトロノーム」を指定商品として、平成11年9月24日に設定登録されたものである。

以下、引用A商標ないし引用C商標を一括していう場合は「引用商標」という。

第3 請求人の主張

請求人は、「本件商標に係る第9類の指定商品中『電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品』についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証(枝番を含む。以下、枝番の全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)を提出した。

1 請求の理由

(1)引用A商標ないし引用C商標の構成態様について

引用A商標は、複数の黒塗りの円図形を全体が三角形状を呈するように配した図形(以下、構成する図形そのものについていう場合は「引用図形」という。)からなるものである。

引用B商標及び引用C商標は、黒塗りの長方形図形内又は正方形図形内に引用図形を白抜きで表した図形からなるものであり、長方形又は正方形図形は、ありふれた輪郭あるいは引用図形を際立たせ強調するための輪郭程度の把握されるものといえるから。両商標における引用図形は、独立しても自他商品の識別標識としての機能を果たすものである。

(2)請求人のシンボルマーク(ハウスマーク)としての引用図形の周知著名性

複数の黒塗りの円図形を全体が三角形状を呈するように配した図形である引用図形は、請求人のシンボルマーク(ハウスマーク)であることは、例えば甲第5号証の1からも明らかであり、その使用については「NTT DATA CIデザインマニュアル」を発行し(甲第6号証)、これに基づいて「NTT DATA」の文字とは離間配置した状態で、引用図形自体独立した存在として使用されているものである。

請求人は、引用図形が請求人のシンボルマーク(ハウスマーク)としての重要性からみて、引用商標のほか、全分類において商標登録を受けている(甲第8号証の1ないし54)。

甲第5号証の2に示すように、請求人の企業規模をみてみると、本件商標が登録出願された平成12年当時の資本金は1,425億2,000万円であり、また、甲第5号証の3に示すように、本件商標が登録出願された平成12年の請求人の業績(売上高)は7,253億円となっており、平成15年には8,321億円という極めて大規模の会社である。さらに、甲第5号証の5に示すように、請求人は、極めて多岐にわたる分野をその事業内容としている。

甲第10号証、甲第11号証に示すように、請求人のシンボルマーク(ハウスマーク)としての引用図形は、各種媒体における宣伝広告では必ず付されている。

また、請求人の多数の子会社・関連会社も、その会社案内、製品案内、ホームページ等において、請求人のシンボルマーク(ハウスマーク)を使用している事実が存在する。

以上のように、我が国において有数の企業規模を有し認知度の高い請求人会社の多岐に亘る業務において、請求人自身が多数の媒体に長期間に亘って使用を継続しており、また、請求人の多数の子会社・関連会社によっても使用されてきた結果、引用図形は、請求人のシンボルマーク(ハウスマーク)として需要者・取引者の記憶に強く印象付けられており、十分に周知著名性が認められる。請求人のシンボルマーク(ハウスマーク)は「日本有名商標集」(甲第7号証)に掲載されていることから、周知・著名商標となっていることについては疑義のないところである。

(3)商標法第4条第1項第15号違反に係る具体的理由

本件商標は、「複数の黒塗りの円図形を全体として三角形状を呈するように配した図形」を2つ離間配置してなり、このうち一方の図形は、他方の図形の一部を抽出したにすぎず、請求人の周知著名商標と全く異なる独自性(創造性)に基づいて採択された商標であるとは認められない。したがって、この「複数の黒塗りの円図形を全体として三角形状を呈するように配した図形」自体こそが最も重要な要素として需要者・取引者に印象付ける部分である。

一方、引用図形(引用商標)は、前記の通り請求人のシンボルマーク(ハウスマーク)として周知著名であり、実際の取引社会においては、請求人の周知著名商標(引用商標)に接する需要者・取引者の記憶に強く残る印象も、本件商標と同様「複数の円図形を全体として三角形状を呈するように配した図形」である。

需要者・取引者が本件商標の円図形の個数や大きさなど仔細な部分についての正確な記憶をもって実際の取引に当たるのは稀であるから、本件商標及び請求人の前記周知著名商標(引用商標)に接する需要者・取引者の記憶に残る印象は、ともに「複数の円図形を全体として三角形状を呈するように配した図形」である点で共通し、需要者・取引者が本件商標を看取した場合、本件商標の構成及びアイデアから容易に請求人の前記周知著名商標(引用商標)を連想させ、両商標は、出所の混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する商標であり、その登録は無効とされるべきである。

(4)商標法第4条第1項第10号及び同第11号違反に係る具体的理由

前述のように、本件商標と引用商標は、「複数の円図形を全体としてピラミッド状を呈するように所定の間隔を開けて配した図形」こそが商標の構成中最も重要な部分と目されるところであり、看者の注意を強く惹く部分である点で共通する。

また、時と所を異にして商標に接する実際の取引社会において、各商標の円図形の個数がいくつであったか、各円図形の大きさがどうであったか等の細部についてまでの正確な記憶をもって実際の取引にあたることは考え難い。そして、本件商標と引用商標の構成要素は「複数の円図形を全体として三角形状を呈するように配した図形」であって、構成の軌を一にするものである。

したがって、本件商標は、引用商標と類似する商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する商標であり、その登録は無効とされるべきである。

また、引用商標は、周知著名商標に該当することが明らかであって、本件商標は、周知に係る引用商標と類似する商標であるから、商標法第4条第1項第10号に該当する商標であり、その登録は無効とされるべきである。

2 被請求人の答弁に対する弁駁

(1)商標法第4条第1項第15号該当性について

(ア)引用商標の周知著名性について

(a)被請求人は、甲第10号証に関し、本件商標の登録出願日(平成12年6月19日)以降のものが大半を占める甲第10号証によっては、著名性はおろか周知性すら認めることができないと反論している。

請求書においても述べたとおり、登録出願日以前のものを提出することはやぶさかではないので、主として請求人の製品に関するものを厳選して、甲第16号証及び甲第17号証として提出する。

また、本件商標登録出願日以前に請求人が発行した「CORPORATE PROFILE」を、甲第18号証として提出する。

以上のように、請求人は、本件商標の登録出願日以前から、既に提出した「NTT DATA CIデザインマニュアル」に基づいて、同一の引用図形(引用商標)を継続して使用していることは明らかである。

また、1997年から1999年に請求人が発行している「CORPORATE PROFILE」(甲第18号証)は、特にその裏表紙の奥付部分において、甲第12号証の各種パンフレットと同様に、「NTT/DaTa」の文字と引用図形とを相当程度分離した構成のものを使用していることが明らかである。

したがって、本件商標の登録出願日以前から引用図形を使用している事実を客観的に示していることは明白である。

(b)被請求人は、「日本有名商標集」に掲載されている請求人の商標には「NTT DATA」の文字が付加されており、この文字によって請求人が巨大企業たる日本電信電話株式会社(「NTT」)の子会社・関連会社であることを指標しているという意味で、この文字は無視できない大きな違いであるとしている。

しかしながら、請求人は、本件商標登録出願当時で既に前記した企業規模と営業実績を有しており、さらに事業内容は極めて多岐にわたる。かかる企業実態をみれば明らかなように、引用図形とともに「NTT DATA」の文字が付加されているとしても、需要者・取引者にとっては、「NTT」の文字から請求人が日本電信電話株式会社(「NTT」)の子会社・関連会社との認識に止まらず、「NTT DATA」の文字は請求人自身の社名であることを容易かつ直接的に理解できるものである。

さらに、前記企業実態に加えて、引用図形(引用商標)の使用実績(甲第10号証、甲第12号証、甲第16号証ないし甲第18号証)を合わせ考えれば、「NTT DATA」といえば引用図形(引用商標)をシンボルマーク(ハウスマーク)としていること、また、引用図形(引用商標)といえば「NTT DATA」のシンボルマーク(ハウスマーク)であることが需要者に印象付けられているとみるのが相当である。

そうであるから、被請求人の「NTT DATA」の文字の有無は無視できない大きな相違であるとの反論は成り立たない。

また、「日本有名商標集」の内容は、日本国特許庁のホームページにおいても掲載されているのであって、周知著名性に関して全く根拠を見出せないような商標を公的機関が掲載するわけはないのであるから、被請求人の反論は根拠がない。

(イ)被請求人の提出した登録例について

被請求人は、乙第2号証の1ないし7の登録例を提出しているところ、本件審判請求の趣旨は、本件商標に係る指定商品のうち「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての登録の無効であって、乙第2号証の1ないし5が「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」と同一又は類似の商品を指定するものではなく、他類に属する商品を指定するものであって、これらに基づいて引用図形(引用商標)の独自性を論ずる合理的理由はない。また、乙第2号証の6及び7については、その外観構成態様からみて、被請求人が何故に乙第2号証の6及び7に基づいて引用図形(引用商標)が「格別特徴的な構成ではなく、独自性もさほど大きくないというべき」と主張しているのかが全く理解することができない。

被請求人の提出に係る乙第2号証の1ないし7が引用図形(引用商標)の独自性が大きくないことを認めるに足りる証拠とはならない。

(ウ)本件商標の構成に関する被請求人の反論について

被請求人は、「本件商標は、大小2つのピラミッド状の図形がまとまりよく配置され、各ピラミッド状図形を構成する複数の黒色の点が右斜め下に向かうにつれて小さくなっている独自の商標と認識されるのに対して、引用商標は、複数の黒色(又は白抜き)の楕円状の点からなる1つのピラミッド状図形として認識される」と反論している。

しかしながら、本件商標は、「大小2つのピラミッド状の図形」を、何をもって「まとまりよく」配置しているのかについて何らの説明もされていない。

(a)本件商標の外観構成を素直にみれば、「2つのピラミッド状図形」は単に近くに離間して配しているにすぎず、これだけをもって「まとまりよく」配置しているとは到底いえるものではなく、完全に「離間配置」しているとみるのが普通である。

(b)また、本件商標は「独自の商標」と反論しているが、請求人の周知著名な引用図形(引用商標)とは全く異なる独自性に基づいているとは到底認められない。

そして、被請求人は、本件商標が「2つのピラミッド状図形」でなり、引用図形(引用商標)は「1つのピラミッド状図形」でなるという相違について述べているものの、前記のとおり、本件商標は、引用図形(引用商標)と全く異なる独自性に基づいた構成とはいえないのであるから、両商標に接する需要者等の記憶に残る印象は、両商標の構成中最も重要な要素としての「複数の円図形を全体として三角形状を呈するように配した図形」である点で共通するのであって、三角形状の個数の問題ではない。

(c)さらに、被請求人は、本件商標と引用商標の円図形の個数・大きさ等が著しく相違することは一見して明らかと述べているが、被請求人の述べている両商標の点の個数・大きさ等の具体的構成に基づいて本件商標と引用商標とを彼此区別できるのは、本件商標と引用商標とを直接的に対比させて初めて認識できる程度のものであることからすれば、その程度の構成の相違を需要者等が時と処を異にして一見して認識できるとするのには無理がある。そうであるとすると、両商標に接する需要者等の記憶に残る印象は、ともに「複数の円図形を全体として三角形状を呈するように配した図形」であり、また、特に引用商標が前記のとおり周知著名であることを合わせ考えれば、需要者等によって出所の混同が生ずるおそれが十分に認められる。

(2)商標法第4条第1項第10号及び同第11号該当性について

(ア)被請求人は、「本件商標は、大小2つのピラミッド状図形がまとまりよく配置されているから、全体で比較すれば足り、一方の図形を無視して他方の図形だけで認識される合理的な理由は全くないというべきである」と反論している。

しかしながら、本件商標及び引用商標の「構成中最も重要な部分と目され」「看者の注意を強く惹く部分」が「複数の円図形を全体として三角形状を呈するように配した図形」であることは疑う余地がなく、本件商標が「2つのピラミッド状図形」でなるものであっても、需要者等からすれば相紛れるおそれが認められる。

したがって、被請求人の主張は的を射ていないものである。

(イ)また、被請求人は、乙第2号証の1ないし7を挙げ、これらが引用商標と併存登録されている点を主張しているが、前記のとおり、乙第2号証の1ないし5に基づいて引用図形(引用商標)との類否を論ずる合理的理由はない。また、乙第2号証の6及び7については、その外観構成態様からみて、被請求人が何故に乙第2号証の6及び7に基づいて引用図形(引用商標)の類否範囲を論じているのかは全く理解することができない。乙第2号証の1ないし7が引用図形(引用商標)の類似範囲を認めるに足りる証拠にはなっていない。

3 被請求人は、被請求人の会社案内、カタログ、封筒、FAX用紙の書式を提出するとともに(乙第3号証ないし乙第6号証)、本件商標を「PHOTON Design」の文字ととともに使用される場合が多いから、使用の場面においては引用商標との相違が大きいと述べている。

しかしながら、かかる使用形態は、本件商標自体の商標登録性に関して何らの考慮がされるものでないことは明らかである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第15号該当性について

甲各号証を精査しても、(ア)引用商標が周知著名性を獲得しているとは認められないばかりか、(イ)本件商標は引用商標とは全く異なる商標であるから、本件商標が請求人の業務に係る商品等と混同を生ずるおそれは皆無というべきである。

(1)引用商標の周知著名性に対する反論

請求人は、引用商標の周知著名性を示す証拠の1つとして、これら商標と実質的に同一の商標(色彩が付されているものを含む)について多数の登録データ(甲第8号証)を提出しているが、これら登録データは、引用商標が登録されているという事実を示すにすぎないものであって、引用商標が実際に使用されていることを証明するものではない。したがって、上記登録データから引用商標の周知著名性を認めることは到底できない。

また、請求人は、引用商標が「日本有名商標集」(甲第7号証)に掲載されており周知著名であると主張する。しかし、この書籍への掲載にあたって、防護標章登録出願の審査や審決・判決における周知著名性の判断のように厳格な審理が行われたわけではないから、上記書籍に掲載されているという事実だけをもって、引用商標が周知著名であるということはできない。仮に、上記書籍に掲載された請求人の商標が周知著名であるとしても、この商標は、引用商標に「NTT DATA」の文字が付加されてなり、かかる文字は、請求人が巨大企業たる日本電信電話株式会社(「NTT」として知られている)の子会社・関連会社であることを指標しているという意味で、かかる文字の有無は無視できない大きな相違である。したがって、上記書籍に掲載された事実をもって引用商標が周知著名であるとは認められないというべきである(乙第1号証参照)。

さらに、請求人は、商標の著名度の判断基準として、企業規模、営業関係等の企業実態も重要な判断要素として考慮されるべきであるとし、請求人の沿革、売上高の推移、事業内容等からみて、請求人は日本有数の企業規模を有し、広範囲に亘るサービスを提供してきていると主張する。

しかし、これら情報は、請求人ウェブページ(甲第5号証の2ないし5)や請求人案内(甲第9号証)に記載されたものを転記したにすぎず、引用商標が実際に使用されたことを示す証拠はわずかに存在するだけであるから、これら情報をもって引用商標の周知著名性を立証するに足りる使用実績とみることはできない。

また、請求人は、引用商標の周知著名性の根拠として、「日本有名商標集」の他に、各種広告等における使用実績を主張している。

甲第10号証は新聞雑誌広告であるが、その大半(甲第10号証の1ないし7、11)は、本件商標の登録出願日以降のものである。引用商標の周知著名性は、本件商標の登録出願時を基準として判断されるのであるから、上述のように本件商標の登録出願日以降のものが大半を占める甲第10号証によっては、著名性はおろか周知性すら認めることができないというべきである。なお、審判請求書第14頁ないし第20頁に記載されている表(これら表の見方は定かでない)について付言すると、甲第10号証を除き、これら表に記載された広告の事実を客観的に示す証拠が添付されておらず、これら広告も本件商標の登録出願日以降のものが大半であるから、結局これら表及び甲第10号証から引用商標の周知著名性は認められない。

また、請求人は、引用商標をテレビコマーシャルにおいて使用していると主張し、甲第11号証を提出しているが、甲第11号証には放映日程、放送局等のテレビコマーシャルの詳細は何ら記載されていないから、甲第11号証をもってテレビコマーシャル放映の事実を認めることはできない。したがって、かかる証拠は引用商標の周知著名性の根拠になり得ない。

さらに、請求人は、引用商標が子会社・関連会社によって使用されている事実が存在すると主張するが、この事実を裏付ける証拠は何ら添付されていないから、かかる主張は到底認められない。

請求人は、引用商標の使用態様を示す資料として各種パンフレット(甲第12号証)を提出しているが、これらはいずれも2000年10月発行であり、本件商標の登録出願日における引用商標の周知著名性を示す証拠になり得ない。また、請求人は、それ以前の発行に係るパンフレットでも上記と同様に使用されていると主張するが、そのような事実を認めるのに足りる証拠は全くない。

また、請求人は、請求人の認知度が就職希望企業ランキングの順位の高さから推認できると主張し、各種新聞雑誌に掲載された2001年ないし2003年の就職希望ランキング写しを提出している(甲第13号証の1ないし6)。しかし、このようなランキングには請求人の名称が記載されているだけであり、シンボルマークである引用商標が掲載されているわけではないから、これらランキングは、引用商標の認知度と直接的な関連性を有しない。また、請求人は、その名称「株式会社エヌ・ティ・ティ・データ」から巨大企業たる「日本電信電話株式会社」(「NTT」として知られている)の子会社ないし関連会社として認識されるにすぎないというべきである。なお、請求人は、請求人作成の人気ランキング統計表(甲第13号証の7)を根拠に、2000年度においても相当の認知度があったと推認できると主張するが、上述のように、就職の人気度と引用商標の周知著名性とはかかわりがない。

以上のように、請求人の提出に係る甲号証によっては、引用商標の著名性はおろか、周知性すら認めることはできないから、引用商標が周知著名であるとする請求人の主張は失当である。

(2)本件商標と引用商標との対比

請求人は、本件商標と引用商標とは「複数の黒塗りの円図形を全体として三角形状を呈するように配した図形」である点で共通するから、本件商標の構成及びアイデアから容易に引用商標を連想させ、両商標は混同を生ずるおそれが高いと主張するが、まず、「複数の黒塗りの円図形を全体として三角形状を呈するように配した図形」からなる商標の登録例としては、乙第2号証の1ないし7に示した登録例が挙げられる。

これら登録例からみれば、「複数の黒塗りの円図形を三角形状に配してなる図形」は、格別特徴的な構成ではなく、独自性もさほど大きくないというべきであるから、このような構成を共通にする商標に接する需要者・取引者は、かかる抽象的な構成の印象を強く記憶に留めるというよりも、より具体的に上記円図形の形状・配置関係等を含めて記憶に留めるとみるのが適当である。

この点からして、本件商標は、大小2つのピラミッド状の図形がまとまりよく配置され、各ピラミッド状図形を構成する複数の黒色の点が右斜め下に向かうにつれて小さくなっている独自の商標と認識されるのに対して、引用商標は、複数の黒色(又は白抜き)の楕円状の点からなる1つのピラミッド状図形として認識されるというべきである。

してみれば、本件商標が大小2つのピラミッド状図形からなるのに対して、引用商標は1つのピラミッド状図形からなる点で著しく相違し、また、両商標のピラミッド状図形を構成する点の大きさ・数・間隔においても大きな違いを有するから、両商標は全体的な印象が著しく相違し、混同を生ずるおそれは全くないというべきである。

この点、請求人は、本件商標を構成する2つのピラミッド状図形が「離間配置」され、「一方の図形は、他方の図形の一部を抽象したにすぎない構成であって、請求人の周知著名商標と全く異なる独自性(創造性)に基づいて採択された商標であるとは認められない」旨主張するが、本件商標を構成するピラミッド状図形はまとまりよく一体的に構成されており、離間配置されているとみることはできないから、一方のピラミッド状図形を無視して他方のピラミッド状図形だけが独立して認識される余地は皆無である。また、上述のように、引用商標が周知著名商標であるとは認められないばかりか、上述のように円状図形を三角形状に配置してなる図形商標は珍しくなく、引用商標の独自性はむしろ小さいとみるべきであるから、本件商標が引用商標とは全く異なる商標であることは明白である。

また、請求人は、「需要者・取引者が本件商標の円図形の個数や大きさなど仔細な部分についての正確な記憶をもって実際の取引に当たるのは稀である」から、本件商標及び引用商標に接する需要者等の記憶に残る印象はともに「複数の円図形を全体として三角形状を呈するように配した図形」であると主張する。しかし、円図形の個数等を正確に記憶していなくても、本件商標と引用商標の円図形の個数・大きさ等が著しく相違することは一見して明らかであり、また、ピラミッド状図形の数の相違をも考慮すると、本件商標は引用商標と容易に区別できるから、請求人の上記主張は失当である。

以上のように、本件商標は引用商標と混同を生ずるおそれはないから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しないというべきである。

2 商標法第4条第1項第10号及び同第11号該当性について

請求人は、本件商標が、請求人の周知な引用商標に類似するから、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に該当すると主張するが、本件商標は引用商標とは全く異なる非類似の商標であるばかりか、引用商標の周知性は認められないから、請求人の上記主張は失当である。

本件商標は、大小2つのピラミッド状図形がまとまりよく配置されているから、全体で比較すれば足り、一方の図形を無視して他方の図形だけで認識される合理的な理由は全くないというべきである。

そして、上記登録例(乙第2号証の1ないし7)が引用商標に非類似として登録されていることからみても(それぞれ甲第8号証の21、23、甲第3号証、甲第8号証の25、30、甲第2号証、甲第4号証等と併存している)、引用商標の類似範囲が広く「複数の黒塗りの円図形を全体として三角形状を呈するように配した図形」に及んでいるわけではないことは容易に理解されよう。

したがって、本件商標は、大小2つのピラミッド状図形からなるのに対して、引用商標は、1つのピラミッド状図形からなる点で著しく相違し、また、両商標のピラミッド状図形を構成する点の大きさ・数・間隔においても大きく相違することは一見して明らかであるから、両商標は、全体的な印象が著しく相違し、たとえ時と場所を異にして観察した場合でも紛れるおそれのない非類似の商標なのである(乙第1号証参照)。

なお、引用商標が本件商標の登録出願日において周知性を獲得していたと認めることができないことは、上述のとおりである。

以上より、引用商標は、本件商標に類似しないばかりか、周知性を認められないから、本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同第11号に該当するとの請求人の主張は、失当である。

3 本件商標の使用態様について

なお、付言すると、被請求人の会社案内、カタログ、封筒、FAX用紙の書式(乙第3号証ないし乙第6号証)に示されているように、本件商標は「PHOTON Design」の文字とともに使用される場合が多い。このことは、実際の使用の場面においては、引用商標との相違が一層大きいことを意味している。

4 結論

以上のように、本件商標が商標法第4条第1項第15号、同第11号及び同第10号に該当するとの請求人の主張はいずれも理由がなく、本件商標の登録は、維持されるべきである。

第5 当審の判断

1 本件商標は、別掲の(1)に示すとおり、左側の上部中央部から左下部に至る斜めに配された7個の円図形を1列目とすると、その右側に2列目以下を6個、5個、4個と1個ずつ減らして最後に1個とし、かつ、2列目以下がその大きさが徐々に小さくなる円図形を下部を揃えて全体として三角形状になるように配された図形を左側に配し、その右側に、同様の手法で描かれたほぼ5分の1の大きさの三角形状の図形を配してなるものであって、右側の図形は、その下部が左の図形の下から3段目の円図形に連続するかのように見える位置に、左の1列目から3個、2個、1個となる円図形により構成されているものである。

他方、引用A商標は、別掲の(2)に示すとおり、下から1段目が4個、2段目が3個、3段目が2個よりなる縦型の楕円図形を、ほぼ同じ大きさで各段を等間隔に中心を揃えて表し、さらに、下段の間隔より離れた上部の中央部に、下段のものよりやや大きめの縦型の楕円状を1個配し、全体として上部が突き出た三角形状の図形を表してなるものである。引用B商標及び引用C商標は、別掲(3)又は(4)に示すとおり、上記三角形状の図形が黒塗りの縦長の長方形あるいは四角形の中に白抜きで描かれてなるものである。

以上の両商標の構成よりすると、本件商標は、左の一列目から徐々に小さくなる円図形より構成された大きな三角形状の図形と、その右側に添うように小さな三角形状の図形が表されていて、2つの図形がバランスのとれたまとまりのある構成よりなる点に特徴を有するものであって、2つの図形が一体不可分の関係にあると認識し把握されるというのが相当あり、その印象は、左斜め上方から右下部に向かう動きの感じられるものである。

これに対し、引用商標は、最上部の1個の楕円図形が大きな形状で離れて配されている点に特徴を有するものであり、上に向かう運動性の感じられるものである。

また、両商標の構成よりすると、円図形と楕円図形の数が一見して異なると看取されるものである。

してみれば、両商標は、その全体の図形における特徴が大きく異なり、受ける印象も著しく相違するものというべきであるから、時と所を異にして離隔的に観察した場合であっても、外観において相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

そして、他に両商標を類似するとみるべき理由は見当たらない。

請求人は、本件商標は「複数の黒塗りの円図形を全体として三角形状を呈するように配した図形」を2つ離間配置してなり、このうち一方の図形は、他方の図形の一部を抽出したにすぎず、・・・したがって、この「複数の黒塗りの円図形を全体として三角形状を呈するように配した図形」自体こそが最も重要な要素として需要者・取引者に印象付ける部分であると主張する。

しかしながら、本件商標における2つの大きさの異なる三角形状の図形が離間配置されたとは看取し得ないものであり、バランスのとれたまとまりのある一体不可分の構成よりなると認識し把握されるというべきであること上述のとおりであるから、請求人の上記主張は採用できない。

2 本件商標は、引用商標と外観上著しく相違すること前述のとおりであり、他に混同を生ずるとすべき格別の事情も見出し得ないから、これをその指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に使用した場合、これに接した取引者、需要者がこれより直ちに引用商標を連想、想起し、該商品を申立人又は申立人と関係のある者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同するおそれがあるものとは認められない。

3 したがって、本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものということはできないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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