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Trademark Appeal Case

商標の社会通念上同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2003−30940(T2003−30940/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2580754号商標の指定商品中、「電気磁気測定器、民生用電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2580754号商標(以下「本件商標」という。)は、「レーブス」の片仮名文字と「REVS」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成元年10月6日登録出願、第11類「電線用の熱収縮性接続用スリーブ、その他の電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。)電気材料」を指定商品として、同5年9月30日設定登録、その後、同15年10月14日に商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べている。

請求の理由

1.請求人の調査によれば、本件商標の指定商品中「電気磁気測定器、民生用電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者により登録商標が使用されている事実を発見することができなかった。

また、本件商標について、専用使用権又は通常使用権の登録もされておらず、これらの者による使用の事実も認められない。

よって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき、請求の趣旨のとおりの審決を求める次第である。

2.答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、答弁書において、本件商標をその指定商品である「電気磁気測定器及び電気通信機械器具」について3年以内に使用している旨主張しているが、これらは、以下の理由により、商標法第50条所定の要件である指定商品についての登録商標又は登録商標と社会通念上同一の商標の使用を証明したものということはできない。

まず、被請求人が登録商標と社会通念上同一の商標を使用していると主張する何れの使用態様も、乙第1号証の1、乙第4号証の1、乙第7号証の1に示される通り「REV」と「S」との間の隙間の上部に逆三角形の図形が付加されたものであって、本件商標と社会通念上同一の商標ではない。

また、本件商標は、上段に片仮名の「レーブス」、下段にローマ字の「REVS」をそれぞれ横書きしたものを二段に併記してなるものであって、被請求人は、本件商標の片仮名部分「レーブス」はローマ字部分「REVS」の自然な読み方を表すものであり、「REV’S」の使用商標は、登録商標と社会通念上同一と認められる範囲である旨主張しているが、これは社会通念上同一の商標の使用とは認められない。

(2)ところで、商標法第50条については、使用商標と登録商標の同一性をあまりに厳格に解すると過剰な防衛的出願を誘発するという弊害の抑制、及び登録商標を適宜に変更を加えて使用するのが通常であるという産業界の実情とを一致させるべく、平成8年の商標法一部改正により、取引社会の通念に照らして、登録商標と使用商標との同一性の範囲を拡張したものである。

そして、本件商標と同様、二段併記等の構成からなる登録商標については、その一方の使用であっても登録商標と社会通念上同一の商標の使用と認められる場合があることは、審判便覧(53−01)においても言及されているところである。

しかしながら、それはすべての二段併記等の商標について一方の使用を登録商標と社会通念上同一の商標の使用と認めるものではなく、例えば「太陽/SUN」のように、二段併記された商標の上段及び下段の各部が観念を同一とするときについての一方の使用のような場合を社会通念上同一の商標の使用と認めるのである。

したがって、商標法第50条が使用商標と登録商標の同一性の範囲を緩和したといっても、無制限に拡張することができるものではないことはいうまでもなく、また、「社会通念上同一」とは、商標の類似範囲よりも狭いものであることは当然であって、かかる制度の趣旨に鑑み、社会通念上同一の概念を安易に拡張すべきではない。

(3)上記のことから、被請求人の使用商標である「REV’S」が「REVS」の使用ということはできないと解すべきであり、また、本件商標の「REVS」を片仮名で表せば「レブズ」となるのが通常で、あえて「レーブス」が自然な読み方を表すという被請求人の主張も妥当とは言えない。

乙第1号証の1、乙第4号証の1及び乙第7号証の1に示された使用商標「REV’S」は、当該各乙号証が白黒コピーであるために明確ではないが、文字と逆三角形とは色彩が異なることは容易に見て取ることができる。

そして、この逆三角形(6)は、被請求人が主張するほど微細なものとは評価できず、わが国の英語教育からみて、需要者はこの逆三角形をアポストロフィと認識するため、使用商標は「REV」が要部と認識され、「S」の部分は単なる付加的なものとされることにより、「REVS」とは類似ではあっても、社会通念上同一とは解されない。

以上のとおり、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標の使用と認めることはできない。

(4)したがって、被請求人の答弁は、商標法第50条により、登録商標の使用を証明したものとは認められない。かかる主張を認めることは、使用商標と登録商標の同一性を不当に緩和して登録商標の使用義務を不明確にして商標権者を過剰に保護する結果、第三者の商標採択の権利を不当に抑制するという不合理を招来する。かかる事態は、商標法第50条についての平成8年の一部改正の趣旨に反するものであることは明らかである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第9号証(枝番を含む)を提出した。

答弁の理由

1.「電気磁気測定器」についての本件商標の使用

(1)乙第1号証の1は、商品番号REV3238の「電圧計」のパッケージの台紙表面の写し、同号証の2は、前記台紙裏面の写しである。

乙第1号証の2の「一般仕様」の欄に「測定機能:直流電圧・交流電圧・抵抗・導通チェック・ダイオードテスト」と記載されていることからも明らかなように、この商品は、「電気磁気測定器」としての「電圧計」であり、また、乙第1号証の1の左肩に明示されているように、商標「REVS」が使用されている。

そして、本件商標は片仮名「レーブス」とローマ字「REVS」を上下二段に併記した商標であるのに対し、使用商標は、そのうちローマ文字のみであるが、本件商標の片仮名はローマ字部分の自然な読み方を表すものであるから、本件商標と使用商標は、自他商品の識別標識として同一の機能を果たしていると評価でき、したがって、この使用の態様は本件商標と社会通念上同一と認められる範囲のものである。

また、使用者は、乙第1号証の2の下部に記載されているように、被請求人自身(商標権者)であり、使用時期については、乙第2号証の電圧計の納品書が2003年2月10日に発注者に対して納品されたことを示しているから、本件審判の請求の登録前三年以内に使用されたことは明白である。

(2)乙第4号証の1は、商品番号REV2245の「電流・電圧計」のパッケージの台紙表面の写し、同号証の2は、前記台紙裏面の写しであり、乙第4号証の1の左肩に、商標「REVS」が使用されている。

そして、使用商標は、ローマ文字「REVS」のみであるが、前記(1)で述べたように、片仮名文字は、ローマ字部分の自然な読み方を表すものであるから、この使用の態様は本件商標と社会通念上同一と認められる範囲のものである。

また、使用者は、乙第4号証の2の下部に記載されているように、被請求人自身(商標権者)であり、使用時期については、乙第5号証の電流・電圧計の納品書が2001年10月19日に発注者に対して納品されたことを示しているから、前記商標の使用が、審判の請求の登録前三年以内になされたことは明白である。

2.「電気通信機械器具」についての登録商標の使用

乙第7号証の1は、商品番号REV3202の「無線機用等のヒューズセット」のパッケージの台紙表面の拡大した写し、同号証の2は、前記台紙裏面の拡大した写しである。

乙第7号証の2の「特長」の欄に「無線機等に内蔵されているショートタイプ」と記載されていることからも明らかなように、この商品は、「電気通信機械器具の部品および附属品」としての「通信機械用ヒューズ」であり、乙第7号証の1の左肩に、本件商標「REVS」が使用されている。

そして、使用商標は、ローマ字部分のみであるが、前述のように本件商標の片仮名部分はローマ字部分の自然な読み方を表すものであるから、本件商標と社会通念上同一と認められる範囲の使用であると思料する。

また、使用商標には、「V」と「S」との間の上部に小さな倒立三角形が挿入されているが、このようなデザイン上の微細な変更は、本件商標を実際に使用する場合に通常行われるものであり、本件商標と使用商標間における自他商品識別標識としての同一性を阻害するほどの要因にはなっていない。 特に、本件商標のローマ字の特徴ある書体と、使用商標のローマ字の書体とが全く同一であることを勘案すれば、本件商標と使用商標との間には、社会通念上の同一性が確実に保持されていると評価すべきである。

また、使用者は、乙第7号証の2の下部に記載されているように、被請求人自身(商標権者)であり、使用時期は、乙第8号証において、2003年3月5日に「ヒューズセット」が発注者に対して納品されたことを示しているから、前記商標の使用が、審判の請求の登録前三年以内になされたことは明白である。

3.以上のように、被請求人は、取消請求に係る指定商品について、本件審判の請求の登録前三年以内に、日本国内において、登録商標の使用をしているものである。

第4 当審の判断

よって判断するに、被請求人が、本件商標を使用しているとして提出した乙各号証によれば、使用に係る商標は、「REV」と「S」の欧文字間の上部に小さな逆三角形の図形(▼)を配してなるものである。

そして、乙第1号証の1によれば、上記構成からなる商標が、本件取消請求に係る指定商品中の「電圧計」について、被請求人(商標権者)によって使用されていること、及びその使用時期も乙第2号証によって、本件審判請求の予告登録日(平成15年8月6日)前3年以内である2003年(平成15年)2月4日であることを認めることができる。

また、被請求人の提出した乙第4号証の1、同の2、及び乙第5号証によれば、上記商標が、本件取消請求に係る指定商品中の「電流・電圧計」について、被請求人により本件審判請求前3年以内の2001年(平成13年)10月19日に使用されていたことが認められる。

さらに、乙第7号証の1、同2、及び乙第8号により、上記商標が、本件取消請求に係る商品中の「ヒューズセット」について、被請求人によって、本件審判請求前3年以内の2003年(平成15年)3月5日に、何れも使用されていたと認めることができるものである。

そこで、被請求人の使用に係る「REV」と「S」の欧文字間の上部に小さな逆三角形の図形を配した商標が、本件商標と社会通念上同一の範囲内の使用であるか否かについて判断する。

本件商標は、前述のように「レーブス」の片仮名文字と「REVS」の欧文字とを二段に横書きしてなるものであるところ、該構成中の欧文字部分は、特定の意味合いを有しない造語を表したものと認められる。

そして、たとえば、英語の「Rev」を「レブ」と発音している例からすれば、「REVS」の文字部分から生ずる自然の称呼は、「レブス」と言うべきであり、そうとすれば、これと異なる上段の「レーブス」の片仮名文字は、欧文字「REVS」の読みを特定するために併記されたものと理解、認識されると判断するのが相当である。

してみると、本件商標は、片仮名文字「レーブス」と欧文字「REVS」とが常に一体のものとして把握され、認識されるものであるから、本件商標の使用にあっては、片仮名文字と欧文字とが常に一体のものとして、その指定商品に使用されなければならないと言うべきである。

しかるに、前述のように被請求人の使用に係る商標は、欧文字部分のみであり、しかも、やや変形して使用していることも併せ考えれば、被請求人の使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一の範囲内の商標の使用であるとは認め難い。

また、被請求人は、前記請求人の弁駁に対し、何ら応答するところがない。

してみれば、被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品「電気磁気測定器、民生用電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」の何れかについて使用していなかったものと言わざるを得ない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、結論掲記の指定商品についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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