Trademark Appeal Case
立体商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−65008(T2001−65008/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第16類「Packaging for tobacco products.」及び第34類「Tobacco,tobacco products,especially cigarettes and cigarillos;smokers’articles included in this class;matches.」を指定商品として、2000年(平成12年)5月8日を国際登録の日とするものであり、その後、第34類の指定商品については、平成13年7月26日付けの手続補正書によって、「Tobacco,tobacco products,especially cigarettes and cigarillos;smokers’articles(not of precious metal);matches.」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、その指定商品又はその包装用容器の立体的形状であることを容易に認識させるものであるから、これをその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、通常用いられる商品の形状又はその包装容器の形状と認識するものといわなければならない。したがって、本願商標は、単に商品の形状又はその包装容器の形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定・判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、別掲(1)に示すとおり、小さな直方体の四隅を上から下へ面取りし、その上部から約3分の1位のところまでを開閉式の蓋とし、その余を本体とした小さな包装容器(包装箱)の立体的形状からなるものである(その蓋の上面から本体の正面、そして、底面にかけて、下へ行く程先細りとなるように、ぼんやりと山吹色が施されている)。
(2)独占不適応な商標
商標法第3条第1項第3号は、商品の品質、形状(商品の包装の形状を含む。)等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は、登録を受けることができない旨規定している。同号に該当する商標が登録を受けられない趣旨は、(ア)取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するので、特定人による独占使用を認めるのは公益上適当でないこと、及び(イ)一般的に使用される商標であって、多くの場合、自他商品識別力を有しないことによると解されている(最三判昭54・4・10裁判集民事126・507等)。
しかして、商品の形状(又はその包装の形状)は、本来的(第一義的)に、当該商品(又はその包装)自体の有する機能を効果的に発揮させ、美感を追求するなどの目的で選択されるものであって、商品の出所を表示し自他商品を識別するための標識として採択されるものではない。
それゆえ、指定商品(又はその包装)について、同種の商品(又はその包装)が採用し得る立体的形状に特徴的な変更、装飾等を施したものであっても、全体としてみた場合に、同種の商品(又はその包装)が機能や美感を発揮するために必要な立体的形状の範囲に止まるものは、前記(ア)及び(イ)等の観点よりして、一私人に独占させることは適当でない。しかも、需要者が商品(又はその包装)の形状そのものを表示したと認識するに止まる限り、商品(又はその包装)の機能又は美感と関係のない特異な立体的形状からなるということはできないから、全体として、商品(又はその包装)の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に当たり、自他商品識別標識としての機能を有しないものとみるのが相当である。
(3)本願指定商品の取引界の実情
これを本件について見るに、商品タバコ又はその包装容器(包装箱)の分野においては、四隅(又は一隅)を丸め又は鋭角に面取りしたようなものは程度の差はあれ、好んで用いられる類いのものであり、また、それが蓋付き又は蓋無しのものも数多く存在しているから、本願商標の形状が商品タバコ又はその包装容器(包装箱)の形状を超えて極めて特徴的な変更を加えたものということはできない。
同様に、商品タバコ又はその包装容器(包装箱)にあっては、美感を発揮させるために、色彩を淡く施したり、滲ませたり、さっと一撫でしたように装飾的な模様を施してなるものも種々見受けられ、これらもまた、商品タバコ又はその包装容器(包装箱)に施される美感を発揮させるための装飾の域を出ない付記的なものというのが相当である。
(4)請求人(出願人)の主張
請求人は、輸入紙巻きタバコカタログ(甲第1号証)及び国産紙巻きタバコ一覧表(インターネット情報:甲第2号証)を提出し、本願商標が蓋部とタバコ収納部本体から構成されていること、及びその四隅の形状が「八角形」(蓋の上方向から見た場合の形状)であって、この種の包装容器と異なるうえ、その表面に色彩の装飾が施されているから、本願指定商品との関係よりすれば、本願商標は、単に商品又はその包装容器(包装箱)の立体的形状を普通に用いられる方法で表示したものではない旨主張している。
しかしながら、前述のとおり、商品タバコ又はその包装容器(包装箱)の上部に蓋を設けた構造のものは多数存し、よく知られており、また、別掲(2)以下に示すとおり、四隅(又は一隅)を丸め又は面取りしたものも程度の差はあれ、好んで用いられる類いのものであることが窺え、そのほかに美感を発揮させるために、色彩を装飾的模様として施してなるものも、少なからず見受けられるところであるから、かかる形状や模様は、商品タバコ又はその包装容器(包装箱)としての機能や美感を発揮させるために必要な立体的形状の範囲を超えて極めて特徴的な変更や装飾を施したものということはできず、請求人の上記主張は採用することができない。
むしろ、請求人の提出証拠から窺えるように、商品タバコ又はその包装容器(包装箱)には、銘柄(商標)が一般的に表示されており、通常は、当該銘柄を表示する文字の商標(又はその称呼)をもって取引され、それにより自他商品の識別がされているというのが相当であるから、本願商標に限り、形状や模様のみをもって自他商品の識別がされているとみなければならない格別な事情は見出せない。
(5)結論
以上の事実を総合勘案すれば、本願商標を補正後の指定商品である第16類「Packaging for tobacco products.」及び第34類「Tobacco,tobacco products,especially cigarettes and cigarillos;smokers’articles(not of precious metal);matches.」(第16類「タバコ製品用包装容器」及び第34類「タバコ、タバコ製品、特に、紙巻きタバコ、シガリロ、喫煙用具(金属製のものを除く。)、マッチ」)に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品タバコ又はその包装容器(包装箱)の立体的形状を普通に用いられる方法で表示したにすぎないものと容易に認識し把握するというのが相当であるから、本願商標は、自他商品識別標識としての機能を発揮するものということはできない。
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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