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Trademark Appeal Case

称呼類似と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2002−90677(T2002−90677/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4579205号商標の指定商品中第25類「被服,ガータ,靴下止め,ズボンつり,ベルト」についての商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4579205号商標(以下「本件商標」という。)は、「Cambel」の欧文字と「キャンベル」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、平成13年5月23日に登録出願、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,かや ,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び 第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,ベルト」を指定商品として、平成14年6月21日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

(1)登録異議申立人キャンベルスープカンパニー(以下「申立人」という。)は、次の項の登録商標(以下「引用商標」という。)を引用して、その引用商標中の「Campbell’s」の文字は、申立人が缶入りスープについて使用している著名なハウスマークと同一である。そして、取引の実情に鑑み、引用商標中の「Campbell’s」から「キャンベルズ」又は「キャンベル」の称呼を生じるので、本願商標は、引用商標と「キャンベル」の称呼を共通にする類似の商標であって、本件商標の指定商品中、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,ベルト」は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するから、その登録を取り消されるべきである、旨主張した。

(2)引用商標

別掲のとおりの構成よりなり、平成12年11月10日に登録出願、第25類「帽子・ワイシャツ類及びシャツ・ズボン及びパンツ・コート・ジャケット等の外衣・ソックス・セーター類・パジャマ・バスローブ・下着・ネクタイ・スカーフ・ドレス・ジャンパー・スカート・水泳着その他の被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服」を指定商品として、平成14年10月18日に設定登録された登録第4613475号商標である。

3 当審が通知した取消理由

本件商標は、「Cambell」、「キャンベル」の文字に相応し「キャンベル」の称呼を生ずるものである。

他方、引用商標は、別掲に表示したとおり、「Campbell’s」の文字及び他の文字と図形とを結合した構成よりなるところ、図形部分と文字部分とを常に一体のものとして見なければならない特段の理由はないばかりでなく、「Campbell’s」の文字は顕著に大きく表されているから、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、該文字部分より生ずる称呼のみをもって商取引に資する場合も多いものというのが相当である。

しかして、「Campbell’s」の文字より生ずる称呼についてみると、「Campbell’s」の文字の末尾に位置する「’s」は、英語における所有格を表すものとして一般に理解、認識されているから、引用商標は、主要部である「Campbell」の文字部分より、単に「キャンベル」の称呼を生ずるものというのが相当である。

してみれば、引用商標は、「Campbell’s」の文字に相応し「キャンベルズ」の称呼を生ずる他に、「Campbell」の文字部分より「キャンベル」の称呼を生ずるものというべきである。

そうとすれば、本件商標と引用商標とは、「キャンベル」の称呼を共通にする類似の商標であり、また、本件商標の指定商品中、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,ベルト」については、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。

したがって、本件商標の指定商品中、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,ベルト」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。

4 商標権者の意見

(1)本件商標の取消理由は、商標法第4条第1項第11号違反を理由としているが、適用条項は、商標法第8条第1項の誤りである。

(2)本件商標と引用商標との非類似について

商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする(最高裁判所 昭和39年(行ツ)第110号、東京高等裁判所 平成13年(行ケ)第144号判決、平成13年(行ケ)第363号判決)

(ア)両商標の外観上の相違について

先ず、両商標を外観の点からみると、両商標が外観において紛れ得るとする特段の事由は見出し難くこれを客観的に理由づける証拠もない。

したがって、本件商標と引用商標とは外観上互いに非類似のものとするのが至当と考える。

(イ)両商標の称呼、観念上の相違について

次に、両商標を称呼、観念の点から検討するに、本件商標は、固有の意味合いを有しない造語であって、「キャンベル」の称呼をもって取引に資されるのに対し、引用商標は「キャンプベル(さん)のスープ(料理)」をシンボライズしたものの如き固定観念の下に「キャンプベルズスープ」の称呼をもって取引に資されるものといえる。

そうすると、本件商標と引用商標とは観念上比較すべくもない別異のものであり、また、称呼の対比において両者は全体の構成音数及び音の配列等を著しく異にしその語感も顕著に相違するから、それぞれを一連に称呼したとしても彼此聞き誤るおそれはなく称呼上互いに区別し得るものといえる。

取消理由は、引用商標より「キャンベル」の称呼を生ずる旨認定しているが、その判断は明らかに論理の飛躍があり無理といわなければならない。すなわち、引用商標は一定社会分野における特定事業に係る事物・事柄等を表彰する旗章又はエンブレム(記章)の如き外観構成のものであって、それ故に構成中の「Campbell’s」又は「SOUP」の文字は当該記章に象徴される事物・事柄と全く遊離して存在するのでなく視覚上又は意味上において密接に組み合わされた極めて一体感の強い商標というべきものであるにも拘わらず、この点を看過(又は軽視)し機械的・短絡的に「Campbell’s」の文字部分を抽出することは商標自体の構成並びに需要者一般の注意力その他この種商品の取引の実情を無視したものであって妥当性を欠く。

本件指定商品である被服類の分野の取引事情についてみると、一般に被服等の商品はファッション性が強く需要者一般の平均的な注意力は比較的高いといえるばかりでなく、需要者の大半は最終消費者であってこの種商品(被服類)の消費者は直接商品を手にとり当該商標を視認し記憶に止めるなどして購買するというのが取引の実情といえるから、引用商標に接する需要者がその外観構成又は全体印象を全く考慮することなく当該称呼のみにより無闇に取引に当たるものとは考え難く、むしろそのように考察することは取引の実情にそぐわないものである。

すなわち、仮に引用商標が「キャンプベルズ」の如く称呼されるとした結果、本件商標の称呼と一部において共通する場合があっても、需要者は両商標の外観構成及び全体の印象よりしてその出所につき誤認混同を来すことなく当該両商品を峻別するというのが取引の実情といえる。したがって、本件においてこの種被服類の商品特性及び取引状況等は十分考慮されるべきものである。

また、このような引用商標にあって、なお構成中の「Campbell’s」の文字部分が取引指標と目されその称呼をもって取引に資される場合があるとすれば、その称呼は「キャンプベルズ」であって本件商標の称呼「キャンベル」とはその構成音数、音の配列を異にし、かつ、全体の語調においても本件商標の場合は短く一気に称呼されるのに対し、引用商標の場合はその中間部で−旦区切れるように「キャンプ・ベルズ」と息の段落を生じ易い点が大きく相違する結果、それぞれを一連に称呼しても彼此聞き誤るおそれはなく両者は区別し得るものといえる。

さらに、取消理由は上記「Campbell’s」の文字中の末尾部「’s」が所有格を意味するからこれより単に「キャンベル」の称呼も生ずる旨理由を述べているが、引用商標の「Campbell’s」の文字部分は専ら前記シンボルマーク又はハウスマークに表彰される具体的事物である「SOUP」(スープ)の文字に係って機能しているのであって、すでにその意義・性格づけが決定され緊密な結合状態にあるこれら両語のうち、一方の「Campbell’s」の文字部分について殊更末尾部の「’s」を所有格表示であったとして分離・捨象すべき合理的必然性はない。

引用商標構成中の「Campbell’s」の文字部分を抽出しさらに同文字中の「’s」の部分を捨象した上で本件商標より生ずる「キャンベル」の称呼と比較対照した取消理由は、引用商標全体の構成・印象及びその意義・性格を見落としている。

さらに、百歩ゆずって、仮に取消理由が述べるように「’s」が捨象され「Campbell」の文字部分が取引指標と目される場合があるとすれば、その場合はその構成文字に相応して「キャンプベル」の称呼を生ずるとみるのが自然であって、「Campbell’s」(キャンプベルズ)の場合と同様、本件商標より生ずる「キャンベル」とはその構成音数・語調において相違し両者は互いに聴別し得る差異を有するものといえる。

すなわち、「Campbell」の文字に接する需要者はこれを平易な英語である「camp」(キャンプ)、「bell」(ベル)の各語を結合したものの如く認識し把握するであろうことは推測容易というべく、これら両語より容易に想起される「キャンプ(野営)のベル(鐘)」の如き意味合いの下に「キャンプベル」の称呼をもって取引に当たるとみるのが最も自然と考える。

そして、「Campbell」の文字(語)は、それ自体英語としてはあまり一般に馴染みがなく、如何に昨今英語知識の普及・進展が急といえども、該語が世人一般に広く認識され理解されているものとはいい難く、特に本件商標の指定商品である被服類の分野における需要者一般の平均的理解力に照らしてみても「Campbell」の文字(語)の語義を常に正しく理解しかつ発音する(称呼する)とみるのは甚だ疑問であってこれを認めるに足りる証拠はないから、結局、これを前提とする(推測される)本件商標の取消理由には無理があるといわなければならない。

また、取消理由は「Campbell」が「キャンベル」と称呼される旨認定しているが、英和辞典類(乙第1号証及び乙第2号証)によれば該語は正しくは「キャンブル」と称呼されるべきものといえるから、この点においても取消理由は認定に無理があり本件商標との類似の論拠とすることはできない。

さらに、引用商標について「CampbeIl’s」又は「Campbell」の文字部分が取引指標と目される場合があるとすれば、本件異議申立人に係る当該食品(スープ及びその関連商品)分野に限られるとみるのが至当であって、それら食品とは用途・性質等を全く異にし生産・流通事情も異なり需要者の範囲も自ずと相違する被服類の分野における取引事情を全く考慮しないで、商標の類否判断がされたものである。

以上のとおり、仮に引用商標の構成中「Campbell’s」又は「Campbell」の文字部分が取引指標と目される場合があるとしても、それらより生ずる「キャンプベルズ」又は「キャンプベル」の称呼において本件商標と称呼上紛れ得るとする根拠はなく、特に本件商標の指定商品である被服類の分野においてそのように考察すべき合理的理由は見出せないから、本件商標と引用商標とを称呼上類似のものということはできない。

そうすると、本件商標と引用商標とはその外観、観念、称呼等によって取引者・需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察し、かつ、その商品である被服類の具体的な取引状況その他取引の実情を総合して判断するに、両者はその出所について誤認混同を生ずるおそれのない非類似のものとするのが至当と考える。

(3)まとめ

取消理由は、引用商標の認定に無理があり、かつ、本件商標の指定商品の分野における取引の実情を考慮していない点に違法性がある。これらの点よりして、本件商標を引用商標と類似するものとし、その商標法第4条第1項第11号に該当すると認定した本件取消理由は、その適用条項の誤りも含め直ちに撤回されるべきである。

したがって、本件商標の登録は適法にされたものであって取り消されるべき違法はないから、その登録は維持されるべきである。

5 当審の判断

(1)本件商標と引用商標の類否について

本件商標は、前項3で述べたとおり、引用商標と類似するものであり、その指定商品も同一又は類似のものである。

すなわち、本件商標は、「Cambell」、「キャンベル」の文字に相応し「キャンベル」の称呼を生ずるものである。

他方、引用商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、全体を上下に二分して上部分を黒色に、下部分を白色の地にして、上部分の黒地部分に「Campbell’s」の文字を大きく表示して、黒地部分と白地部分との境に円形状の図形を、白地部分の下側に「SOUP」の文字とその文字の前後に図形を横一連に配置されているものであり、また「Campbell’s」の文字と「SOUP」の文字の書体も相当に異なることも併せ考慮すると、「Campbell’s」の文字は、他の図形部分と文字部分とを常に一体のものとして見なければならない特段の理由はなく、「Campbell’s」の文字部分は、大きく顕著に表され、分離した構成となっているものとみるのが自然であり、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、該文字部分に着目し、その文字から生ずる称呼をもって商取引に資する場合も決して少なくないというのが相当である。

この点について、商標権者は、引用商標は全体をシンボルマーク又はハウスマークの如く認識され、「キャンプベル(さん)のスープ(料理)」を象徴するマークと捉え、その構成文字に相応して「キャンプベルズスープ」の称呼を生ずるとみるのが取引の経験則に照らし至当である旨主張している。

しかしながら、引用商標の全体構成からして、全体が一体的なものとなっていて、商標権者が主張するような、常に「キャンプベル(さん)のスープ(料理)」の観念を有し、称呼するものとは認め難いばかりでなく、その一連の称呼も冗長であることよりすれば、構成上分離しているものと見られる「Campbell’s」の文字部分に着目し、その文字より生ずる称呼をもって、商取引に資されることはないということは到底認められないので、商標権者の上記主張は採用できない。

次に、「Campbell’s」の文字より生ずる称呼についてみると、「Campbell’s」の文字よりは、「キャンベルズ」の称呼を生ずる他に、「Campbell’s」の文字の末尾に位置する「’s」は、英語における所有格を表すものであり、その主体を表していると理解される「Campbell」の文字に相応し、単に「キャンベル」の称呼をも生ずるものというのが相当である。

この点について、商標権者は、仮に、「Campbell’s」の文字部分をもって、取引指標とされるとしても、「Campbell’s」の文字よりは、「キャンプベルズ」又は「キャンプベル」の称呼を生ずるものである旨主張している。しかしながら、「Campbell」の文字は、例えば、「Campbell」で検索したインターネット情報によれば、申立人の使用する商標の他、人の名前等にしばし使用されていて、いずれも「キャンベル」と読まれているのが数多く見受けられることからして、必ずしも、「Campbell’s」の文字(語)を「Camp」と「bell’s」に分離して、それぞれの読みを組み合わせて称呼されるものとみなければならない特段の理由はなく、我が国において、「キャンプベル」と読まれ、特定の意味を有する親しまれた語ではないから、これを一連に発音すれば、上記認定のとおり、「キャンベルズ」又は「キャンベル」と称呼されるのが自然であるとみるのが相当である。

そうしてみると、本件商標と引用商標とは、「キャンベル」の称呼を共通にする類似の商標といわなければならない。加えて、本件商標の「キャンベル」の称呼と引用商標の「キャンベルズ」の称呼とは、比較的明瞭に聴取し難い語尾音において「ズ」の音の有無にすぎないものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼する場合は、互いに聞き誤るおそれのあるものというべきであり、この点からみても、両商標は類似する商標といえる。

そうとすれば、引用商標を構成する外観、観念の差異及び本件商標の指定商品に係る取引の実情等を考慮するとしても、本件商標と引用商標は、前記のとおり、称呼において類似の商標というべきである。

また、本件商標の指定商品中、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,ベルト」については、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。

したがって、本件商標の指定商品中、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,ベルト」については、商標法第8条第1項に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

(2)取消理由の適用条項の誤りについて

商標権者は、本件商標の取消理由の適用条項は、商標法第8条第1項の誤りである旨主張する。

この点について、上記取消理由の判断時期は、商標法第8条第1項又は同法第4条第1項第11号のいずれも、本件商標における登録査定時と解されるところ、本件においては、本件商標の登録査定時(平成14年5月10日)には、引用商標が設定登録(平成14年10月18日)がされていなかったことは明かであり、本件商標に対する上記取消理由の適用条項は前記のとおり商標法第8条第1項とすべきであった。

しかしながら、商標法第8条第1項(抵触する他人の出願商標があったときは、最先の出願人がその商標について登録を受けることができる旨の規定)と同法第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商標と抵触する出願商標は登録を受けることができない旨の規定)の規定は、同趣旨の規定であって、その実質的審理の内容において違いはなく、また商標権者は本件商標が引用商標と類似するか否か等についての意見書を提出しているので、本件は新たに取消理由を通知することなく、前項(1)のとおり認定、判断し、決定するものとした。

よって、結論のとおり決定する。

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