Trademark Appeal Case
語尾音の有無と称呼類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2002−90885(T2002−90885/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第4608469号商標(以下「本件商標」という。)は、「CORLUX」の欧文字を標準文字として、平成14年3月22日に登録出願(優先権主張、アメリカ合衆国、出願日2001、10、31)、第5類「精神病治療用薬剤・その他の薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」を指定商品として、同14年9月27日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
本件商標は、「コーラック」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和31年12月26日に登録出願、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、同32年10月14日に設定登録され、その後、指定商品中の「化学品」についての登録は、平成10年2月9日の審決により取り消され、その確定の登録が同10年6月10日になされている登録第508784号商標(以下「引用商標」という。)と類似するものであり、かつ、本件商標と引用商標はその指定商品も同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は取り消されるべきものである。
なお、引用商標「コーラック」は防護標章登録がなされている著名商標である。
第3 取消理由の通知(要旨)
本件商標は、「CORLUX」の文字に相応し「コーラックス」の称呼を生ずるのに対し、引用商標は、「コーラック」の文字に相応し「コーラック」の称呼を生ずるものである。
そして、本件商標より生ずる「コーラックス」の称呼と引用商標より生ずる「コーラック」の称呼を比較すると、両称呼は、「コーラック」の音を共通にし、語尾音おいて「ス」の音の有無の差異を有するものであり、その差異音である「ス」の音は、舌端を前硬口蓋に寄せて発する摩擦音であって、弱く発音され、かつ、語尾に位置することよりして、明瞭に聴取し難い音となるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が互いに近似したものとなり、聞き誤るおそれのある相紛らわしい類似の商標というのが相当である。
また、本件商標の指定商品中、「精神病治療用薬剤・その他の薬剤」と引用商標の指定商品とは同一又は類似するものである。
したがって、本件商標の指定商品中、「精神病治療用薬剤・その他の薬剤」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
第4 商標権者の意見(要旨)
1 称呼について
本件商標「CORLUX」よりは、「コルラックス」又は「コーラックス」の称呼を生ずるのに対し、引用商標「コーラック」よりは、「コーラック」の称呼を生ずるものである。そして、本件商標は、造語であるが、英語の音節からすれば、2音節からなり、「コー」と「ラックス」の間に顕著な音の区切りがあり、単に、引用商標の「コーラック」の末尾に複数形の「ス」を加えた「コーラック・ス」ではなく、「コー・ラックス」という音構成である。
また、本件商標のアクセントは、各音節の頭の文字「コ」と「ラ」に置かれ、「relax、annex、comlex」等の例より、「X」で終わる英単語のアクセントが直前の母音に置かれる傾向あることから、第2音節の頭の文字「ラ」に置かれると考えるのが自然であるから、引用商標「コーラック」とは、一連称呼においても、その語調・語感が明らかに異なる。
さらに、本願商標は、長音、促音を除けば4音という比較的短い音数よりなり、一音の有無の差異が称呼全体に及ぼす影響が大きい上、末尾音「ス」の前音の「ク」が喉に詰まるような無声子音であって常に明確に発音され聴取されるとはいい難いことから、摩擦音の中でもその響きが長くなる傾向が強い構音特性を有する「ス」は、語尾に位置するとはいえ必ずしも短くかつ弱く発音されるものとはいえない(同旨の審決例一覧を証拠として提出する。乙第4号証)。
つぎに、本件商標の指定商品中、「精神病治療用薬剤・その他の薬剤」は、その性質上、専門的な知識を有する取引者によって、通常より高度の注意力を持って取引され、かかる取引者は、慎重に商標を確認しつつ取引を行うため、商標のわずかな相違も見分け得ると考えられる。実際に、特許庁電子図書館において検索したところ、類似郡コード[01B01]の範囲で複数の併存登録例を発見した。これらは、本件取消理由に照らせば、明らかに互いに類似するものと判断され得るものであるが、非類似と判断され併存登録が認められたものと思われる。よって、本件商標と引用商標についても、非類似として併存登録が認められるべきものである。
2 外観及び観念について
本件商標と引用商標とは、外観上非類似の商標であることは明らかであり、特定の観念を生ぜしめるものではないため、観念について比較することはできない。
3 まとめ
以上により、本件商標は、その指定商品中、「精神病治療用薬剤・その他の薬剤」についても、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
第5 当審の判断
1 本件商標と引用商標とは、前記第3(取消理由の理由)で認定したとおり、外観及び観念において相違する点があるとしても、引用商標と称呼において互い相紛らわしい類似の商標であって、また、本件商標の指定商品中、「精神病治療用薬剤・その他の薬剤」と引用商標の指定商品とは同一又は類似するものである。
2 商標権者の意見について
(1)商標権者は、本件商標と引用商標とのアクセントについて、本件商標は英語の音節からすれば、2音節からなり、「コー」と「ラックス」の間に顕著な音の区切りがあり、「コーラック・ス」ではなく、「コー・ラックス」という音構成である。また、本件商標のアクセントは、各音節の頭の文字「コ」と「ラ」に置かれ、「relax、annex、」等の例より、「X」で終わる英単語のアクセントが直前の母音に置かれる傾向あることから、第2音節の頭の文字「ラ」に置かれると考えるのが自然である。したがって、引用商標「コーラック」とは、一連称呼においても、その語調・語感が明らかに異なるとして、同旨の審決例一覧を証拠としている。さらに、商標権者は、本件商標は、長音、促音を除けば4音という比較的短い音構成よりなり、一音の有無の差異が全体に及ぼす影響が大きく、「ス」音も明瞭に聴取される旨主張する。
しかしながら、本件商標と引用商標とは、共に、特定の観念を有しない、いわゆる造語であり、いずれもよく知られた「relax、annex」等の語とは異なるものであって、それ自体で何らかの意味を有するものではなく、商標権者の主張のごとく、本件商標を構成する「CORLUX」を「コー」と「ラックス」の2音節に区切り各音節の頭の文字にアクセントを置くという決まりはないといえるものである。また、音節数にしても、長音及び促音を除いて判断するという決まりもなく、本件商標が極めて短い音構成ともいえないことからしても、この点に関する商標権者の主張を採用することはできない。
むしろ、取引者、需要者は、通常、本件商標及び引用商標の称呼をそれぞれ「コーラックス」及び「コーラック」と一体不可分に把握し、軽いアクセントはあるとしても、一連のものとして発音する場合も少なくないといえるものである。
(2)つぎに、商標権者は、本件商標の指定商品中、「精神病治療用薬剤・その他の薬剤」について、その性質上、専門的な知識を有する取引者によって、通常より高度の注意力を持って取引され、かかる取引者は、慎重に商標を確認しつつ取引を行うため、商標のわずかな相違も見分け得ると考えられる。実際に、特許庁電子図書館において検索したところ、類似郡コード[01B01]の範囲で複数の併存登録例を発見した。これらは、本件取消理由に照らせば、明らかに互いに類似するものと判断され得るものであるが、非類似と判断され併存登録が認められたものと思われる。よって、本件商標と引用商標についても、非類似として併存登録が認められるべきものである旨主張する。
しかしながら、本件商標の指定商品中の「精神病治療用薬剤・その他の薬剤」は、文字どおり特定の薬剤に限定されてはおらず、その取扱いについても特段の慎重さを要求されないような売薬等の一般的製剤にも使用され得るものであるから、常に高度の注意力を持って取引され、商標のわずかな相違も見分け得るといえないものである。
また、ある登録商標が商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるかどうかは、当該商標と他人の登録商標との類似性の程度、他人の登録商標の周知著名性の程度(引用商標「コーラック」は防護標章登録がなされている商標である。)や、当該商標の指定商品と他人の登録商標の指定商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情等に照らし、個別具体的に判断されるべきものであるから、本件商標以外に「ス」の音の有無の相違を有する登録商標が併存しているとしても、そのことによって、本件異議の決定の認定判断が拘束されるものではない。
(3)したがって、上記に関する商標権者の主張はいずれも理由はなく、他に前記1の認定を覆すに足りる証拠の提出はない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「精神病治療用薬剤・その他の薬剤」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、「精神病治療用薬剤・その他の薬剤」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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