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Trademark Appeal Case

不正目的と周知商標

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2003−90123(T2003−90123/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4626796号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4626796号商標(以下「本件商標」という。)は、「HOT WHEELS」の文字を標準文字で表してなり、平成10年9月14日に登録出願、第25類「被服,履物」を指定商品として、同14年12月6日に設定登録されたものである。

2 本件商標に対する取消理由

当審において、本件商標の登録は取り消すべきものと認められるとして、通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る甲各号証によれば、次の事実が認められる。

(1)申立人は、女児向けの人形、男児向けの自動車おもちゃ(ミニチュアカー)等を製造販売している米国の玩具メーカーであり、自動車おもちゃ(ミニチュアカー)に「HOT WHEELS」商標(以下「引用商標」という。)を使用し、雑誌等に頻繁に紹介掲載していること(甲第3号証ないし甲第6号証)。

(2)申立人の引用商標に関連する商標は、米国において出願中のものを含め60件に及んでおり、他の国では、80か国、370件を越えていること(甲第7号証)。

(3)我が国においても、申立人に係る自動車おもちゃ(ミニチュアカー)に関する「Hot WHeeLs:ホットウィール大図鑑」という雑誌が発行されていること(甲第8号証)。

以上の実情のほか、申立人提出の証拠を総合すると、申立人が自動車おもちゃに使用する引用商標は、本件商標の登録出願時には、米国において需要者間に広く知られていたものと推認し得るものである。また、引用商標は、我が国おいても使用されていたものと認め得る。

加えて、「HOT WHEELS」の文字は、全体として熟語的な意味合いを有するものとして一般に知られているものではなく、また、「HOT」及び「WHEELS」の両語の有する意味からして、両語間に緊密な関連性があるともいい得ないものである。

そうすると、本件商標は申立人の引用商標「HOT WHEELS」と同じ文字構成よりなるものであるから、上記実情よりすれば、商標権者は、本件商標の採択に際し、引用商標と文字構成が偶然に一致したものというよりは、米国で自動車おもちゃに使用されている引用商標が需要者間に広く知られていること、若しくは、我が国において使用されていることを知悉し、引用商標が我が国で登録を得ていないことを奇貨として採択し、外国で広く知られた商標に便乗しようとする意図をもって、本件商標を登録出願したものと認めざるを得ない。

したがって、本件商標は、不正の目的をもって使用するものといわざるを得ないから、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。

3 商標権者の意見

上記取消理由に対して、商標権者は、その意見を次のとおり述べた。

(1)申立人の商材は、あくまで、玩具中の自動車おもちゃに係るものである。

(2)申立人の引用商標は、80か国に出願中のものを含め370件に及ぶものとされているが、「商標独立」の原則から商標制度の立前(商品区分ごとに商標権は存在する)から容認できない。

(3)我が国において、「Hot Wheels:ホットウィール大図鑑」が発行されていても、それはあくまで「ミニチュアカー」に係るもので、他の商品区分に属する商品とは関係がない。

(4)「HOT」の文字には、新しい、激しい、速い又は人気のある等の意味があり、「WHEELS」の文字には車輪、ハンドル、回転、運搬、大物又は俗語的に脚等の意味があるから、「HOT WHEELS」の語は、一般的には、新しい車輪、速い車輪等の観念を想起させ、俗語的には、人気のある大物、速い脚等を想起させるので、熟語的意味合いを有するといえる。

(5)したがって、本件商標の採択に際し、引用商標と文字構成が偶然一致したものである。上記の論証として、「HOT WHEELS」の商標を登録第4626794号(乙第1号証)、同第4626795号(乙第2号証)、同第4626796号(乙第3号証)、同第4315821」(乙第4号証)等として登録を受けており、防護標章制度に当てはまらないものであることは確実である。

4 当審の判断

(1)本件商標は、「HOT WHEELS」の文字からなるところ、上記2の取消理由に示すとおり、申立人が自動車おもちゃに使用する「HOT WHEELS」の文字からなる引用商標は、本件商標の登録出願時には、米国において需要者間に広く知られていたものと推認し得るものであり、我が国おいても使用されていたものと認め得るものである。そして、「HOT WHEELS」の文字は、全体として熟語的な意味合いを有するものとして一般に知られているものではなく、また、「HOT」及び「WHEELS」の両語の有する意味からして、両語間に緊密な関連性があるともいい得ないものである。

そうすると、本件商標は、申立人の引用商標と同じ文字構成よりなるものであるから、上記実情よりすれば、商標権者は、本件商標の採択に際し、引用商標と文字構成が偶然に一致したものというよりは、米国で自動車おもちゃに使用されている引用商標が需要者間に広く知られていること、若しくは、我が国において使用されていることを知悉し、引用商標が我が国で登録を得ていないことを奇貨として採択し、外国で広く知られた商標に便乗しようとする意図をもって、本件商標を登録出願したものといわざるを得ない。

(2)この点について、商標権者は、上記3のとおりの反論をしているが、商標独立の原則とは、パリ条約第6条(2)に規定されている「同盟国の国民がいずれかの同盟国において登録出願をした商標については、本国において登録出願、登録又は存続期間の更新がされていないことを理由として登録が拒絶され又は無効とされることはない。」とする商標における一般原則を表したものであり、この規定は、「商標の登録出願及び登録の条件は、各同盟国において国内法令で定める。」と規定されている同条(1)をその前提とするものである。

してみれば、商標独立の原則と本件の拒絶理由とは、そもそもその趣旨を全く異にする別異の概念であるばかりでなく、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当するとの判断は、我が国商標法に則ったものであって、このことは、まさに、パリ条約において定められている趣旨のとおりのものである。

そして、商標法第4条第1項第19号は、不正の目的をもってなされる出願・登録を排除することにより、周知著名な商標を保護することを目的とした規定であり、同号は、該周知著名な商標が使用されている商品との類似性を要件とはしていない。

また、商標権者が述べている「HOT WHEELS」の語から生ずるとする意味合いは、少なくとも、我が国においては、馴染みのない語義であり、一般に親しまれた熟語的意味合いを有する語とは認められない。

更に、商標権者は、本件商標以外にも「HOT WHEELS」の文字からなる商標の登録を受けている旨主張しているが、商標権者が所有している登録商標の多くについては、登録異議の申立てによる取消理由の通知がなされており、あるいは、既に、取り消すべき旨の決定(取消決定)が確定しているものもある状況にあるばかりでなく、そもそも、商標登録の可否についての判断は、各商標につきその指定商品との関係や取引の実情等に照らして、個別具体的に判断されるべき性質のものであるから、商標権者が主張するような登録例があるからといって、直ちに、本件商標についての登録の可否についての判断を左右することにはならない。

以上のとおり、商標権者の主張は、いずれも採用できない。

(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるとした先の取消理由は妥当なものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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