Trademark Appeal Case
大学院名称の公序良俗
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−15066(T2002−15066/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第9類「録画済みビデオテープ及びビデオディスク,録音済みの磁気カード・磁気シート及び磁気テープ,録音済みのコンパクトディスク,コンピュータ用プログラムを記憶させた記録媒体、第16類「印刷物」及び第41類「知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」を指定商品及び指定役務として、平成13年3月15日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、その構成中には『大学院』の文字を有している。『大学院』は、大学に置かれ、学校は学校法人のみが設置できる旨学校教育法に定められている。また、『大学院』は、一般に大学の学部の上に置かれ、学術の理論および応用を教授・研究し、その深奥を究めて文化の進展に寄与することを目的とする機関としてよく知られている。上記事実と本願の指定役務との関わり及び商標は使用されて、商標使用者の業務に係る責任の所在を明らかにする機能を有していることとをあわせて考慮すると、本願商標の構成中の『大学院』の文字は『大学の学部の上に置かれ、学術の理論および応用を教授・研究し、その深奥を究めて文化の進展に寄与することを目的とする機関』の意味を表したものであるから、本願商標は、大学院に係る事業の主体の表示と一般に理解・認識されるものと認められる。そうすると、学校法人ではない出願人が、本願商標をその指定商品・指定役務に使用した場合、この商標が学校法人の業務を出所とするかのように誤信させるおそれがあり、出願人の業務に係る責任の所在を不明確にし、ひいては商取引上の混乱を生じさせるおそれがあるものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
学校教育法は、第1条において学校の範囲を法定しているものであり、これら教育施設の中でも「大学」は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする教育施設であるとし、同法第62条において大学院の設置を認めている。
そして、同法第83条の2第1項において学校の名称の専用を規定し、一般国民が教育施設の基本的性質について誤った認識をもち、これによって、一般国民に不利益を及ぼすことのないようにしたものであり、「学校名称の専用」の趣旨は公の秩序に関する事柄として十分に尊重されるべきものと解される。
また、近時大学においては、高度専門職業人の養成、起業家育成等を目的とした「経営大学院」の新設を打ち出し、時代のニーズに合わせた組織改変に取り組んでいる実情もある。
そして、かかる実情と本願商標の構成を併せ考えれば、本願商標がその指定商品及び指定役務に使用されるときは、それに接する一般公衆に対し、その標章の表示が学校教育法に基づいて設置された「大学院」という教育施設の名称を表示したものと誤解させ、それらの商品がそのような教育施設によって制作・発行されたもの、あるいはそれらの役務がそのような教育施設によって提供されるものと誤信させるおそれが多分にあるといわざるを得ない。
そうとすると、正規の手続きによって学校教育法に基づく「大学院」の設置について認可を受けているものとは認められない請求人(出願人)が、「大学院」の文字を含む本願商標を採択使用することは、上記学校教育法の趣旨に反することになるばかりでなく、また、これをその指定商品及び指定役務に使用する場合は、あたかも同法により設置の認可を受けている「大学院」という一教育施設によって出版・発行された商品あるいは提供される役務であるかの如く、一般世人をして誤信せしめ、学校教育制度に対する社会的信頼を失わせることにもなり、ひいては公の秩序を害するおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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