結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2004−30180(T2004−30180/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1555496号商標(以下「本件商標」という。)は、「BUDGET」の文字を横書きしてなり、第24類「おもちや、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコード、これらの部品及び附属品」を指定商品として、昭和53年7月7日登録出願、同57年12月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の指定商品中『釣り具』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
本件商標は、その指定商品中「釣り具」について継続して3年以上日本国内において使用された事実がない。
よって、本件商標の登録は、その指定商品中上記商品について、商標法第50条の規定により取り消されるべきである。
(1)乙第1号証及び乙第1号証の1について
乙第1号証(ちらし)は、乙第1号証の1(納品書(写))に記載されている「品名:NIPPIN PRESS Vol 17・1000部・単価18.50」の内の1部であるとするには疑問がある。すなわち、被請求人は、ちらしを乙第1号証として提出するとともに、有限会社宇田川印刷(以下「宇田川印刷」という。)が被請求人宛てに発行したちらしの納品書(写)を乙第1号証の1として提出したものであるから、乙第1号証として宇田川印刷から被請求人に納品された現物そのものを証拠物として提出したことになる。
ところが、乙第1号証を目視にて観察すると、その画質からしてパソコンを用いて作成した画像データをカラーインクジェットプリンタによって出力したものであることは明白であり、乙第1号証が乙第1号証の1に記載されている「品名:NIPPIN PRESS Vol 17・1000部・単価18.50」の内の1部(現物)であるとは到底考えられない。
しかも、乙第1号証に掲載されたシューズ、ザック、シュラフ及びテントは、全て背景から輪郭に沿って切り取られた写真によって表示されているのに対して、釣り具セットのみが背景ごと矩形状に切り取られた写真によって表示されており、当該表示態様は、統一性に欠け、ちらしとして不自然であり、また、上述したように、乙第1号証がその画質からしてパソコンを用いて作成した画像データをカラーインクジェットプリンタによって出力したものと認められることからして、画像データを作為的に編集したものとも推定できる。
したがって、請求人は、乙第1号証及び乙第1号証の1をもって、ちらしが平成15年4月1日より現実に配布されたという事実についても疑問を抱かざるを得ない。よって、ちらしの現物の提出を求める。
また、上記ちらしに表示されている釣り具セットの写真からは、ラベルに本件商標「BUDGET」が記載されていることは確認できるが、当該ラベルに釣り具セットとの関連性を示す記載があるか否かまでは確認することはできない。
そこで、請求人は、前記ラベルの現物の提出を求めると共に印刷場所、印刷年月日及び印刷数量に関する説明を求める。
(2)乙第2号証及び乙第2号証の1について
乙第2号証の1(領収書(写))には「御品代」としか記載されておらず、釣り具セット「BUDGET」に対する領収書であるか否かは不明である。
そこで、請求人は、乙第2号証の1と乙第2号証(注文書(写))との各内容が一致していることが確認できる合理的な説明を求める。
なお、乙第1号証の現物、前記ラベルの現物及び前記各説明を求める請求人の要請が不当なものでないことは、例えば、平成11年審判第30743号の審決(甲第5号証)において、「・・乙第2号証は、平成10年2月23日作成の下げ札である旨、被請求人は主張するが、この下げ札の作成日を立証する証拠の提出はなく、また、この下げ札には「MEGA」及び「NIPPIN」の欧文字の表示はあるが、この下げ札を付ける商品を推測させるような商品名などの表示はない・・」と認定しているように、商標の使用事実を立証する証拠方法においては、証拠物の内容が極めて重要であることからして明白である。
(3)本件商標の使用状況調査の一環として、請求人の広報業務担当者である清水俊将が平成15年1月ころに被請求人の秋葉原登山本店に電話をし、釣り具を取り扱っているか否かを問い合わせたところ、同店の店員より「釣り具は扱っていません。」との返答を得ている(甲第6号証)。
(4)以上のとおり、乙各号証の信憑性について大きな疑問があり、当該疑問が解明されない以上、乙各号証により、本件審判の請求の登録前3年以内に被請求人によって本件商標が本件審判に係る指定商品「釣り具」について使用された事実を立証し得ないことは明らかである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第2号証の1を提出した。
(1)乙第1号証は、被請求人が平成15年4月1日に発行し、同日より平成15年8月31日まで、被請求人の店舗である秋葉原本店(東京都千代田区外神田3丁目11番11号)の店頭にて配布していたちらし「NIPPIN PRESS VOL17」である。
上記ちらしは、平成10年9月1日発行の「NIPPIN PRESS VOL1」から平成16年4月12日現在配布中の「NIPPIN PRESS VOL20」に至るまで、その時々の販売戦略に応じて不定期に発行され、被請求人の店頭にて配布されている広告である。
乙第1号証は、「シーズン到来!! 山に登ろう!!」というタイトルのもと、5月のゴールデンウィークから8月の夏休み期間における、キャンプ商品の需要拡大を企図して作成された広告であり、ザック、ブーツ、シュラフ、テント等を写真入りで掲載するとともに、1.5メートル釣竿、1.5号糸、玉浮き、ゴム管、割ビシ、ハリス止め及び袖針等で構成される釣り具セットに本件商標を付した釣り具セット「BUDGET」を写真入りで掲載している。
このように、「釣り具」に関するちらしに、本件商標を付して配布していた行為は、本件商標の「使用」に該当するものである(商標法第2条第3項第8号)。
また、乙第1号証の1は、被請求人への、乙第1号証についての納品書(写し)である。乙第1号証の1からは、被請求人のもとへ「NIPPIN PRESS Vol 17」1000部が、平成15年3月14日に納品された事実が明らかとなる。
以上のことから、平成15年3月14日の時点で被請求人が乙第1号証を1000部保有していたという事実、被請求人によって乙第1号証が平成15年4月1日より現実に配布されたという事実が明白であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間に、被請求人が請求に係る指定商品について、本件商標を使用していた事実が立証されたものである。
(2)乙第2号証は、顧客から被請求人宛てにFAXで送信された、釣り具セット「BUDGET」の注文書(写し)である。乙第2号証からは、平成15年7月16日付けで、釣り具セット「BUDGET」2セットの発注があった事実が明らかである。なお、乙第2号証中の発注人の名字、郵便番号の下4桁、住所の一部、及び電話番号(ファクシミリ番号)の中4桁にマスキングを施しているが、必要に応じて、いつでもその原本を提示する用意がある。
また、乙第2号証の1は、乙第2号証の発注に応じて、被請求人が商品引渡及び代金受領の際に発行した領収書の控え(写し)である。乙第2号証の1からは、平成15年7月26日に、被請求人から発注人へ釣り具セット「BUDGET」2セットの引渡しがなされた事実、及びその代金として被請求人が発注人より金2,100円(消費税込み)を受領した事実が明らかである。
以上のことから、本件審判の請求の登録前3年以内の期間内の平成15年7月26日に、被請求人が釣り具セット「BUDGET」を販売した事実が明らかであり、かかる販売行為が本件商標の「使用」に該当することは明らかである(商標法第2条第3項第2号)。
(3)したがって、乙第1号証ないし乙第2号証の1によって、被請求人が請求に係る指定商品について審判請求の登録前3年以内に本件商標の使用をしている事実は明白である。
(1)乙第1号証は、写しである旨の記載がないことから明らかなように、宇田川印刷より平成15年3月14日に納品された現物である。
(2)請求人は、釣り具セットのラベルの現物の提出を求めるとともに、その印刷場所、印刷年月日及び印刷数量に関する説明を求めているが、現在被請求人において釣り具セット「BUDGET」は販売しておらず、ラベルの現物は存在しない。
また、被請求人の取扱い商品は、釣り具がメインでないことは事実であり、不定期に宣伝広告はするものの、キャンプ用品を求めて来店もしくはホームページにアクセスされる顧客からの個別の要望・発注に応じてその都度商品を用意し販売していたというのが実態であり、本件釣り具セット「BUDGET」のラベルについても、個別の注文があったときに自社内で必要部数作成していたものである。
(3)乙第2号証の1(領収書(写))に記載の「御品代」は、被請求人においてその取扱い商品を問わず領収書を発行する場合の通常の記載方法である。
(4)被請求人は、確かに平成15年1月ころ、釣り具を販売していなかったが、当該事実は、乙第1号証ないし乙第2号証の1により立証した、本件審判の請求の登録前3年以内のチラシの配布、釣り具セット「BUDGET」の販売を否定するものではない。
(1)乙第1号証について
(a)乙第1号証は、2003年4月1日発行の「NIPPIN PRESS VOL17」と題するちらしと認められる。そして、該ちらしには、「シーズン到来!! 山に登ろう!!」との表示のもと、上段に登山靴を、中段にリュックサックとシュラフを、下段にテントと釣り具セットの各写真が掲載されているところ、釣り具セット以外の商品は、いずれも商品そのものを切り取り、紙面に直接張り付けたように表示されているのに対し、右下に位置する釣り具セットは、ちらしの地色と異なる灰色がかった矩形内に商品写真が表示されている。
(b)上記掲載の釣り具セットには、「竿サイズ、:150cm 針、浮き、おもり、など必要品全部セット」などと記載された説明書きがあり、商品写真からは、釣り竿及び浮きともに、「BUDGET」と表示されたラベルごとき紙片がビニール袋に収納されていることが確認することができる。
(c)ちらし下段の横長矩形の枠内には、「ニッピン秋葉原本店 TEL03−3253−1431 Fax03−3257−0280 mail」と黒字で表示され、該「mail」の次に書された「webmaster@nippin.co.jp」及び該文字に引かれたアンダーラインは、青字で表示されている。
(2)乙第1号証の1について
乙第2号証は、宇田川印刷から被請求人に宛てた平成15年3月14日付け納品書(写し)と認められるところ、「品名」欄には「NIPPIN PRESS Vol 17」と、「数量」欄には「1000部」と記載されている。ただし、納品書の「No.」欄は空白である。
(3)乙第2号証について
乙第2号証は、FAXによる注文書と認められるところ、注文書左上には、「2003 07/16 15:23 FAX」などと記載され、「注文フォーム」の文字の下には、「このページをプリントし、ニッピン(03−3257−0280)までお送り下さい。」の文字が記載され、「商品名」欄には「つりセット BUDGET」と、「個数」欄には「2」と記載されている。また、注文書の右下には「ニッピン・秋葉原登山本店」、「東京都千代田区外神田3−11−11」、「TEL:03(3253)1431/FAX:03(3257)0280」、「E−mail:nippin@mercury.plala.or.jp」と記載され、さらに、その下には、「2003/07/16」と記載されている。また、注文書左下には、URLの「http://www.nippin.co.jp/hp/fax.htm」が記載されている。
(4)乙第2号証の1について
乙第2号証の1は、被請求人からその顧客に宛てた平成15年7月26日付け領収証(写し)と認められるところ、該領収証には、一部黒く塗りつぶされた顧客の名前、「¥2100」、「但し、御品代 消費税¥100」などの文字が記載されている。
そうすると、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成16年3月3日)前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定商品「釣り具」について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めざるを得ない。
(1)請求人は、ちらし(乙第1号証)は、その画質からしてパソコンを用いて作成した画像データをカラーインクジェットプリンタによって出力したものであることは明白であり、納品書(乙第1号証の1)に記載されている商品の一部であるとは到底考えられない。また、ちらしに掲載された釣り具セットは、他の掲載商品とは、異なった表示態様であり、統一性に欠け、ちらしとして不自然である。したがって、ちらしは、画像データを作為的に編集したものとも推定でき、納品書(乙第1号証の1)のうちの一部ではない旨主張し、ちらしの現物の提出を求めている。
確かに、ちらしに掲載された釣り具セットは、同ちらしに掲載された他の商品と比較すると、異なる掲載方法で作成されたものであることは、一目瞭然であって、ちらし下部に表示された青字の「webmaster@nippin.co.jp」及びアンダーラインは、一般的には、インターネット上において、他の画面を開くためにクリックする箇所を示すために取られる表示方法といえるから、該ちらしがインターネット上の画像データをプリントアウトしたものと容易に推測されるところである。
しかし、上記ちらしが、宇田川印刷によって作成されたものの一部ではないとする的確な証拠の提出はないばかりか、顧客が本件商標を付した釣り具セットを2003年(平成15年)7月16日にFAXをもって注文した事実を否定する証拠も見出せないことからすると、該ちらしは、本件取消審判を免れる目的をもってのみ作為的に作成されたものと断定することはできない。
(2)請求人は、ちらしに掲載された釣り具セットに使用されたラベルは、「BUDGET」の文字しか確認できないから、該ラベルと釣り具セットの関連性を示す記載を確認するため、ラベルの現物の提出を求めている。
確かに、ちらしに掲載された釣り具セットの写真は、不鮮明な部分があることは否定し得ないが、前記認定のとおり、少なくともビニール袋に収納されている釣り竿及び浮き並びに「BUDGET」と表示されたラベルごとき紙片を確認することができるから、ラベルごとき紙片に記載さている文字が「BUDGET」のみであったとしても、「BUDGET」が釣り具セットに使用された商標であることを否定することはできない。
なお、請求人は、ちらし及びラベルの原本の提出並びにラベルの印刷年月日等の説明を求めることについての正当性の根拠の一つとして、審決例を挙げるが、該審決における事案と本件とは、提出された証拠等において異なり、事案を異にするものである。また、本件においては、前記認定のとおり、乙各号証を総合すれば、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたことを推認せざるを得ないところである。
(3)請求人は、乙第2号証の1(領収書)には「御品代」としか記載されておらず、釣り具セット「BUDGET」に対する領収書であるか否かは不明である旨主張する。
しかし、上記(1)のとおり、顧客が本件商標を付した釣り具セットを2003年(平成15年)7月16日にFAXをもって注文した事実を否定する証拠の提出はなく、また、FAXによる注文の日付(平成15年7月16日)と注文書の「備考」欄に記載された「来週の土曜にとりにいきます。」との文言から、領収証に記載された日付は、釣り具セットを販売した日とみることができるから、領収書における「御品代」は、本件商標を付した釣り具セットと推認せざるを得ない。
そして、注文書に記載された「つりセット BUDGET」は、ちらしに掲載された釣り具セットであると推認できる。
(3)請求人は、平成15年1月ころに被請求人の秋葉原登山本店に電話をしたところ、釣り具を取り扱っていないとの回答を得た旨主張する。
しかし、前記認定のとおり、乙各号証を総合すると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内である平成15年4月ころ、本件商標を付した釣り具セットについて広告し、同年7月16日に、顧客との間で上記商品について取引をしたと推認されるから、たとえ、平成15年1月ころに釣り具を取り扱っていないことが事実であるとしても、これのみをもって、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていなかったということはできない。
(4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができないものといわざるを得ず、他に、前記認定を覆すに足る的確な証拠の提出はない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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