結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2004−35054(T2004−35054/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4663170号商標(以下「本件商標」という。)は、「秀よしみちのく小京都角館」の文字を横書きしてなり、第33類「日本酒」を指定商品として、平成14年8月9日登録出願、同15年4月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第3262354号商標(以下「引用商標」という。)は、「みちのく小京都」の文字を横書きしてなり、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,薬味酒」を指定商品として、平成6年4月21日登録出願、同9年2月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。
(1)本件商標について
(a)「秀よし」の文字部分について
本件商標は、「みちのく小京都」の文字の前に「秀よし」の文字、後ろに「角館」の文字を付してなるところ、その構成中の「秀よし」は、その語から「秀でて良し」と優秀の度合いをいうと社会通念上観念され(甲第3、4号証)、他の観念が生じない。秀よしが豊臣秀吉の略称だとしても、角館町が「みちのく小京都」と自負し宣伝し始めたのは近代で、秀吉と角館とは歴史上も関係するところがないので、秀吉とみちのく小京都は無関係である。
したがって、本件商標中の「秀よし」の文字部分は、商標法第3条第1項第3号でいう商品の品質を誇示的に表示しているにすぎない。
ちなみに、本件商標の商標権者は、「秀よしあまからぴん」(登録第2388498号)と「秀よし」(登録第4397436号)の商標を所有しているが、そのうちの「秀よしあまからぴん」はその構成に特徴があり、一方の「秀よし」はその書体及び組み合わせに特徴があり(甲第5号証の1及び2)、本件商標中の「秀よし」の活字を横一行に配した構成と相違する。したがって、本件商標中の「秀よし」は、「秀いでて良し」と優秀の度合を単にいうものである。
(b)「みちのく小京都角館」の文字部分について
角館は、江戸時代に同地の城主に京都より公卿の姫を奥方に迎え、その姫の望郷を慰めるため桜並木を作り、武家屋敷に桜を植え、その他京都をしのぶものを設けたので、現在では町の風情が京都風情となっており、観光客が人力車に乗り観光する風影がテレビ、雑誌にしばしば紹介され、みちのく小京都として周知されている。
したがって、「みちのく小京都」とは「角館」の代名詞となっているので、本件商標中の「みちのく小京都角館」は、重複した表示であって、みちのく小京都を構成要素とするものである。
そして、角館町が小京都にみちのくを冠しているのは、他処に「小京都」と宣伝する処があるために、「みちのく小京都」として区別しているのである。みちのく小京都と角館とを併記した刊行物を甲第6号証ないし甲第13号証として提出する。
甲第6号証から甲第9号証までは、「みちのく小京都」と「角館」とを分離して表記し、甲第10号証から甲第13号証までは分離しないで表記している。
上記甲号証は、地元角館町の公共団体や民間人が刊行していることと、全体を通覧すると「みちのく小京都」と「角館」とが混在していることから、自己の町を「みちのく小京都」と誇称していることが証され、角館町が他の小京都と区別するために、みちのく小京都としたことが町に浸透普及したことが伺われる。
したがって、「みちのく小京都」と「角館」とは同意語となっていることを示し、区別し得る観念を有するといえない。
(2)引用商標について
引用商標は、「みちのく小京都」であって、この構成は単なる小京都と区別された地域、みちのくのことを認識させている。「みちのく」とは道の奥をいうことが周知であってそれ以外の観念がないことも明らかである
したがって、引用商標は、特定地域の小京都の観念・称呼をもつものである。
(3)本件商標と引用商標の対比
(a)本件商標の要部は、前記のとおり、「みちのく小京都」である。
これに対し、引用商標は「みちのく小京都」である。
取引の実際において、指定商品である「日本酒」の購入者は、商標を簡略化して称呼することを通常とする。そして、被請求人は、前記のとおり、「秀よし」の登録商標で日本酒で発売しているから、本件商標を表示した「日本酒」を発売すると購入者は本件商標中の「秀よし」を省略して称呼する。
したがって、使用上からも両商標は類似する。
(b)両商標の指定商品「日本酒」は、同一の商品である。
みちのく小京都が著名地化しているとしても、日本酒の産地と周知されておらず、請求人及び被請求人は、共に角館町に所在しないから、産地販売地を単に表示しているものでない。
(4)むすび
上記のとおり、両商標は、その構成において類似し、指定商品において同一であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は、無効とされるべきである。
被請求人は、前記3の請求人の主張に対し、何ら答弁をしていない。
(1)「みちのく小京都」及び「角館」について
甲第6号証ないし甲第13号証を総合すると、秋田県仙北郡角館町は、1620年に造られた城下町であり、緑深い山間に、武家屋敷が点在し、古い町並みが今なお残る京都のような趣をもつ町であって、「みちのく小京都」との異名をもつ東北地方有数の観光地として、観光案内書等に紹介されていることが認められる。
そうすると、「みちのく小京都」の語は、これより直ちに「角館町」が想起される程度に、「角館町」を指称するものとして一般によく知られているものといえる。
(2)本件商標について
本件商標は、前記したとおり、「秀よしみちのく小京都角館」の文字を書してなるものであるところ、その構成中の「みちのく小京都角館」の文字部分は、前記1で認定した事実によれば、「みちのく小京都といわれる角館町」なる意味合いを生ずるものであるから、これをその指定商品である「日本酒」について使用した場合は、需要者をして、商品の産地、販売地を表したと認識されるにとどまるものであるから、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、きわめて弱い部分であるとみるのが相当である。
一方、本件商標中の「秀よし」の文字部分についてみるに、該文字に接する需要者は、戦国時代の武将で天下を統一し、我が国で最もよく知られている歴史上の人物の一人である豊臣秀吉を想起するとみるのが自然であって、それ以外の観念は生じないというべきである。
そうすると、本件商標は、全体の構成が冗長であり、その構成中の「みちのく小京都角館」の文字部分が商品の産地若しくは販売地を表示する語として認識されるものであるから、これに接する需要者は、商標中冒頭部分に位置し、歴史上の人物としてよく知られている「秀よし」の文字部分に印象づけられ、該「秀よし」の文字部分より生ずると認められる「ヒデヨシ」の称呼をもって商品の取引に当たる場合が多いというのが相当である。
したがって、本件商標は、構成する文字全体を称呼した場合の「ヒデヨシミチノクショウキョウトカクノダテ」の称呼のほか、「秀よし」の文字部分より、「ヒデヨシ」の称呼をも生ずるものであって、「ミチノクショウキョウト」の称呼は生じないものといわなければならない。
また、本件商標は、「秀よし」の文字部分より、歴史上の人物としての「豊臣秀吉」の観念が生ずるとしても、構成全体からは特定の観念は生じないものとみるのが相当である。
(3)引用商標
引用商標は、前記したとおり、「みちのく小京都」の文字を書してなるものであるから、これより「ミチノクショウキョウト」の称呼及び「みちのく小京都」、若しくは「角館町」の観念を生ずるものである。
(4)本件商標と引用商標との対比
本件商標より生ずる「ヒデヨシミチノクショウキョウトカクノダテ」の称又は「ヒデヨシ」の称呼と引用商標より生ずる「ミチノクショウキョウト」の称呼は、構成する音の数、音質等において顕著な差異があり、それぞれを一連に称呼した場合においても、互いに聞き誤られるおそれはないものである。
また、両商標の観念は、それぞれ前記したとおりであるから、観念上互いに紛れるおそれはないものである。
さらに、両商標は、前記したそれぞれの構成よりみて、外観上区別し得る差異を有するものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、称呼、観念及び外観のいずれの点においても非類似の商標というべきものである。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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