Trademark Appeal Case
著名商標との混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第8049号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器
・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶・水盤・針箱・宝石箱・ろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口・靴飾り・コンパクト及び財布・貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,記念カップ,記念たて」を指定商品として、平成8年8月13日に登録出願されたものである。
第2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、その構成中に『VALENTINO』の文字を有するところ、該文字は1967年にファッション業界の最高栄誉とされる『ファッション・オスカー』を受賞して以来世界的に著名となったファッションデザイナー『ヴァレンティノ ガラヴァーニ』がその取り扱いに係る商品に使用し世界的に著名な商標『valentino』と同一のものであるから、これを出願人がその指定商品に使用するときは、恰も前記デザイナーの取り扱いに係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1.「Valentino Garabani」、「VALENTINO」及び「ヴァレンティノ」等の商標の著名性について
「Valentino Garabani/ヴァレンティノ ガラヴァーニ」に関しては、職権により証拠調べ(平成13年12月18日付け証拠調べ通知書)を行ったところ、次の事実が認められる。
(1)「世界の一流品大図鑑ライフカタログVOL.1」(昭和51年6月5日株式会社講談社発行)において、「ヴァレンティノ ガラバーニ」が、「イタリファッション界の旗手と呼ばれ、女性を最高に美しく見せるデザイナーとして高く評価されている。」こと、及びその経歴等を紹介する内容とともに「ブラウス、セーター、ネクタイ」の商品の写真が掲載されていること。
(2)「EUROPE一流ブランドの本(講談社MOOK第2巻)」(昭和52年12月1日株式会社講談社発行)において、「ヴァレンティノ ガラバーニ」の所有する店舗の紹介と簡単な経歴が「婦人服」の商品と共に掲載されていること。
(3)「服飾辞典」(昭和54年3月5日第1刷文化出版局発行)の、ヴァレンチィーノ ガラヴァーニ[Valentino Garabani、1932〜]の項に、「イタリア北部の都市(ヴォゲラ)に生まれる。17才でリセオ(中学)を中退、パリに行く。スチリストになるため、パリのサンジカ(パリ高級衣装店組合の学校)で技術を身につける。1951年、ジャン・デッセ(オート・クチュール)のもとで5年間アシスタントとして仕事をする。その後2年間、ギ・ラローシュのアシスタントをし、1958年独立、ヴァレンティーノ・クチュールの名でローマに店を開いた。このころ、イタリアのモードは世界的に有名になりつつあった。彼の最初の仕事は、フィレンツェのピッティ宮殿でのコレクションである。このコレクンョンは、〈白だけの服〉という珍しい演出であったが、その美しさはジャーナリストの間で評判となり、「ニューズ・ウィーク」「ライフ」「タイム」「ウィメンズ・ウェア・デイリー」各誌紙で取材、モードのオスカー賞を獲得した。1967年、ヴァレンティーノの名は世界に知れわたった。1972年には紳士物も始め、その他アクセサリー、バッグ、宝石類、香水、化粧品、家具、布地、インテリアと、その仕事の幅はたいへん広いが、すべてヴァレンティーノ独特のセンスを保っているのはみごとである。ヴァレンティーノの洋服に対する考えは、まず個性が第一で、彼のコレクションからは、デテールでなくそのエスプリをくみ取ってもらうことに重きをおく。ローマの高級住宅地、アッピア・アンティカに母親とたくさんの犬と暮らしている。仕事でパリとローマを行き来するが、世界中を旅行するなど忙しい日々である。物
をつくる人は誰でも波があって、いつも傑作が続くとはかぎらないが、ヴァレンティーノは現在、ローマのオート・クチュール界で最も好調なデザイナーといえる。以前から東洋風なエキゾティシズムが好きで、時によってトルコ風、アラブ風の特色がみられるが、最近はキモノのセクシーさを1950年代のハリウッドの雰囲気に表現、あやしく美しいヴァレンティーノの世界をつくり出している。」との紹介記事が掲載されていること。
(4)「朝日新聞」(昭和57年11月20日夕刊第3頁)において、世界の服をリードする3人のうちの1人として「バレンチノ」の紹介記事が掲載されていること。
(5)「男の一流品大図鑑’85年版」(昭和59年12月1日株式会社講談社発行)において、「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の文字とともに、「スーツ、ブルゾン、シャツ、ネクタイ、ベルト及びバッグ」の商品が掲載されていること。
(6)雑誌「non-no」1989年 No23号(平成元年12月5日株式会社集英社発行)及び「marie claire」(1996年2月1日中央公論社発行)において、「ヴァレンティノ ガラバーニ」が単に「ヴァレンティノ」と略称され、商品「婦人服」等と共に掲載されていること。
(7)「英和商品名辞典」(1990年株式会社研究社発行)[Valentino Garavani]の項において、「イタリア RomaのデザイナーValentino Garavani(1932−)のデザインした婦人・紳士物の衣料品・毛皮・革製バッグ・革小物・ベルト・ネクタイ・アクセサリー・婦人靴・香水・ライター・インテリア用品など。Roma,Firenze,Milanoなどにあるその店の名称はValentino(vは小文字でかくこともある)。・・・ 」との記事及びデザイナーとしての紹介記事が掲載されていること。
(8)「世界の一流品大図鑑’93年版」(平成5年5月20日株式会社講談社発行)において、「VALENTINO」ブランドの香水が掲載されていること。
(9)「岩波=ケンブリッジ世界人名辞典」(1997年11月21日株式会社岩波書店発行)の[ガラヴァーニ]の項において「ヴァレンティノ Garavani,Valentino通称ヴァレンティノ Valentino(伊 1933−)服飾デザイナー・・・・」との紹介記事が掲載されていること。
同じく、[ヴァレンティノ Valentino]の項において、「ガラヴァーニ、ヴァレンティノ」を見よとの表示があること。
以上の事実によれば、「Valentino Garabani/ヴァレンティノ ガラヴァーニ」は、世界のトップデザイナーとして、本願商標の登録出願時には既に、我が国において著名であったものと認められる。
また、同氏の名前は「Valentino Garavani」「ヴァレ
ンティノ ガラバーニ」とフルネームで表示され、このフルネームをもって
紹介されることが多いが、同時に新聞、雑誌の記事や見出し中には、単に「Valentino」「VALENTINO」「ヴァレンティノ」と略して採り上げられており、ファッションに関して「Valentino」「VALENTINO」「ヴァレンティノ」といえば同氏を指すものと広く認識されるに至っているというべきである。そして、同氏がデザインした婦人服、紳士服、アクセサリー、バッグ、インテリア用品等のファッション関連の商品は、「VALENTINO GARAVANI」「valentino garavani」「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」及びその略称としての「VALENTINO」「valentino」「ヴァレンティノ」の商標(以下、これらの商標を合わせて「引用商標」という。)をもって我が国の取引者、需要者の間に広く知られていたというべきであり、このことは本願商標の登録出願時のみならず、現在においても継続しているといい得るところである。
2.商品の出所の混同のおそれについて
本願商標は、別掲のとおり、図形と文字の組合せからなるところ、図形と文字とが常に一体不可分のものとしてのみ認識されるとすべき格別の理由は見出し難く、文字部分自体が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものというべきであり、その文字部分は、「STEFANO VALENTINO」と表示され、「VALENTINO」の文字が含まれていることが明らかである。
そして、前記認定のとおり、「VALENTINO」は「Valentino Garavani/ヴァレンティノ ガラヴァーニ」氏に係る商品を表示するものとして周知著名なものとなっており、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「VALENTINO」の文字部分に自ずと注意を惹かれ強く印象づけられるものと認められる。
しかも、本願商標の指定商品には、引用商標が使用されている商品とファッション関連の密接な関係を有する商品を含むものであって、需要者を共通にする場合が多いものといえる。
そうすると、本願商標を、請求人(出願人)がその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、著名商標である引用商標を連想、想起させ、本願商標が付された商品があたかも上記デザイナーである「Valentino Garavani/ヴァレンティノ ガラヴァーニ」又は同人と組織的・経済的に何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
3.請求人の主張について
請求人は、「VALENTINO」の名は、イタリアでは一般的な姓であり、日本でいえば田中、佐藤、高橋等に相当し、イタリア人には「○○ヴァレンチノ」なる氏名の者が数多く存在する。そして、「VALENTINO GARAVANI」は、アパレルデザイナーの氏名として知られているのであり、本願指定商品「アクセサリー、宝飾品」等に関してまでその略称「VALENTINO」の著名性が及ぶことはありえない。さもなければ、「VALENTINO」あるいはそれを一部に有する商標は、全て「ヴァレンチノ ガラヴァーニ」と混同するとの理由で拒絶されてしまうことになる。また、「VALENTINO」あるいはそれを一部に有する商標が、本願指定商品の分野において数多く使用され、また登録商標が存在する。「ヴァレンチノ」は、「ヴァレンチノ」=「ヴァレンチノ ガラヴァーニ」を意味するほど著名ではない。したがって、「ヴァレンチノ ガラヴァーニ」と本願商標は、商品の出所を混同することはない旨主張する。
しかし、「Valentino Garavani/ヴァレンティノ ガラヴァーニ」について、「VALENTINO」との略称表示が使用されてきた実情が存するから、「VALENTINO」の文字を含む商標が登録されていることが、「VALENTINO」がヴァレンティノ ガラヴァーニ氏又はそのデザインに係る商品のブランドの略称を表すものとして取引者、需要者間に広く認識されていたことを認め得る妨げとはならないし、また、「VALENTINO」を含む商標が市場において多数使用されているからといって、それが常に、出所について混同を生ずるおそれもなく取引に資されていることを意味するわけでもない。そもそも、混同を惹起させるかどうかの判断は、対象とする商標ごとに、過去の登録例に拘束されることなく、個別具体的に検討されるべきことである。
また、「VALENTINO」が、日本においては、ありふれた氏姓ないし名であるとは認め難いものであり、イタリアにおいてありふれた名前であるとしても、そのことが、日本において、商標として機能することを否定することにはならず、「VALENTINO」は、上記認定のとおり、我が国においてファッション関連商品に使用された結果、取引者、需要者に広く認識されている商標といえるものである。
したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
4.結び
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、登録
することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。