Trademark Appeal Case
ポリマーコートの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−12443(T2001−12443/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「ポリマーコート」の片仮名文字を標準文字で表してなり、第3類「せっけん類,つや出し剤」を指定商品として平成12年2月10日に登録出願され、その後、指定商品については、同13年3月14日付け手続補正書をもって、第3類「自動車用つや出し剤」と補正されたものである。
第2 原査定における拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『ポリマーコート』と片仮名文字で普通に用いられる方法で書してなるものであるが、本願指定商品『つや出し剤』を取り扱う業界において、主に車の塗装面のつや等を保護するために高分子重合体(ポリマー)でコーテイングすることを指称して『ポリマーコート』と一般的に数多く使用されていることから、本願商標を上記商品に使用しても『高分子重合体(ポリマー)でコーティングするための商品』程の意味合いを理解させるにとどまり、単に商品の品質・用途・効能を表したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、本願商標は、商標法第3条第2項に該当する旨主張するが、平成13年3月16日付け手続補足書で提出した証拠資料は平成12年以降のものであり、本願商標が永年使用した結果、取引者、需要者間に広く認識されて、自他商品の識別力を有するに至ったものとは認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
本願商標は、「ポリマーコート」の片仮名文字を標準文字で表してなるところ、前半部の「ポリマー」の文字は、「二つ以上の単量体が重合反応してできた化合物、重合体、ポリマー」を意味する英語「polymer」の文字を、後半部の「コート」の文字は、「上着、膜、塗り」等を意味する英語「coat」の文字を片仮名文字による表音文字で一連に表してなるものと容易に看取し得ることから、本願商標を構成する「ポリマーコート」の文字全体からは、それぞれのもつ意味より「重合体膜、重合体の塗り」程の意味合いを理解し得るものである。そして、「ポリマーコート」の用語は、本願の指定商品と関係のある業界(例えば、自動車の修理、整備。以下同じ)で、以下のとおり新聞紙上及びインターネットのサイト上で普通に使用されているものである。
(1)新聞記事情報
(ア)2003年9月25日付け毎日新聞山梨版26頁の「[暮らしとエコノ]大型カーショップ開店 スーパーオートバックス/山梨」の見出しの下、その記事中に「取扱商品はタイヤ、アルミホイール、ステレオ、ナビゲーションシステムなどをそろえている。レーシングカーの展示をはじめ、軽食や音楽CD販売コーナーもあり家族連れや女性も楽しめる店舗を目指したという。カーピットも8基を備え、従来の取り付け・交換サービスに加え、板金加工やポリマーコートの作業にも対応している。」との記載があること。
(イ)2002年9月20日付け日本証券新聞3面の「オートバックスセブン 前橋店がオープン」の見出しの下、その記事中に「従来のオートバックスで行っているカー用品の取り付け・交換サービスに加え、アライメント調整や板金・ポリマーコートなどピットサービスメニューの充実を図った。」との記載があること。
(ウ)2002年2月28日付け北國・富山新聞朝刊の「金沢市に大型カー用品店 オートバックスが移転新築、あす開業」の見出しの下、その記事中に「需要が拡大するオーディオは幅広い価格帯の約三百品目をそろえる。カー用品の取り付けに加え、板金やポリマーコートなども行う。雑貨や音楽CDソフトの販売コーナーなども設ける。」との記載があること。
(2)インターネット情報
(ア)神奈川県横浜市に在る「有限会社ビビット」のホームページ(http://www.vivid2000.co.jp/)の「PolymerCoart」の表示の下に、「ポリマーコートの作業過程」「これがプロの仕事です。」のタイトルでその作業過程が概ね以下のとおり記述されている。
(a)プロならではの丁寧な洗車です。洗車の後、粘土でボディのザラザラや、鉄粉を取ります。→(b)水気を取ったらモール・プラスティック部分にマスキング。→(c)塗装面を磨いて出来る限りの傷等をとります。この段階でかなりツヤがでます。→(d)さらに磨いてつやを出します。色に深みが出ます。ポリマー液を塗り込んでふきあげれば、とてもピカピカになります。→(e)赤外線でポリマーを焼き付けることによりポリマーの持続力・強靱性を高めます。→(f)最終チェックをして完成。ポリマー加工後のお手入れは水洗いでラクラクです。
(イ)千葉県千葉市に在る「株式会社オートウエーブ」(http://www.auto-wave.co.jp/)の「ポリマー加工」の表題の下に、「酸退散ポリマーコート(ペイントバリア)」「塗装を保護し酸化を防止!!」「赤外線ヒーターを使い、塗装面にコート剤を焼付けます。酸・塩害・鳥糞・紫外線などから塗装の酸化を防止する効果があります。」旨の記述があること。
(ウ)茨城県竜ヶ崎市に在る「エムズガレージ株式会社」(http://www.dragonmall.jp/msgarage/)の「プロの手洗い洗車・ポリマーコート」の表題の下に、「当店で行っているポリマーは『ガラスフッ素ポリマー』です。ガラスフッ素ポリマーは、ガラス繊維で構成しているため酸化しません。塗装面を完璧なまでに保護し、至高の光沢が得られる新世代のコーティングです。」旨の記述があること。
以上の事実より、「ポリマーコート」の用語は、本願の指定商品と関係のある業界において、「ポリマー加工」と同義語として使用されており、自動車の塗装面をポリマー(重合体)で加工することを指称するものとして新聞紙上及びインターネットのサイト上に広く一般に普通に用いられているばかりか、同一店舗内で商品「自動車用つや出し剤」の販売と「ポリマーコート」の役務提供を行っているところもある実情に鑑みると、本願商標をその指定商品について使用するとき、これに接する取引者、需要者は、「ポリマー(重合体)を原料にした自動車の塗装金属面の保護、つや出しを目的にした商品」程の意味合いを記述したものと容易に把握、理解するに止まり、単に商品の品質、用途を表したにすぎず自他商品識別機能を果たし得ないものとみるのが相当である。
してみれば、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するものとした拒絶の理由のは、妥当なものであって、取り消すことはできない。
なお、請求人(出願人)は、本願の後願にあたる他人の商願2000−23182及び商願2000−23181の2件の登録出願を挙げて、「この事実は、当業界に於いて、単に商品の品質・用途・効能を表すものではなく、『ポリマーコート』がこの業界では識別力のある商標と認められる傾向にあることの一つの根拠といえる。」旨主張しているが、商願2000−23182の登録出願は、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当するものとして平成13年3月23日付けで拒絶査定がなされ、その後、確定している。また、商願2000−23181の登録出願は、商標中に「ポリマーコート」の文字を含んだものとはいえ、本願商標と全く別異な商標であるから、結局、これら2件の登録出願を根拠とした同人の主張は、適当でなく採用する限りでない。
更に、同人は、「本願商標『ポリマーコート』を出願した時点では、『ポリマーコート』を付した商品『自動車用つや出し剤』は出願人の物以外は存在してなく、現在に於いても商標『ポリマーコート』を付した商品は存在していない。」旨主張しているが、そもそも商標法第3条第1項第3号の立法解釈は、「取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである。」(平成12年9月4日 東京高裁平成12年(行ケ)76号事件判決参照)としている。
これを本件についてみれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断をするうえで、取引者、需要者が本願商標「ポリマーコート」をその指定商品「自動車用つや出し剤」について使用されているか否かの事実は、必ずしも考慮されるべく要件ではなく、本件審判の審理終結時において、看者をして本願商標をその指定商品の品質を表示するものと認識し得れば足りるとういことになる。
してみると、本願商標は、前述のとおり、指定商品の品質、用途を表したものと認識し得るから、同人の主張は、この点からみても失当といわなければならない。
また、同人は、「本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しているから登録すべきである。」旨主張し、その証拠として甲第1号証ないし同第120号証を提出しているが、前述のとおり、「ポリマーコート」の用語は、本願の指定商品と関係の強い業界において、自動車の塗装面をポリマー(重合体)で加工することを指称するものとして普通に使用されいる上、同業他社が「ポリマーコート」の文字を含んだ登録商標(登録第4467141号商標)を取得している事実を併せ考えれば、最早、本願商標の使用の結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至っているとは認められないというべきである。
したがって、同人のこの主張も採用することが出来ない。
よって、結論のとおり審決する。
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