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Trademark Appeal Case

「SHOCK WAVE」の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35080号
審判種別不服
結論other

結論テキスト

本件審判の請求を却下する。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4050773号商標(以下「本件商標」という。)は、別紙に表示するとおりの構成よりなり、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,電池,電気磁気測定器,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気式ワックス磨き機,電気掃除機,電気ブザー,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,家庭用テレビゲームおもちゃ,レコード,メトロノーム,遊園地用機械器具」を指定商品として、平成7年10月19日に登録出願、その後同9年5月26日付け手続補正書をもって、「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,電池,電気磁気測定器,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気式ワックス磨き機,電気掃除機,電気ブザー,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,遊園地用機械器具」と補正、同9年8月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は、被請求人の負担とする、」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。

(1)請求の理由

本件商標はローマ字「SHOCK」を左から右に横書きした下側に黒字に白抜きのローマ字「WAVE」を横書きしてなる部分を含む。看者は、これをSHOCK WAVEと理解するものと考えるのが自然である。本願の商品区分には、衝撃波を利用する機械器具が含まれるから、「SHOCKWAVE」の文字から容易に「衝撃波」の意味に理解されるものと認められる。また、本件商標の右側には「衝撃波」をィメージさせるような図形が付加されてなる。

本件商標は、衝撃波の意味を有する「SHOCK WAVE」の文字を含み、本願指定商品には衝撃波を利用する機械器具(例えば、地震探鉱機械器具)が含まれているところから、これをそのような商品に使用した場合は、単に商品の品質を表示したものにすぎないものと認められる。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。

本商標権者は、本件商標の商標出願と同日、同じ指定商品につき商標「SHOCK WAVE」を商標登録出願している。同商標登録出願は商願平7−109238として審査され、上述したところと同趣の理由をもってその商標登録を拒絶されている。この事実に照らしても、本件商標登録は、無効にされるべきものである。

(2)答弁書に対する弁駁

▲1▼請求却下の答弁について

被請求人は、本件審判は却下されるべきものである理由として、利害関係を明らかにしていないと主張する。しかし、本件審判請求人は、現行法の適用を受けるものであるから、いわゆる大正10年法の解釈を主張するのは、失当である。大正10年法にあっては、第22条第2項において、無効審判の請求人を審判官および利害関係人に限っていた。(甲第2号証参照)。しかしながら、同法下においては、利害関係の有無の審査に時間を費やされることにより審査が遅延する傾向が多かったため、現行法においては、請求人についての制限が削除されたものである。現行法第46条には、請求人についての制限は、全く無い。また、無効審判は、審決が対世的効力を生ずる点でいわゆる形式訴訟の範疇に分類されるものである。対世的効力が生ずるものについては、請求人についての制限が明記されることが少なくないが、制限がない場合、何人も審判を提起することが出来るものである。よって、本件審判請求の却下を求める被請求人の主張は誤りであるといわざるをえない。

▲2▼請求の一部認容の答弁について

本件審判請求においては、請求の趣旨において「本件商標の登録を無効とする」と表記したとおり、商標権全部を無効にすることの審決を請求しているものである。被請求人は、その答弁の趣旨において、本件商標にかかる指定商品中の一部の商品についてのみ無効を認め、他の商品については理由がない、との審決を求める旨の答弁をするが、かかる選択をする権利は、被請求人にはない。商標法第46条に基づいて、対象となる指定商品を選択出来るのは、請求人であって、被請求人ではない。従って、本件審決においては、指定商品の一部と残りの指定商品との間に異例の審決を求めているものではないから、本件商標権全部が無効にされるべきものである。

▲3▼被請求人の反論について

被請求人は、本件商標が問題となる商品は、「地震探鉱機械器具」のみであるとの前提に立って主張を展開するが誤りである。本件商標権に係る指定商品は、第9類に属する多種多様の商品がある。これらの商品の中には、電波、音波に関係する商品も少なくない。我国における英語の普及度に照らして、本願商標の「SHOCK WAVE」の文字を目にする国民は、これを「ショックを受ける程の強い波」の意味にも理解して、強力な電波、強力な音波に関する商品であると理解するものと認められる。また、本件商標の「SHOCK WAVE」の文字が表示された結果、これを「衝撃波」の意味に理解し、商品の品質を表示したものと認められる商品も、単に「地震探鉱機械器具」に限らない。このことは、商願平07−109238に関する平成9年7月8日付拒絶理由通知書において、「例えば、地震探鉱機械器具」と、多数あるうちの一つを掲記したこと示していることからも明らかである。既に述べたところからも明らかなとおり、本件商標は衝撃波の意味を有する「SHOCKWAVE」の文字を含むから、本願指定商品には衝撃波を利用する機械器具に使用した場合は、単に商品の品質を表示したものにすぎないものと認められるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、その他の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判請求は、改正前商標法第56条で準用する改正前特許法第135条の規定により不適法なものとして却下する、もしくは、本件商標の指定商品中「地震探鉱機械器具」についてはこれを無効とする、その余の指定商品については本件審判請求は理由がない、ならびに審判費用は請求人の負担とする、」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第10号証を提出している。

(1)請求人の請求適格の欠如

請求人は、本件審判を請求することについて、所要の利害関係の存在を明らかにしていない。そもそも、請求人は、平成9年度弁理士名簿(乙第1号証)に掲載されているように、弁理士業を営むものであって、本件審判を請求することについて、所要の利害関係を有しているとは思料し難い。よって、本件審判請求は、請求人が請求適格を有する者であることを明らかにしないかぎり、改正前商標法第56条で準用する改正前特許法第135条の規定により不適法なものとして却下されるべきものである。

(2)請求人の主張に対する反論

▲1▼商標法第3条第1項第3号該当の当否について

商願平7−109238号は、本件商標に係る出願と同日に出顧されたものであり、その審査において、平成9年7月8日付にて拒絶理由通知書(甲第1号証)が発せられ、その中で、審査官から、本件商標がその指定商品中、衝撃波を利用する機械器具(例えば、地震探鉱機械器具)について使用される場合は商標法第3条第1項第3号に該当する旨の拒絶理由が示された。しかしながら、被請求人は、本件商標を「衝撃波のように需要者にショックを与える商品」なる思いを込めて採択したものであって、本件商標が商標法第3条第1項3号に該当するなどとは到底思料し得なかった。そのため、意見書は提出したものの、当該出願の指定商品から特に「地震探鉱機械器具」を削除する補正をしなかったところ、思いがけず拒絶査定を受けるに至ったものである。ところで、被請求人は本件審判請求に対して答弁するに当たり、「地震探鉱機械器具」とは如何なるものを言うのか調査したところ、乙第2号証の「マグローヒル科学技術用語大辞典第3版」第716頁左欄の「地震探鉱」及び「地震探査」の項にあるように、「地震探鉱」とは、天然ガスや石油などの地下資源を探査するため、爆破により衝撃波を発生させ、この衝撃波が放射状に広がる特性(乙第3号証)を利用して地下の構造を測量する地震学の応用技術であり、「地震探鉱機械器具」とは、かかる地震学の応用技術を利用した機械器具であろうと推測できるに至った。してみれば、如何なる「地震探鉱機械器具」において、どのように衝撃波が利用されるのかは依然不明であるけれど、「地震探鉱機械器具」に関するかぎり,上記拒絶理由があながち不当であるとも言い切れないと思料される。よって、被請求人としては、本件審理の結果、本件商標の指定商品中、上記「地震探鉱機械器具」について登録を無効とする旨の審決を受けることに異存はない。

▲2▼「地震探鉱機械器具」以外の商品の無効理由について

請求人は、本件商標の指定商品中、上記「地震探鉱機械器具」以外の商品のいずれが「衝撃波を利用する機械器具」に相当するのかについて、全く言及していない。被請求人としては、登録要件を欠く商品について本件商標を維持することは無益であるとの立場から、本件商標の指定商品中上記「地震探鉱機械器具」以外に、いずれの商品が「衝撃波を利用する機械器具」に該当するか、その特定を試みたが果たし得なかった。請求人は、本件商標登録の無効を求める以上、その理由を明確にする主張と立証の任を負うものである。被請求人としては、この点に関する請求人の主張を俟ち、容認すべきは容認し、容認し難いものであれば反論を試みたい。

「SHOCK WAVE」の語義に関する各種の文献から、以下のことが明らかである。国語辞典上の語義は、爆発や超音速飛行などで生じる圧縮気体の衝撃的な波状流である。専門用語としての語義は、技術分野によって定義が異なり、一義的ではない。衝撃波は、気体相のみならず、流体相及び固体相にも見られる現象である。衝撃波は、高エネルギーが一瞬集積し、瞬時に開放されることにより生じる。よって、上記「地震探鉱機械器具」の分野における衝撃波とは、地殻という固体相に生じるものを意味することが分かる。そして、かかる地殻を伝播する衝撃波を利用して地下資源を探査する技術が存在することも首肯できる、しかしながら、気体や液体に生じる衝撃波が、高エネルギーが一瞬集積し瞬時に開放されることにより生じるものである以上、これを機械装置に有効利用することは必ずしも容易でないと思料される。原審の審査官により指摘された「衝撃波を利用する機械器具(例えば、地震探鉱機械器具」なる文言は、「衝撃波を利用する機械器具」には「地震探鉱機械器具」以外のものが存在すると解釈するほかないが、各種の文献に当たってみても、それらしきものは見い出し得ない。ということは、取引者・需要者が、本件商標の「SHOCK WAVE」の文字部分から直ちに商品の品質を直観するとするのは、上記「地震探鉱機械器具」以外の商品については誤った判断であると言える。よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。

▲3▼商標法第4条第1項第16号該当の当否について

一般に、商標法第4条第1項第16号に該当するか否かは、その商標を構成する文字等が特定の商品の品質を直接的に表示するものであるか否かを判断してなされるべきものである。それには、特定の商品との関係を個別・具体的に考察すること、及び、商標を構成する文字等が特定の商品の品質を暗示的ではなく直接的に表示したものであるか否かを考察すること、が必要である。このことは、例えば、本件商標と同義の「ショックウェイブ」の文字より成る商標が、旧第24類「運動用特殊靴,その他本類に属する商品」について商標登録第2248498号として登録されている事実から明白である。これを本件についてみると、本件商標の指定商品中、「地震探鉱機械器具」以外に問題となる「特定の商品」は見当たらない。また、請求人もそのような「特定の商品」を挙げていない。さらに、「SHOCK WAVE」の文字は、「地震探鉱機械器具」以外の商品については、商品の品質の「直接的表示」などとは到底言えないものである。してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に何ら該当するものではない。

3)結語

請求人が本件商標の登録無効を主張する根拠は、指定商品中「地震探鉱機械器具」以外には存在しない。請求人は、その弁理士登録番号が08262であるところから(乙第1号証)、実務経験20年に及ぶ弁理士であり、本件審判を請求するに当たり利害関係が必要であることは百も承知の筈である。にもかかわらず利害関係の存在を明らかにしていないのは、「明らかにし得ない」すなわち「利害関係がない」ものと推定されても致し方ないことであろう。かかる審判請求は濫訴に属するものであるから、不適法なものとして速やかに却下されてしかるべきである。

4 当審の判断

よって、本件審判の請求をするにあたり利害関係を必要とするものであるか否かにつき当事者間に争いがあるので、先ず、この点について判断するに、商標法第46条に基づく商標登録の無効審判を請求するためには、請求人に該審判請求をするについての法律上の利益が存することを必要とするものと解すべきである。

この点について、被請求人は請求人が弁理士業を営むものであって、本件審判請求を請求することについて、所要の利害関係を有しているものとは思料し難いと主張するのに対し、請求人は、現行法においては、大正10年法におけるような請求人の制限は削除されているから、請求人についての制限は全く無く、何人も審判を提起することができるものである旨主張している。

確かに大正10年法(以下「旧法」という。)においては、商標無効の審判の請求人は、「利害関係人及審査官ニ限リ之ヲ請求スルコトヲ得」旨規定され、利害関係の存在が必要であることを定めていたが、本件審判請求が適用される平成3年法(以下「現行法」という。)にはこれに相当する規定がないことも事実である。

しかし、このような新旧法の条文上の改変が、必ずしもつねに実質的な規定内容の改変を意味するものでないことは、いうまでもないことである。例えば、解釈上わかることを注意的に規定して法の適切な運営をはかるというのも、逆に解釈上おのずから明らかなことを定めた規定があるために、その解釈を巡って、紛争をしげくしたり、そのおそれがあるとすれば、そのような解釈上明らかなことを条文の表に出すのをやめるというのも、立法技術的考慮といえるものである。

そして、商標登録の無効審判について規定しているところによれば、この審判はいわゆる準司法的な争訟手続の性格をもって構成されており、それには、「利益なければ訴権なし」という民事訴訟法の原則が本来妥当すると考えられるから、現行法のもとでも商標登録の無効審判を請求しうる者は、当該審判請求について、法律上正当な利益を有することが必要であり、その点で旧法におけるのと異ならないものと解することが相当である。

しかして、本件審判請求における請求人の利害関係の存否に関し当事者間に争いがある以上、請求人は、本件審判の請求について利害関係があることを明らかにすべきところ、請求人の主張によっては、本件商標の存否により不利益を被るおそれのあるものとする事実が認められない。

したがって、請求人は、本件審判を請求するについて法律上の利害を有するものということができないから、本案に入って、審理するまでもなく、本件審判の請求は、不適法な審判請求として、商標法第56条で準用する特許法第135条の規定により却下すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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