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Trademark Appeal Case

「パイ」の観念と商品類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−35071(T2004−35071/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4624655号の指定商品中「パイ」についての登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4624655号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第30類「菓子及びパン,即席菓子のもと」を指定商品として、平成13年6月13日登録出願、同14年11月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人が引用する登録商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下のとおりである。

登録第4058700号商標(以下「引用商標1」という。)及び同第4093369号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなるものである。

そして、引用商標1は、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,酒かす」を指定商品として、平成7年11月16日登録出願、同9年9月19日に設定登録されたが、指定商品中の「菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」についての登録は、平成14年5月31日付け審決により取り消され、その確定の登録が同年8月14日にされたものである。

また、引用商標2は、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、平成7年11月22日登録出願、同9年12月19日に設定登録されたものである。(なお、引用商標1と引用商標2をまとめていうときは、以下「各引用商標」という。)

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。

1 請求の利益について

請求人は、自己の業務に係る商品「ミートパイ」及び役務「パイの提供」について、各引用商標を使用している。本件商標は、各引用商標に類似しており、本件商標をその指定商品中「パイ」に使用すれば、消費者が商品の出所について混同を生ずる。

よって、請求人は、本件審判を請求するにつき利害関係を有する。

2 本件商標と各引用商標の類否について

(1)外観の類似

本件商標のうち、「3月14日」は、各引用商標の「3.14」と数字の配列が一致し類似の関係にある。また、「π/パイの日」は「π(パイ)の日」とπの字の読みを示すパイの文字の位置こそ違え同じものという印象を与える。

(2)称呼の類似

称呼を比較すると、構成文字「3」「1」「4」、「パイ」及び「πの日」を共通にするものであるから、これも類似である。

(3)観念の類似

3月14日ホワイトデーという1年のうちのただ1日をパイの記念日とするという観念は、外観・称呼のわずかの差に関係なく、まったく同一のものといわなければならない。

3 指定商品・指定役務の類否について

(1)引用商標1の指定商品中の「ミートパイ」は、ラビオリなどと同じ類似枠内に置かれ、本件商標の指定商品「菓子及びパン」といわゆる短冊を異にしているが、「菓子及びパン」に含まれる「パイ」を単独で取り出した場合、ミートパイと酷似する。

パイという概念、外観は、ほかの菓子及びパンから容易に切り離し得るし、逆にミートパイからみても、ラビオリなど同じ短冊内の商品以上に菓子のパイに類似している。アップルパイ、マロンパイ、ミートパイ、ラビオリ、ぎょうざ、と商品をテーブルに並べて二つの類に分けよと命ぜられれば、外観、名称からパイ類を一つにまとめるのが自然であるし、説明を必要としない。ミートパイを他のパイ類から離して、ラビオリ、ぎょうざと同一グループに分ければ、「肉類を何らかの皮で包んだもの」との説明が必要になる。

よって、現行の分類では異なるとされているが、「ミートパイ」と「パイ」をそれぞれ単独で取り出せば、類似といわなければならない。

(2)辞典・事典類に鑑みても、「パイ」の概念は、ミートパイと菓子のパイを同一のものと捉えているものが多い。

例えば、国語大辞典(小学館)では「洋菓子の一つ。小麦を水とバターを加えてねったたねをのばして折り重ね、天火で焼いたもの。中に果物の甘煮やジャム・肉類などを包んだものなどがある。」と、外来語辞典第二版(角川書店)では、説明の後に例を挙げ、「ミートパイ(肉菓子)」と明確にミートパイを菓子と定義している。また、ブリタニカ国際大百科事典(TBSブリタニカ)では「小麦粉にバター、ショートニング、マーガリンなどの固形油脂を混ぜて、層状に焼上げた食品。肉を詰めたミートパイ、果物を入れたアップルパイ、レモンパイなどが代表的。(中略)菓子として用いるほか、主菜、前菜、スナックにも供する。」とし、「ミートパイ」も含めて菓子を第一義としている。さらに、調理用語事典(社団法人全国調理師養成施設協会編)では、「コムギ粉とバターなどの油脂を主材料にして作ったパイ生地に果実の甘煮や肉類などを包み込み、オープン等で焼き上げた料理、およびパイ生地を焼き上げたパイ殻に種々の材料を詰め込んだ料理の総称。パティスリー(パン菓子、焼き菓子)に属する。」として、肉類を詰めたパイが菓子に属することを明確に定義している(甲第5ないし8号証)。

以上のように一般的な認識も、飲食業界での認識も揃って肉類を詰めたパイと菓子のパイが一つの定義に含まれるものであることを示している。

したがって、両者は、類似という以上に同一のものといわなければならない。

(3)さらに、洋菓子店で、ミートパイ及び牛肉を使用したパイが販売されているのであり(甲第9ないし12号証)、「ミートパイ」と「菓子及びパン」のなかの「パイ」は、用途、製造業者、販売場所、需要者が一致している。このことからも類似は明らかである。

(4)一方、引用商標2の指定役務「飲食物の提供」に含まれる「パイの提供」と、本件商標の指定商品「菓子及びパン」に含まれる「パイ」とは同じ洋菓子店あるいはパン屋で販売及び提供するものであり、製造業者、販売場所、需要者が一致しており、役務と商品の類似の規定により類似していると判断できる。

すなわち、洋菓子店・パン屋では、店内で飲食できる店が一般的になってきている。さらに、需要者は、本件商標及び引用商標2の観念に促されて「パイ」の消費を行うのであって、その観念が同一である以上、形態が販売によるのか、提供によるのかをまったく区別しない。需要者は、それぞれの商標の観念に示されているように、3月14日がパイの記念日であることに意義を感じるのであり、物として楽しむのか、食事として楽しむのかを区別することなく、「パイの日」だから「パイ」を選ぶことに意味を感じるのである。

4 むすび

以上のとおり、本件商標と各引用商標は類似の商標であり、指定商品及び指定役務も請求人が指摘する部分、商品「パイ」において同一又は類似する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 被請求人の答弁

請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。

1 本件商標の構成は、一連に横書したものではない。

2 請求の利益及び指定商品が類似するとの請求人の主張は争う。

(1)引用商標1の指定商品から「菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」については、平成14年7月15日登録を取り消す、との審決が確定し、平成14年8月14日その旨登録された(甲第1号証)ものであるから、引用商標1の指定商品には、「菓子及びパン,即席菓子のもと」が含まれず、また、引用商標2は、第42類「飲食物の提供」を指定役務とするサービスマークであって(甲第3号証)、本件商標の指定商品である第30類「菓子及びパン,即席菓子のもの」(類似群30A01、32F09:乙第1号証)とは類似群が異なることを請求人は認めている。

(2)請求人は、「ミートパイ」は「菓子及びパン」に含まれる「パイ」と類似又は酷似すると主張するが、その主張は誤りである(乙第2号証)。また、請求人は、「菓子及びパン」に含まれる「パイ」を単独で取り出した「場合」と仮定し、商品をテーブルに並べて二つの類に分けよと命ぜ「られれば」と仮定し、「ミートパイ」と「パイ」をそれぞれ単独で「取り出せば」等と仮定して、「場合」「られれば」「取り出せば」等のように商品の類似を主観的、独断的仮定に基いて主張しているのである。

しかし、世界知的所有権機関(WIPO)で開催された第18会期専門家委員会で改訂承認された国際分類では、「菓子及びパン」に含まれる上記「パイ」は、類似群「30A01」に、「ミートパイ」は類似群「32F06」に分類されているのであって(乙第2号証)、請求人の上記仮定的、主観的、独断的見解に基く主張は暴論であり、認められない。

(3)甲第5号証ないし甲第9号証は、日本国内において出版された辞典であり、WIPOの専門家委員会で改定、改正又は承認された国際分類第8版対応(乙第2号証)で作成されたものではなく、請求人の私的見解に対する牽強付会の議論にすぎないものである。

また、甲第9号証ないし甲第12号証は、それぞれ私的書類であり、これをもって「菓子及びパン」に属する「パイ」と「ミートパイ」とが類似商品であるとすることはできない。

3 むすび

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号には該当しないものであるから、本件審判請求には理由がない。

第5 当審の判断

1 請求の利益について

請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係を有するか否かについて当事者間に争いがあるので検討する。

本件審判の請求は、本件商標の指定商品中の「パイ」についての登録が商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたことを理由としてその登録を無効にすることを求めるものであるところ、各引用商標と商標において類似する本件商標をその指定商品中の「パイ」に使用した場合は、請求人の業務に係る商品「ミートパイ」又は役務「ミートパイの提供」との間に、出所の混同を生ずるおそれがある旨主張しているのであるから、本件審判を請求するにつき、法律上の利益を有するといわなければならない。

被請求人は、本件商標の指定商品中の「パイ」と請求人の業務に係る商品「ミートパイ」又は役務「ミートパイの提供」とは、類似群コードが異なり、非類似のものである旨主張するが、後記4で述べるように、「類似商品・役務審査基準」おいて、同一の類似群コードが付された商品又は役務は、互いに類似すると推定しており、言い換えれば、類似群コードが異なれば、互いに非類似の商品又は役務と推定しているところ、同一又は類似の商標を使用したある商品と商品、あるいはある商品と役務とが取引の実際において、出所の混同を生じている場合には、たとえ、異なる類似群コードが付されていても、個別具体的に商品又は役務の類否について検討されるべきである。したがって、類似群コードが異なることのみをもって、請求人には本件審判を請求する利益がないとする被請求人の主張は採用することができない。

2 本件商標と各引用商標の類否について

本件商標は、別掲(1)のとおり、「3月14日(ホワイトデー)」の文字と「πの日」(「π」の文字部分には、「パイ」の振り仮名が付されている。)の文字を二段に書してなるものである。

これに対し、各引用商標は、別掲(2)のとおり、「3.14=π(パイ)の日」の文字を一連に横書きしてなるものである。

ところで、3月14日は、ホワイトデーと称され、「バレンタインデーの1ヶ月後で、本来は男性から女性に白い物(菓子など)をお返しする日」(「現代用語の基礎知識2001」株式会社自由国民社発行)であることは、我が国において広く知られているものである。

一方、円周率(π)が約3.14であることは、義務教育で修得する数値であって、これもまた広く知られているものといえる。

そうすると、別掲(1)及び(2)のとおりの構成よりなる本件商標と各引用商標は、「3月14日のホワイトデー」と「円周率(π)の3.14」とを掛け合わせ、これにより「3月14日は、パイの日」であることの意味合いを容易に理解させるものであるから、発想の軌を一にする観念上類似の商標とみるのが相当である。

また、本件商標と各引用商標は、上記のように、「3月14日のホワイトデー」と「円周率(π)の3.14」とを掛け合わせ、これにより「3月14日は、パイの日」であることの意味合いを理解させる「3月14日(ホワイトデー)」、「3.14」及び「πの日」の文字部分を有してなるものであるから、共通する観念上の特異性に強く印象づけられ、時と所を異にしてこれら商標に接する場合は、外観上も互いに紛れるおそれがある商標というのが相当である。

したがって、本件商標と各引用商標は、観念及び外観において類似する商標といわざるを得ない。

3 菓子及びパンに含まれる「パイ」と「ミートパイ」の類否について

(1)「指定商品が類似のものであるかどうかは、商品自体が取引上誤認混同の虞があるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認される虞があると認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生ずる虞がないものであっても、それらの商標は商標法(大正10年法律99号)2条9号にいう類似の商品に当たると解するのが相当である。」(最高裁裁判所第3小法廷、昭和36年6月27日判決言渡 (注)原文のまま)

(2)そこで、本件商標の指定商品中「菓子」の範疇の属する「パイ」と引用商標1の指定商品中の「ミートパイ」が類似する商品であるか否かについて検討する。

(a)甲第5号証ないし甲第8号証を総合すれば、一般的に「パイ」は、小麦粉と固形油脂を練り合わせて作った生地に、肉や果実の甘煮などを包み込んで天火で焼いた食べ物であって、肉を包み込んだものをミートパイといい、果実の甘煮を包み込んだものの代表的なものにアップルパイ、レモンパイなどがあることが認められる。

なお、「パイ」に関し、甲第5号証(国語大辞典)においては、「洋菓子の一つ」として捉え、甲第6号証(外来語辞典)では「まんじゅうに似た洋風食べもの」として、甲第7号証(ブリタニカ国際大百科事典)では「菓子として用いるほか、主菜、前菜、スナックにも供する」とし、甲第8号証(調理用語辞典)では「パティスリー(パン菓子、焼き菓子)に属する」としている。

(b)「製菓事典」(株式会社朝倉書店、1981年10月30日初版第1刷発行)の「図1.1 菓子の分類 (b)洋菓子」(9頁)によれば、洋菓子は、「洋生菓子」と「洋干菓子」とに大別され、前者に含まれる「パイ類」には、具体的名称として「アップルパイ、レモンパイ」が挙げられること、また、後者に含まれる「焼菓子」には「ビスケット類」があり、該「ビスケット類」には「パイ(パフ)」が含まれ、その具体的名称として「フレンチパイ、リーフパイ」が挙げられることが認められる。

そして、同書の「ビスケット類」における「1.3 パイ」の項(220、221頁)によれば、「日本で一般にいうパイは、外国ではパフ(puff)とよばれているもので、小麦粉を主体とした層と油の層を交互に折りたたんで成形し軽く焼き上げたものである。またケーキやソフトビスケットの間にマシュマロやクリームなどをはさんだ比較的大型のものを、米国などでは習慣的にパイといっている。この他、小麦粉を主体とする部分が製品の外側になり、その中に果実、肉の加工品などの詰め物をした水分の多いアップルパイ、ミートパイなどの洋生菓子類のパイがある」との記載があり、「1.3.1 パイの分類および製造法」の「a.パイ(パフ)」の項には、「小麦粉を主体とした生地の間に、バターなどの油脂をはさんで折りたたみ、層をつくることを特徴としており比較的シンプルな仕込みが多く、生地に甘味がないので、味のバランスの上から砂糖を振り掛けて焼いたり、ジャムなどをサンドしたりして製品とすることが多い。」との記載があり、また、「b.パイ」の項には、上記の記載と同様に、「ケーキやソフトビスケットにマシュマロやクリームなどをサンドした比較的大型のものをいう。チョコレートをコーティングしたものなどのバラエティがある。」との記載がある。

また、同書の「洋生菓子」における「4.3 パイ類」の項(353頁)には、「パイという菓名はパイ用ディッシュを用いて、パイ用クラスト生地を上下に敷き、その中にてん物をして焼き上げたところの菓名である。」との記載があり、「4.3.2 各種パイ製品」の項(356、357頁)には、「a.アップルパイ」、「b.ボストンクリームパイ」のほか、「c.各種クリームパイ」として「レモンクリームパイ、チョコレートクリームパイ、ミンスパイ、ポムキンパイ、パイナップルパイ」の記載があり、さらに、「他に、各種フルーツを用いたパイは多くある。またミート(肉類)を用いたパイ、スイートポテトを用いたパイなど多くのものが米、英ではつくられている。」との記載がある。(なお、「ミンスパイ」は、ミンスミート(干しぶどう・砂糖・りんご・香料などに時に挽肉を混ぜたもの)入りの丸い小型のパイで、クリスマスに食する菓子(研究社英和中辞典)であり、「ポムキンパイ」は、かぼちゃを主材とするパイである。)

そうすると、パイは、菓子の分類からみると、洋干菓子(焼き菓子)の範疇に属するビスケット類としてのパイと、洋生菓子の範疇に属するアップルパイ等果実の甘煮を用いたパイ、クリームパイ、肉類を用いたパイ等があることが認められる。

(c)上記(a)及び(b)によれば、ミートパイやアップルパイなどのパイやビスケット類としてのパイは、原材料や製法においてきわめて近似するものと認めることができる。また、上記商品は、いずれも洋菓子店等同一店舗で販売されていることは、顕著な事実であり、需要者が共通するものである。

(d)前記取引の実情等を総合すれば、本件商標をその指定商品中、「菓子」の範疇の属する「パイ」について使用した場合、これに接する需要者は、本件商標と引用商標1とが商標において類似するものであるが故に、該商品が引用商標1を使用した「ミートパイ」と同一の営業者によって製造又は販売されたものであるかのように、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるというのが相当である。

したがって、本件商標の指定商品中「菓子」の範疇の属する「パイ」と引用商標1の指定商品中の「ミートパイ」は、類似の商品といわざるを得ない。

4 被請求人の主張について

被請求人は、国際分類において、「菓子及びパン」に含まれる「パイ」は、類似群「30A01」に、「ミートパイ」は、類似群「32F06」に分類されているのであるから、請求人の主張は認められない旨主張する。

しかし、我が国の商標法上の商品又は役務の分類は、国際分類を主たる体系として採用し、商標法施行規則第3条の別表(以下「省令別表」という。)の各区分に属する商品又は役務は、国際分類のアルファベット順の一覧表に例示されている商品又は役務に即して、例示したものである(国際分類のアルファベット順の一覧表には、「Pies(パイ)」及び「Meat pies(ミートパイ)」が国際分類第30類に属する商品であることを示すのみであって、商品又は役務の類否を何ら定めているものではない。)。そして、商品又は役務の区分は、商品又は役務の類似の範囲を定めるものではない(商標法第6条第2項)から、省令別表に例示されている各区分に属する商品又は役務に基づき、かつ、我が国の取引社会の実情等を考慮して作成された「類似商品・役務審査基準」をもって、商標法上の商品又は役務の類似の範囲を一応定め、審査上運用しているところであり、該「類似商品・役務審査基準」において、同一コードが付されている商品又は役務(短冊で括られた商品又は役務)は互いに類似するものと推定するものである。したがって、異なる類似群コードが付されている場合は、互いに類似しない商品又は役務と推定しているにすぎないのである。

一方で、個別的、具体的な商品又は役務の類否については、当該商品又は役務の取引の実情等を考慮して判断されるべきであるから、「類似商品・役務審査基準」上、互いに類似しない商品又は役務と推定したものであっても、互いに類似する商品又は役務と認定される場合があるというべきである。

したがって、国際分類において、「菓子及びパン」に含まれる「パイ」は、類似群「30A01」に、「ミートパイ」は、類似群「32F06」に分類されているから、両商品は非類似である旨の被請求人の主張は、理由がない。

5 むすび

以上のとおり、本件商標は、引用商標1と商標において類似するものであって、その指定商品中の「パイ」は、引用商標の指定商品中の「ミートパイ」と類似する商品である。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「パイ」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、請求人のその余の主張について検討するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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