Trademark Appeal Case
ポロ商標の著名性と類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成4年審判第19062号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別紙に示すとおり、「ポロクラシック」の片仮名文字及び「POLO CLASSIC」の欧文字を上下二段に表してなり、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として平成3年3月6日に商標登録出願され、同8年10月7日付で出願公告の決定(平成8年商標出願公告第148516号)がされたものである。
2 登録異議の申立て理由
当審において、登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、登録異議の申立て理由をつぎのように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第43号証を提出している。
(1)本願商標が(その構成中に)含む「POLO」の文字は、申立人がアパレル、眼鏡、その他のファッション商品について使用している著名商標である。この事実は東京高等裁判所の判決、審決例及び多数の異議決定において認定されているところである。よって、本願商標がその指定商品に使用されれば、前記の著名商標との間に混同を生じるおそれがあるから、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)「POLO」の文字は、申立人会社の著名な略称であることは当該異議決定例で認定されたところであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
3 当審の判断
(1)本願商標の構成について
本願商標は、その構成別紙に示すとおり、「ポロクラシック」、「POLO CLASSIC」の各文字よりなるところ、これら文字の全体からは、特定の語意をもって世上親しまれている熟語的文字とはいい難く、むしろ、かかる構成からは、「POLO」(ポロ)と「CLASSIC」(クラシック)の二語の結合よりなるもの、すなわち、「ポロ競技(競技者が馬に乗り打球槌を使って球を打ち合う競技)」及び「古典、典雅」の意味合いをもって共に親しまれている平易な英語又は外来語というべきこれら両語の結合よりなるものと容易に認識し理解されるといえるものである。そして、本願商標は、被服等をその指定商品とするものであること前記したとおりである。
(2)「POLO」商標の著名性について
株式会社講談社昭和53年7月20日発行の「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)は、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして人社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(現在の「ザ ポロ/ローレン カンパニーリミテッドパートナーシップ」の前身,以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
我が国において、ラルフ・ローレンの名前は、服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「POLO」の文字を単独で、或いは同文字に「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形を組み合わせた商標が用いられ(以下、これら使用に係る商標を一括して「ポロ商標」という。)、これらの商標は「ポロ」又は「ポロプレーヤー」の呼称(略称)をもって呼び交わされていることが認められる。
そして、株式会社洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/POLO」の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」前出「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、株式会社チャネラー昭和54年発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年6月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MENS CLUB I980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版昭和56年6月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」等のいわゆる外国ブランド品を集録した各出版物において、「POLO」、「Polo」、「ポロ」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に掲載・紹介されていることが認められる。
なお、ラルフローレン又はポロ社に係る「POLO」、「Polo」、「ポロ」又は「ポロプレーヤーの図形」商標について、上記認定とほぼ同様に認定した東京高等裁判所判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)及び東京地方裁判所判決(平成8年特(わ)1519号、平成9年3月24日判決言渡)がある。
以上、認定の事実を総合し、かつ、上記判決の趣旨も併せ考慮するに、「ポロ商標」は、わが国においては遅くとも昭和55年までにはうラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、衣料品その他、靴、かばん類等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識されていたものと認められ、その状態は現在もなお継続しているというのが相当である。そして、ほかに、この認定を覆すに足りる証拠は見出せない。
(3)商品の出所の混同可能性について
本願商標が共に成語と認められる「POLO」(ポロ)と「CLASSIC」(クラシック)の二語の結合よりなるものであって、常に一体不可分のものとしてのみ把握されるというべき特段の事情を有しないものであることは、前記(1)において認定したとおりである。そして、ポロ商標が本願商標の出願当時において既に、衣料品その他、靴、かばん類等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者間において広く認識せられたものであることは、前記(2)において認定したとおりである。
しかして、本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、構成中冒頭の「POLO」及び「ポロ」の文字部分に着目し、これより、米国の著名なデザイナーであるラルフ・ローレンないしはポロ社に係る商品を表示するものとして広く知られるポロ商標を連想、想起し、同人又は同人の事業と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれが少なからずあるといわなければならない。
請求人は、異議の答弁書において、先審査例(公告事例、登録事例)を挙げて本願商標は一体的に把握されるべきものである旨述べ、かつ、第三者の使用に係るPoloやPoloを含む商標又はポロプレーヤーの図形商標が存在するとしてPOLO商標の著名性を否定するとともに、申立人引用の判決例、審決例等は本件事案に適合しない旨述べているが、先審査例は商標の具体的構成等において本願商標とは事案を異にするものであり、また、第三者使用のものが具体的にどの地域でどの位の数量が取り扱われたものかという具体的状況を客観的に示す証左はなく、さらに、本件事案において、当該判決例、審決例等を考慮する余地がないとする合理的理由も見出せないから、それら請求人の主張をもって前記認定判断を左右するに足りるものとは認め難い。
(4)結語
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、その登録は認めることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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