結論テキスト
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 異議2003−90605(T2003−90605/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4686121号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成14年10月28日に登録出願、第31類「生花の花輪,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜,糖料作物,果実,麦芽,飼料用たんぱく,飼料,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,繭種,種卵,うるしの実,未加工のコルク,やしの葉」を指定商品として、平成15年6月27日に設定登録されたものである。
(1)「えびす」の文字よりなる商標(以下「引用商標」という。)は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)が昭和39年以来、「かぼちゃの種」について使用している商標であり、かぼちゃの種のみならず、青果物とともに需要者の間に広く認識されている。本件商標は、引用商標に類似する商標であって、その指定商品も抵触する。
(2)本件商標は、需要者の間に広く認識されている引用商標をその構成中に含むものであり、これをその指定商品中「野菜,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽」について使用された場合は、該商品が申立人の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
(3)したがって、本件商標は、その指定商品中の「野菜,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽」については、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
(1)申立人の提出に係る甲第2号証ないし甲第25号証、甲第27号証及び甲第29号証によれば、申立人は、天保6年(1835年)に創業した種苗業者であり、昭和39年に、かぼちゃの新品種長岡交配えびすかぼちゃの種を発売したこと、申立人の発売した「えびす」かぼちゃの種から栽培されるかぼちゃは、過去になかったおいしさと栽培のしやすさとが一般の消費者、栽培者等の需要者層の高い評価を受け、発売以来我が国の取引市場、一般家庭の食卓等を賑わし、西洋かぼちゃの代名詞といわれるほどに至ったこと、申立人の取扱いに係るえびすかぼちゃの種の売上高は、1993年度には約4億6900万円に達し、その後売上高はやや落ちたものの、2002年度には約2億5500万円に達したこと、平成10年3月の農林水産省統計情報部編集による「野菜作型別生育ステージ総覧」(平成10年3月財団法人農林統計協会発行)において、かぼちゃの主産地の代表品種の一つとして「えびす」が掲載されたこと、「えびす」は、かぼちゃの品種名として登録され、また、野菜栽培に関する書籍に、かぼちゃの主要品種の一つとして掲載されたことなどが認められる。
(2)以上によれば、引用商標は、申立人の製造・販売に係るかぼちゃの種、若しくはその種より栽培されたかぼちゃを表示するものとして、本件商標の登録査定前より、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。
(3)本件商標は、別掲のとおり、樹木を表したと理解される図形と「えびす」の文字よりなるものであるところ、該図形部分と文字部分は、これらを常に一体のものとして把握しなければならない程観念上密接な関係を有するものではないのみならず、本件商標に接する需要者は、称呼しやすい「えびす」の文字部分を捉えてこれより生ずる称呼のみをもって、商品の取引に当たる場合が多いというのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成中の文字部分より「エビス」の称呼を生ずるものと認めることができる。
これに対し、引用商標は、「えびす」の文字よりなるものであるから、これより「エビス」の称呼を生ずるものである。
してみると、本件商標は、かぼちゃの種及びかぼちゃについて使用され、需要者の間で広く認識されている引用商標と「エビス」の称呼を共通にする類似の商標というべきであり、また、本件商標の指定商品中には、かぼちゃ並びにその苗及び種を含むものである。
(4)したがって、本件商標の指定商品中「かぼちゃ並びにその苗及び種」についての登録は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(1)本件商標権者は、平成16年8月11日付けで「商標権の一部抹消登録申請書」を提出して、本件商標の指定商品中の「野菜」と「種子類」を放棄した(乙第1号証)。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第10号に違反するとの取消理由は、解消された。
(2)取消理由によれば、結論として、「したがって、本件商標の指定商品中『かぼちや並びにその苗及び種』についての登録は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。」としているが、その前段の理由中には、かぼちやと種子についての説明がなされているにすぎず、苗に関する説明はない。また、申立人の提出に係る証拠中にも、かぼちゃの苗に関するものは存在しない。
したがって、本件商標の指定商品中の「かぼちゃの苗」についての登録を取り消す旨の判断は誤りである。
(3)本件商標は、樹木の図形部分とこの図形部分の下に「えびす」と書かれた商標であり、これらが一体に構成された商標である。
そして、図形部分の下の比較的小さな「えびす」よりも比較的大きな樹木の図形部分が需要者、取引者に強く訴える部分であるから、本件商標より文字部分のみを抽出して引用商標と類似するとすべきではない。
本件商標は、福井県三方群三方町の蛭子(えびす)神社跡にあった推定樹齢400年とされる「えびすさんのケヤキ」より採択したもので、該ケヤキは、地域で縁起ものとして扱われているものである。本件商標権者は、平成9年からケヤキ後継樹の育成のために、銘木の切り株に残った潜伏芽から採取した組織を栽培し、挿し木による苗の量産化に成功し、優良苗(苗木)として販売できる目処がついたため、本件商標の登録をした。
このような事情からすれば、本件商標は、樹木(ケヤキ)の図形部分とこの図形部分の下の比較的小さな「えびす」とが一体のものであり、「えびす」の文字のみからなる引用商標とは類似しないものである。
(1)本件商標は、前記3(取消理由の通知)で認定したとおり、申立人の取扱いに係る商品「かぼちゃの種及びかぼちゃ」を表示するためのものとして、本件商標の登録出願前より登録査定時(平成15年(2003年)5月26日)に至るまで継続して、この種商品の需要者の間に広く認識されていた引用商標と「エビス」の称呼を共通にする類似の商標であり、本件商標の指定商品中には、「かぼちゃの種及びかぼちゃ」を含むものである。
なお、申立人の提出の甲各号証によるも、申立人が「かぼちゃの苗」を製造、販売している事実、及び引用商標が「かぼちゃの苗」について使用され、本件商標の登録出願前より著名性を獲得していた事実を認めることはできなかった。
(2)商標権者の意見について
(a) 商標権者は、平成16年8月11日付けで「商標権の一部抹消登録申請書」を提出し、本件商標の指定商品中の「野菜,種子類」についての登録を放棄したから、本件商標が商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであるとする取消理由は、解消された旨主張する。
しかし、登録後の異議申立ての制度は、登録異議の申立てがあった場合に、特許庁自ら登録処分の適否を審理し、瑕疵があった場合はその是正を図るというものである。
したがって、本件において、本件商標の登録査定時以降である同16年8月11日付けの「商標権の一部抹消登録申請書」をもって、本件商標の指定商品中の「野菜,種子類」についての登録を放棄したとしても、登録査定時においては、本件商標の指定商品中の「かぼちゃの種及びかぼちゃ」についての登録は、商標法第4条第1項第10号に違反していたものであるから、前示取消理由が解消したことにはならない。
(b) 商標権者は、本件商標はその構成中の図形部分と「えびす」の文字部分とは、一体に構成されているものであるから、「えびす」の文字のみからなる引用商標とは類似しないものであるとして、本件商標の採択理由を述べる。
しかしながら、登録商標の効力の範囲は、日本全国に及ぶところ、本件商標に接する需要者の多くの者がこれより直ちに、福井県三方群三方町の蛭子神社跡にあった「えびすさんのケヤキ」を想起するものとは考えにくいところである。
また、本件商標の図形部分は、比較的大きく表されているとしても、その表現方法は、やや抽象的であるから、需要者が直ちに特定の樹木を想起し得ないものである。そうすると、本件商標に接する需要者は、称呼しやすく、かつ、「七福神の一人」として観念上親しまれている「えびす」の文字部分に着目し、これより生ずる「エビス」の称呼をもって、商品の取引に当たる場合が多いというべきである。
したがって、本件商標は、その構成中の「えびす」の文字部分より、「エビス」の称呼を生ずるものであるから、「エビス」の称呼を生ずること明らかな引用商標とは、「エビス」の称呼を共通にする類似の商標といわなければならない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の指定商品中「かぼちゃの種及びかぼちゃ」についての登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
しかしながら、登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての登録は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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