結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2003−35463(T2003−35463/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4611398号商標(以下「本件商標」という。)は、「Anonymizer」及び「アノニマイザー」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成13年10月19日に登録出願、第35類「経営の調査・診断及び指導,原材料・仕掛品・完成品等の商品の調達・生産・販売を一環して効率的に流通させるための調査,原材料・仕掛品・完成品等の商品の調達・生産・販売を一環して効率的に流通させるための計画の立案,商品管理・棚卸・商品仕分・伝票処理及びそのデーター入力に関する事務の代行,インターネットを利用した商品の販売に関する情報の提供,その他の商品の販売及び商品販売店舗に関する情報の提供,商品管理に関する情報の提供,電話応答の代行,一般事務処理の代行,事業の管理に関する援助及び助言,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,宛名書き,郵便物の封入発送及び受取代行」及び第39類「鉄道による輸送,車両による輸送,船舶による輸送,航空機による輸送,貨物の輸送の媒介,寄託を受けた物品の倉庫における保管,他人の携帯品の一時預かり,倉庫の提供,コンテナの貸与,物品の包装,貨物の輸送状況その他鉄道・車両・船舶・航空機による輸送に関する情報の提供,寄託を受けた物品の倉庫における保管に関する情報の提供,他人の携帯品の一時預かりに関する情報の提供,宅配便及び宅配貨物の取次,インターネットを利用した集荷依頼受付,貨物の集荷および分荷並びにこん包,こん包機器の貸与,インターネットを利用した鉄道・車両・船舶・航空機の運賃に関する情報の提供,引越の代行・請負又は取次ぎ」を指定役務として、平成14年10月11日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。
1.請求の理由
(1)無効事由
本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同法第4条第1項15号及び同法第4条第1項第19号の規定により、無効にすべきものである。
(2)無効原因
(ア)商標法第4条第1項第10号について
「ANONYMIZER」の標章は、カリフォルニア州法人であるアノニマイザー インコーポレイテッド(Anonymizer Incorporated)(以下「アノニマイザー社」という。)に係るものである。「ANONYMIZER」の標章は、最初に米国において営業標識及び商標として使用され、1996年ごろから、コンピュータ及びソフトウエア産業に係る商品及び役務について全世界で使用されるようになり今日に至っている(甲第5号証及び甲第6号証)。
また、「ANONYMIZER」の文字は、1997年8月19日付けでアノニマイザー社によって登録されたドメインネーム「www.anonymizer.com」においても使用されている。また、アノニマイザー社と関連を有するインフォネックス ホールディングコーポレイション(Infonex Holding Corporation)(請求人)は、以下の1)及び2)のアメリカ合衆国における登録商標、並びに、以下の3)の欧州共同体商標意匠庁における登録商標を所有している(甲第4号証ないし甲第6号証)。これらの商標の出願日(1997年6月2日、1998年7月29日、1999年5月21日)は、いずれも、本件商標の日本における出願日(2001年10月19日)よりも先である。
1)「ANONYMIZER」(登録第2242437号)(甲第4号証)
指定役務:国際第35類「匿名性及びプライバシーを提供するための他者のためのグローバル通信ネットワークトランザクションからの識別情報の除去(Removing identifying information from global communication network transactions for others to provide anonymity and privacy)」
国際第38類「グローバルコンピュータネットワーク上での情報の匿名伝送の提供(Providing anonymity transmission of information from global computer networks)」
出願日: 1997年6月2日
2)「ANONYMIZER」(登録第2283148号)(甲第8号証)
国際第42類「グローバルコンピュータネットワーク用のコンピュータサーバ上での他者のウェブサイトのホスティング、並びに、他者のためのコンピュータに関するコンサルティング及びプログラミング(Hosting the web sites of others on a computer server for global computer network,as well as,computer consulting and programming for others)」
出願日: 1998年7月29日
3)「ANONYMIZER」(出願番号:1181023)(甲第9号証)
ニース分類 第38類「グローバルコンピュータネットワーク上での情報・データ・コンピュータファイル・電子メール及びウェブページの匿名伝送の提供、及び、グローバルコンピュータネットワーク上でのデータパケットの匿名ルーティング」(Providing anonymous transmission of and access to information,data,computer files,email and web pages over global computer networks;and anonymous routing of data packets over global computer networks)
アノニマイザー社の商標「ANONYMIZER」は、1999年2月ごろには、既に、日本のコンピュータ及びソフトウエア業界における需要者及び取引者の間において、アノニマイザー社の商品(役務)を表示するものとして広く認識されるものとなっており、その後現在に至るまでそのように認識されている(甲第6号証)。
上述のように、本件商標が出願されたときには、既に、商標「ANONYMIZER」は、アノニマイザー社の業務に係る商品及び役務を示すものとて、需要者・取引者の間に広く認識されている商標となっていた。
本件商標は、出願時に既に需要者・取引者の間で周知・著名となっていた、アノニマイザー社の商標「ANONYMIZER」と同一の称呼を生じるものであり、また本件商標に係る指定商品又は指定役務は、アノニマイザー社の、コンピュ一夕及びソフトウエア産業に係る商品及び役務と類似の商品又は役務を含むものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当し、無効とされるべきものである。
(イ)商標法第4条第1項第15号について
商標「ANONYMIZER」は、日本国内及び外国において広く知られている。また、同商標はアノニマイザー社に係る造語である。また、商標「ANONYMIZER」は、アノニマイザー社のハウスマークでもあり、アノニマイザー社に係る業務の様々な場面で使用されている。
したがって、商標「ANONYMIZER」は、アノニマイザー社の商品及び役務並びにそれらと関連する商品及び役務に関して、広い範囲で保護されるべきものである。同商標は周知・著名なものであり、また造語であるので、コンピュータ及びコンピュータソフト業界に係る商品及び役務の分野において、アノニマイザー社以外の者が、同商標と同一又は類似の商標を使用した場合、アノニマイザー社に係る商品又は役務と混同を生じることは必至である。本件商標に係る商品又は役務の需要者は、該商品又は役務がアノニマイザー社に係るものであると誤認するものであるので、本件商標は、該商品及び役務の出所について混同を生じるものであるといえる。また、本件商標に係る商品又は役務の需要者は、該商品又は役務が、アノニマイザー社と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると誤認する可能性もあり、その意味においても、本件商標は、該商品又は役務の出所について混同を生じるものである。
なお、上述の混同の可能性は、アノニマイザー社への手紙の中で被請求人自身が認めているところでもある(甲第10号証)。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、無効とされるべきものである。
(ウ)商標法第4条第1項第19号について
被請求人は、2001年10月4日から2002年1月8日の間に、計5件の「Anonymizer/アノニマイザー」の商標登録出願を行っている(甲第11号証ないし甲第15号証)。これらの出願は、アノニマイザー社によって実際に提供される商品及び役務に関連する商品及び役務を複数の区分において指定したものである。
また、被請求人は、「www.anonymizer.jp」及び「anonymizer−jp.com」のドメインネームの登録も申請している(甲第10号証)。
被請求人は、上記5件の商標登録出願のうち、2番目の出願を2001年10月19日にした後、2001年10月21日ごろに、アノニマイザー社に最初に接触し、日本において「anonymizer」の商標登録出願をした旨を述べ、もしアノニマイザー社が被請求人による「anonymizer」の使用に異議がある場合には、被請求人に連絡するよう要求してきた(甲第10号証)。
アノニマイザー社は、2001年10月22日付けの書簡で応答し、被請求人に対し、「Anonymizer」の商標と同一又は類似の商標等の使用を中止することに同意するよう求めた。
また、被請求人は、アノニマイザー社が日本において被請求人による事業を中止させたいのであれば、日本において商標登録をしている必要がある旨述べている(甲第10号証)。
さらに、被請求人は、2002年9月14日付けのアノニマイザー社への電子メールにおいて、被請求人が日本における「Anonymizer」の商標の所有者であり、アノニマイザー社の事業活動は、日本国商標法及び不正競争防止法に反するものである旨述べ、アノニマイザー社に対し、1週間以内に「www.anonymizer.com」のドメインネーム登録を被請求人へ移転すること、及び、その商標「Anonymizer」の使用を中止するよう要求してきている。また、被請求人は、被請求人の顧客の混乱を避けるため、アノニマイザー社を必要としている(I need your corporation.)旨も述べている(甲第10号証)。
アノニマイザー社は、日本及び世界各国において事業の拡大を予定している。
被請求人の上記行為から、被請求人は、日本でのアノニマイザー社の事業を阻止し、アノニマイザー社が本件商標を被請求人から譲り受ける(又はアノニマイザー社が被請求人と本件商標の使用権設定契約を結ぶ)ことを強要することによって不正の利益を得ようとする意図、又は、アノニマイザー社の商標「Anonymizer」に係る商品及び役務の日本における代理人契約を締結しようという意図が明らかである。
さらに、被請求人の上記行為は、アノニマイザー社の信用及び名声を毀損し、又は、アノニマイザー社の周知・著名な「Anonymizer」の商標のもつ出所表示機能を希釈化させることにより、アノニマイザー社に損害を与える蓋然性がある。
したがって、本件商標は、アノニマイザーの商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている「ANONYMIZER」の商標と同一又は類似の商標であり、不正の目的をもって使用するものであるので、商標法第4条第1項第19号に該当し、無効とされるべきものである。
2.弁駁の理由
被請求人は、本件審判に関し、答弁書を提出し、種々述べているが、同答弁は、本件商標に係る商標法上の無効事由に対する反論とは認められない。
すなわち、本件審判請求は、本件商標が、商標法第4条第1項第10号、同法第4条第1項第15号、及び/又は、同法第4条第1項第19号の規定により無効にされるべきか否かを争うものであり、被請求人の上記答弁は、それらの点に対する反論とは到底認められない。
なお、被請求人は、答弁書において、請求人(及びアノニマイザー社)を非難・中傷するものであるが、請求人(及びアノニマイザー社)に対するそれらの非難・中傷は、上記答弁書に係る答弁の趣旨にもとるものであるのみならず、いずれも事実無根のものであり、請求人はそれらの非難・中傷を全て否認する。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第128号証を提出した。
なお、被請求人は、提出に係る証拠資料を甲各号証と標記しているが、甲各号証のそれぞれの標記を、乙各号証として審理した。
インターネットにおける通信は匿名性が高く、痕跡が残らないため、犯罪の温床となっている(乙第1号証ないし乙第44号証、乙109号証ないし乙第112号証、乙第113号証、乙第116号証、乙第118号証、乙第121号証ないし乙第125号証、乙第127号証)。
請求人及び関連が深いアノニマイザー社は日本国を含む世界中で商標使用も含めた企業活動を行う資格がない犯罪組織と言える。
本件の被請求人である堀田政義も審判請求書に記載されていたように著名であることを認める。しかし、それは表の世界ではなく、裏の世界で著名である(乙第45号証ないし乙第59号証、乙第118号証)。
審判請求書を見てもわかるように、アノニマイザー社(乙第60号証)はインターネットで通信(匿名メール転送サービスも含む)する際の匿名性を売りにしたサービスを米国より行っている。米国における一般的なインターネットプロバイダーとの大きな違いでもある(乙第61号証、乙第62号証、乙第115号証ないし乙第118号証)。
日本の一般のインターネットプロバイダー業者のサービスを利用しても十分な匿名性がある。むしろ、匿名性が高すぎて、犯罪の温床になり、日本国民を含めた世界中の人々の生活に悪い影響をおよぼしているのが現状である(乙第1号証ないし乙第44号証、乙第109号証ないし乙第113号証、乙第116号証、乙第118号証、乙第121号証ないし乙第125号証、乙第127号証)。本人確認を徹底した場合でも、巨額の詐欺事件は起きている(乙第24号証、乙第34号証)。
審判請求書及び商標登録出願(乙第62号証)を見てわかるように、請求人は匿名を売りにした通信サービスを行うことを予定していることがうかがえる。これ以上インターネット通信で匿名性が必要な方々とは、どういう組織・個人か容易に想像できる(乙第63号証ないし乙第79号証)。アノニマイザー社の拠点がある米国の主要産業は武器・麻薬ビジネスである。審判請求書にあるように、アノニマイザー社が短期間で主要なプロバイダーに成長したのはなぜかも容易に想像がつく。アノニマイザー社が提供するプライバシー(=匿名)関連商品・サービスは、裏の世界が主な顧客である。アルカイダのようなテロ組織の通信にも大きく貢献した(乙第63号証、乙第79号証)。結果、2001年9月19日米国はニューヨーク同時多発テロという大きな国家的損失を受けた。
被請求人である堀田政義による本件商標登録出願はその後である。出願前よりアノニマイザー社は日本国の法律から見て組織犯罪法の適用を受けてもおかしくない組織であった。
このようなさらなる犯罪の温床となりうる米国アノニマイザー社と、日本国民の不利益となるようなサービスを本件商標の名の下に行わない堀田政義とどちらが日本国における商標権者としてふさわしいか明白である。
審判請求書には、アノニマイザー社が日本を含めた世界中に進出する予定であることがうたわれている。将来、このアノニマイザー社は国際的な批判にさらされることは容易に想像がつく。以下に理由を述べる。
1970、80年代スイス・オーストリア等などの国々で匿名銀行口座のサービスが存在した。匿名口座は犯罪・テロ組織のマネーロンダリングに大きく貢献した。現在では国際的な非難を受け、匿名口座の開設はできなくなった(乙第80号証ないし乙第87号証)。
現在、インターネット上で電子マネーが急速に発展している(乙第88号証ないし乙第103号証)。この電子マネーは一般の銀行口座と違い、本人確認が不要で匿名性が高い。マネーロンダリングに将来利用されることが危倶されている。電子マネーは、インターネット上でIDとパスワードがあれば利用できる(乙第100号証ないし乙第103号証)。アノニマイザー社のサービスを活用すれば、インターネットで匿名で決済ができ、匿名銀行口座と同等の機能を持てることになる。
また、一方でネットワーク家電が世界的に普及しつつある(乙第104号証ないし乙第108号証)。パソコン・携帯電話などからだけでなく、近いうちに電子レンジ・洗濯機・エアコン・冷蔵庫などからインターネットにアクセスできるようになる。インターネットは今後も急速に発展していくであろう。
以上のことから、インターネットにアクセスする際は、近い将来、本人確認法を厳格に適用せざるを得ない。インターネットプロバイダーとは匿名で契約することは不可能ではなかった(乙第44号証)。今では匿名で契約できる日本のプロバイダーはないと思われる。
被請求人の以上の主張に対し、アノニマイザー社はインターネットにアクセスする際の個人情報の漏洩を問題にするだろう。しかし、日本国では個人情報保護法が制定された。日本国においてはインターネットの適正な発展に必要な法整備(不正アクセス法・プロバイダー責任法等)は完了している。 通信の秘密は尊重しつつ、個人情報保護法・本人確認法等でテロ・犯罪等から国民生活を守る。今後の国際社会の流れになるのは間違いないと思われる。現実にテロの被害を受けたアメリカでは新たな動きが見られる(乙第126号証)。
アノニマイザー社は被請求人の出した文書に不正が見られると述べているが、日本国の組織犯罪法に違反しているアノニマイザー社に言う資格はない。むしろ、アメリカ連邦議会(乙第63号証)、世間から非難され、アメリカでビジネスをしづらくなり、日本を含めた世界中に進出することを、もくろんでいるとも推測できる。世界とはテロ多発地帯であるイラク、パレスチナ、アフガニスタンも含まれる(乙第72号証、乙第73号証)。このような会社が匿名サービスを世界中で提供するということは、世界中の主要都市でテロを引き起こすことにつながる。
被請求人は、アノニマイザー社の所有するドメイン(www.anonymizer.com)を合法かつ適性に使用する予定があるため、移転を求めたにすぎない。これ以上アノニマイザー社がドメイン(www.anonvmizer.com)を使用することは日本国の商標権者である被請求人の名誉を汚すものである。「anonymizer」の商標権者である被請求人が組織犯罪に手を染めているような印象を日本の司法関係者に与える。 審判請求書で請求人が示した「I need your corporation.」は以上のような意味を被請求人が犯罪組織に対し示したにすぎない。
最近、日本の警察は新たな方針を示した(乙第123号証、乙第128号証)。アノニマイザー社のサービス・製品に対し、厳しい対応をとるのは間違いないはずである。
以上のことから、本件商標登録は維持されるべきである。
1.アノニマイザー社とその使用標章について
甲第5証及び甲第6号証によれば、アノニマイザー社は、インターネット利用者がインターネット上のサイトにアクセスする際に、その個人情報が漏れないように匿名性を高めるサービスを提供する業者であり、そのサービスについて使用する「ANONYMIZER」の文字よりなる標章及び「Anonymizer.com」の文字よりなる標章は、本件商標の登録出願時及び設定登録時、米国のインターネット利用者の間に既に広く認識され、我が国のインターネット利用者の一部にも知られていたものと認められる。
2.本件商標とアノニマイザー社の使用する上記標章の類似性について
本件商標とアノニマイザー社の使用する上記「ANONYMIZER」の文字よりなる標章を比較すると、本件商標の「Anonymizer」の文字部分とアノニマイザー社の使用する「ANONYMIZER」の文字からなる標章は綴りが同一であり、また、本件商標中の「アノニマイザー」の文字は、その上段の「Anonymizer」を片仮名で表記するものであることは明らかであるから、両者は実質的に同一といえる商標と認められる。
また、アノニマイザー社の使用する上記「Anonymizer.com」の文字よりなる標章は、その「.com」の文字部分が営利企業であることを示すものであり、「Anonymizer」の文字部分が主要部分と認識される標章と認められるところ、この文字部分の綴りが本件商標の綴りと同一であるから、本件商標と類似の商標ということができる。
3.不正の目的について
甲第10号証によれば、被請求人は、本件商標を登録出願してから間もない平成13年10月頃よりアノニマイザー社に対して何度か通知をして、下記の旨述べた事実が認められる。
(1)私(被請求人、以下同じ)は、日本で新しいインターネット事業を始め、「www.anonymizer.jp」及び「anonymizer−jp.com」のドメインネームを採用し、日本の特許庁に「anonymizer」の商標登録出願をした。もし、貴社(アノニマイザー社)が私による「anonymizer」の使用に異議がある場合には、私に連絡されたい。
(2)日本において貴社は商標登録をしたのか。もし貴社が私の事業を中止させたいのであれば、貴社の登録が私よりも早いことを証明しなければならない。
(3)私は「私は貴社にanonymizerの使用の同意を求める。」また「私は貴社の事業をサポートすることができる。」と言った。しかし、「買え」とか「売る」とかとは決して言ってはいない。
(4)私は、特許庁の発表を待っている。誰でも商標登録の日付を見ることができる。だから、将来、何人かのブローカーが私に接触してくるかも知れない。これらの第三者は、「anonymizer」に関して適切な値段を私に提示してくるだろう。
(5)私は、日本におけるこの商標(Anonymizer)の所有者です。貴社の事業活動は、日本国商標法及び不正競争防止法に違反する。一週間以内に貴社の業務を中止し、貴社のドメインを私へ自発的に移転して下さい。
しかして、アノニマイザー社の使用する標章「ANONYMIZER」は、既成語等でなく一種の造語と認められるところ、本件商標がこれと偶然に一致した標章として採択されたとみるには無理があること、及び、被請求人の上記行為からすると、被請求人は、アノニマイザー社が使用する「ANONYMIZER」の文字よりなる標章及び「Anonymizer.com」の文字よりなる標章を知っており、日本において商標登録がされていないことを奇貨として、出願・登録を経ることでドメインネームの使用や事業の展開を有利に運ぼうとするなど不正の目的をもって本件商標を登録出願し商標登録を得たといわざるを得ないものである。
したがって、本件商標は、他人の役務を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものに該当するというべきである。
4.被請求人の答弁及び提出した証拠について
被請求人は、証拠を提出して、請求人及びアノニマイザー社は企業活動を行う資格がないなどと主張するが、提出の乙各号証は、この主張を裏付ける証拠資料とはいえないものと認められるから、この点の被請求人の主張は採用するに由ないばかりか、請求人主張の無効理由に対する直接的な反論とは認め難く、当審の上記判断を左右するものとはなり得ないものである。
5.むすび
以上によれば、本件商標は商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定に基づき、その商標登録は、無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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