Trademark Appeal Case
機能複合語の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−9177(T2002−9177/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1.本願商標
本願商標は、標準文字で「蒸煮冷却」の文字を横書きしてなり、平成13年3月9日登録出願、指定商品については、願書記載のものを、平成14年8月8日付手続補正書をもって第9類「加熱からそのまま冷却へ移行できる業務用調理機」と補正したものである。
2.原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、本願商標は、業界において、食品の加工方法を表すものとして普通に使用されている「蒸煮」と「冷却」の語を結合したものにすぎず、「蒸煮・冷却」という加工を行う機能を有する食品加工機器が取り扱われていることは普通に知られていることであり、本願商標を「加熱からそのまま冷却へ移行できる業務用調理機」に使用した場合、取引者・需要者は「蒸煮と冷却機能を有する調理機」であることを容易に把握・認識するに止まり、自他商品の識別機能を果たさないので、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3.当審の判断
本願商標は、前記のとおり「蒸煮冷却」の文字よりなるところ、本願指定商品に関連する業務用調理機や食料加工機械器具類及びこれらを取り扱う業界との関係では、構成中「蒸煮」の文字は「加熱殺菌を蒸気で行うこと」を意味し、同じく「冷却」の文字は、「食品の品温を下げること。食品の貯蔵を目的として、あるいは調理操作の一つとして行う。」を意味する文字であり(丸善株式会社発行「丸善食品総合辞典」参照。)、それぞれ食料加工・調理の主要なプロセスを表示する用語として普通に用いられているものである。そして、この蒸煮(又は加熱)から冷却(又は放冷)は、例えば、醤油、味噌、惣菜、冷凍食品等をはじめとする各種食料の製造・加工の工程において連続したプロセスとしてなされることが多いものであり、このプロセスを一連に「蒸煮・冷却」と称することもある。このことは、例えば、以下のインターネットの資料の記述などからも理解されるところである。
(1)「(情報提供協力:群馬県醤油味噌工業協同組合)醤油の製造工程」
http://www.pref.gunma.jp/e/03/keizai/ryuutsu/shouyu_miso/syouyumiso2.htm
(2)「(情報提供協力:群馬県醤油味噌工業協同組合)みその製造工程 米みそまたは麦みその場合」
http://www.pref.gunma.jp/e/03/keizai/ryuutsu/shouyu_miso/syouyumiso4.htm
(3)「(株式会社マルダイ)海の工場 マルダイの生産設備のご案内」
http://www.marudai-miso.com/information2.html
(4)「(東和男著)発酵と醸造<1> 大豆の蒸煮・冷却」
http://www.korinbook.com/book/hakko.html
(5)「(JA上野村)大豆加圧蒸煮・冷却。大豆は回転する大きな圧力釜で蒸煮します。蒸煮が終わった大豆は冷却しながら運ばれ、麦麹と混合して仕込みをする行程へと進みます。」
http://www.ja-uenomura.com/miso-16.htm
(6)「惣菜の高度化基準;2)包装後加熱する惣菜 原材料の受入れ・保管→前処理→洗浄→〔予備加熱〕→調整 包装(密封包装)→加熱(蒸煮)→冷却→検品→製品保管
http://www.maff.go.jp/sogo_shokuryo/haccp_hp/kijun/souzai.pdf
(7)「(社団法人日本冷凍食品協会)冷凍食品の高度化基準;1)加熱工程のある冷凍食品の一般的製造工程 原材料の受入・保管→[解凍]→前処理→加熱→冷却→[衣付・成型等]・・・」
http://www.reishokukyo.or.jp/information/koudoka.html
さらに、これらの「蒸煮・冷却」の多くは、従来、蒸煮機(蒸煮缶)、冷却機(放冷機)等の別個の機械を用いてなされているものではあるが、中には、請求人の主張に係る商品のように、一つの機器・装置でこれら連続した機能を有するものが存在することは、以下のような資料からも理解されるところである。
(a)「(ドーワテック株式会社)その他、連続蒸煮・予冷・冷却設備や加工・成形・包装ラインなどの生産システム、温度管理システム、各設備管理システムなども取扱っております。」
http://www.dohwatech.co.jp/
(b)「(タカギ冷機株式会社)『むらなく加熱』する蒸煮機能と『急速真空冷却』機能を一体化 学校給食施設・食品工場に最適! 蒸煮冷却機「THRKシリーズ」の特徴・・蒸煮冷却機一覧表」
http://www.takagi-reiki.com/jyousya.html
(c)「(山形県藤島町ふれあい食センター)施設案内と設備の概要 蒸煮冷却機 蒸気の熱で蒸す・煮るなどの加熱調理を行う「蒸煮機」と加熱した食品を真空で急速冷却する「低温真空冷却機」が一体となり、加熱調理後、連続して直ちに冷却に移行できるので、人手に触れることも、細菌やほこりの進入もなく、細菌繁殖の危険温度帯を短時間で通過させるので、食品の安全性が保てます。」
http://www.town.fujishima.yamagata.jp/contents/sansan/sisetu/annai.html
(d)「(東京電力;TEPCOプレスリリース 業務用電化厨房の衛生・エネルギー管理システム『調理当番』の開発・販売について 添付資料2:開発システム『調理当番』概要 蒸煮冷却機・ブラストチラー)
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu04_j/images/040301c.pdf
以上によれば、「蒸煮冷却」の文字を標準文字で書してなる本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、その商品が、単に「蒸煮と冷却を行う調理機」あるいは「加熱からそのまま冷却へ移行できる調理機」であること、いわゆる商品の品質(用途・機能)を表示したにすぎないものと容易に認識するに止まるものであり、よって自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。
なお、請求人は、平成9年より本願商標を本願指定商品に使用した結果、平成13年3月頃には請求人の製造・販売に係る商品を示すものとして周知・著名になっている旨主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲6号証を提出している。しかしながら、提出に係る甲第1号証ないし甲第5号証は、請求人(日本調理機株式会社)の業務に係る商品の紹介記事あるいは商品リスト・納品リスト等の記載において、商品の一般名称として「蒸煮冷却機」と表示されているものであり、商標としての使用とは認められない。また、甲第6号証の1ないし7は、一定の様式に従って本願商標が上記期間において取引者・需要者間に広く認識されていたことを各地方の学校給食調理場の代表者が証明する書面であり、かかる証明書のみをもって、請求人の前記主張を認めることはできない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論の通り審決する。
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