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Trademark Appeal Case

称呼類似と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−89016(T2004−89016/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件商標第4374701号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ShipIT」の文字(標準文字による。)を書してなり、平成10年9月3日に登録出願、第9類「配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,レコード,コンピュータープログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品,ロケット,スロットマシン,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,事故防護用手袋,消防車,消防艇,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,磁心,自動車用シガーライター,抵抗線,電極,溶接マスク,家庭用テレビゲームおもちゃ,メトロノーム」を指定商品として、同12年4月7日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標

請求人が本件商標の登録の無効理由に引用する登録第2540902号商標(以下「引用A商標」という。)は、「SHIPS」の文字を書してなり、平成3年3月15日に登録出願、第24類「おもちや、人形、娯楽用具、運動具、つり具、楽器、演奏補助品、蓄音機、レコ―ド、これらの部品および附属品」を指定商品として、同5年5月31日に設定登録され、その後、商標権一部取消審判があった結果、その指定商品中の「つり具」についてその登録を取り消すべき旨の審決が確定し、その登録が同10年2月18日になされ、現に有効に存続しているものである。

同じく、登録第2715443号商標(以下「引用B商標」という。)は、「SHIPS」の文字を書してなり、平成3年3月15日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同8年7月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第10号証を提出した。

(1)商標登録の無効の理由の要点

本件商標は、請求人所有の引用A商標及び引用B商標と称呼上類似の商標であり、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

したがって、本件商標は、商標法第46条第1項第1号により、その指定商品中「スロットマシン,レコード,メトロノーム,家庭用テレビおもちゃ,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,放火被服」については登録を無効されるべきものである。

(2)本件商標の登録は無効とすべきである理由

本件商標と引用A商標及び引用B商標とを比較検討するに、本件商標の構成は、「ShiPIT」の英文字より成るところ、これからは「シップイット」「シップアイテー」の称呼が生ずるものであるとしても、「IT」の文字が「information technology」(情報技術)の略語として商品の品質、用途を表示するものとして広く一般に使用され、識別力が無いか、極めて弱いことから、「Ship」の英文字部分を捉えて、単に「シップ」の称呼が生ずるものである。

一方、引用A商標「SHIPS」と引用B商標「SHIPS」からは、その構成に照らして「シップス」の称呼が生ずるものである。

そこで、本件商標より生ずる「シップ」の称呼と引用A商標及び引用B商標より生ずる「シップス」の称呼とを比較すると、両者は、称呼の識別上重要な要素を占める語頭音「シッ」を含めて「プ」を共通にし、異なるところは後者の末尾「ス」の音を有する点のみである。

そして、「ス」の音はそれ自体無声の摩擦音であるため比較的弱い音といえるばかりでなく、かつ、その直前にあって強く発音される破裂音「プ」に吸収されて更に弱く聴取されるものであるから末尾音「ス」の音の有無が全体の称呼に及ぼす影響は少なく、両者を全体として称呼するときは語感語調が極めて近似して彼此混同されるおそれがある。

この点については「キックス」と「キック」は称呼類似と認定している昭和54年審判第14713号審決(甲第7号証)、「ヒップス」と「ヒップ」は称呼類似と認定している昭和55年審判第12702号審決(甲第8号証)、「ラックス」と「ラック」は称呼類似と認定している昭和56年審判第15691号審決(甲第9号証)、「サック」と「サックス」は称呼類似と認定している昭和60年審判第1941号審決(甲第10号証)は、その理由中、いずれも「そのスの音は無声摩擦音からなる弱い音であり、末尾にあって明確に聴取し難いものであるから、両者をそれぞれ称呼するときは聴感互い近似し、彼此聴き誤るおそれがあるものといわなければならない。」旨認定していることからすれば、請求人の主張は妥当と言えるものである。

請求人は、「SHIPS」の文字よりなる商願2003−72385号の商標を出願したところ、本件商標を引用して商標法第4条第1項第11号に該当するとの拒絶理由通知を受けたものである。本件審判の請求に係る指定商品は、本件審判の引用商標の指定商品中に包含されていたものであることからすれば、商願2003−72385号の商標が拒絶されるといった事態を回避するために本件審判の請求をするものである。

してみると、本件商標と引用A商標及び引用B商標は、外観、観念について比較するまでもなく、称呼上類似する商標であり、かつ、指定商品も同一又は類似するものである。

(3)むすび

したがって、本件商標は、第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、第46条第1項の規定により、その指定商品中「スロットマシン,レコード,メトロノーム,家庭用テレビおもちゃ,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,放火被服」については登録を無効とすべきものである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、答弁していない。

5 当審の判断

本件商標は、前記1のとおり、「ShipIT」の文字を書してなるところ、その構成文字は、同じ書体、等間隔をもって、外観上まとまりよく一体に表現されており、しかも、その全体より生ずる「シップイット」及び「シップアイティー」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。

そして、たとえ、機械器具等を取り扱う業界においては、自己の生産若しくは販売に係る商品の規格、品番等を表示するための記号、符号として、ローマ字の2字が類型的に採択、使用されているものであるとしても、本件商標の構成中の「IT」の文字部分は、その前半の「Ship」の文字部分と一体的に結合して書されていることよりすれば、これに接する取引者、需要者が「IT」の文字部分を、単に商品の規格、品番等として看取するとはいい得ないものである。

さらに、「IT」の文字が「Information Technology」(情報技術)の略語として親しまれているものであるとしても、本件審判の無効請求に係る商品は、情報技術とは関連の薄い商品というのが相当であるから、その商品との関係において、本件商標の該文字部分が商品の品質等を表示するものとして看取されるということもできない。

以上よりすれば、本件商標は、構成全体をもって、一体不可分の一種の造語と認識し、把握されるとみるのが自然であって、その構成文字に相応して「シップイット」及び「シップアイティー」の称呼のみを生ずるものというのが相当であるから、「シップ」の称呼は生じないものといわざるを得ない。

そこで、本件商標より生ずる「シップイット」及び「シップアイティー」の称呼と引用A及びB商標から生ずると認められる「シップス」の称呼を比較するに、両者は、前半において「シップ」の音を共通にするけれども、後半において、「イット」あるいは「アイティー」と「ス」の明らかな差異を有するものであるから、本件商標と引用A及びB商標とは、称呼上、明確に区別し得るものである。

さらに、外観上、本件商標と引用A及びB商標は、明らかに相違し、観念においては、本件商標が格別の観念を生じない造語と認められるから、比較することができない。

してみると、本件商標と引用A及びB商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点よりみても、相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

したがって、本件商標は、本件審判の請求に係る指定商品「スロットマシン,レコード,メトロノーム,家庭用テレビおもちゃ,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,放火被服」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よつて、結論のとおり審決する。

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