結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2004−35033(T2004−35033/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4443218号商標(以下「本件商標」という。)は、「ant」の文字を標準文字とし、平成11年9月29日に登録出願、第18類「原革,原皮,なめし皮,毛皮,革ひも,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘(但し、洋傘金具を除く。),ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(但し、靴くぎ・靴びょう・靴保護金具を除く。),げた(但し、げた金具を除く。),草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品とし、平成13年1月5日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の無効の理由に引用する、登録第4018204号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲に表示した構成よりなり、平成7年12月5日に登録出願、第25類「セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴、(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、平成9年6月27日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の指定商品中、第25類「セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)及びその類似商品」について、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第18号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標と引用商標の類似について
引用商標は、上部に蟻の図形を配し、下部に「black ant」の英文字を配して構成されている。その「black ant」の文字の表記方法を見るならば、英文字「black」と「ant」の間には間隔が空いており、「black」の最初の文字「b」と「ant」の最初の文字「a」は他の文字より一際大きな文字で表されている。したがって、需要者が引用商標に接する場合、外観的にも「black」と「ant」は明確に分離して把握されやすい構成になっている。したがって、この構成からは「ant」のみを抽出して捉えることも考えられる。
ここで、「black」の文字は、黒、黒色を意味する平易な英語として親しまれているばかりでなく、繊維業界においては、商品の色彩が黒色であることを表現する文字(語)として用いられている。例えば黒地の背広服をブラックスーツ、黒い色のネクタイをブラックタイの如くに通用しているものがある。このように、引用商標の構成部分のうち「black」の語が、その指定商品について商品の色彩または品質を示すものとみられる以上、「black」の部分には、自他商品識別力は無いものと認識されるので、「ant」の部分のみが自他商品の識別標識としての機能を果たしているのである。
そして、「ant」の英文字も英和辞典に三ツ星が付いていることからもわかるように(甲第5号証)、中学で学ぶ平易な英語であり、需要者は「ant」を見て容易に「蟻」に想到し「アント」と称呼する。
さらに、「black」と「ant」を組み合わせた「black ant」は不可分一体として熟知され、馴染んでいる言葉ではない。例えば、「カタ力ナ語辞典」をみても「ブラックアント」として掲載されている例は無く(甲第6号証及び甲第7号証)、又前記英和辞典を見ても「black ant」の記載は無い(甲第5号証)。さらに、和英辞典の「アリ」を見てもアリの関連語句として「white ant」や「queen ant」「army ant」等は載っていても「black ant」は掲載されていない(甲第8号証)。即ち、「black ant」は我が国において一般に「黒あり」を表す語として観念され親しまれているものではないから称呼上も一連に称呼しなければならない必然性は全くなく、「black」と「ant」がそれぞれ別個に観念されて「black」は単に「黒、黒色」を観念するにすぎない。
したがって、引用商標は「black ant」であっても「black」の部分は指定商品の色彩または品質を表わす「黒色」であって自他商品識別力がなく、「ant」の部分のみに自他商品識別力があり、引用商標の要部は「ant」であり、「アント」の称呼が生じる。
よって、本件商標の「ant」からも「アント」の称呼と「蟻」の観念が生じるので、引用商標の要部の「ant」とは称呼上及び観念上共通であり、本件商標と引用商標は類似関係になる。
このことは特許庁の商標審査基準を見ても首肯できるところである(甲第9号証の1及び甲第9号証の2。)。
この審査基準に従って判断しても、引用商標は、構成文字全体に相応して、「ブラックアント」の称呼を生ずる他、自他商品の識別機能を有しない商品の一般的な色彩表示である「black」の部分が省略されて、それを除いた部分である「ant」の文字、即ち、指定商品の品質等を表示する形容詞文字ではなく自他商品等の識別力を有する文字である「ant」の部分に相応して単なる「アント」なる称呼と「蟻」の観念も生ずる結果になる。
この事実は特許庁の電子図書館の商標出願登録情報検索(甲第10号証)によっても引用商標「black ant」の称呼として、「ブラックアント」に並んで「アント」も挙げられていることによって立証できる。
更に、本件商標と引用商標が類似関係にあることは、昭和56年審判第20178号審決(甲第11号証)、昭和63年審判第19259号審決(甲第12号証)、昭和48年(行ケ)第96号(甲第13号証)判決、平成3年(行ケ)第92号判決(甲第14号証)、昭和57年審判第18119号審決(甲第15号証)の審決例や判決例をみても明らかである。
このような、種々の審判決例からみても、本件商標は引用商標と「アント」の称呼及び「蟻」の観念を共通にする類似商標であることは明らかである。
以上述べたように、本件商標は引用商標と称呼及び観念において類似するので、商標法第4条第1項第11号に該当し登録を受けることができない商標というべきものである。従って、本件商標は商標法第46条第1項の規定により無効とされるべきものである。
(2)尚、引用商標は、ファッション雑誌「Boon 1999年6月号」(甲第16号証)、ファッション雑誌「GETON! 1999年6月号」(甲第17号証)、ファッション雑誌「COOL 2000年6月号」(甲第18号証)のカジュアルの衣料の広告中に掲載され使用されている。
引用商標の図形について、被請求人は「蟻の図形」でなく「羽付の黒蟻の図形」であると留保しているが、羽根の有無にかかわらず蟻の図形であることに変りはない。
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べている。
もし、仮に請求人主張の通り、引用商標中「black」が商品の属性にかかる表記に留まり、指定商品との関係において識別力がないとするならば、引用商標の指定商品は全て「黒の」、又は「黒色の」といった限定がなされなければ商標法第4条第1項第16号に該当するとされたはずであり、実際に黒以外の商品につきこれを使用した場合は、品質誤認を招来し、取引秩序に悖ることになる。
本件商標は、「ant」の文字よりなるところ、請求人の提出に係る英和辞典(甲第5号証)によれば、「ant」の文字(語)は、「蟻」の意味を有する英語であり、中学でも学ぶ平易な英語であることが認められるから、本件商標は、「ant」の文字に相応し「アント」(蟻)の称呼、観念を生ずるものである。
他方、引用商標は、別掲に表示したとおり、図形の下部に「black ant」の文字を横書きした構成よりなるものである。
そして、請求人の提出に係る英和辞典(甲第5号証)、同カタ力ナ語辞典(甲第6号証及び甲第7号証)によれば、「black ant」の文字(語)は成語として記載されていない。
しかしながら、ジーニアス和英辞典(甲第8号証)の「アリ(蟻)」(ant)の項には、アリ(蟻)の関連語句として「army ant」(グンタイアリ)、「carpenter ant」(オオアリ)、「queen ant」(女王アリ)、「white ant」(シロアリ)など各種のアリ(蟻)が記載されていることよりすれば、本件商標を構成する「black ant」の文字は成語として存在しないとしても、「蟻」の種類を全て知り得ていない世人の実情に照らせば、「black ant」の文字に接する取引者、需要者は、「黒蟻」の観念を容易に想起、認識するものというのが自然である。
そうして、引用商標の図形部分は、「black ant」の文字と相俟って、「羽付の黒蟻」を描いたものと看取、理解されるものというのが相当である。
してみれば、「羽付の黒蟻」の図形及び「black ant」の文字よりなる本件商標は、全体として、「ブラックアント」(黒蟻)の称呼、観念のみを生ずるものであって、「black」の文字部分が商品の色彩を表示したものと認識、理解されるものということはできないものである。
そうしてみると、本件商標より生ずる「アント」(蟻)の称呼、観念と引用商標より生ずる「ブラックアント」(黒蟻)の称呼、観念とは、互いに相紛れるおそれのないものというべきである。また、両商標は、外観上も区別し得る差異を有するものである。
この点において、請求人は、繊維業界の実情、商標審査基準、審判決例を等を証左として提出し、述べているが、前記のとおり認定される以上、これらの証左によって前記認定が妨げられるものではない。さらに、請求人の提出に係る引用商標の使用事実(甲第16号証ないし甲第18号証)によれば、引用商標は黒色の商品のみに限定して使用されているものでもない。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても非類似の商標といわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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