Trademark Appeal Case
立体商標の形状識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第12179号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、商標の構成を別紙に示すものとして、平成9年4月1日に立体商標として登録出願されたものであって、その指定商品については、平成10年7月7日付の手続補正書により、第6類「金属製フェンス及びその付属部品、金属製門扉及びその付属部品、金属製ガードレール及びその付属部品」に補正されているものである。
2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、金属製のフェンスや柵などの商品を表したものと容易に認識し得るものであり、これをその指定商品に使用したときは、商品の形状を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨の理由で本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)に商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」30頁においても「3.(1)立体商標制度の導入 ▲3▼需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。
また、意匠法等により保護されている形状について、その理由をもって、当該形状が自他商品識別標識としての機能を果たしているということはできないばかりか、意匠権等に重ねて又は、その権利の消滅後に当該形状を商標登録することにより保護することは、知的所有権制度全体の整合性に不合理な結果を生ずることとなる。
(2)これを本願についてみれば、本願商標は、別紙のとおり、棒状部材と波状部材とを結合した物品の形状を表してなるものであるところ、その指定商品である「金属製フェンス及びその付属部品、金属製門扉及びその付属部品、金属製ガードレール及びその付属部品」との関係においては、その形状の一形態を表したものとみられるものであって、これを本願の指定商品に使用しても、取引者・需要者は、単に指定商品の形状の一形態を表示したものと認識するにすぎないものと判断される。
(3)これに対して、請求人は、本願商標のように創作に係る新規な形状は自他商品の識別力を有し、また、これとほぼ同一の形状が意匠登録されており、本願商標は普通に用いられる方法で表示する標章ではなく、自他商品識別標識としての機能を有し、また、意匠権により、請求人以外に当該デザインは実施できないから、特定の出所からの商品を表すものと認識できる旨主張している。
しかしながら、本願商標に係る金属製フェンス等の形状が通常のものとは異なる新規な形状を示してはいても、それは、専ら、商品の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであること前記(1)で述べたとおりであり、それが直ちに本願の指定商品に関し自他商品の識別標識として機能するとは認め難く、需要者もまた、指定商品の形状の範囲のものと認識するにすぎないというべきであって、本願商標は、全体として、指定商品の形状を表示したものであると認識されるにとどまるというべきである。
さらに、出願に係る立体商標と同一の物品の形状が意匠登録を得ているからといって、このような商品の形状に商標登録を認めるべきでないことは前示のとおりである。
(4)なお、請求人は、「審判請求理由及び証拠補充書」の「6.請求の理由 (2) 2−3)使用による顕著性」の項において、意匠権の取得を理由とする主張をしているが、それ以外には、本願商標が使用により識別力を有するに至った商標であることを示す何等の証左も提出してはいない。
よって、本願商標が使用により識別力を得ているということはできないものである。
4 結論
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとの原査定の認定・判断は正当なものであって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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