Trademark Appeal Case
フルデジタルの記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−3199(T2003−3199/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「フルデジタル」の文字を標準文字により書してなり、第9類「耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシーン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD―ROM,スロットマシン,ウェイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレータ,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCDーROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品として、平成14年3月13日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「フルデジタル」の文字(標準文字)を書してなるところ、その構成中の「フル」の文字は、「全ての,全部の」等を意味する英語「full」の片仮名表記を看取させるものであるから、全体として当該語の持つ意味合いは、「全てデジタル」といった商品の品質を容易に想起させるに止まるというのが相当であり、これをその指定商品中上記に照応する商品に使用したときには、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、「フル」及び「デジタル」の各文字を結合したものと認められるところ、その構成中の「フル」の文字は、「いっぱいの,全部」等を意味する英語「full」に通じる片仮名表記を看取させるものであり、例えば、「フルカラー」、「フルマラソン」、「フルシーズン」等の複合語を構成する語として親しまれているものである。
また、「デジタル」の文字は、「数や量の表示を数字を用いて表す方式、又は、コンピュータが情報を0と1の数字の組み合わせで処理する方式」の意味を有する語(イミダス2004、株式会社集英社発行)として一般に親しまれているものといい得るものであり、本願商標を取り扱う業界においては、普通に使用されているものである。
そして、「デジタル」の文字は、「デジタルテレビ」、「デジタルカメラ」、「デジタルアンプ」等のように、内部回路にデジタル技術を用いたものに使用されており、近年、デジタル化された各種機械器具が市場に流通してることも顕著な事実である。
そうとすれば、本願商標は、その構成全体から、原審説示のとおり「全てデジタル」の意味合いを有するものとして容易に認識、把握され得るものとするのが相当である。
してみれば、本願商標は、その指定商品中、「デジタル集積回路,内部回路をデジタル化した各種機械器具」に使用するときは、その取引者、需要者は、全体として「システム内の信号等を全てデジタル処理するための集積回路,又は、システム内の制御又は信号処理等をする回路を全てデジタル化した各種機械器具」であることを表示したものとして理解し、把握するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
(2)そして、前記の認定、判断は、例えば、次の(a)ないし(h)の新聞記事に、「フルデジタル」の文字が普通に記述的な表現で使用されていることからみても妥当なものとして是認できる。
(a)1992年2月24日付け日刊工業新聞の12頁には「山水電気、フルデジタル・サラウンド機能を搭載したAVアンプ発売」の見出しの下に「山水電気(社長伊波孝彦氏)はフルデジタル・サラウンド機能を搭載したAVアンプ「AV―9500DSP=写真」(価格二十万円)を三月下旬から販売する。生産台数は月間五百台。ドルビー・プロロジックをすべてデジタル信号処理として周波数特性、S/N比、チャンネル・セパレーションを改善。これにより定位感、移動感を向上して映画ソフトの迫力を高めることを可能とした。・・・」の記載がある。
(b)1992年9月26日付け日刊工業新聞の6頁には「ケンウッド、DSP用LSI搭載のAVアンプ発売」の見出しの下に「ケンウッド(電03・3486・5520)は、フルデジタル・ドルビー・プロロジック・サラウンド回路を搭載したAVアンプ「KA―V7700=写真」(価格八万九千八百円)を十月八日発売。新開発のデジタル信号プロセッサー(DSP)用LSIの搭載により、すべての音場再生(サラウンド)をデジタル処理するのが特徴。・・・」の記載がある。
(c)1993年2月26日付け毎日新聞の東京朝刊25頁には「[情報BOX]テレビにつなぐ情報ブレーン「MARTY」ー富士通」の見出しの下に「テレビをキーにしたCD―ROMプレーヤー「FM TOWNS MARTY」=写真=を富士通が開発、発売を開始した。世界初のフルデジタル方式1チップビデオコンバーターを搭載し、テレビ画面でパソコンディスプレー並みの高精度画面を実現。ソフトも約250種類と充実し、テレビを軸にしたマルチメディアが楽しめる。価格は9万8000円。電話03・3646・0816(FMインフォメーションサービス)」の記載がある。
(d)2001年9月26日付け日刊工業新聞の13頁には「シャープ、多チャンネル音声信号をフルデジタル処理可能な多チャンネル再生システム」の見出しの下に「シャープは、「1ビットデジタルアンプ」技術を応用して、サンプリング速度を従来の2倍の毎秒約560万回にしたうえで、多チャンネル音声信号をフルデジタル処理できる再生システムを開発した。アンプ、コントロールセンター、DVD/スーパーオーディオCD(SACD)共用プレーヤーで構成する。ディスクに記録されたデジタル信号をスピーカーから出力する直前まで、音質劣化のないデジタル信号のままで伝送できる。2002年春の商品化を目指す。・・・」の記載がある。
(e)1988年5月19日付け毎日新聞の東京朝刊8頁には「日立建機が超音波デジタル計測器を開発」の見出しの下に「日立建機はこのほど世界でも初めてという「液晶フルデジタル日立DT2000超音波計測器」を開発した。これまで数々の計測法をコンピューターソフトに組み込んだ超音波計測器「UT1000」シリーズの波形処理部分をデジタル化したもの。・・・」の記載がある。
(f)2001年5月29日付け日刊工業新聞の8頁には「電子磁気工業、磁気測定器2種発売」の見出しの下に「電子磁気工業(東京都北区浮間5の6の20、及川芳朗社長、03・5970・8555)は、磁気測定器の新機種2種を開発、7月から発売する。このうち「FM―1501=写真」は永久磁石の磁束測定器で、新開発のV/F変換回路を搭載し、これまでのドリフト成分を排除したフルデジタル機とした。」の記載がある。
(g)1998年2月12日付け日刊工業新聞の11頁には「ダイヘン、フルデジタル制御のパルスMIG自動溶接機を発売」の見出しの下に、「ダイヘンは溶接制御回路をフルデジタル化したインバーター制御のパルスMIG(メタル・イナート・ガス)自動溶接機「デジタルパルスオート350」、「同500=写真」の二機種を、十六日から順次発売する。価格は上位モデルの「500」で一式百五十万円。月産は両機種合わせて百台の予定。新製品は一パルス一溶滴の状態を保つ独自の「シンクロパルス制御」やアーク長制御、パルス波形制御をすべてデジタル化し、制御の応答速度を高めてアルミニウムMIG溶接の安定性を大幅に向上した。」の記載がある。
(h)2002年1月15日付け日刊工業新聞の8頁には「三社電機、フルデジタル溶接機11種発売」の見出しの下に、「三社電機製作所は溶接性能を高め、使いやすくしたフルデジタル溶接機シリーズ11機種(写真)を開発、発売した。・・・ガスコントロールなど溶接条件の設定は、フルデジタル制御によるジョグダイヤルとタッチパネルのワンタッチ操作で簡単にできるようにした。・・・」の記載がある。
(3)そうとすれば、本願商標は、その指定商品中、「デジタル集積回路,内部回路をデジタル化した各種機械器具」に使用するときは、その取引者、需要者をして、商品の品質を表示するものと認識させるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、前記以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(4)なお、請求人は、「フルデジタル」の文字は、構成態様において独自性を有し、現実に、溶接業界において、自他商品識別標識として、需要者間において認識されているものであるから、自他商品識別力を十分に発揮するものであると主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証の7を提出した。
しかしながら、請求人の提出したいずれの証拠も前記(2)(g)及び(h)に記載した他社の溶接機に関する記事よりも後のものであるばかりでなく、しかも、各証拠に記載されている「フルデジタル」の文字は、例えば、「フルデジタル溶接機」(甲第1号証外)、「フルデジタルで高品位溶接」(甲第2号証の1外)、「フルデジタル溶接電源一体型コントローラ採用」(甲第2号証の5)、「フルデジタル制御により、外乱変動や個体差がなく、同じ条件を再現可能」(甲第3号証の1)、「業界初のフルデジタル制御によりTIG溶接機にIT革命」(甲第3号証の2)、「交直両用TIGもフルデジタルへ」(甲第3号証の3)、「フルデジタル溶接電源により、安定した高品位溶接が可能」(甲第3号証の5)の如く、殆どが品質表示的に使用されているものであるから、これをもって需要者間において認識され、かつ自他商品識別力を十分に発揮するものということはできない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であり、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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