結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2003−30720(T2003−30720/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4378281号商標(以下「本件商標」という。)は、「HERCULES」の文字を横書きしてなり、平成7年1月20日に登録出願、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,救命用具,レコード,メトロノーム,オゾン発生器,電解槽,遊園地用機械器具,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,保安用ヘルメット,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,潜水用機械器具,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器,電動式扉自動開閉装置,動力付床洗浄機,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター」を指定商品として、同12年4月21日に設定登録されたものである。
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び同第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その商標登録原簿の記載より明らかな通り、何人にも専用使用権の設定、又は通常使用権の許諾がなされていない。
そして、継続して3年以上日本国内において、登録商標をこれらの指定商品中「レコード,メトロノーム」について、商標権者又は前記使用権者のいずれも商標法第50条の規定の趣旨に沿うような出所を識別する表示として使用しているという事実は、市場において見当たらない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に該当し、取り消しを免れ得ないものというべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 乙第1号証について
(ア)まず、被請求人が他人に通常使用許諾している事実については不知。
(イ)次に、「ヘラクレス」の標章が、ディズニーのアニメーション映画のタイトルとして使用された事実、及び乙第1号証に記載されているように著作物の題号(タイトル)として使用されている事実は認め、その余は争う。
(ウ)無登録の通常使用許諾について
通常使用許諾については、「黙示の使用許諾」も含まれるとの学説もあるが、原則として商標登録原簿に記載されていない限り、否定されるべきである。乙第1号証、同第2号証は、「黙示の使用許諾」の立証に役立たないものである。
イ 乙第2号証について
(ア)被請求人は、「レコード」を販売している事実を立証するために、乙第2号証の枝番の「新譜納品伝票」なるものを多数提出しているが、これは無意味である。
けだし、「レコード」のタイトルとして本件商標を使用している事実を立証することと、出版者、レコード会社等の事業者が、自己の商品の出所を表示するために本件商標を使用している事実を立証することとは、全く別の事柄だからである。
(イ)被請求人の主張する使用態様の「レコード」は、商標上の商品ではない。商標法上の商品は、商標法第1条の規定にマッチするような有体物をいうのであって、書籍やレコードのような著作物は、原則として商標上の商品ではない。請求人は著作物であっても、反復して取引の対象となり、かつ、自他商品の識別力を有する場合には、法概念的に商標上の商品と取り扱っても良いと主張する。
したがって、被請求人の主張する乙号証の使用態様の「レコード」は、商標上の商品ではないと認定するのが相当である。
敷衍すれば、商標上の商品と看做されるのは、本件商標が自他商品の識別力を発揮(出所表示)する場合に限られるというべきである。明らかに映画のタイトルであると認定することができる標章を、「レコード」を指定商品とした場合には、自他商品の識別機能を有しないものとして、商標法第3条第1項第3号の規定で拒絶になる場合と同様である。
(3)結び
以上のとおり、被請求人によって提出された上記乙第1号証及び同第2号証によっては、本件商標が指定商品「レコード、メトロノーム」について、本件審判の請求の登録前3年以内に「商標的な使用態様」で使用されていたことは証明されていないから、本件商標登録は取り消されるべきである。
被請求人は、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証(枝番を含む。)を提出した。
被請求人の通常使用権者であるエイベックス株式会社(以下「エイベックス」という。)は、以下に示すとおり、本件商標を「録音済みのコンパクトディスク」について、本件審判の請求登録日である平成15年6月25日前3年(以下「本件期間」という)以内に日本国内において使用している。
(1)本件商標を使用している者
被請求人は、本件商標について、東京都港区南青山3−1−30所在のエイベックスに通常使用権を許諾しており、エイベックスが商品の製造を行い、エイベックスの製作する音楽・映像ソフトを取り扱う販売会社である株式会社エイベックス・ディストリビューション(以下「エイベックス・ディストリビューション」という。)が商品の販売を行っている。同社は、エイベックスの国内連結子会社である。
なお、エイベックスの前には、被請求人は、株式会社ポニーキャニオンに「HERCULES」の使用を許諾していた。
(2)使用に係る商品・商標
本件商標が使用されている商品(以下「使用商品」という)は、乙第1号証の1ないし5の写真に示すとおり「録音済みのコンパクトディスク」である。そして、当該「録音済みのコンパクトディスク」には、本件商標である「HERCULES」が表示されている。
しかして、使用商品が請求に係る指定商品「レコード,メトロノーム」の中の「レコード」に含まれることは明白である。
(3)使用商品の我が国での使用
使用商品は、被請求人ディズニーのアニメーション映画「ヘラクレス」のサウンドトラックに係るものであり、同映画は、平成9年(1997年)7月26日に我が国で公開された。
まず、使用商品と同様の「HERCULES」の商標を表示した「録音済みのコンパクトディスク」が、株式会社ポニーキャニオンによって1997年7月18日から1999年まで製造販売された。この製造販売時期は、本件期間外であるので詳細は省略するが、同社による販売数量は27,000枚を超えている。
次に、使用商品は、平成12年(2000年)10月12日に、エイベックス・ディストリビューションから、上記映画のサウンドトラックとして発売された。同社による現在までの販売数量は、約800枚である。
乙第2号証は、本件期間内である平成12年(2000年)10月12日にエイベックス・ディストリビューションから、全国各地のレコード店へ一斉に使用商品が納品されたことを証明するものである。
これらの納品伝票は、各レコード店へ納品した商品を商品番号(一般に「レコード番号」といわれている番号である)により特定しているが、乙第1号証の6に示すとおり、使用商品の商品番号は「AVCW−12159」であり、この番号が同納品伝票に表示されている。したがって、乙第2号証の納品書により、使用商品が各レコード店へ納品されたこと(引き渡されたこと)は明白である。
(4)以上のとおり、本件商標は、請求に係る指定商品「レコード,メトロノーム」に含まれる商品について、本件期間内に日本国内において使用されている。
被請求人の提出に係る乙第1号証(枝番を含む。)は「録音済みのコンパクトディスク」(以下「使用商品」という。)を撮影した写真であり、その表面、裏面及び側面の各ラベルには、人物や羽根を有する動物のイラスト等と共に「Disney’s」「HERCULES」、「ヘラクレス」及び「オリジナルサウンドトラック」の各文字、並びに、「発売元 avex inc.エイベックス株式会社」、「販売元 avex distribution」の文字、及びこれらの欧文字の左側に「a」の文字の配された図形(以下「a図形」という。)が表されており、請求人の主張及びこれらの表示よりすると、使用商品は、ディズニーのアニメーション映画「HERCULES(ヘラクレス)」のサウンドトラックに使用された複数の楽曲を収録したいわゆるCDであって、「HERCULES」及び「ヘラクレス」の文字は、収録されている楽曲全体のタイトルに当たり、該CDの発売者がavex inc.(エイベックス株式会社)であり、販売者が「avex distribution」であるということができる。
ところで、商標法上の商標の本質的機能は、商品(役務)の出所を表示し自他商品(役務)を識別する機能にあるといえるから、商標の使用といい得るためには、当該商標の具体的な使用方法や表示の態様からみて、それが出所を表示し自他商品(役務)を識別するために使用されていることが客観的に認められることが必要であると解される。
そうすると、使用商品のCDについてみれば、その出所を表すものは、「発売元 avex inc.エイベックス株式会社」、「販売元 avex distribution」の各文字及びa図形であって、CDに表されている「HERCULES」及び「ヘラクレス」の各文字は、収録されているサウンドトラックの映画の題名、すなわち楽曲全体のタイトルに当たるといえること上述のとおりであり、取引者、需要者は、これらの文字を、該CDの製造販売業者が自己の商品と他の商品とを区別するために使用する識別標識と認識しないことは明らかである。
したがって、乙第1号証は、本件商標を使用商品である「録音済みのコンパクトディスク」に使用した事実を証明するものではないといわなければならない。
他に、本件商標を請求に係る指定商品に使用した事実を示す証拠はない。
したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を、指定商品「レコード,メトロノーム」に使用した事実を証明しておらず、また、使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていないから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中、結論掲記の商品について取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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