Trademark Appeal Case
立体商標の機能性形状
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第16596号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、商標の構成を別紙に示すものとし、第21類「流し台用目皿」を指定商品として、平成9年8月28日に立体商標として登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、『本願商標は、指定商品であるところの「流し台用目皿」との関係からみると、該商品の一形態を認識させる「ステンレス製の流し用の笊、若しくは目笊」の立体的形状のみからなるものであるから、これをその指定商品について使用しても単に商品そのものの形状を普通に用いられる方法をもって表示してなるにすぎないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
なお、出願人は、指定商品の記載を「流し台用目皿」としているが、該商品は「流し用の笊、若しくは目笊」と同様のものと認める。』旨の理由で本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても「3.(1)立体商標制度の導入 ▲3▼需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。
また、意匠法等により保護されている形状について、その理由をもって、当該形状が自他商品識別標識としての機能を果たしているということはできないばかりか、意匠権等に重ねて又は、その権利の消滅後に当該形状を商標登録することにより保護することは、知的所有権制度全体の整合性に不合理な結果を生ずることとなる。
(2) これを本願についてみるに、本願商標は、別紙に示すとおり、流し台用目皿の一形態を表してなるものと認められるものであるから、これを指定商品「流し台用目皿」に使用しても、取引者、需要者は単に該商品の形状を表示したものと認識するにすぎないものと判断するのが相当である。
(3) 請求人は、本願商標が笊本体の内底面に外側面を陥没させることで突出する突出部が形成された特徴的な形状となっており、この笊本体の内低面に形成された突出部の形状は出願人のオリジナルデザインであり、流し台用目皿において、本願商標のこのような形状は、従来において全くなく、出願人以外の製品には一切ない特徴的な形状である旨主張する。
しかしながら、笊本体の内底面に外側面を陥没させることで突出する突出部が形成された形状からなる本願商標は、内低面に突出部を形成させることによって、野菜くず等の水切りを容易にする等、専ら流し台用目皿としての機能をより発揮させるための目的で採択されたとみるのが相当であり、それが直ちに本願商標に関し自他商品の識別性に影響を与えるとは認め難く、需要者もまた、流し台用目皿の形状の範囲のものと認識するにすぎないものとみられるものである。
(4) また、請求人は、本願商標の形状については、意匠登録を受け、他社が同一形状並びに類似形状の商品を従来も全く販売していないだけではなく、今後も全く販売できないことから、十分に自他商品識別力を発揮し得る形状である旨主張している。
しかしながら、意匠法における保護は、同法の目的に基づいて、保護の対象、要件、権利の範囲、効力等が定められているものであって、これらに従った登録意匠の実施と商標の使用とは明らかに異なるものであるから、意匠登録による独占を理由として自他商品の識別力を有するに至ったとは認めることはできないばかりでなく、却って、意匠権消滅後は何人もの実施が予定されているものであるから、請求人の主張は採用できない。
(5) さらに、請求人は、本願商標に係る商品がその販売活動によって自他識別力を発揮するに至っている旨主張し、甲第1号証の1ないし10を提出している。
しかしながら、提出に係る証明書は、いずれも請求人が予め用意した、「本願商標と同一の形状に係る流し台用目皿が少なくとも新潟県内において周知に至っている」旨等を記載した書面に従い証明したにすぎないものであり、この証明書のみをもってしては、本願商標が使用により自他商品の識別性を獲得したものと認定するには、客観性に乏しく、また、不十分といわなければならない。
4 結論
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、また使用により識別力を得ているものとも認められないから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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