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Trademark Appeal Case

「風月堂」の周知性と商標類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2002−635(T2002−635/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1.本願商標

本願商標は、「日本風月堂協会」の文字を標準文字で書してなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成13年1月17日に登録出願されたものである。

2.原査定の拒絶の理由

原査定において、「本願商標は、『日本風月堂(『風』の文字は隷書)』の漢字を横書きしてなり、第30類『菓子、パン』を指定商品として、昭和49年9月12日登録出願、昭和52年9月1日設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続している登録第1296371号商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものである。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3.当審の判断

(1) 原審において、平成13年10月5日付け拒絶理由通知書における理由中、「本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨の拒絶理由について、当審において職権で証拠調べをした結果、次の事実が認められる。

a)「上野風月堂」のホームページ(http://www.fugetsudo-ueno.co.jp/menu.html)において、「風月堂の歴史」の項目には、「風月堂」の暖簾の写真が掲載されており、さらに、以下のとおり、店の創業の歴史と暖簾の由来について記載がある。

「延享4年(1747)小倉喜右衛門は若干17才にして大阪から単身江戸に移り、屋号を『大坂屋』と称し、京橋鈴木町で菓子製造業をはじめた。喜右衛門は姓を『小倉』から『大住』と改め、初代大住喜右衛門を名乗った。喜右衛門は家業発展のための努力を重ね、次第に名声を博し、諸侯の御用を勤めるようになったが、特に閣老松平楽翁(定信)候から御常用菓子の調製を命ぜられるまでになった。喜右衛門は、候の意を体し清浄鄭重を旨とし、自ら調製したその正廉真実を賞され『風月堂清白』の五文字を家号として賜った。これを聞いた水野越中守が、錦上花を添えようと、当時第一の書家市川米庵先生に命じ、白布に『風月』と書かせ、これを店頭に掲げよと授与された。この時をもって『大坂屋』の紺暖簾に代わり『風月堂』の白暖簾が店頭に掲げられることとなった。 因に、『風月』の二文字は、楽翁候の雅号から引用したものとされている。時を同じくして喜右衛門は店を南伝馬町に移した。『風月堂』の名声は広まり、『衆客常に店頭に市を為す』と伝えられている。初代喜右衛門にはじまる。」

そして、「会社案内」の項目の中の、「沿革」の欄には、以下のとおり、現在までの経緯の記載がある。

「明治38年(1905)6代目大住喜右衛門の弟省三郎が分家して、上野広小路

(現在地)に上野風月堂を創業、・・・平成7年(1995)5代目社長大住省一就任。」

さらに、「各地の販売店」の項目には、以下のとおり各地にある販売店が記載されている。

「各地の販売店・・百貨店関係;三越百貨店、高島屋百貨店、西武百貨店、東急百貨店、松坂屋百貨店、京王百貨店、東武百貨店、ロビンソン百貨店、京急百貨店、近鉄百貨店、藤崎百貨店、上野百貨店、岡島百貨店、ボンベルタグループ、中三百貨店、ダックシティグループ、丸栄百貨店、遠鉄百貨店、沖縄リウボウ百貨店他、駅ビル関係;羽田空港ビッグバード、東京駅、吉祥寺駅、小岩駅、市川駅、本八幡駅、大宮駅、交付駅、新静岡センター、名古屋駅他、ホテル・式場関係;帝国ホテル、ホテルニューオータニ、京王プラザホテル、京急ホテルグループ、第一ホテルグループ、ホテルパシフィック、・・・ホテルナゴヤキャッスル他、大型SC関係;イトーヨーカドー、ジャスコ、コニー、ダイエー、長崎屋、東武ストアー、東急ストアー、西友、京急ストアー他、直営飲食店舗;本店喫茶店・レストラン、本郷店喫茶、東急ハンズ三宮喫茶他」

b) 「KOBE FUGETSUDO」のホームページ(http://www.kobe-fugetsudo.co.jp/)における「Company Profile」及び「Store Information」の項中、「Company Profile」中にある「会社案内」の「沿革」の項には、以下のとおり、店の創業の歴史と暖簾の由来について記載がある。

(i)風月堂の歴史と暖簾の由来について、上野風月堂〔前記1)a)に記載〕とほぼ同様の内容の記載。

(ii)店の創業の歴史について、「吉川家は、250年にわたり、代々『吉川屋新七』の屋号のもとに神戸市海岸通三丁目で回漕問屋・旅館業を営んで参りました。ところが明治初年、家業を足袋商に転じ、さらに、洋服商を経て明治26年、町内市田左右太氏のご指導により、初代吉川市三が、東京南鍋町の風月堂に徒弟奉公に入りました。市三は、以来洋菓子を主として、菓子業の修業に鋭意研鑚を積み、無事に勤めを終え、 本店大住様からの『のれん』を頂戴いたし、明治30年12月12日現在の場所に神戸風月堂を開店いたしました。その後、連綿として、この由緒深いのれんを守り、菓子づくり一筋今日に及んだのであります。」の記載。

そして、「Store Information」中にある「店舗のご紹介」の項には、「神戸風月堂の洗練された風味の輪が、大阪・名古屋・東京をはじめ、北は北海道から、南は九州まで全国各地にひろがっています。ご覧になりたい地区をお選び下さい。」の記載のもと「東北・北海道地区、北陸・信越地区、関東・東京地区、名古屋・東海地区、京都・奈良地区、和歌山地区、大阪地区、神戸地区、山陽・山陰地区、四国地区、九州地区」の記載があり、それぞれの地区の項に、各地にある販売店が記載されている。

c) 「台東区製造業ガイド」のホームページ(http://www.taitocity.com/sangyou/s_guide/kigyouHP/fuugetsudou.html)の(株)上野風月堂の項目には、「(株)上野風月堂、 業種: 食料品製造業. 所在地:上野1-20-10,代表者名: 大住省一」の記載、及び「風月堂」の暖簾のかかった店の正面及び商品の写真掲載がある。

d) 「楽天 KOBE FUGETSUDO」(http://www.rakuten.co.jp/kobe-fugetsudo/)のホームページには、「デザート詰め合わせセット」の見出しのもと、「ゴーフルセット ユリ 商品番号14083 価格2,000円」の記載と該商品の写真掲載(「風月堂」の文字が蓋に表示されている。)。

e) 日本経済新聞(1997年12月12日発行)28頁「【全面広告】」の欄に「神戸風月堂は、神戸とともに新世紀へ向かいます。」の見出しのもと、「本日1997年12月12日、おかげさまで私たち神戸風月堂は、創業100年を迎えさせていただきました。」の記載がある。

f) 2001年10月24日付日本食糧新聞には、「スリーエフ、早くも歳暮・クリスマスケーキ予約受付」の見出しのもと、「老舗・名店ギフトは浅草今半牛肉佃煮三○○○円、上野風月堂デリシャスセット五〇〇〇円、ホテルニューオータニ・リーフパイ三三〇〇円など二三品...全国の逸品を産地直送で届ける。」の記載がある。

g) 商標法違反被告事件、大阪高裁昭四〇(う)一号(昭45・4・10刑五部判決(判例時報620号100頁)の判決文中には、「原判示登録商標『風月堂』(大正五年一月二〇日登録第76947号商標)の権利者だった大住喜右衛門の祖先は、古くから大坂において製果業を営んできたが、百数十年間同姓同名の先祖の代に『大坂屋』なる商号の下に江戸の南伝馬町に進出して精を出すうち、諸大名の菓子御用を承る程に繁昌し、その頃商号である『風月堂』に変更するとともに製菓の品質改善に努め、ついに銘菓の店『風月堂』として広く全国に知られるようになり、その後時世の著しい変化にもかかわらず『風月堂』の名声は依然衰えず、代々子孫に受け継がれ、現在においても続いている。」、及び「大住清の本件登録商標が老舗『風月堂』の名菓を表彰する特別顕著なものである事実、・・・、しかも、その区別にあたっては、一般取引先の識別を誤らせるおそれが多分に存在し、・・・大住清の登録商標『風月堂』に類似するものと認めることができる。」の記載がある。

h) 「西洋菓子彷徨始末(せいやうぐわしはうかうしまつ)◆洋菓子の日本史 ◆」(著者:吉田菊次郎、1994年7月6日発行、発行所:朝文社)には、「甘き世界のパイオニア」の見出しのもと、「いつの時代でもその業界をリードする、いわばリーディング・カンパニーというものがあります。明治から大正にかけての洋菓子の勃興期においては、風月堂一家がその役を担いました。パンの世界を制した木村屋同様、その影響力と食文化向上への貢献度の高さは、後生の目からみても計り知れないものがあります。」(171頁)の記載がある。

そして、巻末の、洋菓子の日本略史中には以下の記載がある。

(i)「1868年(慶応四年、明治元年)風月堂は薩摩藩に軍用ビスケットを納入。」(315頁)

(ii)「1877年(明治10年)第一回内国博覧会が開かれ、多数の洋菓子が出品された。風月堂本店は各種洋菓子で、米津風月堂はビスケットで共に受賞した。」(317から318頁)

(iii)「1897年(明治30年)南鍋町米津風月堂よりののれんわけにて、市川市三が神戸風月堂創業。」(320頁)

(iv)「1905年(明治38年)風月堂本店六代目大住喜右衛門の弟の省三郎がのれんを分けられ、上野風月堂が開業した。」(320頁)

(v)「大正時代 風月堂一家が隆盛を極める。」(321頁)

(2) 以上の事実によれば、「風月堂」(「風」の文字は隷書)の文字からなる商標は、我が国において本願商標の登録出願前にはすでに、株式会社上野風月堂及び株式会社神戸風月堂が「洋菓子」に使用してこれら前記の会社の取扱いに係る商品であることを表示するものとして、取引者、需要者の間において広く認識されていたものであり、その状態は現在も継続しているものと認めることができるものである。

(3) 本願商標は、「日本風月堂協会」の文字を書してなるところ、その構成中に、前記(2)で認定したとおり、株式会社上野風月堂及び株式会社神戸風月堂がその取扱いに係る「洋菓子」について使用し、周知、著名となっている「風月堂」の文字を有するものである。

そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、該商品が、これら前記会社と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものとみるのが相当である。

(4) 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するから登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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