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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−89033(T2004−89033/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4736238号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件商標は、「D’S HEADS」の欧文字を標準文字で横書きしてなり、平成15年3月17日登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年12月26日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下の(1)ないし(7)のとおりである。

(1)引用登録第535543号商標は、「HEAD」の欧文字を横書きしてなり、第65類「スキー」を指定商品として、昭和34年4月20日設定登録されたものである。

(2)同じく、同第902541号商標は、「HEAD」の欧文字を横書きしてなり、第22類の登録原簿記載の商品を指定して昭和46年6月21日設定登録、指定商品については、平成13年12月12日付けで、第25類「履物」に書換登録されたものである。

(3)同じく、同第1038256号商標は、「HEAD」の欧文字を横書きしてなり、第17類の登録原簿記載の商品を指定して、昭和48年10月15日設定登録、指定商品については、平成16年8月4日付けで、第25類「被服」に書換登録されたものである。

(4)同じく、同第1070887号商標は、「HEAD」の欧文字を横書きしてなり、第24類「スキー用具、その他本類に属する商品(ただし、マネキン人形、洋服飾り型、及びその類似商品を除く)」を指定商品として、昭和49年6月10日設定登録されたものである。

(5)同じく、同第1513649号商標は、上を頂点とする放物線状の図形に「HEAD」の欧文字を横書きしてなり、第24類「スキー専用特殊ズボン、スキー用アノラック、スキー用ヘルメット、その他本類に属する商品、ただし、マネキン人形、洋服飾り型類を除く」を指定商品として、昭和57年5月25日設定登録されたものである。

(6)同じく、同第1526485号商標は、「ヘッド」の片仮名文字を横書きしてなり、第17類の登録原簿記載の商品を指定して、昭和57年7月30日設定登録、指定商品については、平成15年11月26日付けで、第25類「被服(但し、帽子、ナイトキャップ、ずきん、ヘルメット、すげがさ、頭からかぶる防虫網及び海水帽を除く。)」に書換登録がなされたものである。

(7)同じく、同第1533062号商標は、「HEAD」の欧文字を横書きしてなり、第17類の登録原簿記載の商品を指定して、昭和57年8月27日設定登録、指定商品については、平成15年11月26日付けで、第25類「被服」に書換登録がなされているものである。

そして、上記の各登録商標(以下、総称して「引用商標」という。)は、何れも現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張

請求人は、登録第4736238号商標の登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第280号証を提出した。

請求の理由

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、前記のとおり、「D’S HEADS」の文字を書してなり、「D’S」と「HEADS」の間にスペースが設けられているから、両者は分離して考察されるものである。

そして、商標審査基準に照らせば、ローマ字2字の「D’S」は、単なる記号として看取されるにすぎず、この部分は識別力がないことは明らかであるから、本件商標の要部は「HEADS」の部分であり、引用商標とは外観において、末尾の「S」の差異のみで類似するものであるし、また、称呼においても「ヘッズ」と「ヘッド」で類似するものである。

また、観念においても両者とも「頭」を意味し同一であり、外観、称呼、観念の全てにおいて類似する商標である。

したがって、本件商標は、引用商標と外観、称呼、及び観念上類似する商標であり、本件商標の指定商品「被服、履物、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、請求人の著名な商標「HEAD」を含むものであるから、その出所について混同を生ずるおそれがある。

請求人の商標の著名性、混同のおそれについては、以下のとおりである。

請求人は、オーストリア国ケンネルバッハに本社を置くオーストリア法人であり、1950年の創業以来50年あまりにわたり、世界中において大規模な事業を展開してきた一流スポーツメーカーである(甲第45号証)。

請求人は、スキー用具、テニス用具、その他運動用バッグ、ウェア、アクセサリー等を世界中で大々的に販売し、請求人のハウスマークである「HEAD」は、一流スポーツブランドとして世界中に著名となり、高い信頼と名声を獲得し、世界中の人々に支持されてきた(甲第46号証乃至同265号証)。

請求人は、テニスラケット及びスキー製品の販売に関しては、その品質の高さと信用から、世界第3位の売上げを有しており、例えばスキーのシェアは全世界で約16%にも及ぶ。

このように、商標「HEAD」は、その品質の高さとその歴史及び大規模な宣伝広告やイベント活動等を背景に、高い信用と名声を獲得した世界一流スポーツブランドとして、スポーツファンをはじめ、世界中の人々に深く浸透している。

そして、本件商標中、単なる記号にすぎない「D’S」は、その印象が非常に弱いこと、及び請求人HEAD社の商標「HEAD」は、上述のとおり「被服、履物、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」などについて著名であることから、「HEADS」の部分が強く印象づけられ、本件商標に接した取引者・需要者は、「HEADS」の部分を記憶し、略称して商品選択をするものといえる。

そうとすると、本件商標に接する取引者・需要者は、請求人の著名商標「HEAD」を想起し、請求人の製造・販売に係る商品であると誤認混同するおそれがある。

すなわち、本件商標をその指定商品に使用すると、被請求人と経済的又は組織的に何等かの関係があるかの如く、その出所について取引者・需要者が誤認・混同することは明らかである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

(3)商標法第4条第1項第19号について

前記のとおり、請求人のブランドは、スポーツ用品や被服について世界的に著名であるため、被請求人も当然請求人ブランド「HEAD」を知っているものと推認できる。

そうであるならば、被請求人は世界的に著名な「HEAD」商標に類似する「HEADS」に識別力のない「D’S」を付して本件商標を登録したものであり、不正の目的をもって出願・登録したものと推測できる。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。

以上のとおり、本件商標は、その査定時に商標法第4条第1項第11号に該当し、その出願時及び査定時に同第15号、及び同第19号に該当したものであるから、商標法第46条第1項第1号に基づき、その登録を無効にすべきものである。

第4 被請求人の答弁

上記請求人の主張に対し、被請求人は、何ら答弁するところがない。

第5 当審の判断

請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当すると主張しているので、以下、この点について判断する。

1.引用商標の著名性について

請求人が提出した甲第46号証は、厳選された486ブランドの一流商品2237点が収録されている「男の一流品大図鑑’86年版」であり、そのなかに、請求人の商標「HEAD」が付されたスキー板が1986年のニューモデルとして掲載されている。

また、甲第47号証は、同じく厳選の541ブランドが収録された「男の一流品大図鑑’88年版」であるが、これには、上記スキー板のほか、テニスラケットについての請求人の商標「HEAD」が掲載されている。

甲第48号証は「男の一流品大図鑑’94年版」であり、テニスラケットについて請求人の商標「HEAD」の掲載が認められる。

そして、上記の書証は何れも発行日等は明確ではないが、’86年版、’88年版、’94年版であるところから、何れも本件商標の出願前の’86年、’88年、’94年前後に発行されたものと推認されるものである。

さらに、上記のスキー板、テニスラケットのほか、本件商標の出願前に発行された雑誌において、スキー靴(甲第64号証ないし67号証,144号証)、スキーウェア(甲第77号証ないし同第91号証)、テニスシューズ(甲第69号証ないし同第75号証)、スポーツウエア等について、商標「HEAD」が大々的に使用されていることが請求人提出の上記甲各号証ほかにより認めることができる。

また、甲第250号証ないし甲第257号証には、以下の各種雑誌に「HEAD」のスキー用具の広告が掲載されている。

すなわち、’76年、’78年、’79年、’80年、’81年、及び’83年の各「世界のスキー用具」(別冊『山と渓谷』skierほか)、’82年、’82年の「SKI EQUIPMENT CATALOG」において、また、甲第258号証ないし甲第263号証の「世界のスキー用品(具)」(全日本登山とスキー用品専門協会発行)において、’84年から’86年、’89年、’90年、及び’94年にかけて、それぞれ商標「HEAD」が掲載され、スキー用具等に使用されていることが認められる。

以上のことから、請求人の提出した甲各号証を総合的に勘案すると、請求人の商標「HEAD」は、スキー用具及びその他スポーツ用品について、本件商標の出願前はもちろんのこと登録査定時においても、わが国において広く知られた商標と認めることができる。

2.商品の出所の混同のおそれについて

本件商標は、前述のとおり、「D’S HEADS」の文字を横書きしてなるものであるところ、「D’S」の文字と「HEADS」の文字との間に1字程度の間隔があること、及び両文字が結合して特定の意味合いを構成するものとも認められないことから、両文字は分離して把握、認識されるというべきである。

そして、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成中、前半部の「D’S」が、「D」の文字に所有格の符号であるアポストロフィーを付し「S」の文字を結合してなるから、「Dの〜」等の意味合いを認識させるものであって、該文字部分が特に注意をひき、印象に残る部分とは言えないものと判断するのが相当である。

これに対し、後半部の「HEADS」の文字部分は、「頭」を意味する英語として親しまれた「HEAD」の文字に複数形の「S」を付記したものと容易に認識されるものであり、そうとすれば、該「HEADS」の文字部分が特に注目をひき、印象に残る部分であるとみるのが相当である。

しかして、該「HEADS」の文字と前記1.で述べたように請求人の著名商標である「HEAD」とは、語尾における「S」の文字の有無に差異を有するものであるが、該「S」の文字は、名詞の複数形を表すためにその名詞の語尾に付して使用されるものであって、「S」の文字の有無によりその意味合いや構成全体に大きな影響を与えるものとは言えないものというべきである。

そうすると、「HEADS」の文字と引用商標「HEAD」の文字とは、観念はもとより、その外観において、また、本件商標から生ずる「ヘッズ」と引用商標から生ずる「ヘッド」の各称呼においても、極めて近似した商標と言わざるを得ず、しかも、引用商標「HEAD」は、前述のとおり、スキー用具及びスポーツ用品等について取引者、需要者間に広く知られた商標と認められるものである。

また、本件商標の指定商品は、上記スキー用具及びスポーツ用品等と同一又は類似の商品か密接な関係にある商品といえるものである。

してみれば、本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「HEAD」の文字部分に着目して、その商品が請求人の製造、販売に係る商品であると連想、想起し、請求人又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものと言わざるを得ない。

3.結論

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号に基づき、その登録を無効とすべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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