Trademark Appeal Case
役務の質の表示と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第3331号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「わかりやすい実務法学シリーズ」の文字(標準文字)を横書きしてなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,図書及び記録の供覧,映画の上映・制作又は配給,ビデオテープ映画の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送用番組・広告用のものを除く),放送番組の制作,セミナーの企画・運営又は開催,セミナーに関する情報の提供,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),文化又は教育のための展示会の企画・運営又は開催,その他のスポーツの企画・運営又は開催(相撲・ボクシング・野球の興行の企画・運営又は開催を除く),映写フィルムの貸与,ビデオテープ映画の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済みテープの貸与,書籍の出版の代行」を指定役務として、平成9年4月2日に登録出願されたものである。
2 原審の理由
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、指定役務との関係上、わかりやすく実務法学について学習することができる内容をシリーズ化した叢書やビデオ映画等であることを容易に想起させる『わかりやすい実務法学シリーズ』の文字を普通に書してなるものであるから、これをその指定役務中、例えば、上記内容を提供する『知識の教授,図書及び記録の供覧,映画の上映・制作又は配給,ビデオテープ映画の制作,教育用ビデオの制作(映画・放送用番組・広告用のものを除く),放送番組の制作,セミナーの企画・運営又は開催,セミナーに関する情報の提供,教育のための展示会の企画・運営又は開催,映写フィルムの貸与,ビデオテープ映画の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済みテープの貸与,書籍の出版の代行』に使用する場合には単に役務の質を表示するにすぎないものである。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」と認定して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は前記に示したとおり、「わかりやすい実務法学シリーズ」の文字(標準文字)を書してなるものであるところ、その構成中の「わかりやすい」の文字部分は「理解するのが簡単である。また、見つけるのがたやすい。」(岩波書店発行「広辞苑第5版」)の意味を有するものである。
また、同じく「実務法学」の文字部分は「実務」が「実際の事務。実地に扱う業務。」(広辞苑第5版)の意味を有する語であり、また、「法学」が「法律学に同じ。(法律学;広義では法に関する体系的な学問を指し、法解釈学のほかに、法哲学・法制史・法社会学・比較法学・立法政策などを含む。狭義では実定法の内容を体系的・整合的に説明する法解釈学(解釈法学)を指す。法学。)」(広辞苑第5版)を意味する語であるところから、「実際に行う業務に即した法律学」なる意味合いを表したと理解されるものである。
さらに、「シリーズ」の文字部分は「(連続・系列の意)連続性を持つ一連のもの。」(広辞苑第5版)を意味する語である。
してみると、本願商標は、全体として、「理解するのが簡単な、実務に即した法律学シリーズ」なる意味合いを表したと理解されるというのが相当である。
そしてまた、1987年8月18日及び1987年8月17日付読売新聞(東京、朝刊)には、「筑波大の夜間大学院構想」と題する記事において、筑波大学が設置する夜間大学院に関し、「科目も社会のニーズに応えたユニークな内容のもの」で「企業レベルでの実務的な法律を学ぶ『実務法学』など..」の記載が認められる。さらに、1991年12月5日付毎日新聞(東京、朝刊)には、「大学院時代への期待と注文−−文部省の大学審議会の答申」と題する記事において、大学院を倍増する理由の一つに「高度な専門知識を持った人材の養成と、社会人のリカレント教育(再教育)への期待が高まっていること」を挙げ、「大学院の拡充」として、「学部教育だけでは不十分な経営システム、社会情報システム、実務法学、..などが大学院に期待されている」なる記載が認められるところである。
上記事情よりすると、前記意味合いを理解させる本願商標をその指定役務中の「実務法学に関する『知識の教授,図書及び記録の供覧,映画の上映・制作又は配給,ビデオテープ映画の制作,教育用ビデオの制作(映画・放送用番組・広告用のものを除く),放送番組の制作,セミナーの企画・運営又は開催,セミナーに関する情報の提供,教育のための展示会の企画・運営又は開催,映写フィルムの貸与,ビデオテープ映画の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済みテープの貸与,書籍の出版の代行』」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、提供される役務の質(内容)を表したと認識するにとどまり、自他役務の識別標識たる商標とは認識し得ないものといわざるを得ない。
また、前記役務以外の「知識の教授,図書及び記録の供覧,映画の上映・制作又は配給,ビデオテープ映画の制作,教育用ビデオの制作(映画・放送用番組・広告用のものを除く),放送番組の制作,セミナーの企画・運営又は開催,セミナーに関する情報の提供,教育のための展示会の企画・運営又は開催,映写フィルムの貸与,ビデオテープ映画の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済みテープの貸与,書籍の出版の代行」について使用するときには、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法条を根拠に本願を拒絶した原査定は妥当であって、これを取り消すことはできない。
なお、請求人は、登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきものである旨を主張するが、請求人が挙げた登録例のうち、「〜研究会」、「〜協会」等は、全体として団体の名称と理解され、構成全体をもって自他役務の識別機能を果たし得るものといえる。また、同じく請求人の挙げた登録例のうち上記以外の殆どのものは、指定商品との関係を考慮すれば、当該商標が商品の品質(内容)表示となり得ないものであるから、これらの登録例は、本件とは事案を異にするものである。
さらに、請求人が甲第19号証として挙げた、請求人の出願に係る「わかりやすい実務法学シリーズ」(第16類)は、その指定商品を「雑誌,新聞,写真,写真立て」として登録されたものであるところ、その指定商品中の「雑誌,新聞」は、書籍等特定の著作物とは異なり、毎号その内容を異にするものであるから、たとえ本願商標と同一の構成文字よりなる商標を使用したとしても、商品の品質(内容)表示とはなり得ないものであり、かつ、「写真,写真立て」の品質表示となり得ないこと明らかである。一方、本願商標は、これを前記指定役務について使用した場合は、役務の質を表示し、かつ、前記役務以外に役務について使用した場合は、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあること前記のとおりである。したがって、本願商標とその構成を同一にする商標が商品区分第16類の「雑誌,新聞,写真,写真立て」を指定商品として登録されたことをもって、本願商標も登録されるべきであるとする請求人の主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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