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Trademark Appeal Case

容器形状の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2002−65061(T2002−65061/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第3類「Soaps,perfumery goods,essential oils,cosmetics,hair lotions.」を指定商品として、2000年9月13日付けFranceにおいてした商標登録出願を基礎としたパリ条約第4条による優先権を主張し、2001年(平成13)年1月31日を国際登録の日とするものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、その指定商品の包装容器の形状を表示するものであるから、これに接する取引者、需要者は、これより、包装用容器の立体的形状であることを認識するにすぎない。したがって、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、単に商品の包装容器の形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として採択されるものではない。

そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。

また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

(3)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおり、円柱形のものを三段に組み合わせ、上中下段をややずらした形状よりなるところ、例えば、容器を取扱う業界においては、円柱形の容器を複数段組み合わせて数種類の物品を入れることが可能な容器が販売されている実情が認められることから、本願の指定商品との関係において、本願商標は、前述の変更等が見らるとしても、化粧品等を収納する容器の形状としての一形態を表したと認識されるに止まり、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に商品の収納容器と認識するにすぎないものと判断するのが相当である。

(4)請求人は、「近年特許庁では、商品や商品の包装(以下、商品等)の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではなく、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それが商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的に、自他商品を識別するための標識として採択されるものではなく、全体としてみた場合に、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、その形状の変更や装飾が多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないとして、商標法第3条第1項第3号を適用して立体商標出願を拒絶する査定及び審決が数多くみられる。しかしながら、商品等の形状に特徴を持たせる場合は、自他商品識別力を発揮させることを目的とした形状であっても、同時に美感を追求することは当然のことであり、自他商品識別力を発揮させるために商品の美感を無視した形状を採択することは、通常、考えられない。また、商品等の形状に特徴を持たせる場合は、美感を追求すると共に、他の商品との識別力を兼ね備えている形状を採択することがあたりまえであり、美感のみを追求して、販売時に他社の商品との見分けがつかないような形状を採択することは考えられない。したがって、本願商標は、容器としては極めて珍しい特徴的な形状であるから、本願商標は、十分に自他商品の識別標識として機能を持つものであって、商標法第3条第1項第3号に該当するものではなく、商標登録を受けることができるものである。」旨主張する。

しかしながら、本願の指定商品中の化粧品、芳香剤等の商品においては、商品の形状をその商品との機能、効果等から特定の形状にしなければならない必要性が薄く、商品等の外観上の特徴が需要者の購買心理、選択意欲、消費行動等に重要な影響を与えると考えられ、その商品に市場における流行や需要者の用途、嗜好等に合わせた各種の特徴的な変更、装飾等が施される実情が認められる。

その場合、立体的形状に施されたその種の変更、装飾等は、外観上同種の商品等の形状と比較し特徴的なものと認められるとしても、それらは専ら需要者が商品を選択するに際して、外観上の美感、若しくは魅力的な形状という嗜好上の意味合いを与えているにすぎず、それは未だその商品等の形状であると認識するに止まるものである。

したがって、そのような変更、装飾等は自他商品の出所を表示する識別標識として機能しているものとは認められないものであるから、その立体商標の形状の全体を観察しても識別力を有するものとは認められない。

そして、本願商標は、前記認定のとおり、その形状が特徴的なものであっても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであり、商品等の形状を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標というべきであって、本願商標は、その形状に特徴をもたせたことをもって自他商品の識別力を有するものとは認められないことは(1)で述べたとおりである。

また、請求人は、「本願商標は、特に指定商品に用いられる容器としては過去に例がない形状であって、インーターネットを使って化粧品や香水等のメーカーのホームページを確認してみても、この国際商標登録出願に係る立体商標のような形状をした容器は見つけることができない。」旨主張するが、商標法第3条第1項第3号の商品の品質・形状等を表示する標章とは、商品の品質・形状等を表示する標章として認識されるものであれば足り、その標章が現実に使用されていることは必ずしも要求されないものと解すべきであるから、請求人の該主張も採用することができない(東京高裁昭和52年(行ケ)第82号判決参照)。

(5)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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