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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2003−90801(T2003−90801/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4705889号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4705889号商標(以下「本件商標」という。)は、平成14年5月27日に登録出願され、別掲のとおりの構成よりなり、第14類「身飾品」を指定商品として、平成15年9月5日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立の理由の要旨

1 本件商標は、平成6年9月12日に登録出願され「KIRIN」の欧文字を横書きしてなり、第14類「金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶及び水盤,貴金属製針箱,貴金属製宝石箱,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製コンパクト,貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉及びその模造品,宝玉の原石,時計」を指定商品として、平成9年4月11日に設定登録された登録第3277162号商標(以下「引用商標」という。)に類似し、かつ、その指定商品も同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

2 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の所有する登録第2030862号商標及び登録第4433606号の1商標は、申立人の商標として、広く一般に知られているから、これと類似する本件商標が使用された場合、申立人の業務に係る商品であるかのごとく商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

第3 本件商標に対する取消理由

当審における平成16年7月15日付け取消理由通知書の内容は、要旨下記のとおりである。

本件商標は、平成14年5月27日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、第14類「身飾品」を指定商品として、平成15年9月5日に設定登録されたものである。

他方、申立人が引用する引用商標は、平成6年9月12日に登録出願され、「KIRIN」の文字を横書きしてなり、第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年4月11日に設定登録され、現に有効に存続するものである。

そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、別掲に示すとおり、左端に「K」の文字を大きく表し、これに接するように、上段にやや小さく「IRIN」の文字を書し、その下段にやや大きく「CRAFT」の文字を書してなるものであるところ、その構成は格別特殊な態様とは認められず、「KIRIN」の文字と「CRAFT」の文字を組み合わせたものと容易に看取できるものである。そして、その構成中「CRAFT」の文字部分は、「手工芸、工芸」を意味する語として広く一般に親しまれているばかりか、本件商標の指定商品「身飾品」との関係において、「手工芸品」であることを記述した商品の品質表示部分であって自他商品識別標識機能を果たし得ないか、極めて薄い部分といわなければならない。

そうとすれば、本件商標を構成する「KIRIN」と「CRAFT」との各文字を常に一体不可分のものとしてのみ把握、理解しなければならない格別の事情も見出すことが出来ない。

してみると、本願商標の要部は、上段に書された「KIRIN」の文字部分にあるとみるのが相当であるから、該文字に相応して単に「キリン」の称呼をも生ずるものである。

一方、引用商標は、その構成文字に相応して「キリン」の称呼を生ずること明らかである。

してみれば、本件商標と引用商標は、「キリン」の称呼を共通にする称呼において類似する商標といわざるを得ない。また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品中に包含されていること明らかである。

したがって、本件商標は、商標法法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわなければならない。

第4 商標権者の意見の要点

本件商標は、全てを一体化した構成で表され、当初より一体のものとして顧客に「キリンクラフト」のシルバージュエリーのマークとして親しまれている。そして、その構成上からも、実際の取引の上からも「KIRIN」と「CRAFT」の二つの文字を切り離して認識する事は無理がある。

本件商標の商標権者であるキリンクラフト有限会社は、平成11年8月に

設立され、身飾品(主にシルバーアクセサリー)の販売、作成を行っており、本件商標を使用するシルバーアクセサリーブランドの「KIRIN CRAFT」を平成12年に発表し、その後、各ファッション雑誌や、専門の雑誌等に多数掲載されている。

今日、身飾品(特にシルバーアクセサリー)の部門においては「KIRIN CRAFT」の名前は「キリンクラフト」の呼称とともに、十分に知られているものである。

第5 当審の判断

前記「第3」の取消理由は、妥当なものであり、これに対する商標権者の意見は以下の理由により採用できない。

商標権者は、本件商標の構成上からみて、本件商標を「KIRIN」と「CRAFT」の各文字部分に分離することは無理があること、及び取引上、本件商標は、身飾品(特にシルバーアクセサリー)の部門において、「キリンクラフト」の呼称として十分に知られていること、の旨主張する。

そこで、先ず、前段の主張について検討する。

確かに、商標は、その構成全体によって他人の商標と区別するものであるから、格別の事情がない限り、商標の一部を抽出して他人の商標と類否を判断することは適当でない。しかし、簡易、迅速を尊ぶ商取引の実際において、分離抽出することが取引上不自然であると思われるほど不可分一体に結合していると認められない商標にあっては、必ずしも構成全体をもって称呼、観念されず、その一部をもって取引に資しすることは経験則の教えるところである。

とすれば、本件商標は、取消理由で開示したとおり、本件商標を不可分一体のものとしてのみ把握、理解しなければならない格別の事情は見当たらないから、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標を適宜分離抽出して、その一部の称呼によって取引に当たることも決して少なくないものといわなければならない。

してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して「キリンクラフト」の称呼の他、「KIRIN」の文字部分に相応して「キリン」の称呼をも生ずるものと認められる。

次に、後段の主張について検討する。

商標の類否を判断する上で、指定商品に係る取引の実情は、でき得る限り明らかにしその具体的取引状況に基づいて判断しなければならないところ、商標権者は、本件商標は「キリンクラフト」の称呼とともに、十分知られている旨主張するのみで、その主張を裏付ける証拠の提出がない。

なお、提出された雑誌の写しからは、「KIRIN CRAFT」の商標が商品「身飾品」について使用されている事実を認めるにしても、本件商標が不可分一体のもとしてのみ取引に資されているとするに足りる証拠とはいえない。

してみれば、商標権者は、同人の主張を裏付けるべく取引の実情を立証したものと認められないから、結局、本件商標は、取消理由で開示したとおり、その構成中「KIRIN」の文字部分から、単に「キリン」の称呼をも生ずるものといわなければならない。

以上のとおり、商標権者の意見は、いずれも失当であり採用することができない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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