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Trademark Appeal Case

称呼の類似性とローマ字読み

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2003−90853(T2003−90853/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4713954号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4713954号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成14年9月13日に登録出願され、第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同15年10月3日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

(1)引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、下記の2件の登録商標を引用している(以下、これらの商標を総称して「引用各商標」という。)。

(a)国際登録第751646号商標は、「SOLVAY」の欧文字を横書きしてなり、2000年8月11日ベネルックス国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、第1類、第3類、第5類、第10類、第16類、第18類、第19類、第24類、第27類、第30類、第31類及び第40類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2001年1月18日に国際登録、我が国においては、平成14年7月26日に設定登録されたものである。

(b)国際登録第751647号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、2000年8月11日ベネルックス国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、第1類、第3類、第5類、第10類、第12類、第16類、第17類、第18類、第19類、第24類、第27類、第30類、第31類、第40類及び第42類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2001年1月18日に国際登録、我が国においては、平成14年4月26日に設定登録されたものである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「解く、解決する」等の意味合いを有する英語「solve」と同一の綴り字であることから、当該英語の発音に照応して「ソルブ」の称呼が生ずるが、広く一般に知悉された語でもないから、いわゆるローマ字読みによって「ソルベ」の称呼も生ずる。

一方、引用各商標は、構成する欧文字に照応して「ソルベイ」及び「ソルベ一」の称呼が自然に生じる。

してみれば、本件商標と引用各商標の称呼の唯一の相違は、語尾における「イ」又は長音の有無のみであるが、語尾の「イ」又は長音は、前音の「べ」に吸収され、明瞭に発音されることも聴取されることもないから、両称呼は、ほぼ同一のものとして聴取されるものであり、両者の指定商品も抵触するものである。

(3)商標法第4条第1項第15号について

申立人は、ソルベイ法と称される革新的な炭酸ナトリウムの工業的製法を発明した世界的に著名な化学技術者であるアーネスト・ソルベイがベルギーでソルベイ社を創業したことに始まり、1865年からソルベイ法による炭酸ソーダの製造を開始して以来、その業務範囲を拡大し、化学品、合成樹脂、プラスチック成形、医薬の各部門を中心に、多種多様な製品の製造販売事業を展開している。2002年末の時点で、ソルベイグループは、日本を含めて世界40カ国に400カ所以上の生産販売に関する事業所を有し、同年末の売上高は、79.2億ユーロ(約1兆300億円)に達しており、我が国における新聞や雑誌でも度々報道され、宣伝広告活動も継続的に行われている。

したがって、本件商標は、これがその指定商品に使用された場合、これに接する取引者・需要者は、その商品が恰も申立人の業務に係る商品であるか又は申立人と経済的に関連のある者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがある。

(4)よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、別掲(1)に示したとおり、「SOLVE」の欧文字をややデザイン化した構成からなるところ、該語は、例えば、株式会社三省堂発行「コンサイス英和辞典」によれば、高校学習語としての表示があり、「解く、解決する」等の意味を有し、「ソルブ」と発音される英単語として知られているものである。この点について、申立人は、本件商標からはローマ字風の称呼をも生ずる旨主張しているが、その綴りからみれば、「L」及び「VE」の綴りからなるローマ字表記はなく、むしろ、ローマ字風の読みをすることの方が困難なことというべきである。

そうとすれば、本件商標からは「ソルブ」の称呼のみを生ずるものとみるのが相当である。

他方、引用各商標は、申立人も主張しているように、構成する欧文字に相応して「ソルベイ」あるいは「ソルベ一」の称呼を生ずるものと認められる。

そこで、この両称呼を比較するに、両者は、3音対4音という構成音数において明らかな差異を有するばかりでなく、第3音目において、「ブ」と「ベ」の音の差異を有するものである。そして、この両音は、いずれも破裂音であって、該音自体比較的明瞭に発音・聴取されるものであることに加えて、「べ」の音は、その母音「e」が有声の開放音であることから、一層明瞭に発音・聴取されるものである。そうとすれば、この「ブ」と「ベ」の音の比較においてだけでも、両者の称呼には明瞭な差異を認めることができるばかりでなく、引用各商標の称呼には、本件商標の称呼にはない「イ」あるいは「エ」の長音をも有するものである。

してみれば、これらの音の差異が比較的短い音構成からなる両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、両者は、これをそれぞれ一連に称呼するも、全体の語調・語感を異にし、彼此相紛れるおそれはないものとみるのが相当である。

その他、本件商標と引用各商標とを類似のものとすべき特段の事情は見い出せない。

してみれば、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標である。

なお、申立人は、審決例を挙げているが、それら審決例で争われている商標は、いずれも、本件とは事案を異にするものであるから、本件商標と引用商標との類否の判断を左右することにはならない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

上記したとおり、本件商標と引用各商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用各商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。

(3)むすび

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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