Trademark Appeal Case
「サンブロック」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 判定2004−60006(T2004−60006/J6) |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | other |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第1063069号商標(以下「本件商標」という。)は、「サンブロック」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和46年11月2日登録出願、同49年4月18日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新申請を経て、平成15年12月24日に指定商品の書換登録申請があり、同16年5月26日に第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」と指定商品の書換登録がなされたものである。
第2 イ号標章
被請求人が商品「日やけ止め乳液」について使用しているイ号標章「サンブロック」は、別掲に示すとおりの構成よりなるものである。
なお、判定の対象となる商品及びイ号標章については、本件判定請求書の記載では不明確であると判断し、当審において、平成16年6月8日付けで審尋を発し、請求人からの同年6月24日付け回答書により、上記商品及び別掲のイ号標章として特定されたものである。
第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第33号証を提出している。
1 判定請求の必要性
請求人は、本件商標の商標権者であるが、平成15年夏に、被請求人が発行する印刷物と販売する商品において本件商標を使用していることを発見した。
請求人は、被請求人に対して同年7月に「サンブロック」及び、これに類似する「SUN BLOCK」の使用中止要請を行った(甲第4号証)。
これに対し、同月、被請求人は、「『サンブロック』及び『SUN BLOCK』の語は、日焼け止めクリーム等を示す普通名称として辞書等にも掲載され、一般消費者にも知られており、また、これを商品名に使用する日焼け止めクリーム等がわが国において各種販売されているから、商標権の効力は及ばないので要求は理由がない。」と回答した(甲第5号証)。
本件商標は登録後30年を経過しているが、請求人は、その間、本件商標を自社及び関連会社で使用し、かつ、同業他社に使用許諾し登録商標としての管理を行ってきた。
そして、前記の被請求人に対する要請も普通名称化防止等のための商標管理の一貫として行ったものである。
そこで、本件請求により、イ号標章が請求人の商標権の効力の範囲に属するか否かを明らかにしたいとして、判定を求めるものである。
2 イ号標章の説明
被請求人は、外箱の正面部分中央に太字の片仮名文字で「サンブロック」の文字を書してなる「日やけ止め乳液」を販売している(甲第8号証第一葉)。
3 イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明
被請求人は、請求人に対して「サンブロック」の文字は普通名称であると主張し、甲第10号証ないし同第14号証を送付した。
しかしながら、甲第10号証ないし同第13号証は、「SUN BLOCK」の欧文字の記述であり、「サンブロック」の片仮名文字が記載されているものは甲第14号証のみにすぎない。
そして、化粧品に関する専門分野の出版物において「日焼け止め」の別表示として普通に使用されているのは「サンスクリーン」の文字であり、一般的な出版物においても「サンブロック」及び「SUN BLOCK」の表現は見いだせないものである(甲第15号証ないし同第33号証)。
また、イ号標章は、独立して認識される態様であるから、「SUN BLOCK」の音を表示したものと認識されるものではない。
本件商標とイ号標章の類否については、両者は文字の種類、文字の配置、文字数、音数も同一であって、外観、称呼において類似する。
さらに、観念については、両者は特定の観念を生じにくい文字構成であるから互いに造語的に認識される点で類似するものである。
したがって、イ号標章は普通名称とはいえず、本件商標とイ号標章は同一又は類似するものであり、イ号標章が使用されている「日やけ止め乳液」は、本件商標の指定商品と同一又は類似の商品であるから、イ号標章は本件商標の効力の範囲に属するものである。
4 被請求人の答弁に対する弁駁
(1)イ号標章の使用について
請求人は、被請求人の商品表示におけるイ号標章「サンブロック」が独立して認識されることを指摘した。
しかし、被請求人は、独立して認識されることへの答弁を行わず、「英語『SUNBLOCK』を商品『日焼け止め(クリーム、ローション等)』の正式表示として使用しており、読みやすさのために片仮名文字で付記したものである。」旨述べているものである。
そして、被請求人は主張するのみで、正式表示としている証明を提出していないので、その使用を確認することはできない。
また、被請人は、「イ号標章は『sun block』の読みを付記したものである」旨述べているが、表示が量的に多く、かつ、目立つ態様で表示されているものであるから付記とは認識されないものである。
(2)「サンブロック」商標の識別性について
本件商標は30年の歴史を有するのであり、複数程度の辞書等の記載をもって普通名称とはいえない。
そして、被請求人は、「日本国特許庁に対してなされる特許出願の明細書本文に『サンブロック』の語が『日焼け止め』を意味するものとして多用されているから、『サンブロック』の語は普通名称である。」旨述べているが、該明細書は4件にすぎず、特許出願の明細書には登録商標であることを記載していない案件も見られることから、該明細書に記されたことをもって普通名称化されたとの理由にならない。
また、被請求人の主張する外国の事情については、法が各国独立である世界において、特定の外国の事情をもって我が国において普通名称となっている理由にはならない。
仮に、英語「SUNBLOCK」が普通名称であるとしても、その読みに相当するものを片仮名文字で表示した場合に、それが基となった表示とは必ずしもいえない。
したがって、本件商標は普通名称または品質表示といえず、識別力を有し、誤認混同を生ずることもなく過誤登録ともいえないものである。
(3)本件商標の効力について
被請求人は、請求人が本件商標の使用を認めている許諾先の商品が「日焼け止め化粧品」に限定されていること、及びその他化粧品販売に係る各社のインターネットのホームページを徴して、「本件商標が普通名称である」旨述べているが、いずれもその理由を説明していないので、該主張は認められない。
したがって、イ号標章は本件商標の効力の範囲内に属するものである。
第4 被請求人の主張
被請求人は、商品「日やけ止め乳液」について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しない。との判定を求めると答弁し、その理由を要旨以下のとおり述べ、その証拠方法として乙第1号証ないし同第21号証(枝番を含む。)を提出している。
1 イ号標章の使用について
被請求人は、その販売に係る商品「日やけ止め乳液」に「サンブロック」の文字を使用しているものである。
しかし、イ号標章は、英語の「日焼け止め(クリーム、ローション等)」を意味する普通名称である「SUNBLOCK」の読みを片仮名文字で表したものであり、被請求人は、「サンブロック」の文字のみでなく、「sun block」の文字も同時に使用している。
被請求人は、「sun block」の欧文字を商品「日やけ止め乳液」の正式な表示として使用しており、需要者の読みやすさのために「サンブロック」の片仮名表示を付記したものである。
2 「サンブロック」商標の識別性について
イ号標章における「サンブロック」の文字は、英語の「日焼け止め」を意味した普通名称「SUNBLOCK」の読みを片仮名で表したものであることは、複数の辞書に記載があることから明らかである。(乙第3号証ないし同第11号証)。
また、請求人は、「『日焼け止め』の別表示として普通に使用されているのは『サンスクリーン』の文字であり、一般的な出版物において『サンブロック』及び『SUN BLOCK』の表現は見いだせない。」旨述べているが、その「サンブロック」でさえ記載されていない辞典、辞書が数多く存在し、「サンブロック」及び「SUN BLOCK」の記載がないことをもって普通名称でないことの証明とすることにはならない(乙第12号証ないし同第13号証)。
さらに、日本国特許庁に対してなされる特許出願の明細書本文においては、原則として普通名称を含む一般用語が使用されるものであるが、「サンブロック」の語が「日焼け止め」を意味するものとして多用されている(乙第14号証の1ないし同4)。
このことは、本件商標「サンブロック」が、今や「日焼け止め」を意味する普通名称又は品質表示として当事者に広く認識されていることを示すものである。
したがって、イ号標章における「サンブロック」の文字は、商品「日やけ止め乳液」に使用する限りにおいて、商品の効能・用途または普通名称を表したにすぎず、自他商品を識別する標識としての機能を果たし得ないものである。
なお、「sun block」の文字は、米国特許商標庁において米国商品区分の第3類に属する「日焼け止め」を示す商品名として採択されているものであり、請求人も外国への商標登録に際し、指定商品の表示として使用している(乙第15号証の1ないし同第16号証及び同第18号証の1ないし同第20号証)。
3 本件商標の効力について
「サンブロック」の文字は、日本国内において、商品「日焼け止め」を表す語として慣用され、化粧品を取り扱う業界において効能・用途または普通名称として使用されていることは、請求人が本件商標の使用を認めている許諾先の商品が「日焼け止め化粧品」に限定されていること、及びその他化粧品販売に係る各社のインターネットのホームページによっても明らかである(乙第21号証の1ないし同7)。
したがって、本件商標は、その指定商品中の「日焼け止めクリーム、日焼け止めローション及び日焼け止めミルク(乳液)等の化粧品」については、商標法第26条第1項第2号及び同第4号の規定に該当するものであるから、商標権の効力が及ばないものである。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標とイ号標章は、商品において互いに抵触するところがあるとしても、イ号標章を商品「日やけ止め乳液」に使用する限りにおいて、本件商標の商標権の効力の範囲には属しないものであり、本件判定請求は理由がないといえるものである。
第5 当審の判断
本件商標は、第1の項で述べたとおり「サンブロック」の片仮名文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「サンブロック」の称呼が生ずるものである。
他方、イ号標章は、別掲のとおり、商品の包装箱の展開図とおぼしき構成のものであって、その右側部分の三段目には、太文字の片仮名文字で「サンブロック」との文字が横書きされているものである。
そして、商品の包装箱の正面部分のやや下部に「サンブロック」の文字とは相違した書体で小さく、「sun block」の欧文字が横書されていることが認められる。
ところで、一般に、商品のラベル等において、他の文字よりも大きく顕著に書されている部分がある場合、需要者は、その部分が商品の品質等の自他商品識別標識として機能し得ない表示である場合を除き、その顕著に表示されている部分とそれ以外の表示部分とが一体的に把握されないときは、その顕著に表されている部分に注目し、当該部分から生ずる称呼、観念をもって取引にあたるとみるのが自然である。
そこで、イ号標章における「サンブロック」の文字が自他商品の識別力を発揮するものとして認識されるか否かについて検討するに、イ号標章中の「サンブロック」の文字は、右側部分の三段目に顕著に表示されているものであって、それ自体、看者の注意を惹くといえるところ、被請求人の提出した乙各号証によっては、これが、商品「日やけ止め乳液」の普通名称であると認めることはできないものである。
すなわち、乙第2号証ないし同第11号証及び同第15号証ないし同第20号証(枝番を含む。)によれば、英語「sun block」が「日やけ止め」の意味合いを有することは、認め得るものの、その片仮名表記である「サンブロック」の文字については、同第14号証(枝番を含む。)の特許出願の明細書及び同第21号証(枝番を含む。)の化粧品販売に係る各社のインターネットのホームページの表示において、「日やけ止め(乳液)」の意味合いを表すものとして使用されていることが認められるが、同第21号証(枝番を含む。)の中には、これが普通名称として表示されているとは明らかに言い得ないものもあり、この程度の用例をもって「サンブロック」の文字が商品「日やけ止め乳液」の普通名称であると認めることはできないものである。
そうとすれば、イ号標章は、その構成中の「サンブロック」の文字部分も、自他商品識別機能を発揮していると判断するのが相当である。
そして、たとえ、「日焼け止め」の意味合いを表す英語が「sun block」であり、その片仮名表記が「サンブロック」であるとしても、イ号標章構成中の「サンブロック」の文字と「sun block」の欧文字とは、互いに離れて、書体や大きさを違えて表示されていることから、視覚上分離して看取し得るものであり、本件における「サンブロック」の文字は、英語「sun block」の片仮名表示である旨の被請求人の主張は採用することができない。
してみれば、イ号標章と本件商標は、「サンブロック」の文字部分において外観上類似し、その称呼も共通にするものであるから、イ号標章と本件商標とは、類似するものと認められる。
また、イ号標章に係る使用商品「日やけ止め乳液」は本件商標の指定商品に含まれるものと認められる。
したがって、商品「日やけ止め乳液」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。
よって、結論のとおり判定する。
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