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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と語尾音の有無

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2003−35447(T2003−35447/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4496928号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4496928号商標(以下「本件商標」という。)は、「AIKUL」の欧文字と「アイクル」の片仮名文字を2段に書してなり、平成12年2月23日登録出願、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、同13年8月10日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第20号証を提出している。

(1)請求の理由

本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第11号に該当し、商標法第46条第1項第1号により無効とすべきものである。

(2)引用商標

登録第1972127号商標(以下「引用商標」という。)は、「アイクルス」の片仮名文字を書してなり、昭和59年12月28日登録出願、第4類「化粧品、その他本類に属する商品」を指定商品として、同62年7月23日に設定登録され、その後、平成9年8月12日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

(3)商標法第4条第1項第7号について

請求人は、引用商標を付した指定商品「化粧品」を、卸売による全国ネットによって、北海道から沖縄までの各都道府県の薬局、薬店、訪問販売等で、20数年前から現在に至るまで継続して販売している。甲第3号証は、この「アイクルス」の実際の商品の写真、また、甲第4号証は、請求人がこの「アイクルス」を販売する際に使用しているチラシの一例である。

ところで、被請求人の住所(大阪府八尾市東久宝寺2丁目4番6号)と、請求人の住所(大阪府八尾市宮町2丁目4番3号)は、距離にして約400メートル(徒歩約5分程度)しか離れておらず、同一市内の中でも極めて近隣地域に位置しており、しかもこれら両住所の地域は、旧来より同一の商圏内に属している(甲第5号証)。

しかして、このような同一商圏内において、請求人が「化粧品等」に採択、使用していた「アイクルス」の商標と極めて似ている「AIKUL/アイクル」なる商標を、請求人とは何ら関係のない被請求人が、「せっけん類,化粧品」について採択、使用することは、商取引の秩序を著しく乱すものであって穏当ではない。かかる事情からすれば、本件商標の登録は社会公共の利益に反するものであって、商標法第4条第1項第7号に該当するといわざるを得ない。

(4)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「AIKUL/アイクル」の文字からなるものであり、「アイクル」の称呼が生じること明らかである。

これに対し、引用商標は、「アイクルス」の片仮名文字からなり、「アイクルス」の称呼が生じること明らかである。

そこで両者の称呼を比較すると、前者は4音構成、後者は5音構成であるが、共に称呼の識別上極めて重要な要素となる語頭音をはじめ、第4音までの「ア」、「イ」、「ク」、「ル」の各音を共通にし、相違するところは称呼上印象が薄らぎ易く明瞭に聴取し難い語尾の「ス」音の有無のみである。

しかもこの相違する「ス」の音は、それ自体、舌端を前硬口蓋に寄せて発する摩擦音で比較的弱く発音される音であるが、これに対し前音の「ル」は、調音位置を歯茎とする弾音であって強音として明瞭に響く音である。よって「アイクルス」と一連に称呼する際には、語尾の弱音「ス」は前音の強音「ル」に吸収されるように聴取され、ほとんど聞き取ることができない。

したがって、この「ス」音の有無が両称呼の全体に及ぼす影響は極めて小さく、両者は全体として語調、語感が近似し、彼此相紛らわしいものである。

以上より、「AIKUL/アイクル」と「アイクルス」の両商標は、互いに聞き誤るおそれのある類似の商標といわざるを得ない。

4 被請求人の答弁

被請求人は、何ら答弁していない。

5 当審の判断

(1)本件商標について

本件商標は、前記のとおり、「AIKUL」の欧文字と「アイクル」の片仮名文字を2段に書してなるものであり、下段の片仮名文字は、上段の欧文字の読みを特定したものとみて差し支えないものといえるから、本件商標は、その構成文字に相応して「アイクル」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生じない、造語よりなるものである。

(2)引用商標について

引用商標は、前記のとおり、「アイクルス」の片仮名文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して「アイクルス」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生じない、造語よりなるものである。

(3)本件商標と引用商標の類否について

本件商標より生ずる「アイクル」の称呼と、引用商標より生ずる「アイクルス」の称呼は、語尾において「ス」の音の有無という差異を有するが、その他の「アイクル」の音全てを共通にするものである。そして、該差異音は、比較的聴取され難い語尾に位置するばかりでなく、無声の摩擦音で弱く響く音であるのに対して、前半部の「アイクル」の音は強く称呼され、明瞭に聴取されるものであることから、該差異音が両称呼の全体に及ぼす影響は大きいものとはいえず、両商標が特定の観念を有しない造語であることとも相まって、これらをそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が近似したものとなり、互いに相紛れるおそれのある、称呼上類似の商標であるというのが相当である。

してみれば、本件商標と引用商標は、外観及び観念について考慮してもなお、称呼上類似する商標であって、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。

(4)むすび

したがって、本件商標は、請求人主張のその他の理由について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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