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Trademark Appeal Case

不正目的の商標登録

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2003−35167(T2003−35167/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4298833商標(以下「本件商標」という。)は、「麗 姿」の文字を横書きしてなり、平成10年7月30日に登録出願、第3類「化粧品,香料類,歯磨き」を指定商品として、平成11年7月30日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第26号証(枝番を含む。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第10号及び同第19号について

(1)被請求人は、平成3年頃から霊芝(キノコの一種)やその他の生薬成分を練り込んだ枠練石鹸を製造してきたが、この石鹸には、「和漢ドゥサボン」の名が付けられ、パッケージに「和漢 de SAVON」と表示していた製品を代理店方式で販売していた(甲第3号証)。

その頃、請求人は被請求人と交渉の末、被請求人が従来行なってきた販売方式と抵触しないようにと通信販売による方式で被請求人の製造する石鹸を販売することになった。そこで、請求人が販売する石鹸の名称にこれまでの「和漢ドゥサボン」とは異なり、請求人の創案した「麗姿」なる名称を用いることにより差別化を図った。もちろん、パッケージのデザインも請求人の負担により「和漢ドゥサボン」と異なる「サボン麗姿」又は「麗姿」なる文字を入れたもので通信販売を開始したのであるが、その交渉の最中の平成5年9月24日に被請求人は、登録第3199087号商標「和漢研/麗姿」の商標登録出願をしている(甲第4号証)。

平成5年後半から、請求人と被請求人との間で販売条件等についての交渉が行われ、平成6年1月、両者間に取引基本契約書が締結された(甲第5号証)(以下、当該契約を「本件基本契約」という。)。いわゆるOEM契約がなされ、平成9年11月頃まで両者間では明らかに取引が行われていた。因みに、被請求人は東京地方裁判所平成9年(ワ)第26980号商標権使用差止等請求事件において「OEM契約ではなく代理店契約である。」と主張しているが、該判決において、この契約はOEMであることが認められている(甲第6号証及び甲第8号証)。

以上のような経緯をもって、「麗姿」の石鹸を販売するに至った請求人は、OEM契約後活発に販売活動を繰り広げ、本件商標の登録出願前である平成6年3月に固形洗顔料として「サボン麗姿」の広告を週刊誌、雑誌、新聞等に広告宣伝し通信販売を行ってきた。当初は化粧石鹸のみの販売をしていたが、「サボン麗姿」の反響に伴い、また需要者の要望もあり化粧石鹸だけでなくその他の化粧品全般を手がけるようになった。その結果、化粧品も「麗姿」シリーズとして需要者の間に知れわたり、この商品の取引者及び需要者の間に広く認識されるようになった(甲第7号証)。

そこで、被請求人は、既に商品に「和漢ドゥサボン」という商標を使用していながら、請求人の承諾を得ず「和漢研/麗姿」の商標を出願し、その権利を取得後、請求人の取扱商品の売上増加及び周知性に伴い、自社販売による売上増加を企てる目的から、両者間の取引関係終了後間もなく平成9年12月に請求人のブランド名の使用を差止め、営業を妨害しようとするために商標権使用差止等請求の訴を東京地方裁判所に提起し、その間に本件商標を登録出願している。因みにこの事件は、東京高等裁判所の判決により請求人の勝訴となり終結している(甲第8号証)。

したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似する商標であって、その指定商品である「化粧品」と同一又は類似の商品について使用するものであり、また、取引者及び需要者の間に指定商品についても混同を生じさせるおそれがあるということができる。さらに、本件商標は、請求人の使用する商標が通信販売において得た周知性を利用し、被請求人が自己の売上増加をもくろみ、販売を妨害しようとするために不正に得た登録商標である。

(2)被請求人は、本件登録出願前の平成9年12月に東京地裁に差止請求の訴を提起しており、また、商標「和漢研/麗姿」が登録になったことを確認した上、請求人に何ら通知も承諾もないまま本件商標を出願している行為は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標を不正の目的をもって利用するものである。また、かかる行為は、取引者及び需要者の間に指定商品についても混同を生じさせるおそれがあることはいうまでもない。現に需要者からは混同する旨の電話等の連絡が殺到しているため、「類似品に関するご報告」という文面をインターネット上に載せ注意を呼びかけている(甲第12号証)。

(3)結び

「麗姿」の文字を含む商標(以下「麗姿商標」という。)は、永年に亘り使用され、需要者の間に広く認識されている周知商標であるから、本件商標を、その指定商品である「化粧品」に使用した場合、その出所について混同を生ずるおそれのある同一又は類似の商標である。

また、本件商標出願前から両者間は取引関係にあり、本件商標は「麗姿」の周知性を不正に利用して、利益を得る目的及び請求人の商品や営業を混同させることにより損害を与える目的などの不正の目的をもって使用するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、同法第46条の規定により無効とされるべきである。

2 答弁に対する弁駁

東京高等裁判所 商標権使用差止等請求控訴事件:平成12年(ネ)第5798号、原審・東京地方裁判所平成9年(ワ)第26980号の判決文を踏まえて弁駁する(甲第13号証及び甲第14号証)。

(1)平成4年10月頃に、請求人は、被請求人の石けん「和漢ドゥサボン」を知り、平成5年3月24日に、被請求人の顧問をしている森昌夫(被請求人の実質的経営者)に、この石けんの販売を一手にやらせて欲しい旨を被請求人に申し入れた。

それから、被請求人は、同年5月18日に株式会社あみゅ一れの代表者高田礼子と請求人会社を訪問した。請求人は通信販売の方式で被請求人の石けんを販売する販売戦略を考えており、自社ブランドの話を持ちかける。そして、同年6月頃、代理店方式で販売する「和漢ドゥサボン」の商標を使用することは好ましくないと判断し、原料に使われている霊芝と言葉をかけた「麗姿」なる名称を創案し、その交渉に及んだ(甲第15号証)。

請求人は、交渉の末、「麗姿」なる名称を使用して通信販売をするために、パッケージデザインも、「和漢ドゥサボン」とは異なる「サボン麗姿」なる文字を入れたもので、当時販売総代理店と称していた有限会社ちえの輪(以下「ちえの輪」という。)が販売する「和漢ドゥサボン」とは差別化する方法をとった。

平成6年1月末日に、請求人と被請求人の間で「取引基本契約書」が交わされ、被請求人は、請求人の指定ブランド「サボン麗姿」で製品を製造販売するという、いわゆるOEM方式で行なうことに合意した。

(2)東京高等裁判所:平成13年(行ケ)第453号商標登録取消決定取消請求事件の判決について(乙第1号証)。

(ア)石けん「和漢ドゥサボン」は、平成5年頃には株式会社あみゅ一れという、代理店方式を利用した連鎖的な販売方法の販売元より販売されていたが(甲第16号証)、その後、上記会社の下で販売方式を取るちえの輪を販売総代理店と称して消費者に販売させるようになる。

被請求人は、平成5年9月から「麗姿」なる商標を使用している旨を述べているが、その開始日は不明である。93年10月21日の請求書の提示において(乙第2号証)それを見る限りでは、単に「レイシ10ケイリ・・・」と一行目に記載しているだけである。これが「和漢ドゥサボン」の主原料「霊芝」のことを表現していた可能性は十分にあるとはいえ、商標としての使用とまでは認められない。

また、被請求人の使用している商品の商標名を変更して、別販売方法で営業活動をしたい意向を持ちかけたのは請求人であることから、被請求人が、そのとき既に「麗姿」の名称に変えて商品を販売していたという事実には無理がある。

被請求人は、ちえの輪との間で平成5年12月27日に「麗姿ブランド全商品」について取引基本契約を締結していると述べているが(乙第2号証)、先ず、取引基本契約書の内容には、被請求人に係る製品と明記してあるだけで、「麗姿ブランド商品・・・」等の表現は一切明記されていない。

また、その契約に伴う保証金として五千万円の入金確認書のようなものが取引基本契約書のほかに存在しているが、そこに麗姿ブランドの販売総代理店であることが記載されている。これは、単に「麗姿ブランド商品・・・」の内容及び総代理店という表示を記載したいばかりに作成したもののように見受けられ、五千万円の預り証にしては、収入印紙もなく、実際にこの時期に発行されたものかは疑わしい。なぜなら、被請求人の実質的経営者森昌夫とちえの輪の代表者林知恵とは夫婦関係であることから(甲第17号証)、この書類自体に信憑性を見出せない。

また、請求人は、「麗姿」を付した商品の通信販売をするにあたり、同年12月28日に株式会社インタレストを通して、「麗姿」のシール、レターヘッド及び封筒、「麗姿」フェイスソープパッケージ等を作るための見積書を他社から取っており、翌年からは請求人自らが見積を取り、通信販売の準備をして、平成6年1月26日には、最初の発注をしている(甲第19号証)。

したがって、請求人は、被請求人の述べている総販売代理店として契約を結びたい旨の意向は断じてしておらず、「麗姿」の商標の使用の許可を取ったわけでもなく、被請求人がつじつまを合わせるための言いがかりにすぎない。

また、交渉の結果については、請求人は被請求人が販売する石けん「和漢ドゥサボン」及びその販売方法について差別化を図るための交渉に時間がかかっており、その間被請求人は、ちえの輪と代理店契約を締結している。

そこで、最終的に被請求人の要求は、形式上ちえの輪を通して取引をしなければならないということであった。現に、請求人と被請求人が本件基本契約を締結した年は、請求書の発行先が被請求人となっているが、その翌年からは帳簿上ちえの輪になっており(甲第20号証)、そのことを了承させるための口実として、被請求人は請求人にFAXにて新たな条件を提示している(甲第21号証)。

(イ)請求人は、確かに書面上で平成8年7月29日に、ちえの輪と代理店取引契約を結んでいる。しかしこの契約書を締結するに当たっては、次のような経緯がある。

請求人と本件基本契約を交わす1ヵ月前にちえの輪と被請求人とは代理店契約を締結している。このことから、被請求人は形式上ちえの輪を通して商品の仕入れをしているように見せかけることが必要となり、新たな条件の下(甲第20号証及び甲第21号証)、帳簿上ちえの輪から請求人宛に請求書が発行されるようになった。

その頃、請求人の取り扱う石けん「麗姿」が、雑誌等においてしばしば取上げられるようになったこと、ちえの輪としては販売総代理店ということでそのトップの位置を確保していたこと、請求人が独占販売をしていたこと等から、平成8年頃に、ちえの輪代表林知恵(森知恵)は、請求人に資金の調達方をもちかける。請求人は少しでも助けたいと思い、ちえの輪と代理店契約という形式をとり契約をしたのである。その保証金という名目で支払ったのが二百万円である。実際、営業販売において請求人は、ちえの輪の代理店でもなく、リーダー店でもない。被請求人から仕入れていることにより、「否」の返事ができない状況にあったことは事実である。

石けんの製造元は被請求人であり、しかもその総販売代理店と称されているちえの輪の代表者と被請求人の実質的社長ともいえる森昌夫とは夫婦関係にあるところから、請求人としては、セミナーの案内等を無視することはできない状況であった。

また、当初からの被請求人の要求である「形式上ちえの輪を通して・・・」という約束の下、この代理店契約をする以前から請求書の発行先はちえの輪になっており、商品の代金の入金は被請求人の指示に従って、被請求人宛であったり、ちえの輪であったりしたことから(甲第20号証)、ちえの輪にマージンなど支払ったことは全くなく、ちえの輪との代理店契約後においても同様であることから、代理店契約は何の意味もなさないものとなっており、書面上契約したことのみが現存している。

平成5年9月24日に、被請求人が「麗姿」を含んだ商標を出願していることが分かり、それ以来、様々な問題があったことから、平成9年10月頃を以って、被請求人との取引を解除した。その後、請求人は、被請求人の商品とは全く別の品質で「麗姿」ブランドの石けんを引き続き通信販売で行った。

契約解除後、被請求人は請求人に対し、商標権使用差止等請求事件(平成9年(ワ)第26980号)を提起したが、東京高等裁判所において控訴を棄却され、被請求人の主張は認められず、請求人の勝訴となる(甲第13号証及び甲第14号証)。

双方間の取引基本契約書において、被請求人は、請求人の指定するブランド化粧品類(実際は石けんのみ)の製造を引き受けてこれを請求人に売り渡し、請求人は買い受けること(取引基本契約書第2条)、請求人は、請求人の指定ブランドや指定文字等が記載された容器類、包装資材等の代金等を、被請求人の請求により別途支払うこと(同第10条2項)、被請求人は、いかなる事由があっても商品を第三者に販売し、譲渡してはならないこと(同第12条)などが定められている(甲第5号証)。

「サボン麗姿」「サボン麗姿ゴールド」は、その広告等において、「総発売元」又は「取材協力」ないし「問合せ先」として、常に「株式会社オフィス・タケ麗姿事業部」の表示がされていた。

請求人と被請求人の間の契約は、請求人が自己のブランドを付して販売する化粧品類について、被請求人がその中身を製造する、いわゆるOEM契約と認めるのが相当であるから、「麗姿」は、むしろ請求人のブランド即ち請求人の商品表示というべきであって、これを被請求人の商品表示であるという被請求人の主張は失当である(甲第13号証及び甲第14号証)

請求人が、宣伝広告の中で被請求人を「サボン麗姿」「サボン麗姿ゴールド」の製造元として紹介していたにしても、その総発売元である請求人との間では、互いに「他人の」商品等表示にあたらず、また、取引者及び需要者はそのことによって商標「麗姿」が被請求人の商標であると理解することは先ずありえないばかりか、被請求人の周知商標とする被請求人の判断には誤りがある(甲第13号証)。

(ウ)商標「麗姿」の周知に至るまでの経緯

上記契約により、「サボン麗姿」(中身の石けんは「和漢ドゥサボン」と同じ)の通信販売による独占的販売権を得た請求人は、平成6年3月以後週刊誌、雑誌、新聞等に宣伝広告し、通信販売を行ってきた(甲第7号証)。この石けんは、100グラムのサイズのものが小売価格六千円もする高価なもので、請求人は、高級であるが東洋医学や漢方薬学などの研究の成果を取り入れたもので効果があることを宣伝する路線を採った。

被請求人もこれに協力し、この石けんの開発者であるとして、東洋医学や漢方薬学などの研究者である森昌夫の顔写真や名前を出すようにした。「サボン麗姿」のパッケージには、裏面に「製造元」として被請求人の名称、所在地が、「総発売元」として「株式会社オフィス・タケ麗姿事業部」なる名称と所在地が記載されていた。また、雑誌広告には「取材協力」や「問合せ先」として「株式会社オフィス・タケ麗姿事業部」の名称が記載されていた。

他方、代理店方式をとるちえの輪では、個々の代理店は地方ごとにあるもので、広告も、個々の代理店が出すものであることから、地方紙などに掲載したり、パンフレットを配布したりするなどに止まった。また、ちえの輪の代理店が配布するパンフレット中に、請求人が全国紙に出した広告が引用されることもあった。

平成8年春には、更に高価な「サボン麗姿ゴールド」が発売され、これは「サボン麗姿」と同じ100グラムサイズのものが小売価格二万円もするもので、平成8年8月22日に日本テレビ系全国ネットで放映された「輝け!噂のベストテン」という番組で、「世界一高価な石けん」として紹介され、番組ではこれまでの広告と同様に、製造者は被請求人、販売者は請求人として紹介され、これは「サボン麗姿」同様、請求人とちえの輪の双方で販売されていた。

なお、ちえの輪の系列で販売される石けんの名称については、当初の「和漢ドゥサボン」から「麗姿ドゥサボン」「麗姿ドゥサボンゴールド」と変更され、石けんのパッケージには「麗姿」の標章が付された。この変更がされた時期は不明であり、平成8年春以降の広告パンフレットなどの中にも、「麗姿ワカンドゥサボン」「麗姿ドゥサボンゴールド」「和漢・ドゥサボン」のように、今なお「和漢」と「ドゥサボン」の名称が表示されているものがある(甲第13号証及び甲第14号証)。

被請求人との契約解除後(平成9年)、請求人がメーカーとして被請求人の製品とは全く別の品質で「麗姿」ブランドを継続し、石けんだけではなく、化粧品全般を手がけるようになった。その結果、化粧品も「麗姿」シリーズとして需要者の間に知れわたり、高級・高品質の石けん「サボン麗姿」の評判により、化粧品類の周知性もそれに伴って需要者の間に広まる時間はそう長くはかからなかった(甲第7号証及び甲第22号証)。

(エ)周知性の判断

被請求人は、「麗姿」が被請求人の商品を表示するものとして取引者、需要者の間で広く認識されていると主張する。

しかし、請求人及び被請求人の本件基本契約においては、被請求人は、請求人の指定するブランドの化粧品類を製造してこれを請求人に納入し、ブランドの付された容器等は、請求人の負担により製作され、被請求人は、商品を第三者に販売してはならないものとされているものであり(甲第5号証)、また、「サボン麗姿」「サボン麗姿ゴールド」は、その広告等において、「総発売元」又は「取材協力」ないし「問合せ先」として、常に「株式会社オフィス・タケ麗姿事業部」の表示がされていたことを勘案すれば、請求人と被請求人の契約は、請求人が自己のブランドを付して販売する化粧品類について、被請求人がその中身を製造する、いわゆるOEM契約と認めるのが相当であるから、「麗姿」は、むしろ請求人のブランド、すなわち請求人の商品表示というべきであって、これを被請求人の商品表示であるという被請求人の主張は失当である。なお、テレビ番組、雑誌広告等において、被請求人が「サボン麗姿」「サボン麗姿ゴールド」の製造元として取引者、需要者の間で広く認識されるに至っているとしても、その総発売元である請求人との間では、互いに「他人の」商品等表示にあたらないことから、被請求人の周知商標とする被請求人の判断には誤りがある。

(オ)商標「麗姿」を付した石けん及び化粧品の製造販売について

被請求人は、わずか2枚の請求書において(乙第10号証)、商標「麗姿」を付した石けんについて、平成7年6月から平成9年9月までの売上個数を12万7286個と定めているが、まず平成3年度の請求書で、しかも「和漢のソープ」と書いた品名を証拠書類として掲げていることが、如何なる意味があるのか理解できない。

次に平成7年6月30日付けの請求書において、有限会社サダチなる会社からの請求書をもって、あたかも商標「麗姿」の取引を相互でしているかのように見受けられるが実際は、請求人が本件基本契約に基づいて「麗姿ブランド」を発注し、被請求人がそれを受注する。そして被請求人は有限会社サダチを通して本来の製造会社である株式会社エスディーシに製造の依頼をする仕組みとなっているため、この商標「麗姿」の発注は請求人のしたものということができる。

ちえの輪の在庫数で掲げている乙第11号証及び乙第12号証は、それぞれ平成7年、平成9年のものであるが、ここに挙げている商品は、従来被請求人が商標として使用していた「ワカンドゥサボン」及び「サボンゴールド」のままの商品名であり、「麗姿」商標は見当たらない。

したがって、この添付資料をもって、被請求人の商標「麗姿」を付した石けん及び化粧品を「麗姿」のブランドとして一般需要者にどれ程売り上げ、知れわたっていたかは全く不明確であり、信憑性がない。

請求人の取り扱う「麗姿」シリーズのうち、本件商標出願時前後の平成9年から平成11年の販売個数及び売上総額をみると、平成9年度売上個数は約3万個、売上総額は約1.5億円であり、平成10年度売上個数は約6万個、売上総額は約2億円であり、平成11年度に至っては売上個数は約10万個、売上総額は約3.5億円になり、広告宣伝や雑誌などに取り上げられることにより売上は毎年上昇していることがわかる(甲第23号証)

因みに、石けん「麗姿」は一般化粧石けんに比べて高価であるため、発売当初より話題性があったり、個数こそ飛びぬけた数字ではないが、需要者の間から商標「麗姿」イコール「タケの石けん」とまで認識されるようになった。

(カ)請求書でみる請求人と被請求人及びちえの輪の商標「麗姿」の使用について

請求人が、商標「麗姿」を付した石けんの販売をする平成6年3月以前は、請求人と被請求人の取引状況は、被請求人の商品「和漢 de SAVON」の名称で取引が行われていた(実質的には平成6年1月には発注し、2月には請求書が発行されている)。平成6年3月からは、相互の本件基本契約に基づき、請求人の指定するブランド化粧品類、商標「麗姿」を付した「サボン麗姿」の請求書を発行している。平成7年度からは、被請求人は、ちえの輪と総販売代理店と称している契約を結んでいることから、請求人に対し、以後ちえの輪から購入するようFAXを送っている(甲第21号証)。

帳簿上、ちえの輪から請求書が発行されることになるが、ちえの輪は、商標「麗姿」が請求人のものであることを知っていることから、伝票の請求品名の欄には「サボン麗姿」の名称は使用せず、「和漢ドゥサボン」又は「ドゥサボン」の名称で請求書を発行している。そして、商品を発送する被請求人は、請求人の要望により名称を変えて通信販売で販売するという約束の下「ドゥサボン」ではなく「サボン麗姿」の名称を使用して、請求人に発送している。これは、ちえの輪が被請求人と契約して販売している石けんは「和漢ドゥサボン」だからであり、「麗姿」を付した石けんではないことから、請求人に対しては「麗姿」の商標で請求書を発行できなかったからである。

さらに、この請求書は、時には被請求人から発行されていたり、ちえの輪からだったりし、その代金の入金先もその都度被請求人の指示により振り込んでいた(甲第24号証)。

したがって、請求人は、平成8年にちえの輪との代理店契約を締結する以前から、被請求人より上記方法をとるよう言渡されており、被請求人が代理店契約であると主張しているこの契約書こそ、被請求人にとっては、形式上・帳簿上・都合上必要な契約だったのであり、また、請求人にとっては、被請求人から仕入れていることから、やむを得ず調印したものであって、実際の販売方法及び営業活動は完全にOEM契約の独立した形態であった。

また、平成8年7月にちえの輪との代理店契約を締結以降は、同年春に、更に高価な「サボン麗姿ゴールド」が発売されたこともあり、徐々に請求書による品目の取り扱いも、上記ゴールドに関しては「麗姿ゴールド」と「麗姿」の名称を使用するようになるが、統一はされていない(甲第24号証)。

請求人は、代理店方式で販売する「和漢ドゥサボン」の商標を使用することが好ましくないと判断し、原料に使われている霊芝と言葉をかけた「麗姿」なる名称を創案して交渉し、最終的に請求人と被請求人の間で「取引基本契約書」が交わされ、被請求人は、請求人の指定ブランド「サボン麗姿」で製品を製造販売するという、いわゆるOEM方式で通信販売をするようになった。そこで、平成6年3月に「サボン麗姿」の広告を週刊文春に載せたことがきっかけで、芸能人などに知れわたり、商標「麗姿」が石けん及び化粧品のブランド名として、需要者の間に広く認識される周知商標となったのである。

請求人は、確かに現存するちえの輪との代理店契約書を見る限りにおいて、正しく代理店として本件商標を付した商品を販売していたように判断される。しかし、請求人がそのようにしていた事実は全くない。

被請求人は、請求人の指定ブランド化粧品類の製造を引き受けそれを請求人に販売するという契約を結んでおり、請求人は、通信販売という販売方式をとり「麗姿」ブランドの販売促進に力を注いでいく。

被請求人は、上記契約前にちえの輪と代理店の契約をしていることから(取引基本契約書には総代理店としての条項はない)、被請求人が請求人との取引が始まった翌年からは、請求人との商品供給契約において、形式上ちえの輪から商品を仕入れていたようにすることが必要となり、帳簿上そのようになることを請求人に言渡す。(実際は、被請求人から直接仕入れている。)請求人は、石けん「麗姿」の評判に伴い、被請求人から仕入れている関係上同意した。

形式上ちえの輪から仕入れているように見せかけはじめた頃(平成7年)には、ちえの輪の代表者林知恵と被請求人の実質的経営者森昌夫とは婚姻関係にある。その後(平成8年頃から)に、請求人の高級石けん「麗姿」が、芸能人に使用されているなどの記事が有名雑誌に掲載され、話題になってきたこともあって、被請求人とちえの輪が話し合ったのかどうか知る由もないが、請求人とちえの輪が代理店契約をするように仕向けられる。被請求人と平成6年に取引契約を交わした以降「麗姿」を付した商品は、請求人の独占販売であった。被請求人が主張する「ちえの輪と代理店契約をし、マージンはちえの輪に支払っていた。」等という事実は全くない。請求人は、今までどおり商品の購入代金のみを支払っていたのであり、マージンをちえの輪に支払うなど一切していない。

(3)不正による登録の立証

(ア)請求人と被請求人の交渉の間、被請求人は、平成5年9月24日に「麗姿」を付した商標「和漢研/麗姿」を商標登録出願している(甲第4号証)。これは製造会社であれば、商標登録の必要性は十分に把握していることから、「麗姿」の名称が請求人から出て直ぐに出願したものとみられる。因みに請求人は、「麗姿」を付した商品の販売する一月前に出願し、その際、被請求人が請求人に断りもなく出願している。被請求人が先願で出願していることから、請求人の出願した商標「麗姿」は拒絶になる。以後そのことにより大きな影響が発生する。

(イ)さらに、被請求人は、平成9年3月せっけん類で「麗姿」を出願し、平成11年に登録になっているが、現在登録異議申立中である。

(ウ)請求人と被請求人の取引契約が終結した時とほぼ同時期に、被請求人は、請求人のブランド名を差止め、営業を妨害しようとするために商標権使用差止等請求事件を東京地方裁判所に提訴しているが、本件は東京高等裁判所判決において請求人の勝訴により終結している。

(エ)被請求人は、上記裁判中に請求人の商号を含めた「タケ麗姿」を出願している(平成10年7月30日)。この事一つ挙げてみても、不正をもって権利のみを独占し、請求人の営業を妨害し、損害を蒙らせるための悪質極まりない行為であることがわかる。

(オ)被請求人より平成15年4月15日付けで「麗姿」を含む商標を侵害している旨の警告書が送られてきている(甲第25号証)。未だ登録無効理由ないし登録異議申立理由が存在するのにもかかわらず、そのような行為をする被請求人の真意は図り難く、極めて悪質であるといわざるを得ない。

(カ)請求人の商標「麗姿」は、永年に亘り使用され、需要者の間に広く認識されている周知商標であるから、本件商標をその指定商品「化粧品」に使用した場合、その出所について混同を生ずるおそれのある商標である。

また、本件商標の登録出願前から両者は取引関係にあり、請求人の販売する「麗姿」を付した商品の評判が良いことから、被請求人は、利益を得る目的及び請求人の商品や営業を混同させることにより損害を与え、かつ、商標権を獲得することにより営業を妨害する目的等の不正の目的をもって、本件商標を使用するものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第10号について

(1)本件商標は、登録異議の申立てがあり、商標登録を維持するとの異議の決定がなされたものである。

(2)請求人商標の周知性について

(ア)被請求人は、昭和57年に設立され、健康食品等の製造販売を主たる業務としてきたが、平成3年ころから「和漢ドゥサボン」商標を使用して石けんの製造販売を始め、平成5年9月から、上記商標に替え、麗姿商標を使用して石けん及び化粧品の製造販売を始め、平成5年12月27日、ちえの輪との間で、「麗姿ブランド全商品」について、ちえの輪を被請求人の販売総代理店とする取引基本契約を締結し、従来、「和漢ドゥサボン」商標の使用された商品を仕入れていた販売店は、ちえの輪の販売代理店となり商品の販売を継続した(乙第2号証)。ちえの輪は、総販売代理店として、麗姿商標の使用された石けん及び化粧品を、全国約700店の販売代理店に納入し、各販売代理店は、これを一般消費者に販売していた。また、上記各販売代理店は、それぞれ販売員を使用し、これら石けん及び化粧品のパンフレットを配布するとともに商品の説明を行い、販路を拡大してきたが、地方新聞や雑誌への広告の掲載、新聞折込みチラシ、テレビのスポット広告などの広告も行ってきた(乙第3号証)。

(イ)請求人は、「和漢ドゥサボン」商標を使用した石けんを被請求人から仕入れ、これを一般消費者に販売していたが、平成6年1月末日、被請求人との間で、請求人が継続的に発注する化粧品類の製造について、被請求人がこれを引き受け、請求人に売り渡すことなどを内容とする本件基本契約を締結した(乙第4号証)。請求人は、そのころ、被請求人に対し、「和漢ドゥサボン」商標を使用した商品の総販売代理店契約の締結を申し入れたが、被請求人から、既に、麗姿商標を使用した石けん及び化粧品の販売を開始しており、その総販売代理店もちえの輪に決まっていることを理由として、拒絶された。そこで、請求人は、被請求人に対し、麗姿商標を使用すること、独占的販売でないこと、形式上ちえの輪を通して取引することを了承する代わり、通信販売用に石けん用包装のデザインを変更すること、実質的には被請求人との直接取引にすることを申し込んだ。被請求人は、ちえの輪の了承が得られることを条件にこれを承諾し、ちえの輪の了承が得られたため、請求人は、麗姿商標の使用された商品の販売を開始した。そして、請求人は、平成8年7月29日、ちえの輪との間で、麗姿商標の使用された化粧品等を同社から仕入れてこれを販売することなどを内容とする代理店契約を締結し(乙第5号証)、ちえの輪の販売代理店の一類型である「リーダー店」となって、ちえの輪から商品を仕入れて販売するようになり(乙第6号証)、請求人代表者が、リーダー店の一員として、ちえの輪の主催する販売代理店向けのセミナーに参加することもあった(乙第7号証)。請求人は、被請求人との上記合意に基づき、被請求人に商品を直接注文し、被請求人から直接その納入を受け、マージン相当額をちえの輪に支払っていた(乙第8号証)。

(ウ)平成9年8月以降、請求人は、被請求人に対する商品の注文を中止し、同年10月ころ、他社から石けん、化粧品等の商品を購入し、麗姿商標を使用して販売を開始した(乙第9号証)。

(エ)被請求人の製造販売に係る麗姿商標の使用された石けんの製造数量は、平成7年6月から平成9年9月までの間に12万7286個であり(乙第10号証)、これがすべてちえの輪に販売されており、これからちえの輪の在庫数量(乙第11号証)を控除すると、上記期間にちえの輪が販売代理店に販売した上記石けんの数量は、12万1555個となる。そのうち、ちえの輪が請求人に販売した上記石けんの数量は、5万6997個であり(乙第12号証)、全体の44.7%である。被請求人の製造販売に係る麗姿商標の付された化粧品については、上記期間の被請求人による製造数量は31万3062個であり(乙第10号証)、これがすべてちえの輪に販売されており、これからちえの輪の在庫数量(乙第11号証)を控除すると、上記期間にちえの輪が販売代理店に販売した上記化粧品の数量は、26万3880個となる。そのうち、ちえの輪が請求人に販売した上記化粧品の数量は、3万6663個であり(乙第12号証)、全体の13.8%である。また、上記期間における上記石けん及び上記化粧品の販売数量を合計すると、ちえの輪が販売代理店に販売した38万5435個中、全体の25%に当たる9万3660個が請求人に販売されているにすぎない。

(3)本件商標の登録出願時において、麗姿商標が請求人の業務に係る商品であることを表示するものとして周知であったかどうかについて

(ア)麗姿商標の表示主体とOEM契約の成否

請求人は、被請求人と本件基本契約を締結するに際して、通信販売用に包装のデザインを変更することを申し込んでおり、この点では、請求人の販売した石けんの包装のデザインは、請求人が自ら決定する余地があったと解することができる。しかしながら、本件全証拠によっても、請求人が販売する石けんに付する商標まで自ら決定していたと認めることはできない。むしろ、被請求人は、平成3年ころから、「和漢ドゥサボン」商標の使用された石けんを製造販売しており、請求人から当初は、同商標を使用した商品の総販売代理店契約の締結を申し込まれたものの、被請求人が既に麗姿商標の使用を決定していたため、結局、麗姿商標を使用することを承諾したという経緯が認められる上、形式的とはいえ、ちえの輪と代理店契約を締結して販売代理店となったのであるから、請求人が被請求人との関係で、商品に使用する商標を決定する権限を有していたとは到底認めることができない。そして、被請求人は、平成5年9月から、麗姿商標を使用して石けん及び化粧品の製造販売を始め、同年12月27日、ちえの輪との間で、「麗姿ブランド全商品」について、ちえの輪を被請求人の販売総代理店とする取引基本契約を締結し、ちえの輪は、麗姿商標の付された石けん及び化粧品を、全国約700店の販売代理店に納入していたのであるから、麗姿商標を使用した石けん及び化粧品のデザイン及び商標については、請求人の取扱いに係るものも含め、原則として、製造元である被請求人がこれを決定していた。

そうすると、本件基本契約の契約書における、被請求人が請求人の指定するブランド化粧品類の製造を引き受ける旨の記載は、請求人が自由に商品の内容、商標等を指定することができるという趣旨のOEM契約ではなく、被請求人がどのような麗姿商標を使用するか決定した範囲内で、請求人が数量、商標の具体的態様等を決定して発注するという趣旨の契約である。

上記の経緯に照らすと、請求人は、被請求人が麗姿商標の使用を開始した後に、初めて麗姿商標の使用をしたものである。

ところで、製造元がある商標の使用された商品を製造販売し、これを購入した販売店が当該商品をそのまま一般消費者に販売するという場合には、当該製造元と販売店とは、いずれも、当該商品に使用された商標を自己の業務に係る商品であることを表示するものとして使用しているというべきであり、当該商標が誰の業務に係る商品を表示するものとして周知となるかは、製造元と販売店間でOEM契約が締結されたかどうかなど両者間の契約内容によって定まるわけではなく、当該商標の使用された商品に接した取引者、需要者が、誰の業務に係る商品であることを表示するものとして当該商標を認識するかによって定まる。

本件において、確かに、麗姿商標の使用された商品のうち、請求人の販売に係るものの広告、宣伝においては、「オフイス・タケ」「(株)オフイス・タケ」「株式会社タケ 麗姿事業部」など、請求人の商号又は略称の付されたものが多いと認められる(乙第9号証)。しかしながら、その使用態様を見ると、「取材協力/(株)オフイス・タケ麗姿事業部」「取材協力/オフイス・タケ麗姿事業部」「お問い合わせ先/(株)オフイス・タケ」(乙第13号証)、「お問い合わせ先/株式会社タケ麗姿事業部」(乙第13号証)、「お問い合わせ/オフイス タケ麗姿事業部」(乙第14号証)、「問合せ先=オフイス・タケ麗姿事業部」、「協力 オフイス タケ」のように、請求人の販売に係る商品であることが明確に表示されているものもあり、また、請求人の商号等の表示は、麗姿商標の使用された商品の説明に目立たない態様で付記されているいるものが多い。さらに、請求人の販売する商品の広告、宣伝においても、「サボン麗姿は・・・和漢生薬研究所から生み出された」(乙第14号証)、「和漢生薬研究所が・・・生み出した」(乙第13号証)、「和漢生薬研究所(現在製造元)」(乙第15号証)として、被請求人の業務に係る商品であることが併記されているものもあり、麗姿商標の使用された石けんを取り上げたテレビ番組(平成8年8月22日放映の日本テレビ系全国ネット「輝け!噂のベストテン」)中でも、同様に、被請求人の業務に係る商品として紹介されている。

そうとすると、請求人の商号等の表示とともに麗姿商標に接した取引者、需要者は、麗姿商標が、請求人のみならず、被請求人の業務に係る商品であることを表示するものとしても認識するものである。

(イ)請求人の取引態様と販売数量

被請求人の製造販売に係る麗姿商標の使用された石けんについて、ちえの輪が請求人に販売した数量は、ちえの輪が販売代理店に販売したもののうち44.7%であり、被請求人の製造販売に係る麗姿商標の使用された化粧品について、ちえの輪が請求人に販売した数量は、ちえの輪が販売代理店に販売したもののうち13.8%であり、石けん及び化粧品の販売数量を合計すると、ちえの輪が販売代理店に販売したもののうち、25%が請求人に販売されているにすぎない。また、被請求人は、ちえの輪との間で、ちえの輪を被請求人の販売総代理店とする取引契約を締結し、ちえの輪は、被請求人の製造販売に係る麗姿商標の使用された石けん及び化粧品を、全国約700店の販売代理店に納入している。各販売代理店は、これを一般消費者に販売しており、営業活動に際し、これら石けん及び化粧品のパンフレットを配布するとともに商品の説明を行って販路を拡大し、地方新聞や雑誌への広告の掲載、新聞折込みチラシ、テレビのスポット広告などの広告も行ってきたものである。

そうすると、請求人がちえの輪との間で代理店契約を締結して麗姿商標の使用された商品を取り扱って以降、被請求人が本件商標登録出願をした平成10年7月30日までの間も、請求人以外に、被請求人、ちえの輪及びその販売代理店が、引き続き上記商品を取り扱って、麗姿商標を自己の業務に係る商品を表示するものとして使用していたのであるし、販売代理店に限ってみても、請求人がちえの輪の販売代理店として営業していた平成9年8月までの間、麗姿商標の使用された商品中、請求人の取り扱っていた商品の割合は、上記の程度にとどまっており、その後、本件商標の登録出願時までの間に請求人の取り扱う麗姿商標の使用された商品の数量が顕著に増加したことをうかがわせる証拠はない。

(ウ)以上によれば、本件商標の登録出願時において、請求人商標を含む麗姿商標が請求人の業務に係る商品を表示するものとして周知であったと認めることはできないというべきである。

なお、本件は、被請求人を製造元、ちえの輪を総発売元とする被請求人らの企業グループから請求人が離脱して以降、同企業グループと請求人に関連する企業グループとの双方が、いずれも自己の業務に係る商品を表示するものとして麗姿商標を使用してきたという事案に係るものである。仮に、麗姿商標を使用する企業グループが請求人らの企業グループのみであるとするならば、麗姿商標に接した取引者、需要者は、麗姿商標が広く知られていないために特定の企業グループの業務に係る商品を表示するものと認識し得ないか、又は、当該商標が広く知られており請求人らの業務に係る商品を表示するものと認識するかのいずれかであるということができる。しかしながら、本件のように、麗姿商標を複数の企業グループが使用してきた場合には、当該商標そのものが広く知られたとしても、なお、これが複数の企業グループのいずれの業務に係る商品を表示するかについてまで広く知られていなければ、特定の企業グループの業務に係る商品を表示するものとして広く知られているということはできない。その意味でも、本件においては、麗姿商標が、被請求人らの企業グループではなく、請求人らの企業グループの業務に係る商品を表示するものとして広く知られていると認めることは困難である。

さらに、本件においては、当初、被請求人らの企業グループのみが麗姿商標を使用しており、請求人はこの企業グループの一員であったから、請求人が麗姿商標を使用しても、グループ離脱前は、この企業グループの一員として麗姿商標を使用していたというべきである。したがって、麗姿商標に接した取引者、需要者のうち多くの者にとっては、請求人が被請求人ら企業グループから離脱した後も、引き続き被請求人らの企業グループが麗姿商標の使用を継続している状況と区別し得なかったものと推認されるから、この点においても、麗姿商標が請求人の業務に係る商品を表示するものとして広く知られるに至ることは困難であったといわざるを得ない。

(4)そうすると、本件商標の登録出願時において、請求人商標を含む麗姿商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く知られていたということはできないのであるから、請求人の取り扱う麗姿商標の使用された「石けん」が本件商標の指定商品中の「化粧品」に類似する商品であるとしても、本件商標の指定商品中「化粧品」についての登録は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第19号について

本件商標の登録出願時において、請求人商標を含む麗姿商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く知られていたということはできないことは上記のとおりであり、その上、本件商標は、これを指定商品に使用した場合、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的)をもって使用するものではない。

不正の目的をもって使用する一つに、周知商標の所有者に無断で商標登録出願をし、登録になったことが挙げられているが、本件における事実はまさしくその逆で、請求人は、平成8年7月29日、ちえの輪との間で、麗姿商標の使用された化粧品等を同社から,仕入れてこれを販売することなどを内容とする代理店契約を締結したものである。

このことは、乙第16号証に示すとおり、請求人提訴の保証金返還請求事件の訴状によっても、請求人とちえの輪との間に代理店取引契約の存在したことは明らかである。

請求人は、不正の目的を証する書面として、甲第12号証を提出し、現に需要者からは混同する旨の電話等の連絡が殺到しているため、「類似品に関するご報告」という文面をインターネット上に載せ注意を呼びかけていると主張しているが、これは、被請求人を製造元、ちえの輪を総発売元とする被請求人らの企業グループから請求人が離脱して以降も、麗姿商標を継続使用した結果生じた混同であって、本件商標を侵害する証左に他ならない。

したがって、本件商標は、不正の目的をもって使用するものでないから、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第10号について

(1)請求人、被請求人の提出した証拠及び被請求人の主張によれば、以下の事実を認めることができる。

(ア)被請求人は、昭和57年に設立され、健康食品等の製造販売を主たる業務としてきたが、平成3年頃から「和漢ドゥサボン」商標を使用して石けんの製造販売を始め、平成5年9月から、上記商標に替え、麗姿商標を使用して石けん及び化粧品の製造販売を始め、平成5年12月27日、ちえの輪との間で、「麗姿ブランド全商品」について、ちえの輪を被請求人の販売総代理店とする取引基本契約を締結し、従来、「和漢ドゥサボン」商標の使用された商品を仕入れていた販売店は、ちえの輪の販売代理店となり商品の販売を継続していたこと(乙第2号証)。

(イ)ちえの輪は、総販売代理店として,麗姿商標の使用された石けん及び化粧品を、全国約700店の販売代理店に納入し、各販売代理店は、これを一般消費者に販売していたこと。また、各販売代理店は、それぞれ販売員を使用し、これら石けん及び化粧品のパンフレットを配布するとともに商品の説明を行い、販路を拡大してきたが、地方新聞や雑誌への広告の掲載、新聞折込みチラシ、テレビのスポット広告などの広告も行ってきたこと(乙第3号証)。

(ウ)請求人(当時の商号「株式会社オフィス・タケ」)は、「和漢ドゥサボン」商標を使用した石けんを被請求人から仕入れ、これを一般消費者に販売していたが、平成6年1月末日、被請求人との間で、請求人が継続的に発注する化粧品類の製造について、被請求人がこれを引き受け、請求人に売り渡すことなどを内容とする本件基本契約を締結したこと(甲第5号証、乙第4号証)。請求人は、そのころ、被請求人に対し、「和漢ドゥサボン」商標を使用した商品の総販売代理店契約の締結を申し入れたが、被請求人から、既に、麗姿商標を使用した石けん及び化粧品の販売を開始しており、その総販売代理店もちえの輪に決まっていることを理由として拒絶され、そこで、請求人は、被請求人に対し、麗姿商標を使用すること、独占的販売でないこと、形式上ちえの輪を通して取引することを了承する代わり、通信販売用に石けん用包装のデザインを変更すること、実質的には被請求人との直接取引にすることを申し込み、被請求人は、ちえの輪の了承が得られることを条件にこれを承諾し、ちえの輪の了承が得られたため、請求人は、麗姿商標の使用された商品の販売を開始したこと。そして、請求人は、平成8年7月29日、ちえの輪との間で、麗姿商標の使用された化粧品等を同社から仕入れて、これを販売することなどを内容とする代理店契約を締結し(乙第5号証)、ちえの輪の販売代理店の一類型である「リーダー店」となって、ちえの輪から商品を仕入れて販売するようになり(乙第6号証)、請求人代表者が、リーダー店の一員として、ちえの輪の主催する販売代理店向けのセミナーに、参加することもあったこと(乙第7号証)。請求人は、被請求人との上記合意に基づき、被請求人に商品を直接注文し、被請求人から直接その納入を受け、相当額をちえの輪に支払っていたこと(乙第8号証)。

(エ)平成9年8月以降、請求人(同年2月「株式会社タケ」に商号変更)は、被請求人に対する商品の注文を中止し、同年10月頃、他社から石けん、化粧品等の商品を購入し、麗姿商標を使用して販売を開始したこと(乙第9号証)。

(オ)被請求人の製造販売に係る麗姿商標の使用された石けんについて、平成7年6月から平成9年9月までの間にちえの輪が請求人に販売した数量は、全体の44.7%であり、また、被請求人の製造販売に係る麗姿商標の付された化粧品について、上記期間にちえの輪が請求人に販売した数量は、全体の13.8%であり、上記期間における上記石けん及び上記化粧品の販売数量を合計すると、ちえの輪が販売代理店に販売した全体の25%が請求人に販売されていることが推認されること(乙第1号証、乙第10号証ないし乙第12号証)。

(2)以上の事実関係に基づき、本件商標の登録出願時において、請求人商標を含む麗姿商標が請求人の業務に係る商品であることを表示するものとして周知であったかどうかについて判断する。

(ア)麗姿商標の表示主体とOEM契約の成否

上記(1)(ウ)のとおり、請求人は、被請求人と本件基本契約を締結するに際して、通信販売用に包装のデザインを変更することを申し込んでおり、この点では、請求人の販売した石けんの包装のデザインは、請求人が自ら決定する余地があったと解することができる。しかしながら、本件全証拠によっても、請求人が販売する石けんに付する商標まで自ら決定していたと認めることはできない。むしろ、上記(1)(ア)のとおり、被請求人は、平成3年頃から、「和漢ドゥサボン」商標の使用された石けんを製造販売しており、請求人から、当初は、同商標を使用した商品の総販売代理店契約の締結を申し込まれたものの、被請求人が既に麗姿商標の使用を決定していたため、結局、麗姿商標を使用することを承諾したという経緯が認められる上、形式的とはいえ、ちえの輪と代理店契約を締結して販売代理店となったのであるから、請求人が被請求人との関係で、商品に使用する商標を決定する権限を有していたとは認めることができない。そして、被請求人は、平成5年9月から、麗姿商標を使用して石けん及び化粧品の製造販売を始め、同年12月27日、ちえの輪との間で、「麗姿ブランド全商品」について、ちえの輪を被請求人の販売総代理店とする取引基本契約を締結し、ちえの輪は、麗姿商標の付された石けん及び化粧品を、全国約700店の販売代理店に納入していたのであるから、麗姿商標を使用した石けん及び化粧品のデザイン及び商標については、請求人の取扱いに係るものも含め、原則として、製造元である被請求人がこれを決定していたと認めることができる。

そうすると、本件基本契約の契約書における、被請求人が請求人の指定するブランド化粧品類の製造を引き受ける旨の記載は、請求人が自由に商品の内容、商標等を指定することができるという趣旨のOEM契約ではなく、被請求人がどのような麗姿商標を使用するか決定した範囲内で、請求人が数量、商標の具体的態様等を決定して発注するという趣旨の契約と解するほかはない。

さらに、上記(1)(ウ)のとおり、請求人は、石けん及び化粧品を被請求人から仕入れ、その販売を開始したが、その後、請求人が「和漢ドゥサボン」商標の使用された商品について総販売代理店契約を申し入れたのに対し、被請求人が既に麗姿商標を使用して販売を開始しており、総販売代理店もちえの輪に決定しているとして拒絶したため、やむを得ず、平成8年7月29日、ちえの輪との間で代理店契約を締結して販売代理店になることで麗姿商標を使用した商品を扱うことができたという経緯が認められる。このような経緯に照らすと、請求人は、被請求人が麗姿商標の使用を開始した後に、初めて麗姿商標の使用をしたものと認めるのが相当である。

しかして、製造元がある商標の使用された商品を製造販売し、これを購入した販売店が当該商品をそのまま一般消費者に販売するという場合には、当該製造元と販売店とは、いずれも、当該商品に使用された商標を自己の業務に係る商品であることを表示するものとして使用しているというべきであり、当該商標が誰の業務に係る商品を表示するものとして周知となるかは、製造元と販売店間でOEM契約が締結されたかどうかなど両者間の契約内容によって定まるわけではなく、当該商標の使用された商品に接した取引者、需要者が、誰の業務に係る商品であることを表示するものとして当該商標を認識するかによって定まるものというべきである。

(イ)麗姿商標使用の実情

本件において、確かに、麗姿商標の使用された商品のうち、請求人の販売に係るものの広告、宣伝においては、「オフィス・タケ」「(株)オフィス・タケ」「株式会社タケ 麗姿事業部」など、請求人の商号又は略称の付されたものが多いと認められる(甲第7号証、乙第9号証)。しかしながら、その使用態様を見ると、「取材協力/(株)オフィス・タケ 麗姿事業部」「取材協力/オフィス・タケ麗姿事業部」「お問い合わせ先/(株)オフィス.・タケ」(甲第7号証、乙第13号証)、「お問い合わせ先/株式会社タケ麗姿事業部」(甲第7号証、乙第14号証)、「お問い合わせ/オフィス タケ 麗姿事業部」(甲第7号証)、「問合せ先=オフィス・タケ 麗姿事業部」(甲第7号証)、「協力 オフィス タケ」(甲第7号証)のように、請求人の販売に係る商品であることが明確に表示されていないものもあり、また、請求人の商号等の表示は、麗姿商標の使用された商品の説明に目立たない態様で付記されているものが多い。さらに、請求人の販売する商品の広告、宣伝においても、「サボン麗姿は・・・和漢生薬研究所から生み出された」(乙第14号証)、「和漢生薬研究所が・・・生み出した」(乙第13号証)、「和漢生薬研究所(現在製造元)」(乙第15号証)として、被請求人の業務に係る商品であることが併記されているものもあり、麗姿商標の使用された石けんを取り上げたテレビ番組(平成8年8月22日放映の日本テレビ系全国ネット「輝け!噂のベストテン」の中でも、同様に、被請求人の業務に係る商品として紹介されている。

そうすると、請求人の商号等の表示とともに麗姿商標に接した取引者、需要者は、麗姿商標が、請求人のみならず、被請求人の業務に係る商品であることを表示するものとしても認識すると認められる。

(ウ)請求人の取引態様と販売数量

上記(1)(オ)のとおり、被請求人の製造販売に係る麗姿商標の使用された石けんについて、ちえの輪が請求人に販売した数量は、ちえの輪が販売代理店に販売したもののうち44.7%であり、被請求人の製造販売に係る麗姿商標の使用された化粧品について、ちえの輪が請求人に販売した数量は、ちえの輪が販売代理店に販売したもののうち13.8%であり、石けん及び化粧品の販売数量を合計すると、ちえの輪が販売代理店に販売したもののうち25%が請求人に販売されているにすぎない。また、被請求人は、ちえの輪との間で、ちえの輪を被請求人の販売総代理店とする取引基本契約を締結し、ちえの輪は、被請求人の製造販売に係る麗姿商標の使用された石けん及び化粧品を、全国約700店の販売代理店に納入している。各販売代理店は、これを一般消費者に販売しており、営業活動に際し、これら石けん及び化粧品のパンフレットを配布するとともに商品の説明を行って販路を拡大し、地方新聞や雑誌への広告の掲載、新聞折込みチラシ、テレビのスポット広告などの広告も行ってきたものである。

そうすると、請求人がちえの輪との間で代理店契約を締結して麗姿商標の使用された商品を取り扱って以降、被請求人が本件商標を登録出願した平成10年7月30日までの間も、請求人以外に、被請求人、ちえの輪及びその販売代理店が、引き続き上記商品を取り扱って、麗姿商標を自己の業務に係る商品を表示するものとして使用していたのであるし、販売代理店に限ってみても、請求人がちえの輪の販売代理店として営業していた平成9年8月までの間、麗姿商標の使用された商品中、請求人の取り扱っていた商品の割合は、上記の程度にとどまっており、請求人の提出した甲第23号証によっても、本件商標の登録出願時までの間に請求人の取り扱う麗姿商標の使用された商品の数量が顕著に増加したことをうかがわせる証拠はない。

(エ)請求人の業務に係る商品を表示するものとしての麗姿商標の周知性

以上の認定及び判断によれば、本件商標の登録出願時において、請求人商標を含む麗姿商標が請求人の業務に係る商品を表示するものとして周知であったと認めることはできないというべきである。

請求人は、麗姿商標は請求人の業務に係る商品を表示するものとして広く知られるに至っていたものであると主張するが、上記(1)(ア)のとおり、被請求人は、ちえの輪との間で「麗姿ブランド全商品」についてちえの輪を被請求人の販売総代理店とする取引基本契約を締結し、ちえの輪は、麗姿商標の使用された石けん及び化粧品を全国約700店の販売代理店に納入し、各販売代理店は、これを一般消費者に販売していたものである。

そうすると、仮に、麗姿商標の使用されていない石けん及び化粧品が被請求人から、ちえの輪を通してその販売代理店に販売されたことがあったとしても、ごく少数の例外的なものにすぎないと推認され、また、請求人の提出に係る証明願(甲第22号証)は、請求人が顧客等に定型文章により証明を依頼したにすぎないものであるから、請求人商標を含む麗姿商標の周知性に係る上記認定を左右するものではない。

そうして、本件は、被請求人を製造元、ちえの輪を総発売元とする被請求人らの企業グループから請求人が離脱して以降、同企業グループと、請求人に関連する企業グループとの双方が、いずれも自己の業務に係る商品を表示するものとして麗姿商標を使用してきたという事案に係るものである。仮に、麗姿商標を使用する企業グループが請求人らの企業グループのみであるとするならば、麗姿商標に接した取引者、需要者は、麗姿商標が広く知られていないために特定の企業グループの業務に係る商品を表示するものと認識し得ないか、又は、当該商標が広く知られており請求人らの業務に係る商品を表示するものと認識するかのいずれかであるということができる。しかしながら、本件のように、麗姿商標を複数の企業グループが使用してきた場合には、当該商標そのものが広く知られたとしても、なお、これが複数の企業グループのいずれの業務に係る商品を表示するかについてまで広く知られていなければ、特定の企業グループの業務に係る商品を表示するものとして広く知られているということはできない。その意味でも、本件においては、麗姿商標が、被請求人らの企業グループではなく、請求人らの企業グループの業務に係る商品を表示するものとして広く知られていると認めることは困難である。

さらに、本件においては、当初、被請求人らの企業グループのみが麗姿商標を使用しており、請求人はこの企業グループの一員であったから、請求人が麗姿商標を使用しても、グループ離脱前は、この企業グループの一員として麗姿商標を使用していたというべきである。したがって、麗姿商標に接した取引者、需要者のうち多くの者にとっては、請求人が被請求人らの企業グループから離脱した後も、引き続き被請求人らの企業グループが麗姿商標の使用を継続している状況と区別し得なかったものと推認されるから、この点においても、麗姿商標が請求人の業務に係る商品を表示するものとして広く知られるに至ることは困難であったといわざるを得ない。

(オ)そうすると、本件商標の登録出願時において、請求人商標を含む麗姿商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く知られていたということはできないから、請求人の取り扱う麗姿商標の使用された「石けん」が本件商標の指定商品中の「化粧品」に類似する商品であるとしても、本件商標の指定商品中「化粧品」についての登録は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第19号について

請求人商標を含む麗姿商標は、本件商標の登録出願時において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く知られていたということはできないこと上記認定のとおりである。また、被請求人は、請求人の承諾もないまま本件商標を出願している行為は、不正の目的をもって利用するものであり、被請求人が自己の売上増加をもくろみ、請求人の販売を妨害しようとするために不正に得た登録商標であるから、本件商標は、これを指定商品に使用した場合、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的)をもって使用するものである旨述べている。しかしながら、本件商標は全証拠によっても、被請求人が本件商標の登録出願について、請求人の承諾を得なければならないとする必然性も認められないし、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的)をもって使用するものと断定する証左は見当たらない。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

3 結語

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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