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Trademark Appeal Case

著名商標PoloとPolo Clubの混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2003−35345(T2003−35345/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3370089号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3370089号商標(以下「本件商標」という。)は、「Polo Club」の文字を横書きしてなり、平成4年9月29日に登録出願、第35類「広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,職業のあっせん,輸出入に関する事務の代理又は代行,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」を指定役務として、平成10年8月28日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第22号証(枝番を含む。)を提出した。

1.無効事由

本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。

2.無効原因

(1)請求人の業務及び使用標章

請求人は、請求人の主な構成員であり世界的に著名なデザイナーであるラルフ・ローレンによってデザインされた被服や眼鏡、フレグレンスその他のファッション関連商品について、関連会社やライセンシーを通じ世界的規模でそれらの製造・販売・ライセンス業務に携わっている米国ニューヨーク州所在のリミテッドパートナーシップである。

そして、請求人は、請求人が取り扱う全ての商品・役務の商標として甲各号証に示す横長四角形中に表示された「Polo」(又は「POLO」)の

文字からなる標章、「RALPH LAUREN」「by RALPH LAUREN」(又は「RALPH LAUREN」「by Ralph Lauren」)の文字からなる標章、馬に乗ったポロ競技者の図形標章を、それぞれ単体で、又はそれらの全部あるいは一部を組合せた標章を長年使用しており、それらの標章は以下で述べるとおり、本件商標登録出願前から既に周知・著名となっているものである。請求人は、上記使用標章及び別掲に示すとおりの商標登録第3037550号(第35類「経営の診断及び指導、市場調査、商品の販売に関する情報の提供」)を引用する(以下、これらを「引用商標」という。)。

(2)引用商標の著名性

(ア)ラルフ・ローレンは、1939年(昭和14年)生まれのアメリカの

服飾等のデザイナーである。同人は、1970年、73年にアメリカのファ

ッション界で最も権威があるとされるコティ賞を受賞し、1974年(昭和49年)映画「華麗なるギャツビー」の男性衣装を担当するなどして世界的に知られるようになった(甲第3号証及び甲第4号証)。

(イ)ラルフ・ローレンがデザインした被服等には、横長四角形中に表示された「Polo」(又は「POLO」)の文字からなる標章、「RALPH LAUREN」「by RALPH LAUREN」(又は「RALPH LAUREN」「by Ralph Lauren」)の文字からなる標章、馬に乗ったポロ競技者の図形標章が、それぞれ単体で、又はそれらの全部あるいは一部を組合せて使用している。

(ウ)我が国においては、1977年(昭和52年)西武百貨店が日本での

ラルフ・ローレンのデザインに係る商品の輸入・製造・販売のライセンスを取得して(ただし、眼鏡、ネクタイのライセンスは当時別会社が有していた。)その販売等を開始し、以後急速に業績を伸ばしてきた。因みに1987年(昭和62年)には、引用商標を付した商品の小売販売高が約330億円を記録した(甲第7号証)。

(エ)平成元年には、第三者が引用商標ないしこれに酷似した標章を付した偽ブランド商品を販売していたとして摘発される事件が発生し新聞記事となっている。平成元年5月19日付け朝日新聞夕刊(甲第15号証)に「『ポロ』の偽 大量販売 警視庁 通信販売会社を摘発...『Polo(ポロ)』の商標で知られるラルフローレンブランド...米国の『ザ・ローレン・カンパニー』社の商標・デザインで西武百貨店が日本での独占製造販売権を持っている『Polo』の商標と馬上の人がポロ競技をしているマーク...」の記事が掲載されている。以後、同様の事件が頻発している(甲第16号証ないし甲第18号証)。

(オ)引用商標は、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品に付される商標ないしそのブランドとして「ポロ」「Polo」「POLO」のブランド名の下に紹介されていた(甲各号証)。

(カ)したがって、引用商標は、本件商標の登録出願時までには「ポ口」(「Polo」ないし「POLO」)商標などと総称され、いずれも、被服およびファッション関連商品について、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品に付される商標ないしそのブランドとして著名となっていたものである。

(3)本件商標が引用商標と混同を生じる必然性

(ア)本件商標は、「Polo Club」の文字よりなるところ、該文字は全体として何ら特定の観念を有するものではないから、常に一連一体のものと認識されるものではない。

確かに、本件商標は、「Polo Club」の文字からなり、請求人が使用する引用商標とは差異を有することは明らかであるが、本件商標が全体として何ら特定の観念を有するものではなく、かつ、上述のとおり、請求人の使用する引用商標が「ポロ」(「POLO」)商標・「ポロ」(POLO)ブランドと称され高い出所表示機能を有しているところから、「Polo」の後に「Club」の文字を表示していても著名な請求人の「Polo」と何らかの関係がある役務であると認識・理解されるものであると言うのが相当である。

このことは、東京高裁「Polo Club」事件(平成2年行ケ183号)において、『ところで、本件商標(Polo Club)は、引用標章(POLO)をその構成の一部とするものであるが、前記のように、我国において、遅くとも本件商標の登録出願時までに、ラルフ・ローレのデザインに係る被服類及び眼鏡製品を表す標章として引用標章の著名性が広く需要者及び取引関係者の間に確立していたと認められる以上、かかる需要者及び取引関係者が、本件商標に接すれば、引用標章との構成上の相違にもかかわらず、「Club」が広く同好の士の集団を意味するごくありふれた日常用語にすぎないことから、「Polo」の部分に着目して引用標章を連想するか、あるいはこれを一体のものとして観察しても、引用標章の付された前記商品群の愛用者集団を意味するものと観念して引用標章を連想するものと認めるのが相当である。また、.........これをラルフ・ローレンによりデザインされた「ポロ」と称される商品の標章と観念するものと認めて差し支えないものというべきである。』と認定している(甲第20号証)。

(イ)そして、「POLO CLUB」の文字を有する商標が、請求人使用標章と混同のおそれがあると判断された判決が以下のとおり多数存在する。

・11行ケ253号・12行ヒ172号(PALM SPRINGS POLO CLUB)

・11行ケ290号・12行ヒ111号(ROYAL PRINCE POLO CLUB)

・11行ケ340号・12行ヒ300号(ASCOT PARK POLO CLUB)

・12行ケ49号 (HOLLYWOOD POLO CLUB)

・12行ケ88号 (Polo Club Members)

・12行ケ92号・13行ヒ47号 (ROYAL PRINCE POLO CLUB)

・12行ケ145号 (CHARLES POLOCLUB)

・12行ケ146号 (CHARLES POLOCLUB)

・12行ケ160号 (POLO CLUB)

・12行ケ308号 (POLO CLUB)

・13行ケ15号 (BEVERLY HILLS POLO CLUB)

(ウ)ところで、被服など服飾の販売に関する指導・助言を依頼する者は、指導・助言の結果、服飾の販売促進が増すことを目的とするものである。

ラルフ・ローレン、ルイ・ヴィトン、エルメス等いわゆる高級ブランドを所有する服飾企業は、ブランドイメージによる商品の販売促進及びブランドイメージ保守のためライセンシーに対し、例えば、店舗デザイン、商品の配列、顧客に対するサービス仕様、アイテムの動向等々細部に亘ってブランドイメージによる販売促進のための指導・助言を行っている。

したがって、高級ブランド服飾の販売者と服飾の販売に関する指導・助言を行う者とは密接な関係にあると言いえる。

(エ)よって、本件商標は、請求人が使用して著名となっている商標「Polo」をその一部に含むものであるから、これを指定役務に使用したときは、取引者・需要者をして、請求人又はその関係者によって提供される役務の一種であると誤認し、混同を生ずることが必定と言うべき商標である。

(4)むすび

本件商標は、請求人が、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等ファッション関連商品に長年使用し、「ポロ」(「Polo」ないし「POLO」)商標、「ポロ」ブランドなどと総称され、広く一般に知られている商標「Polo」と同文字をその一部に有してなるものであるから、これをその指定役務に使用した場合は、役務の出所について混同を生ずること必定である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、無効とすべきものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、何ら答弁していない。

第4 当審の判断

(1)引用商標の著名性について

請求人の提出に係る甲第1号証ないし甲第19号証の4並びに請求の理由の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

(ア)「男の一流品大図鑑」(昭和53年7月20日 講談社発行)184頁に、「この映画(1974年の映画『華麗なるギャツビー』を指称する。)で主演したロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したのが、ポロ社の創業者であり、アメリカのファッションデザイン界の旗手ラルフ・ローレンである。」、「30歳になるかならぬかで一流デザイナーの仲間いりをはたし、わずか10年で、ポロ・ブランドを、しかもファッションデザイン後進国アメリカのブランドを、世界に通用させた秘密は、この伝統重視......。」との記述と共に、横長四角形中に「Polo」の文字とその下に「by RALPH LAUREN」及び「ラルフローレン」の各文字並びに馬に乗ったポロ競技のプレイヤーの図形が記載されていること(甲第3号証)。

(イ)「舶来ブランド事典 ’84THE BRAND」(昭和58年9月

28日 サンケイマーケティング発行)208頁に、「ラルフ・ローレンは、......1967年、タイメーカーのボー・ブランメル社にタイ・デザイナーとして迎えられ、ワイドタイを作り大ヒット、一躍注目の紳士服デザイナーとなった。翌年には『ポロ・ファッション社』を創立し、タイ、シャツ、セーター、スーツなどのデザイン製作を開始、さらに靴、カバン類までトータルな展開をする。また、1971年には婦人服のデザインにも進出。世界的に知られるようになったのは、1920年代を舞台にした『華麗なるギャツビー』のメンズウエアのデザインを担当、アメリカのハイソサエティの上品でエレガントな’20年代ルックを再現したことにある。この間、アメリカのファッション界では最も権威のある『コティ賞』を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ『アメリカ・ファッション賞』『トミー賞』『ウール・ニット賞』などの高い評価を受けている。」との記述と共に、馬に乗ったポロ競技のプレイヤーの図形及び「by Ralph Lauren」の文字並びに横長四角形中に「Polo」の文字が記載されていること(甲第4号証)。

(ウ)「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年4月25日 講談社発行)12頁に、「POLO ポロ(アメリカ)」の項に「アメリカのファッション界に君臨し、名実ともにニューヨークのトップデザイナーであるラルフ・ローレンが経営するポロ・ファッションズ。高品質のマテリアルをぜいたくに使いきり、......」と、171頁に「メガネ・GLASSES」の見出しの下、「POLOポロ(アメリカ) レザーフレームはすべて手づくり、加工はカナダのプリンスエドアード島でされている。......」と記述されていること(甲第11号証)。

(エ)「海外ファッション・ブランド総覧」(昭和55年4月15日 洋品界発行)195頁、221頁、224頁及び281頁に、「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項において、「品種」として「紳士服、紳士洋品」、「ネクタイ」、「紳士服、サングラス」、そして「販路」として「西武百貨店、全国展開、専門店」と、「ポロ」の項において、「品種」として「紳士靴」そして「販路」として「西武百貨店、有名靴店」と、また「商品特色」として「アメリカで最初の幅の広いワイド・タイを発表して注目を浴びたラルフ・ローレン。若々しさと格調が微妙な調和を見せるメンズ・ウエア『ポロ』ブランドの創始者。栄誉あるファッション賞『コティ賞』をはじめ彼の得た賞は数知れず、その実力をレディス・ウエアにも発揮。......」の記載があること(甲第5号証)。

(オ)「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」(昭和59年9月25日 ボイス情報発行)223頁に、「ブランド ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」、「提携先(ライセンサー) ラルフ・ローレン」、「国内ライセンシー (株)西武百貨店」及び「ライセンス開始年度 昭和51年」と、同頁に「ブランド ポロ・ボーイズ」、「提携先(ライセンサー) ラルフ・ローレン」、「国内ライセンシー (株)西武百貨店」及び「ライセンス開始年度 昭和54年」と記述されていること(甲第6号証)。

(カ)1988年10月29日付け「日経流通新聞」によれば、「西武百貨店は、商品事業本部で展開してきたポロ・ラルフローレン事業を分離・独立させ、100パーセント子会社、ポロ・ラルフローレンジャパンを設立した。新会社を軸にファッション製品に加え、来年秋からハンカチ、ナイトウエアなど新しい商品群を導入してポロ・ラルフローレンブランドのライセンス事業をトータル展開する。......」との記載があること(甲第7号証)。

(キ)1989年5月19日付け「朝日新聞」によれば、「『ポロ』の偽 大量販売」、「警視庁 通信販売会社を摘発」と、1993年10月13日付け「読売新聞」によれば、「偽『ポロ』眼鏡枠を摘発 大阪、富山の卸会社 約5300個売る/福井県警」との見出し記事があること(甲第15号証及び甲第17号証)。

以上の事実によれば、ラルフ・ローレンは、1970年、73年にアメリカのファッション界で最も権威あるとされるコティ賞を受賞し、1974年に映画「華麗なるギャツビー」の男性衣装を担当するなどして世界的に知られるようになったデザイナーと認められる。そして、同氏のデザインに係る被服及び眼鏡等の商品について使用する引用商標は、単に「ポロ」(「Polo」ないし「POLO」)ブランドと称され知られるようになった。

また、わが国において、昭和51年に株式会社西武百貨店が引用商標に係るライセンシーを取得し、それ以降、ラルフ・ローレンに係るネクタイ、紳士服、眼鏡などのファッション関連商品について使用し、その結果、引用商標は、取引者、需要者の間で遅くとも本件商標の登録出願時にラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表すものとして極めて強い顧客吸引力を獲得していたものと認め得るものである。加えて、近年わが国でラルフ・ローレンに係る被服等について使用される標章を模倣した偽物の「ポロ」ブランド商品が市場に出回るようになった事実を併せ考慮すると、引用商標は、本件商標が商標登録された時まで継続して周知著名であったものと推認し得るとろである。

(2)役務の出所の混同のおそれについて

本件商標は、上記のとおり、「Polo Club」の文字を書してなるものである。そして、その構成中に、世界的に著名なデザイナーであるラルフ・ローレンのデザインに係る被服及び眼鏡等のファッションに関連する商品に使用して周知著名性を獲得している「Polo」、「POLO」の文字と同一文字列を有してなるところ、本件商標に接する取引者、需要者は、「Club」の文字が広く同好の士の集団を意味するものとして一般に親しまれた語にすぎないことから、「Polo」の文字部分に強い注意力が注がれ、直ちに引用商標を連想、想起するものとみるのが相当である。

また、本件商標の指定役務中の例えば、「広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」には、当然に、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服及び眼鏡等のファッション関連商品をその対象とする役務も含まれるものであるから、「服飾及び眼鏡等のファッション関連商品に関する広告・経営の診断及び指導・市場調査・商品の販売に関する情報の提供」と「被服及び眼鏡等のファッションに関連する商品」とは、役務の対象物と引用商標が現に使用されている商品とが、同一であるか又は関連があるものであり、前記役務の需要者は、前記ファッション関連商品の取引者、販売者であることも少なくないものである。

そうすると、本件商標の指定役務と引用商標に係る服飾及び眼鏡等のファッション関連商品とは、少なからず関連があるものといえるものである。

してみると、本件商標は、これをその指定役務に使用した場合、その前半の「Polo」の文字部分より需要者が著名なラルフ・ローレンのポロ商標を連想、想起して、その役務が請求人又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、役務の出所について混同を生ずるおそれのある蓋然性が高いものといわなければならない。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定に基づき、その商標登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する

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