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Trademark Appeal Case

論点抽出失敗

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成8年審判第20112号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2715794号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2715794号商標(以下「本件商標」という。)は、「VALENTINO」の欧文字を横書きしてなり、平成元年11月2日に登録出願され、第9類「救命胴衣、その他の救命具、その他本類に属する商品」を指定商品として、同8年8月30日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用する商標

請求人が本件商標の登録の無効理由に引用する商標は、下記の(1)ないし(6)のとおりである。(以下、6件を一括していう場合は「各引用商標」という。)

(1)登録第852071号商標(以下「引用A商標」という。)

商標の態様 「VALENTINO」の欧文字を横書きしたもの

登録出願日 昭和43年6月5日

設定登録日 昭和45年4月8日

指定商品 第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品( 他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」

(2)登録第1415314号商標(以下「引用B商標」という。)

商標の態様 「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を 横書きしたもの

登録出願日 昭和49年10月1日

設定登録日 昭和55年4月30日

指定商品 第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品( 他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」

(3)登録第972813号商標(以下「引用C商標」という。)

商標の態様 「VALENTINO」の欧文字を横書きしたもの

登録出願日 昭和45年4月16日

設定登録日 昭和47年7月20日

指定商品 第21類「宝玉、その他本類に属する商品」 その後、 指定商品中の「かばん類、袋物」についての商標権は放 棄された(平成2年6月25日登録)。

(4)登録第1793465号商標(以下「引用D商標」という。)

商標の態様 「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を 横書きしたもの

登録出願日 昭和49年10月1日

設定登録日 昭和60年7月29日

指定商品 第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及 びその模造品、造花、化粧用具」

(5)登録第1786820号商標(以下「引用E商標」という。)

商標の態様 「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を 横書きしたもの

登録出願日 昭和49年10月1日

設定登録日 昭和60年6月25日

指定商品 第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ 、これらの部品及び附属品」

(6)登録第1402916号商標(以下「引用F商標」という。)

商標の態様 「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を 横書きしたもの

登録出願日 昭和49年10月1日

設定登録日 昭和54年12月27日

指定商品 第27類「たばこ、喫煙用具、マッチ」

第3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第54証(枝番を含む。)を提出した。

本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条の規定によりその登録は無効とされるべきものである。

1 商標法第4条第1項第8号に違反して登録された理由について

請求人は、イタリアの著名な服飾デザイナー「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)氏の同意を得て、同氏のデザインに係る各種の商品を製作、販売しており、これらの商品について「VALENTINO GARAVANI」或は「VALENTINO」の欧文字からなる商標を使用している者であるが、上記の「VALENTINO GARAVANI」氏の氏名は単に「VALENTINO」(ヴァレンティノ)と略称されており、この略称も本件商標の登録出願の日前より著名なものとなっていることは甲第9号証(商願昭61−81516号に対する登録異議の申立てについての決定謄本)をはじめとして、甲第14号証の2、同第16号の2、同号証の3、同第17号証の2、同第23号証の2、同第26号証の3、同第31号証の2、同第34号証の2、同第37号証の2、同第47号証の2、同号証の3、同号証の5及び同第49号証によっても明らかである。

しかるところ、本件商標はその構成が甲第1号証に示すとおりのものであ

って、商標を構成する「VALENTINO」の文字が「ヴァレンティノ」と称呼されるものであることは明らかであるから、本件商標は「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)氏の氏名の著名な略称をあらわすものであり、その者(他人)の承諾を得ずに登録出願されたものであることは明らかである。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものといわざるをえない。

2 商標法第4条第1項第15号に違反して登録された理由について

請求人は、上記のとおり各種の商品について多数の登録商標を使用してい

るところであって、これらのうち、各引用商標は婦人服、紳士服、ネクタイ等の被服、バンド、ハッグ類、靴、ライター等に使用された結果、本件商標の登録出願の日前より全世界に著名なものとなっていることは甲第10号証(商願昭62−132065号に対する登録異議の申立てについての決定謄本)ないし同第54号証によっても明らかである。

そして、本件商標と引用A商標及び引用C商標(請求の理由中では「引用B商標」となっているが「引用C商標」の誤記と思われる。)は同一の称呼を生ずる類似の商標であることは明らかであり、また、引用B商標、引用D商標、引用E商標及び引用F商標は「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を書してなるものであるが、その全体を称呼するときは「ヴァレンティノガラヴァーニ」の称呼を生ずるものであって、これは冗長なものであるので、上記のデザイナー「VALENTINO GARAVANI」氏の氏名が「VALENTINO」(ヴァレンティノ)と略称されて著名になっていることとも相挨って、引用B商標、引用D商標、引用E商標及び引用F商標はその構成文字中、前半の「VALENTINO」の文字に相応する「ヴァレンティノ」の称呼をもって取引に資されている場合も決して少なくないのが実情である。

したがって、本件商標と引用B商標、引用D商標、引用E商標及び引用F商標も「ヴァレンティノ」の称呼を共通にする類似の商標であるといわざるをえない。

また、本件商標の指定商品中の救命具等と各引用商標の指定商品は、需要者を同じくするばかりでなく、商品の流通経路を同じくする場合も少なくない密接な関係にあるものである。

したがって、本件商標は、これを出願人がその指定商品に使用した場合、

その商品が恰も請求人の製造、販売等の業務に係る商品であるか、又は請求人と経済的或は組織的に何等かの関係にある者、すなわち姉妹会社等の関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ぜしめるおそれがあるものである。

故に、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)請求人は本件審判請求をするについて、いわゆる利害関係を有する者である。

すなわち、既に審判請求書における請求の理由に述べたとおり、例えば請

求人の所有に係る「VALENTINO」或いは「VALENTINO GARAVANI」の文字からなる各引用商標が被服、ネクタイ等に使用され、少なくとも昭和62年前から周知、著名であることは特許庁において明らかである旨が甲第10号証の3(昭和62年商標登録願第132065号に対する登録異議の申立てについての決定謄本写)の下段から同号証の四の上段において明らかにされているところであって、「VALENTINO」の文字を書してなる本件商標は、少なくとも請求人の使用に係る上記の著名商標「VALENTINO」と商標自体が社会通念上同一の商標であることが明らかなところであり、この関係をみるだけでも、本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであると主張する請求人は、本件審判を請求するについて利害関係を有することは明らかである。

(2)請求人が、本件商標の登録は商標法第4条第1項第8号に違反してされたものであると主張しているのに対して、被請求人は上記法条は、人格権保護の立場より設けられた不登録事由であるといい乍ら、人格権の保護が商品との関係においてのみ判断されるべき旨を答弁していて、被請求人の述べるところは矛盾しているといわざるをえない。すなわち、人格権が保護されるためには商品との関係を考慮すべきでないことは明らかである。

第4 被請求人の主張

被請求人は、「本件商標登録無効審判請求はこれを却下する、審判費用は審判請求人の負担とする。」及び「本件商標登録無効審判請求はこれを棄却する、審判費用は審判請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べている。

1 利害関係について

本件審判請求人は、本件商標は商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反して登録されたものであることから、同法第46条の規定によりその登録は無効とされるべきである旨主張している。

ところで、商標法第46条第1項柱書によれば、一般的に商標登録無効審判を請求する際に、当該請求人は、当該登録に対し利害関係を有することが必要とされる。しかしながら、請求人が提出した本件審判請求書を精査しても、請求人が本件登録に対して利害関係を有することの主張及び利害関係の存在を立証する如き何ら証拠の提示もない。

したがって、本件請求人は商標法第46条に定められた利害関係を有するものではなく、無効審判請求に際して有すべき請求人適格を欠如すると判断されることから、本件審判請求は却下されるべきものである。

2 請求人が主張する無効理由について

前記1で主張したとおり、本件審判請求に関して、請求人は請求人適格を欠如するものであるが、あえて請求人適格を有するものと仮定した上で、以下にその主張に係る無効理由について答弁する。

(1)商標法第4条第1項第8号に該当するとの請求人の主張について

請求人は、「『VALENTINO GARAVANI』氏の氏名は単に『VALENTINO』(ヴァレンティノ)と略称されており、この略称も本件商標の登録出願の日前より著名なものとなっていると主張し、甲各号証によりこれを証明しようとしている。

ところで、商標法第4条第1項第8号は、人格権保護の立場より設けられた不登録事由であるが、一般的に、その乱用を防止すべく商品との関係において相対的に判断されるものである(網野誠先生著「商標(第3版)」第314頁)。すなわち、万が一「VALENTINO GARAVANI」氏の氏名が単に「VALENTINO」と略称されており、この略称も本件商標の登録出願の日前より著名なものであったとしても、同氏が著名と認められている業務あるいは商品との関係においてのみ、商標法第4条第1項第8号に該当するといえるのである。

しかしながら、請求人の示すいずれの証拠も、婦人服、紳士服、ネクタイ等の被服、バンド、バッグ類、靴、ライター等についての使用を示すにとどまり、本件に係る指定商品「救命胴衣、その他の救命具、その他本類に属する商品」に関し、同氏の氏名の略称「VALENTINO」が著名となっていることを証明するものではない。

したがって、請求人の、本件商標が商標法第4条第1項第8号に該当するとの主張は採用できない。

(2)商標法第4条第1項第15号に該当するとの請求人の主張について

請求人は、各種商品について登録商標を有しているとし、各引用商標を列挙し、さらに各引用商標と本件商標との比較を試みている。

しかしながら、請求人指摘の各引用商標が、請求人による使用の結果著名となったものであるか否かについては、もっぱらその具体的な使用のみをもって判断されるべきであって、登録主義を採用している我が国にあっては、かかる登録の存在は商標を使用していることの何ら根拠とはならない。ましてや、各引用商標は、現実に使用されている商標と同一であるとは限らないのであり、各引用商標と本件商標との比較は、本件商標が、商標法第4条第1項第15号に該当するとの請求人の主張を証明するための何ら資料となり得ない。

また、本件商標に関し、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるか否かについては、もっぱら、商品との関係について判断されるべきであるが、請求人は、これについて、「本件商標の指定商品中の救命具等と各引用商標の指定商品は需要者を同じくするばかりでなく、商品の流通経路を同じくする場合も少なくない密接な関係にある。」と述べるのみで、これを立証する如き何ら証拠の提示もない。

したがって、請求人の、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとの主張は採用できない。

第5 当審の判断

1 利害関係について

本件審判の請求につき、請求人は、利害関係を有しない者によってなされた不適当なものであるから、その請求は却下されるべきである旨主張するので、この点について検討するに、ある登録商標の存在によって直接不利益を被る関係にある者は、それだけで利害関係人として当該商標の登録を無効にする審判を請求することにつき、利害関係を有する者に該当すると解するのが相当である。

本件においては、請求人は、請求人の人格権が害される、ないし本件商標の登録が存在することにより、自己の取り扱いに係る商品と本件商標を使用した商品との間に、出所の誤認混同を生じさせるおそれがあると主張してい

るのであるから、本件商標の登録を無効にし、排除せんとすることは、商標

権の本質に照らして当然の権利というべきものである。

したがって、請求人は、本件商標の存在によって、直接不利益を受ける者

であるから、本件審判の請求をすることについて、利害関係を有するというべきである。

2 商標法第4条第1項第8号について

(1)請求人の提出に係る甲各号証によれば、次の事実が認められる。

Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)氏のデザインに係るバッグ、ベルト、婦人服、紳士服、ネクタイ、靴、装身具、手袋、ボールペン、万年筆、シャープペン、靴下、眼鏡フレーム、ライター、ハンカチ、小物入れ、シガレットケース等は、我が国において、その表示として、「VALENTINO GARAVANI」、「VALENTINO GARAVANI/ヴァレンティノ ガラヴァーニ」、「valentino garavani」、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」又は「valentino garavani」若しくは「VALENTINO GARAVANI」と「V」を図案化した図形とを組み合わせた商標が多用されている。

そして、Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)氏の氏名又はそのデザインに係る商品について、「ヴァレンティノ」(バレンチノ)との略称表示が使用されてきた実情が存在する。

例えば、甲各号証中に、次のような記載がある。

「永遠にエレガンスを追究するヴァレンティノにとって、・・・ヴァレンティノの高度なファッション感覚に・・・」との記載(甲第14号証の2「世界の一流品大図鑑′81年版」)、「女性らしさを愛し、魅力的で優美な衣装作りを心がけているというヴァレンティノ」との記載(甲第16号証の2「世界の一流品大図鑑′85年版」)、「シーズン毎にカジュアルシューズも発表しているヴァレンティノですが、・・・」との記載(甲第16号証の3「世界の一流品大図鑑′85年版」)、「オフタイムこそ、ヴァレンティノで洒落てみたい」との記載(甲第17号証の2「男の一流品大図鑑′85年版」)、「ヴァレンティノの服は、このスカート丈とニット素材・・・」との記載(甲第23号証の1「ヴァンサンカン25ans1987.10」)、「ヴァレンティノが得意とする、着る人の個性をひきだす服づくり」との記載(甲第31号証の2「missミス家庭画報1990.5」)、「ウエストシェイプされたラインにヴァレンティノらしい格好よさが・・・」との記載(甲第34号証の2「missミス家庭画報1994.6」)、「ストッキングはいつもヴァレンティノなのよ」との記載(甲第37号証の2「ヴァンテーヌVingtaine1994.12」)、「リズの花嫁衣装はバレンチノ」との見出しの記載(甲第49号証「報知新聞1991(平成3年)7月29日」)

(2)前記(1)の事実によれば、「ヴァレンティノ」(バレンチノ)の表示は、Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)氏の氏名の略称を表すものとして、本件商標の登録出願の時には、既に我が国において、取引者、需要者間に広く認識されていたものと認め得るところであり、その著名性は、本件商標の登録査定時においても継続していたものというのが相当である。

(3)そこで、本件商標をみると、本件商標は前記構成よりなるものであるところ、これは、Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)氏の氏名の略称として著名な「ヴァレンティノ」と同一の称呼を生じるものであって、「ヴァレンティノ」を欧文字表示した場合の綴りと全く同一の「VALENTINO」の文字よりなるものである。

そうすると、本件商標は、たとえその指定商品が、第9類「救命胴衣、その他の救命具、その他本類に属する商品」であり、「バッグ、ベルト、婦人服、紳士服、ネクタイ、靴、装身具、手袋、ボールペン、万年筆、シャープペン、靴下、眼鏡フレーム、ライター、ハンカチ、小物入れ、シガレットケース」等とは、必ずしも、直接的な密接な関連性を見出し得ないとしても、被請求人が、本件商標をその指定商品に使用するときは、取引者、需要者がその商標を付した商品に接したとき、また、その商品の宣伝広告に接したとき等は、ヴァレンティノと略称されるValentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)氏を想起する蓋然性が高いものと判断するのが相当である。

してみれば、本件商標は、Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)氏の氏名の著名な略称からなるものであり、かつ、同氏の承諾を得ていないものといわざるを得ない。

3 まとめ

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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