結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成8年審判第15224号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3139684号商標(以下[本件商標」
という。)は、別紙に表示したとおりの構成からなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し、平成4年9月30日に登録出願、第42類「日本料理を主とする飲食物の提供」を指定商品として同8年4月30日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の登録を無効にする、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第18号証(枝番を含む。)を提出している。
(1) 請求人の商標
請求人は、昭和25年(1950)9月に大阪法善寺横町において「八丁味処串の坊」の名称にて創業、1960年10月に東京銀座店開業、1965年10月に株式会社串の坊設立以来、各地に支店を開業(甲第3号証)、現在、資本金1億1千万円、年商約33億円、社員数180名余、串かつ料理、ふぐ料理、会席料理、串焼き.お好み焼き、しゃぶしゃぶ、陶器の製造販売、フランチャイズ事業、食品販売、産地直送通販業を主な事業内容としている(甲第4号証及び同号証の1)。日本国内はもとよりロスアンジェルス、台湾等の海外にも事業を展開し、商標を需要者間に広く認識させるに充分な会社の規模と会社の歴史と支店の数を展開している(甲第5証及び同号証の1、甲第11号証)。
更に、情報誌において次のような案内広告が掲載されている、
▲1▼ 株式会社近畿しんきんクレジットサービス1992年3月発行の「タンドールTEMPS D’OR(黄金の時)」第6号62頁、串の坊大阪法善寺本店の案内記事(甲第6号証及び同号証の1)
▲2▼ ビジネスワールドコーポレーション「Wining & Dining in Tokyo」BWC BOOKの1992年版25頁、「串の坊」案内広告(甲第7号証及び同号証の1)
▲3▼ 1975年5月23日発行、週刊朝日、「私が好きなこの店・この一品」頁、作家小松左京による大阪・難波「串の坊」紹介記事(甲第12号証及び同号証の1)
▲4▼ 1979年3月9日外食産業専門週刊誌週間ホテルレストラン「串の坊赤坂店」紹介記事(甲第13号証及び同号証の1)
▲5▼ 昭和54年5月号、月刊専門料理、特集☆串揚げ、座談会、「あのなつかしき屋台のかおり」の記事(甲第14号証及び同号証の1)
▲6▼ 昭和55年7月24日、講談社発行、週刊現代、東西「うまいもの屋」の西の店として、開店して三十年「串の坊」の紹介記事(甲第15号証及び同号証の1)
▲7▼ 1989年10月発行、NEW BUSINESS CREATOR VENTURE LINK 10、127頁に大阪、法善寺の串かつ専門店「八丁味処 串の坊」の“親父さん”である広瀬氏の楽しみは、陶器の人形を作ること、との紹介記事で、株式会社串の坊の事業内容にある陶器の製造販売を目指している事実(甲第16号証及び同号証の1)
▲8▼ 1997年発行、ダイニングガイド、グルメのメニューブック・東京・近郊味のガイド、116頁の新宿八丁味処串の坊紹介記事(甲第17号証及び同号証1、2)
▲9▼ 近代食堂 別冊 飲食店の成功する店作り 百科第4集、72頁滋賀・大津「串の坊大津店」の紹介記事(甲第18号証及び同号証の1)
(2) 周知商標について
周知商標とは、自己の業務に係る商品若しくは役務を表示するための標識、即ち社会的事実としての商標として使用され、かつこのようなものとして需要者、取引者の間に広く認識され、客観的にも取引社会においても商標としての機能を広く営んでいる商標をいうもので、他人の業務にかかる商品若しくは役務を表示するものとして広く知られている商標、即ち他人の周知商標と同一又は類似の商標で、その商標により表示される商品若しくは役務と同一又は類似の商品若しくは役務について使用されるものを周知商標と抵触する商標といい、不登録要件であり、商標法第4条第1項第10号は主として未登録周知商標について適用される。
(3) 周知の程度について
周知商標として他人の商標の登録を排除するためには、それが取引者・需要者間において広く認識されていなければならない。ただし、その地域的範囲は必ずしも全国的に知られている事を必要とせず、北海道一円、九州一円等相当広範囲の需要者・取引者間に知られていれば足りる(甲第8号証)。
使用の期間については、周知の有無の判定時より前3年間商標を付した相当量の商品を大阪、兵庫地区に販売したものについて周知商標であるとした例がある(大判大15.2.15・大14(オ)1151外大3−87)(甲第9号証)。
(4) 周知商標の保護について
商標法は未登録周知商標と抵触する商標が過誤登録等により登録された場合においては、審判請求によりこれを無効とすることができる旨を定めている(46条1項1号)。
商標審査基準において商標法第4条第1項第10号については、「『需要者間に広く認識されている商標』には、最終消費者まで広く認識されている商標のみならず、取引者に広く認識されている商標を含み、また、全国的に認識されている商標のみならず、ある一地方で広く認識されている商標を含む。」としている(甲第10号証)。
(5) 以上のとおり、本件商標及びその指定役務は、本件商標の出願前より他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その役務又はこれに類似する役務について使用するものと同一又はそれに類似しているものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当し、その登録は同法第46条第1項第1号に基づき無効とすべきである。
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める。」と答弁し、その理由を次のように述べている。
(1) 請求人のいう「請求人の商標」の項に記載された事項が仮にすべて事実であるとしても、請求人会社の資本金は1億1千万円、年商約33億円、社員数180名余であって、いわば中小企業であるにすぎない。しかもその事業内容には、陶器の製造販売などの本件役務に含まれない事業も含まれている。
また、審判請求書に記載された「1.大阪法善寺本店」〜「30.三島店」の総数は、海外店(ロサンゼルス店)を含めても30店にすぎない。しかも甲第3号証に記載された串の坊グループ沿革の記載を見ると、その多くの支店は、近々、この10年以内に開業されたものであるにすぎない。
また、甲第6号証及び同号証の1を提示して、株式会社近畿しんきんクレジットサービス1992年3月発行の「タンドールTEMPSD’OR(黄金の時)」第6号に串の坊大阪法善寺本店の案内記事を掲載したこと、並びに甲第7号証及び同号証の1を提示して、ビジネスワールドコーポレーション「Wining & Dining in Tokyo」BWC BOOKの1992年版発行に「串の坊」案内広告を掲載したことを主張している。しかしながらこれらの掲載紙は一般には知られていない特殊な刊行物であるにすぎず、掲載頻度もきわめて少なく、かつこれらの刊行物の発行部数も多いものとは思われないものである。
(2) 以上のことから、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であるとは到底いえず、したがって請求人の主張は、容認できない。
(1) 引用商標の周知性について
請求人の提出に係る各甲号証及び裁判段階で提出された各証拠によれば、次の事実が認められる。
▲1▼ 請求人は、昭和25年(1950)9月に大阪法善寺横町に「八丁味処串の坊」の名称で串かつ料理店の店舗を構え、串かつ料理等の日本料理の提供を主たる営業内容とする料理店の営業を開始、その後、昭和35年には東京銀座に進出し、同40年10月に個人事業を株式会社組織にして以来、各地に支店を開業し、串かつ料理店を経営してきた。
▲2▼ 請求人の傘下の企業として、有限会社串の坊、有限会社亀・串の坊、株式会社東京銀座串の坊ほか8会社が設立され、いずれも請求人と同様に串かつ料理店を経営し、串かつ料理等の日本料理を主とする飲食物を提供する営業を続けており、本件商標の登録出願時には、請求人及びその系列会社が経営する串かつ料理店の数は関東、中京、関西地域を中心に29店舗になっていた。
▲3▼ 請求人及びその系列会社の飲食業による売上高は、請求人直営の9店舗の平成3年7月1日から同4年6月30日までの間の6億円余を始め、相当の額に達しており、その売上高からして著しく多数の顧客が請求人及びその系列会社の店舗を利用して飲食をしていたものと認められる。
▲4▼ 請求人及びその系列会社は、それぞれの串かつ料理店の店頭に「串の坊」の文字を要部とする商標(以下「引用商標」という。)を付した看板や暖簾を掲げるほか、引用商標を付した各種パンフレット、チラシ類を作成配布して広告宣伝をしていた。そして、「週刊朝日」(昭和50年5月23日号)及び「週刊現代」(昭和55年7月24日号)に串の坊大阪法善寺本店の紹介記事が掲載されたほか、企業家の専門雑誌「ベンチャーリンク」(1989年10月号)、クレジットカード会社の会員向け会報誌「タンドール」(平成4年3月号)、「飲食店経営」(1979年1月号)、「週刊ホテルレストラン」(1979年3月号)等の雑誌において請求人の系列会社の串かつ料理の紹介記事が掲載された。
以上の事実を総合すると、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に請求人及びその系列会社による串かつ料理等の日本料理を主とする飲食物の提供を表示するものとして、関東、中京、関西地域において、需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認められる。
(2)本件商標と引用商標の類否について
本件商標は、別紙に表示したとおり、「串の坊」の文字を書してなり、「クシノボー」の称呼を生ずるものであるところ、引用商標は「串の坊」の文字を要部とするものであって「クシノボー」の称呼を生ずること明らかであるから、両商標は、称呼を共通にし、外観において紛らわしい類似の商標というのが相当である。また、引用商標は、本件商標の指定役務と同一の役務について使用するものである。
(3) むすび
以上のとおりであって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものといわざるを得ないから、その登録は、同法第46条第1項の規定により無効にすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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