Trademark Appeal Case
「山の駅」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−5976(T2002−5976/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「山の駅」の文字を横書きしてなり、第31類について願書記載のとおりの商品を指定して、平成13年4月27日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、同14年1月28日付けの手続補正書をもって、「あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,麦,籾米,もろこし,うるしの実,コプラ,麦芽,ホップ,未加工のコルク,やしの葉,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭,種卵,飼料,釣り用餌,果実,野菜(「茶の葉」を除く。),茶の葉,糖料作物,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,生花の花輪」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『山の駅』の文字を書してなるものである。ところで、建設省(現国土交通省)が道路沿いに休憩、情報発信基地として『道の駅』を進めていることは広く知られているところであり、このような実情からすれば、山国として知られる日本にあっては、本願商標は、『山を利用した休憩、情報発信基地』というような意味合いを容易に看取させ、同意味合いで採択、使用されやすいものといえる。そして、実際に、地方自治体を中心に該語を使用している事実が認められる(例えば、2001.4.4付け朝日新聞大阪地方版/岡山33頁岡山の新聞記事、http://www.sanyo.oni.co.jp/ad/200178/080.html版(山陽新聞広告特集・岡山県8市町村特集)のインターネット情報など)。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、上記意味合いを表示したものと理解するに止まり、需要者をして何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、「山の駅」の文字よりなるところ、近年、山の駅は、全国各地において建設されており、そこには、休憩場所や交流施設、レストラン、地域の特産品やおみやげ品などを販売する物産コーナー等が設置され、地域振興にも寄与し、観光産業にも貢献している。
これらの事実は、拒絶理由通知において開示した事実以外にも、例えば、以下の新聞記事及びインターネットのホームページ情報に数多く掲載されているところであり、これらの事実からも首肯し得るものである。
(a)中国新聞 1998.11.05中国朝刊
佐波郡徳地町にある中国自動車道徳地インターチェンジ近くの国道489号沿いに、マツタケを目玉商品にした特産品販売所「山の駅」がお目見えし、観光客らの人気を集めている。・・・
(b)朝日新聞 1999.01.20東京地方版/千葉 千葉版
富浦町長遠藤氏は四期目の公約として、広域農道に「山の駅」をつくり、いまの道の駅や将来の「海の駅」といったものと結んで観光産業の基盤にする。・・・
(c)流通サービス新聞 1999.06.29
長野県岡谷市、観光資源の充実に力。97年11月に農業構造改善事業の一つとして地元産のソバを提供する「山の駅」を開設、・・・
(d)北海道新聞 2000.11.17朝刊
担当者会議には、道南の四町を含む十二市町村と本部事務局から十九人が集まった。七月に白州町で開かれた第六回全国駒ケ岳サミットの決議事項のうち、特産品の販売や気象情報の提供などができる「山の駅」整備や、高山植物を盗掘などから守るためのボランティアガイドの制度化を、加盟市町村で進めることを確認した。・・・
(e)読売新聞 2001.05.03西部朝刊
[杷木町]道の駅は町の施設としては一番のヒット作と胸を張る。町では、駅を都市住民との交流を進める「日迎(ひむかえ)の里」構想の中核施設と位置づけており、さらに大手山の山頂付近に「山の駅」、原鶴温泉街近くの筑後川沿いに「川の駅」も開業させた。将来的には商店街に「街の駅」も作り、杷木に来れば、いろんな駅があると言われるようにしたい。鉄道のない町に四駅構想が広がる。・・・
(f)下野新聞 2004.03.07朝刊
矢板市が昨年建設した「山の駅たかはら」。冬の間も営業しているとあって、県内外のスノーモービル、バギー愛好家からは、交通の利便性や周辺の環境が好まれ、自然発生的に八方ケ原周辺が有名スポットになっている。・・・山の駅は、国の補助金を得る条件が「通年運営」のため冬季も開いているが、・・・
(g)下野新聞 2004.05.22朝刊
[矢板]たかはら森林組合は二十一日、市文化会館で通常総代会を開催、事業報告では、・・・森の駅および昨年から委託運営を始めた山の駅での販売額が計約二億六千万円であることなどが報告された。・・・
(h)下野新聞 2004.06.04朝刊
[喜連川]オープン三周年を記念し「道の駅きつれがわ」は五日から十三日まで、バイクなどが当たるスタンプラリーを開く。実施店舗は施設内の店舗のほか、町中心部に四月オープンした「街の駅本陣」、お丸山公園内の「山の駅物産センター」などの協賛店。・・・
(i)日本農業新聞 2004.08.05
[広島・県央]世羅町の梨団地、世羅大豊農園で4日、露地梨「新水」の初収穫があり、・・・収穫した梨は選果した後、同農園が経営する「山の駅・TAIHOU」で販売するほか、・・・
(j)読売新聞社 2004.08.13西部朝刊
世界のカブトムシやクワガタを集めた「カブトムシ・クワガタ展」が、杷木町の「山の駅」で開かれている・・・
(k)山の駅(福岡) http://www.town.fukuoka.toyama.jp/seibu_kyuryou/fukuoka.html
(l)山の駅「たかはら」 http://www.pref.tochigi.jp/shioya-nsj/shisetsu/chokubaijo/setsumei/s_29.html
(m)那岐山麓山の駅 http://www.rakuten.ne.jp/gold/mitsuyoshi/n_real/yamanoeki/yamanoeki.htm
(n)山の駅(長野県>蓼科・白樺湖・車山・女神湖 http://www.jalan.net/kanko/SPT_172732.html
(2)以上によれば、「山の駅」の文字よりなる本願商標からは、「山に設けられた休憩場所、交流施設」の如き意味合いを理解させるにすぎないものであり、「山の駅」には地域の特産品やおみやげ品などを販売する物産コーナーが設けられていることが多いことに鑑みれば、これをその指定商品に使用しても、取引者・需要者は、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
ところで、商標法第3条第1項各号列挙のいわゆる自他商品又は役務の識別機能を有しない商標について商標登録できないこととするのは、それらは通常、商品又は役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものだから一私人に独占を認めることは妥当でないこと、また、多くの場合にすでに一般的に使用されているものであるから、そのようなものに自他商品又は役務の識別力を認めることはできないことによると解される(社団法人発明協会発行 特許庁編「工業所有権法逐条解説(第16版)」参照)。
そうすると、本願商標は、上記のとおり、すでに一般的に使用されている「山の駅」の文字からなり、「山に設けられた休憩場所、交流施設」の如き意味合いを理解させるにすぎないものであるから、自他商品の識別力を認めることができないというのが相当であり、一私人に独占を認めるには妥当でないものというべきである。
(3)この点について、請求人は、「道路沿いを利用した休憩場所や交流施設」という程度の意味合いを容易に看取させる「道の駅」の語が登録されていることとの関係において、「山の駅」の語が拒絶査定を受けることは、余りにも不合理・不公平であること、請求人は、本願商標を既に使用中であることを挙げて、反論している。
しかしながら、商標の識別性の判断は、各商標につき、それぞれの取引の実情などをも勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるところ、「道の駅」の語については、例えば、株式会社自由国民社2003年1月1日発行「現代用語の基礎知識」によれば、「一般道路沿いに駐車場やトイレ、電話が24時間利用できる施設をつくり、あわせて地域の特産物などを提供するスペースをもつサービスエリアをいう。建設省(現国土交通省)が1993年から始めたもので、2002年8月現在、701カ所ある。施設は休憩、観光、地域の活性化をコンセプトに、設置主体を地元自治体あるいは公益法人とする以外、特に規制はせず、地元の創意工夫を最大限生かせるようにしている。」と説明されているように、「道の駅」は、建設省(現国土交通省)が推進してきた事業であり、「道の駅」の登録も平成4年(1992年)9月30日に建設省道路局長の名において出願され、同8年(1996年)1月31日に設定登録されたものである。
そうとすれば、「道の駅」の制度が発足した当時における該語に対する取引者・需要者の認識と、その後これに倣ったかのように全国各地にみられるようになった「山の駅」についての該語に対する取引者・需要者の現時点における認識には、自ずと明らかな差異があるものというべきであるから、それら各商標についての識別性の判断が異なるものとなったからといって、不合理であるということはできない。
また、請求人が提出した使用事実を証明する写真によれば、請求人が使用しているのは、「山の駅よって亭」の構成からなる商標であり、単なる「山の駅」とは別異の商標であって、その識別性もまた別途、判断されるべきものである。
してみれば、これらの点についての請求人の主張は、いずれも採用することはできない。
(4)したがって、本願商標を商標法第3条第1項第6号に該当するとして、その出願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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