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Trademark Appeal Case

ネットワークユーティリティの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2002−247(T2002−247/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「Network Utility」の文字を標準文字で表してなり、第9類「測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電気計算機,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として、平成12年10月20日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、『ネットワーク用のユーティリティ・ソフト』の意味合いを認識させるに止まる『Network Utility』の文字を普通に用いられる方法で表示してなるものであるから、これを本願指定商品に使用しても、これに接する需要者は上記意味合いの内容の商品であると認識するにとどまり、需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)本願商標は、前記のとおり、「Network Utility」の文字よりなるところ、その構成中の「Network」の語は、例えば、三省堂2001年発行第2版「コンサイスカタカナ語辞典」の「ネットワーク[network]」の項には「ラジオ、テレビなどの放送網、コンピューターの通信網など」と記載されており、ネットワークの語は日常一般においても日本語化して用いられている外来語ということができる。また、「Utility」の語は、「有用性、実用向きの」等の意味を表する語であるところ、例えば、株式会社自由国民社2003年1月1日発行「現代用語の基礎知識」の「ユーティリティソフト」の項には「パソコンの使い勝手を良くする小道具的なソフト。画面の焼き付きを予防するスクリーンセーバー、ハードディスク内を管理するソフト、画面に時計やカレンダー等を表示するソフトなどがある。単体で販売されるものもあるが、ある程度の機能は基本ソフトにも付属する。」と説明されている。

そして、近年におけるパソコンやインターネットの普及に伴って、「Network/ネットワーク」や「Utility/ユーティリティ」の語は、この種商品の専門家ばかりでなく、一般的な需要者の間においても、広く知られるようになってきており、この両語を一連に表した「Network Utility」の語からは、「ネットワーク用のユーティリティ・ソフト」の如き意味合いを容易に理解・認識し得るものということができる。

このことは、例えば、以下のインターネットのホームページ情報によっても首肯し得るものである。

(a)株式会社日立製作所(http://prius.hitachi.co.jp/go/prius/pc/2003oct/point/note/other.html)

PriusWorld/使用する場所や環境によって、無線LAN/有線LANの設定を自由に、そして簡単に切り替えるための、ネットワークユーティリティーを採用。ボタンひとつで切り替えられるので、快適にインターネットを楽しめます。

(b)株式会社クエスト(http://ascii24.com/news/i/soft/article/2002/01/25/633012-000.html)

クエスト、ネットワークユーティリティー「直結USB Mac←→Win WindowsXP対応版」を発売

「直結USB Mac←→Win WindowsXP対応版」(QCS99−0120)は、MacintoshとWindowsパソコンを付属のUSBケーブル(長さ180cm)で接続し、専用ソフトを利用してファイルの転送や印刷などを行なうためのユーティリティー。Macintosh同士、Windowsパソコン同士の接続も行なえる。・・・

(c)株式会社リコー(http://www.ricoh.co.jp/IPSiO/nx/920/point/point7.html)

ネットワークユーティリティー/日常の印刷業務で発生する可能性がある問題をウィザード形式で解決する最新の印刷ユーティリティーを同梱しました。・・・

(d)富士ゼロックス株式会社(http://www.fujixerox.co.jp/product/docuprint_c830/network.html)

DocuPrint C830/CentreWareドライバー&ネットワークユーティリティーを搭載。設定も簡単。・・・

(e)株式会社スタッド(http://www.stud.co.jp/Pruducts/nw/Nw_list.html)

WinBirdネットワーク支援システム/授業を効率よく進めるお手伝いをします。強力なネットワークユーティリティーを提供。ネットワークで接続された生徒機とのコミュニケーション+生徒機(個々のユーザーレベル)のデータ管理。これらの機能が、さらに安全で快適な環境を実現しました。・・・

(2)以上のような取引の実情をも併せみれば、「Network Utility」の文字よりなる本願商標からは、「(回路網、通信網等の)ネットワークを使い易くするソフトウェア」の如き意味合いを理解・認識させるにすぎないものというべきである。

そうとすれば、本願商標を電子回路を含むその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。

ところで、商標法第3条第1項各号列挙のいわゆる自他商品又は役務の識別機能を有しない商標について商標登録できないこととするのは、それらは通常、商品又は役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものだから一私人に独占を認めることは妥当でないこと、また、多くの場合にすでに一般的に使用されているものであるから、そのようなものに自他商品又は役務の識別力を認めることはできないことによると解される(社団法人発明協会 特許庁編「工業所有権法逐条解説(第16版)」参照)。

そうすると、本願商標は、上記のとおり、すでに一般的に使用されている「ネットワークユーティリティ」の欧文字表記である「Network Utility」の文字からなり、「ネットワーク用のユーティリティ・ソフト」の如き意味合いを理解させるにすぎないものであるから、この観点からみても、一私人に独占を認めるには妥当でないものというべきである。

(3)この点について、請求人は、拒絶理由は「Utility」から「ユーティリティ・ソフト」の観念が生じることを前提としているが、「Utility」と「Software」の語を結合させて初めて上記の意味をなすのであり、単に、「Utility」といっても、その使用法、意味は多岐にわたっており、直ちに「Utility Software」の意味を一義的に直感させ得るものではない旨主張している。

確かに、この語が使用される場面を考慮せずに、単に、語義上からのみいえば、「Utility」の語から、直ちに「Utility Software」の意味合いを表すものであるとばかりはいえないし、「Utility Software」と表した方がより正確な表現であるということはできる。

しかしながら、「Utility/ユーティリティ」の語は、例えば、日外アソシエーツ1997年発行第2版「和英コンピュータ用語大辞典」の「ユーティリティ/utility」」の項には「広範囲にわたって使える実用的なものをいう。コンピュータでは多数のジョブや、目的に対して適用できる便利なプログラムやルーチンのことをいう。この場合には、利用プログラムあるいは、実用プログラムと訳されることがある。一般には、さほど複雑でなく広範囲にわたって使用することのできる実用的なプログラムのこと。」と記載され、実例として、「データセットユーティリティ、データーベース調査ユーティリティ、ワークステーションユーティリティ」等が挙げられている。また、株式会社秀和システム2000年10月1日発行第2版第1刷「標準パソコン用語事典」の「ユーティリティ」の項には、「アプリケーションソフトのような比較的規模の大きいプログラムに対し、規模が小さく、補助的で簡潔な機能を持つプログラムのこと。ユーティリティの中で、特にプログラム開発に利用されるようなものはツールと呼ばれている。」と記載されており、更に、株式会社エクスメディア2000年10月4日発行初版「超図解 パソコン用語事典2001年版」の「ユーティリティ」の項には、「OSやアプリケーションの機能や操作性を改善するためのソフトウェアの総称。ツールとも呼ばれる。ユーティリティには、ファイル管理、スクリーンセーバー、ディスク圧縮などの種類があり、OSにあらかじめ付属するものや、市販されているものがある。」と記載されている。

以上のような各種辞典類の記載や前記したインターネットのホームページ情報に照らしてみれば、「Utility/ユーティリティ」の語のみでも「Utility Software」を表すものとして説明され、使用されている事実があるから、本願商標の指定商品である電子回路を含む電子応用機械器具等の商品との関係においては、「Utility」の語から「ユーティリティ・ソフト」の意味合いを認識させると認定した原査定に誤りはないものというべきである。

また、請求人は、登録例を挙げて主張しているが、そもそも、商標の識別性の判断は、各商標につき、それぞれの取引の実情などをも勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるばかりでなく、請求人の主張している登録例は、いずれも、本願商標とはその構成態様を異にするものであって、事案を異にするものというべきであるから、本願商標の識別性の判断の参考として採用することはできない。

(4)したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものというべきであるから、商標法第3条第1項第6号に該当するとして、その出願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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