結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2003−35517(T2003−35517/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4221433号商標(以下「本件商標」という。)は、「ラテゴディバ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成9年2月13日に登録出願され、第30類「コーヒー及びココア、コーヒー豆、茶、調味料、香辛料、食品香料(精油のものを除く。)、米、脱穀済みの大麦、食用粉類、食用グルテン、穀物の加工品、サンドイッチ、すし、ピザ、べんとう、ミートパイ、ラビオリ、菓子及びパン、即席菓子のもと、アイスクリームのもと、シャーベットのもと、アーモンドペースト、イーストパウダー、こうじ、酵母、ベーキングパウダー、氷、アイスクリーム用凝固剤、家庭用食肉軟化剤、ホイップクリーム用安定剤、酒かす」を指定商品として、同10年12月18日に設定登録、その後、指定商品については、登録異議の申立てにより、その指定商品中「菓子及びパン」について取り消すべき旨の決定がされ、その異議申立の確定登録が同12年8月9日にされているものである。
請求人は、本件商標の登録無効の理由として、下記の4件の登録商標を引用しており、いずれも、現に有効に存続しているものである。
(a)登録第1331043号商標(以下「引用商標1」という。)は、「GODIVA」の欧文字を横書きしてなり、昭和46年10月27日に登録出願され、第29類「茶、その他本類に属する商品」を指定商品として、同53年4月6日に設定登録されたものである。
(b)登録第2098544号商標(以下「引用商標2」という。)は、「GODIVA」の欧文字を横書きしてなり、昭和61年11月5日に登録出願され、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、同63年11月30日に設定登録されたものである。
(c)登録第2288195号商標(以下「引用商標3」という。)は、「ゴディバ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和63年6月28日に登録出願され、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、平成2年12月26日に設定登録されたものである。なお、指定商品については、平成14年3月6日に指定商品の書換登録がされ、第29類「加工野菜及び加工果実」、第30類「コーヒー豆、穀物の加工品、アーモンドペースト、即席菓子のもと」、第31類「茶の葉」及び第32類「飲料用野菜ジュース」として書き換えられている。
(d)登録第4253594号商標(以下「引用商標4」という。)は、後掲のとおりの構成よりなり、平成9年5月30日に登録出願され、第30類「コーヒー及びココア、氷、食品香料(精油のものを除く。)、菓子及びパン(チョコレートを含む菓子、ケーキ、パイ、プラリーヌ、バタークランチ、マジパン、チョコレートで被覆されたフルーツ菓子、フルーツクリーム、氷菓子、アイスクリーム、アイスクリーム用トッピングを含む)」を指定商品として、同11年3月19日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第37号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標構成中の「ラテ」の語は、「牛乳」又は「ミルク」を意味するものであって、自他商品の識別力を有しない語であるから、本件商標の要部は「ゴディバ」の部分にあるものというべきである。
そうとすれば、本件商標から生ずる称呼と引用商標1ないし4から生ずる称呼とは、共に「ゴディバ」であり、その指定商品も同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の使用に係る「GODIVA」の商標は、11世紀のイギリス、コベントリーの領主レオフリック伯爵の妻、レディ・ゴディバの名前に由来するものであって独創性の強い語である。「GODIVA」あるいは「ゴディバ」の文字よりなる商標は、請求人の業務に係る商品「チョコレート」を表示するばかりでなく、「紅茶、コーヒー及びココア」についても取引者・需要者の間に広く認識されている商標であるから、本件商標をその指定商品に使用するときは、請求人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号に該当する。
(3)上記に記載のとおり、「ラテ」は「牛乳」又は「ミルク」を意味するため、本件商標の指定商品のうち、原材料に「牛乳」又は「ミルク」が含まれている商品以外の指定商品に本件商標を使用した場合には、需要者は、指定商品に「牛乳」又は「ミルク」が含まれいるのではないかと誤認するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(4)本件商標の出願時から、請求人の商標「ゴディバ」及び「GODIVA」は、世界的にまたわが国においても周知・著名であって、かつ、造語に準じた独創性の強い語であるから、請求人の許諾なく請求人の周知・著名な商標「ゴディバ」を含む本件商標を出願している被請求人には、不正の目的があったものといわざるを得ず、本件商標の出願は、国際取引の進展を不当に阻害するおそれがあり、また信義則に反するものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当する。
(5)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号、同第16号及び同第19号に違反してされたものであるから、商標法第46条第1項第1号により無効にされるべきである。
被請求人は、請求人の上記主張に対し何ら答弁していない。
(1)請求人の主張及び甲各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)請求人の使用に係る「GODIVA」の商標は、11世紀のイギリス、コベントリーの領主レオフリック伯爵の妻、レディ・ゴディバの名前に由来するものであり、領主レオフリック伯爵が課す重税に大変苦しんでいる住民を見かねて、税を軽くするよう、レディ・ゴディバは夫であるレオフリック伯爵に嘆願すると、伯爵は「おまえが一糸もまとわない姿で町中を廻ることができたなら願いを叶えよう」と答えたため、美しく慎み深いレディ・ゴディバは大変悩んだ末、聖霊降臨祭の次の金曜日に白馬に乗って町を廻ったところ、人々はレディ・ゴディバの自己犠牲の精神にうたれ、その日は窓を固く閉ざして彼女の行為に応えたという話を基に、請求人は、このレディ・ゴディバの優しい心と自己犠牲の精神を称えるため、「GODIVA」を商標として採用したものである(甲第30号証及び同第31号証 パンフレット)。
(イ)請求人の製造・販売するチョコレートは、1926年に業務を開始して以来、厳選された素材が生み出す品質の高さ、季節のテーマや折々の出来事に題材を得た創造性に富む美しさから、ベルギー王室御用達として欧州を始め、世界中のファンを魅了するものとなり、現在では、ベルギーを始めとするオーストリア、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェイ、ポーランド、ポルトガル、ロシア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、ウクライナ、イギリス等のヨーロッパ各国、アメリカ、日本、香港のそれぞれの国内に店舗があるだけでなく、世界中の名だたる空港の免税店においても販売されている。
請求人は、1994年からは、チョコレートのみならず、紅茶、コーヒー及びココアも販売しており、甲第26号証ないし同第28号証(パンフレット)は、香港、アメリカ、ヨーロッパ各国で紅茶、コーヒー、ココアを販売している事実を示すものである。そして、1996年から現在までの紅茶、コーヒー及びココアの日本を除く全世界における売上高は、1998年度以降は、約700万ドル(1$=130円計算で約9億1千万円)から約800万ドル(約10億4千万円)で推移しており、広告費用も売上高に連動して上昇している。
(ウ)請求人は、昭和47年(1972年)に、日本における第1号店をオープンさせて以来、順調に店舗数を増やし、現在では米国キャンベル・カンパニーの100%子会社であるゴディバジャパン株式会社が請求人から商品を輸入し、グルマン株式会社、片岡物産の2社を通じて、百貨店、専門店など全国で181店舗(甲第33号証)で請求人の商標「ゴディバ」及び「GODIVA」を付した「チョコレート」を始め、「紅茶、コーヒー、ココア、クッキー、アイスクリーム」等の販売を行ない、大々的に宣伝広告活動を行っている(甲第29号証の1ないし同第35号証及び同第37号証)。
甲第29号証の1から甲第29号証の25は、請求人の商標「ゴディバ」及び「GODIVA」を付した商品の広告・宣伝を行なっている株式会社ザ・パブリックアフェアーズのPR活動報告書であるところ、これらのPR活動報告書に添付してある新聞・雑誌等の記事によれば、「チョコレートのブランドとして有名なゴディバは、6種類の紅茶を揃えた『GODIVA ティーセレクション』を発売」(甲第29号証の1に添付の「るるぶ 95.2」)、「ベルギー王室ご用達のチョコレートブランド・ゴディバが紅茶を発売」(同号証に添付の「朝日新聞 95.2.9」)、「王室御用達の、宝石のように美しくおいしいチョコレートの専門店。ゴディバ/チョコレート以外のアイテムとして、新発売中のアイスクリームはプラリネ、パッションフルーツなど5種のフレーバー、紅茶はアール・グレイなど6種のラインアップに」(甲第29号証の2に添付の「anan 95.3.10号」)、「深い味わいと芳醇な香りで『チョコレートの宝石』と称されるGODIVA(ゴディバ)から、そのチョコレートとともに豊かな時間を演出する6種の紅茶『GODIVA ティーセレクション』が発売された」(同号証に添付の「Forbes日本版 95.3」)、「『ゴディバ』拡販/チョコレートで浸透したブランド力を生かし、高級紅茶・アイスクリーム市場を開拓する。ゴディバ製品の国内売り上げは現在、小売りベースで年間約45億円。」(甲第29号証の4に添付の「日経産業新聞 95.5.26」)、「日本発売25周年『ゴディバ特別ギフトセット』/内容はゴディバチョコレート・・・ゴディバクッキー、カフェ・ゴディバセレクション、ゴディバティーセレクション・・・」(甲第29号証の16に添付の「料理天国 97.10号」)等々の記述を認めることができる。
甲第37号証は、1995年(平成7年)2月から1999年(平成11年)2月までの宣伝広告活動の記録であり、株式会社ジェイアール東日本企画、財団法人地下鉄互助会、株式会社東急エージェンシー、株式会社京王エージェンシー、西武鉄道株式会社、東武トラベル株式会社、阪急電鉄株式会社、株式会社ジェイアール西日本コミュニケーションズ、京都市交通局、名古屋市交通局、仙台市交通事業振興公社、財団法人福岡市交通事業振興会等々、数多くの企業からの広告物掲出証明書が提出されており、「GODIVA」の文字を含んだ広告が駅構内、電車内等に掲示されている。また、1998年11月度以降のPR活動報告書によれば、冬ぴあ、Hanako、週刊ダイヤモンド、週刊朝日、流通サービス新聞、産経新聞等々の雑誌・新聞に「ゴディバ」に関する記事や広告が掲載されており、TBS、テレビ東京、フジテレビ、日本テレビ、TokyoFM等々のTV・ラジオによるPR活動も行われている。
(エ)また、請求人は、「GODIVA」を含む商標をヨーロッパ、米国、南米を中心とした世界各国に出願し、合計254件の商標登録(一部は出願中)を取得するに至っている(甲第36号証)。我が国においては、前述の4件の商標ばかりでなく、登録第2009991号商標を始め11件の登録商標を有しており、登録第2009991号商標については防護標章の登録も受けている(甲第14号証の1ないし同第24号証の2)。
(オ)しかして、被請求人は、以上の請求人の主張及び甲号証に対して、何ら反論していない。
(2)上記した請求人の主張及び甲各号証を総合してみれば、請求人の使用に係る「GODIVA」及び「ゴディバ」の商標は、請求人の業務に係る商品「チョコレート」を表す商標として、本件商標の登録出願時(平成9年2月13日)においては既に、ヨーロッパ各国を始め我が国における取引者・需要者間においても広く知られていたものということができ、その著名性は、その後、登録査定時(同10年10月5日)を経て今日に至るまで継続しているものと認められる。また、請求人は、「チョコレート」のみならず「紅茶、コーヒー、ココア」等の商品についても業務を拡大しており、それらの商品についても、本件商標の登録出願時及び査定時において、相当程度知られるに至っていたものとみるのが相当である。
(3)出所の混同について
本件商標は、前記したとおり、「ラテゴディバ」の文字からなるところ、
甲第2号証(小学館発行「伊和中辞典」)及び同第3号証(株式会社白水社発行「イタリア料理用語辞典」)によれば、「ラテ」の語は、イタリア語の「Latte」のカタカナ表記であり、「牛乳」又は「ミルク」を意味する語である。そして、同第4号証(1996年2月22日付日経流通新聞)、同第5号証(1996年10月17日付日本経済新聞)、同第6号証(1997年1月7日付日経流通新聞)、同第7号証(1997年2月24日付日本食糧新聞)及び同第8号証(1997年9月1日付日本食糧新聞)によれば、ミルク入りコーヒーを「カフェラテ」と表記して使用している事実が認められ、甲第13号証(被請求人のインターネットウェブサイト)によれば、被請求人自身、「アーモンドキャラメル・ラテ」「マロン・ラテ」のように「ラテ」の語を「牛乳」又は「ミルク」を意味する語として使用している事実も認めることができる。
そうとすれば、本件商標構成中の「ラテ」の語は、その指定商品との関係においては、少なくとも識別力の弱い語であるとみるのが相当である。また、前記のとおり、「GODIVA」あるいは「ゴディバ」の語は、人名に由来するとはいえ、既成語として一般に知られ親しまれている語ではなく、「ラテ」と「ゴディバ」の語とを一連に結合することにより、全体として、特定の親しまれた意味合いを認識させるものでもなく、被請求人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者・需要者間に知られているというような事情も認められない。
そして、本件商標の指定商品は、前記のとおり、「菓子及びパン」については、登録異議申立により既に取り消されているが、請求人の業務は、「チョコレート」のみならず「紅茶、コーヒー、ココア、クッキー、アイスクリーム」等々の商品についても拡大してきているものであり、本件商標の指定商品中には、その「紅茶、コーヒー、ココア」を含んでいるばかりでなく、それ以外の指定商品についてみても、請求人の業務に係る商品との関連性を否定し難いところである。
してみれば、本件商標は、その構成中に「ゴディバ」の文字を顕著に含むものであるから、被請求人が本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、その構成中の「ゴディバ」の文字のみを捉え、請求人の著名な「GODIVA」あるいは「ゴディバ」の商標を連想、想起し、その商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(4)結び
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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