結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2003−31590(T2003−31590/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4377509号商標(以下「本件商標」という。)は、平成10年10月28日に登録出願、別掲のとおりの構成よりなり、第38類「情報通信に関する企画及び助言」及び第42類「電子計算機による情報処理」を指定役務として、同12年4月21日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べた。
請求人の調査するところによるも、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者により第38類の情報通信に関する企画及び助言について使用されている事実は発見することができなかった。また、本件商標について、専用使用権、通常使用権の登録もされておらず、したがって、これらの者による使用の事実もない。
よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、第38類の指定役務について取り消されるべきである。
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
被請求人は、日本国内において継続して3年以上に亘り、本件商標を第38類の「情報通信に関する企画及び助言」について使用をしていなかったという事実はないから、請求人の請求は理由がない。以下に証拠をもって商標を継続的に使用していた事実を立証する。
(1)乙第1号証として提出する刊行物は、財団法人日本システム開発研究所の発行に係るものであり、公衆に頒布されたもので、平成14年7月19日付け週刊新聞「大蔵週報」第788号第6頁の下部欄には、被請求人が出稿した広告が記載されている。また、乙第2号証は、乙第1号証と同一の「大蔵週報」平成15年3月21日発行第821号第5頁であり、同頁下部欄にも同一の広告が掲載されている。
この広告には、被請求人の社名とともに、本件商標が左上に明瞭に表示され、また、被請求人の業務についての広告文が記載されている。この広告は、被請求人の業務に属する情報処理システムに関連したもので、官庁会計シテム(ADAMS)のノウハウを官庁に限定されることなく独立行政法人のための会計システムにも活かして、開発する業務の勧誘も記載している。
(2)次に、被請求人は、本件商標を3年以上継続して不使用であったという事態を生じないように使用しており、商標法第50条第1項に規定されている不使用取消条件に該当していないことを立証する。
商標法第2条第3項に規定されている商標の使用の定義によれば、指定役務に関する広告に標章を付して頒布する行為は、使用の一態様である。上記の乙第1号証に掲載された広告には、本件商標が明瞭に記載されており、かつ、本件商標の指定役務に関する内容の広告であることは別途主張したとおりである。上記の乙第1号証が発行された平成14年7月19日の時点では、本件商標の登録日である平成12年4月21日から2年3月弱を経過しているが、3年以上継続して使用していないという不使用取消条件には該当しないから、この1点をもってしても請求人の主張は成り立たない。
同様に、乙第2号証は、平成15年3月21日の発行であり、この場合にも、本件商標の登録日である平成12年4月21日から3年以内に商標を使用していることは、乙第1号証と同様である。また、本答弁書提出の時点では、乙第2号証の発行から1年も経過していない。実際には、上述の広告は、1か月に1度程度の頻度で、継続的に上記新聞に掲載している。本件に関する役務提供先となる顧客は、専門領域に属しており、広告媒体も専門家が購読する刊行物が多い。
(3)乙第1号証及び乙第2号証において、上記商標の右側近傍(NAVIGATEの文字部分の上部)に、やや小振りの文字で「次世代情報システムへ」という添え書きが付記されており、あるいは下部に、被請求人の企業名を英文で表示した極く小さい文字列が付記されているが、登録商標との外観の同一性を損なうことはなく、また、社会通念上同一と認められるものであるから、商標法第50条第1項に規定されている商標の使用に該当することは明らかである。さらに、乙第4号証以下において、記載されている本件商標に付記された部分についても、上記と同様に商標の使用に該当するものである。
(4)次に、本件商標が、その指定役務の第38類「情報通信に関する企画及び助言」について使用されていることを立証する。電気通信には、種々の通信があるが、被請求人の主要業務の一つである情報処理システムに関連する情報通信は、古典的な音声あるいは符号の通信では、要求される通信の目的を達成できないため、情報処理システム内あるいはシステム相互の大量のデータ、画像等を高速、高効率、広範囲に亘り種々の情報を取り扱う高度の新技術に依存する通信である。顧客が実現しようとする情報処理システムと情報通信を融合した大規模のシステムを建設するためには、その構成要素の一つである「情報通信に関する企画及び助言」というサービスを提供することは不可欠である。
(5)乙第1号証あるいは乙第2号証の広告に掲載されている官庁会計システム(ADAMS)は、被請求人が業務の一部として参画したシステムであって、乙第3号証として提出する財務省会計センター作成の「ADAMS」官庁会計事務データ通信システムと題した説明資料に基づいて説明する。このシステムは、旧大蔵省、現財務省の所管する会計システムであり、国の会計事務における各種会計情報を迅速、正確かつ容易に伝達するために、会計事務を取り扱う官署に端末機を設置し、これとセンターの電子計算機とを通信回線で結び、各官署が常に即時処理を行うことができるオンライン・リアルタイム方式のシステムである。
(6)乙第3号証の第13頁CHAPTER3設備には、ホストコンピュータから通信回線を介して官署へのルート、他のシステムから通信回線を介してホストコンピュータへのルート等を備え、また、端末機も使用されている。このシステムにより、広範な業務サービスを提供することが可能となる。被請求人は、このようなシステムの開発、企画、助言業務を諸官庁、独立行政法人あるいは企業等に提供することを業務の一部としているが故に、指定役務の第38類「情報通信に関する企画及び助言」に本件商標を使用するため、本件商標を登録した。しかも、その業務のため、乙第1号証あるいは乙第2号証の広告に掲載された広告等の手段により、商標を使用していることは明らかである。
(7)商標法第2条第3項に規定されている役務商標の使用に関連して、本件の登録商標である標章を付して役務を提供していることを立証するため、乙第4号証を提出する。これは、被請求人が情報通信に関する企画、助言の役務の利用者である顧客に成果物として納入した提案書の表紙であり、本件の登録商標である標章を付して役務を提供している。また、乙第5号証は、同じく顧客に成果物として納入した報告書の背表紙の例であり、役務提供者の標章を付して納入している。いずれにも納入日を記載しているが、商標登録の日から、3年を経過しない日付であり、本件商標の使用の事実を示している。以上のほかにも、役務の提供に当たって使用する封筒、書類鋏及び名刺類に本件商標を付して使用しており、乙第6号証は、封筒に商標を表示した証拠である。なお、納品物に関しては、既に、顧客の所有に帰し、また、企業秘密保持により提出できないため、その写しを提出したが、登録商標の使用形態の確認を行うことは可能である。
(8)以上のように、本件商標は、第38類の指定役務「情報通信に関する企画及び助言」において、現実に商標登録の後、継続的に使用しており、3年連続して使用した事実がないとする請求人の主張は誤りである。
したがって、本件商標を取り消すべきであるとする請求人の主張は、成り立たない。
被請求人は、本件商標を本件取消請求に係る第38類「情報通信に関する企画及び助言」について使用している旨主張しているので、この点について判断する。
(1)被請求人が提出した乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
乙第1号証は、財団法人日本システム開発研究所の発行に係る平成14年7月19日付週刊新聞「大蔵週報」第788号であり、乙第2号証は、同所の発行に係る平成15年3月21日付週刊新聞「大蔵週報」第821号であり、いずれも被請求人が出稿した広告が掲載されており、被請求人の社名とともに、本件商標が表示され、被請求人の業務についての広告文が記載されている。その広告文には、「官庁会計で培ったノウハウを独立行政法人に提供/独立行政法人のための官庁・企業複合会計/官庁会計(ADAMS)ノウハウ/あるべき公会計システムの姿へ/NTTデータソリューショでは官庁会計システムの開発・運用を通じた蓄積したノウハウを生かし、独立行政法人向け標準会計システム開発プロジェクトを(財)日本システム開発研究所と共同で推進しております。」等の文言が記載されている。
乙第3号証は、財務省会計センターの作成に係る「ADAMS/官庁会計事務データ通信システム」と題する資料である。財務省の所管する会計システムについて説明されており、国の会計事務における各種会計情報を迅速、正確かつ容易に伝達するために、会計事務を取り扱う官署に端末機を設置し、これとセンターの電子計算機とを通信回線で結び、各官署が常に即時処理を行うことができるオンライン・リアルタイム方式のシステムである旨記載されている。
乙第4号証は、平成12年6月30付の社会保険関連団体のための「公会計システムの導入に関する調査研究」のご提案と題する提案書の表紙であり、乙第5号証は、2001/2/28付の社会保険関連団体のための「公会計システムの導入に関する調査」調査研究報告書と題する報告書の背表紙であり、また、乙第6号証は、封筒であり、本件商標及びNTTデータソリューション株式会社の表示を認めることができる。
(2)上記において認定した事実によれば、被請求人は、本件審判請求の登録日(平成15年12月17日)前3年以内である平成14年7月19日及び同15年3月21日に、財団法人日本システム開発研究所の発行に係る週刊新聞「大蔵週報」に、被請求人の業務を記載した広告文を掲載したことが認められ、そこには本件商標も表示されていたことを認めることができる。
そして、その業務の主たる内容は、乙第3号証の財務省会計センターの作成に係る「ADAMS/官庁会計事務データ通信システム」と題する資料に掲載されている。
しかしながら、乙第1号証ないし乙第3号証に掲載されている役務は、本件取消請求に係る第38類「情報通信に関する企画及び助言」の範疇に属する役務とは認められない。
(3)この点について、被請求人は、該役務が第38類「情報通信に関する企画及び助言」に当たるものであるとし、被請求人の主要業務の一つである情報処理システムに関連する情報通信は、古典的な音声あるいは符号の通信では、要求される通信の目的を達成できないため、情報処理システム内あるいはシステム相互の大量のデータ、画像等を高速、高効率、広範囲に亘り、種々の情報を取り扱う高度の新技術に依存する通信であり、顧客が実現しようとする情報処理システムと情報通信を融合した大規模のシステムを建設するためには、その構成要素の一つである「情報通信に関する企画及び助言」というサービスを提供することは不可欠である旨主張している。
しかしながら、第38類の「情報通信」の役務とは、通信業者が業として行う他人の情報を伝送するものと解されており、そうであるとすれば、「情報通信に関する企画及び助言」とは「通信業者が業として行う情報通信に関する企画及び助言」というべきである。
しかして、被請求人が本件商標を使用しているとする役務は、乙第3号証において説明されているように、国の会計事務における各種会計情報を迅速、正確かつ容易に伝達するために、会計事務を取り扱う官署に端末機を設置し、これとセンターの電子計算機とを通信回線で結び、各官署が常に即時処理を行うことができるオンライン・リアルタイム方式のシステムである。
そうとすれば、被請求人の行っている役務は、あくまでも会計事務処理に係る電子計算機通信ネットワークシステムないしは会計事務処理に係る電子計算機通信網の構築に係る企画・助言とみるべきものであり、該システム中に情報通信を使用しているとしても、それは、そのシステムの一構成要素として組み込まれているにすぎないものであって、情報通信そのものに関する企画及び助言の役務を行っているものとはいえない。被請求人の行っている上記役務は、第42類の範疇に属する役務というべきものである。
したがって、乙第1号証ないし乙第3号証に掲載されている役務をもって、本件取消請求に係る第38類「情報通信に関する企画及び助言」に本件商標を使用していたということはできない。
(4)また、乙第4号証は、平成12年6月30付の社会保険関連団体のための「公会計システムの導入に関する調査研究」のご提案と題する提案書の表紙であり、乙第5号証は、2001/2/28付の社会保険関連団体のための「公会計システムの導入に関する調査」調査研究報告書と題する報告書の背表紙であるところ、提案書の表紙及び報告書の背表紙のみをもってしては、具体的な役務の内容は把握できないとしても、その表題からみれば、乙第3号証と同様の役務に関するものと推認し得るものであるから、これらの乙号証をもって、本件商標を第38類「情報通信に関する企画及び助言」の役務に使用していたことを証明したものとはいえない。
さらに、乙第6号証は封筒であり、本件商標及びNTTデータソリューション株式会社の表示を認めることはできるが、具体的な役務の使用を証明するものではない。
(5)してみれば、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、使用権者のいずれによっても、その請求に係る第38類「情報通信に関する企画及び助言」の役務について使用されていなかったものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定役務中の第38類「情報通信に関する企画及び助言」について取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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