sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2003−35266(T2003−35266/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4438128号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成11年12月16日に登録出願され、第29類「食用魚介類(生きているものを除く),加工水産物」、第30類「すし」、第31類「食用魚介類(生きているものに限る),海藻類」及び第42類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、同12年12月8日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用する商標

請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、下記の4件の登録商標を引用しており、いずれも、現に有効に存続しているものである。

(a)登録第2122975号商標(以下「引用商標1」という。)は、「魚幸」の漢字を横書きしてなり、昭和61年8月28日に登録出願され、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品」を指定商品として、平成1年3月27日に設定登録されたものである。

(b)登録第4424092号商標(以下「引用商標2」という。)は、「魚幸」の漢字を横書きしてなり、平成11年8月7日に登録出願され、第42類「飲食物の提供」外、商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同12年10月13日に設定登録されたものである。

(c)登録第4432061号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成11年8月7日に登録出願され、第29類「肉製品,食用魚介類(生きているものを除く。),加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,食用魚粉,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり」外、商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同12年11月17日に設定登録されたものである。

(d)登録第4444820号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成11年9月16日に登録出願され、第31類「食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類」外、商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同13年1月12日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第6号証(枝番を含む。)を提出した。

1.利害関係

請求人は、引用商標3及び4と全く同一構成よりなる請求人の商標登録出願「商願平2002−98755」(甲第6号証の1)において、本件商標を引用され、拒絶理由通知(甲第6号証の2)を受けている実情も存するため、本審判請求につき法律上の利害関係を有するものである。

2.本件商標と引用各商標との類否

(1)本件商標について

本件商標は、全体的に「右向きの魚」をデザインしたものと一見して理解できるものであるが、「魚」、「耕」の漢字が明らかに文字として混入していることが認識でき、この左右の「三角図形」は、文字をデフォルメしたものとは全く理解できず、「魚」の形状を描くため、単に付加した形状に過ぎないことが理解、認識できるところである。

よって、本件商標は、読み得る「魚耕」の漢字より「ウオコー」の自然称呼を生ずるものである。

(2)引用商標について

これに対し、引用商標1及び2は、「魚幸」の漢字2文字よりなるものであり、「ウオコー」なる自然の称呼を生ずるものである。又、引用商標3及び4は、ややデザイン化した構成よりなるも、近年、欧文字よりなる語の一部又は全部をレタリングした商標が随時採択使用され、それらを目にする場合が少なくない実情より、その「左端」が「魚の反り返った形体」を模しているとしても、欧文字「U」と読みうる範囲を維持した形態となっている。又、右側の欧文字「OKOH」を読んだ場合の「オコー」の称呼は、単語として何の意味合いを感じさせるものではないため、語頭の文字様デザインを判読し、一連に「UOKOH」(ウオコー)と読み、「魚」関連業者の「屋号」、「商号」を想起すると共に、「魚の形」のデザインも理解できるところで、「ウオコー」の称呼が生ずる商標と考えるのが自然である。

(3)商標の類似について

したがって、本件商標から生ずる「ウオコー」の称呼と引用各商標より生ずる「ウオコー」の称呼とは、全く同一の称呼であり、両商標は、称呼を同一にする明らかに類似する商標といわざるを得ないものである。

(4)商品及び役務の抵触について

そして、本件商標の指定商品又は指定役務は、全て請求人所有の引用商標1から4のいずれかの指定商品又は指定役務に抵触している。

2.答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、その答弁書において、本件商標はその構成から「ウオコー」と読まれる場合がある旨自ら認めている。

これは、大審院判決の数次に亘る判決や東京高等裁判所昭和26年2月24日判決(昭和24年(行ナ)15号)等を始めとする判例、学説で一致する、類否判断の基準「外観・観念・称呼」のいずれか一つが類似すると認められる場合、両商標は類似する商標である、との基準にそのまま当てはまる、明らかに互いに類似する商標といわざるを得ない。

不正競争防止法や現実使用に対する侵害訴訟の如く、取引の実際が現に存し、現時点での判断のみが重要な場合、現実を重視し、地域的偏りや、混同の有無を参酌することはあり得るとしても、商標法における一般の争いは、現時点に限らず、将来近隣に併存することをも想定して判断がなされなければならず、一時凌ぎの判断は馴染まないところである。

(2)被請求人は、互いに「魚」の文字を含み、漢字2文字の造語である点を共通とするにも拘わらず、観念の生じ得ない、比較の対象とするには不自然な両者を比較し、一般取引者・需要者が感知しようのない商標採択の経緯を述べ、観念上類似しない旨を主張している。

また、比較する必要性の考え難い不自然な外観上の差異を指摘し、参考資料として拒絶査定不服審判2000−19561を提出しているが、この審決は、それぞれ独自の観念を有し、それが故、非類似とされた例であり、本件の場合とは、全く事案を異にする判断である。

特に、この種業界は、口コミにより伝播されることが多い業界であり、称呼「ウオコー」によって紹介された者が系列店と錯覚し、飛び込むことを事前に防止するために設けられた商標制度であることに鑑みても、基本的判断により行うべきものである。

(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、商標法第46条第1項第1号によって、その登録は無効とされるべきものである。

第4 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び参考資料を提出した。

本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、その構成から「ウオコー」と読まれる場合がある。しかし、本件には以下のとおり、特別の事情がある。

1.本件商標と引用商標1及び2との類否

(1)観念類似について

本件商標の構成は、「魚耕」であるのに対して、引用商標1及び2の構成は「魚幸」であるところ、語頭の「魚」の文字は、指定商品を取り扱う業者間において、一般的に店名の一部に使用されていることよりして、識別性に弱い文字部分であるから、構成文字の全体の意味合い、印象に力点をおいて取引に資せられているものといえ、本件では、「耕」と「幸」こそが他の商標を容易に直感し、想起する程度のものか、およそかけ離れたものかが争点になるのである。

これを吟味するに、本件商標の語尾の「耕」は「(畠を)たがやす」の意を有する語として用いられ、一般の取引者・需要者であれば、魚をあたかも畠になぞらえて魚を耕す、つまり、魚を目的語・対象としてビジネスの徹底的な追及をしようとしている意図を直感するであろう。実際、被請求人は、「魚耕」を社是の一つとして「心を耕し、魚を耕し、商売を耕す」としており、これは、一般の取引者にとっても、被請求人が、魚ビジネスを対象として、これに対して厳しく立ち向かうことで、需要者に応えようとしている姿勢を強く感じとることができる。

一方、引用商標1及び2の「幸」は「しあわせ・さいわい」などの意を有する語として、日常よく親しまれて使用されている語である。それは、一般の取引者にとって、請求人が、需要者を対象として、魚を通して「幸い」を届けようとしている姿勢を感じ取ることができる。

このように、両者の商標は、魚を対象として直感させるか、媒介物として感じさせるかで、およそ異なるのであり、他の商標を直感させることはありえず、明確に識別されて使用され認識されているものである。

したがって、両商標は、それぞれ、その構成、意味合いからして、これに接する取引者・需要者の印象を著しく異にするものであることからして、明確に両商標は識別し得るものである。

(2)外観類似について

本件商標は、デザイン化された「魚」の文字を大きく画き、その右に「耕」の文字を書し、これらの左右に三角形の図形をまとまりよく一体的に配した特異な構成からなるものである。これは、一見して明らかなように、全体として魚の形に似せたものであることがわかる。

一方、引用商標1及び2は、単純な漢字の2文字「魚幸」からなるものであり、二つの商標が外観上混同を生ずる程相紛らわしいということは全くない。

2.本件商標と引用商標3及び4との類否

(1)観念類似について

引用商標3及び4の構成は、別掲(2)のとおり、語頭部分はかなりデザイン化されており、ローマ文字「OKOH」と結合されても全体として極めて抽象的なものである。

そうであれば、上記した本件商標と引用商標3及び4の商標とは、およそ異なるのであり、それぞれの構成よりして、これに接する取引者・需要者の印象を著しく異にするものであるといえ、両商標は相紛れるおそれのない、明確に識別し得るものである。

(2)外観類似について

本件商標の構成は、既述のとおりであるところ、引用商標3及び4は、語頭部を欧文字を図案化して大きく書し、第2字目以下を肉太の欧文字「OKOH」を小さく一体的に表示してなるものである。

この二つの商標が外観上混同を生ずる程相紛らわしいという判断はあり得ない。

3.まとめ

本件商標と引用各商標とは、その称呼において共通する場合があるとしても、その外観において極めて顕著な差異を有し、また、「魚耕」と「魚幸」の文字は、語尾の「耕」と「幸」の意を異にしているところ、略称としての観念をも異にしているので、これらを総合的に観察・対比してみれば、その称呼が共通することのみをもって両商標が相紛れるということは、いい得ないとみるべきものである。

そして、本件商標と引用各商標とは指定商品・指定役務について、同一又は類似しているものがあるとしても、両商標は、上記に述べた理由よりして、相紛れるおそれのない全く別異の商標というべきものである。

第5 当審の判断

そこで、本件商標と引用各商標との類否について判断する。

1.外観について

本件商標は、別掲(1)に示したとおり、「魚」の文字を構成する各部分をもって、魚の上びれ、胴体、下びれを描出し、これに続く「耕」の文字も「魚」の文字とともに胴体部分を構成するように表し、これに、小さな点で表した目を有する三角形状の頭部と尾びれを付け、全体をもって左向きの魚の形状を表したものと認められるものである。

一方、引用商標1及び2は、「魚幸」の漢字を横書きしてなるものであり、引用商標3及び引用商標4は、別掲(2)に示したとおり、太文字で表された「OKOH」の欧文字の左側に極めて抽象化された反り返った魚の如き図形を配した構成からなるものである。

上記した各構成からみれば、本件商標は、その構成中に「魚」と「耕」の文字を有するとはいえ、特に「魚」の文字は著しくデフォルメされているばかりでなく、全体をもって左向きの魚の形状を表したものと一見して把握・認識できるものであるのに対して、引用商標1及び2は、「魚幸」の漢字からなるものであり、また、引用商標3及び4は、抽象化された魚の如き図形と「OKOH」の欧文字とから構成されているものであるから、両商標は、その外観において明らかな差異があり、外観上は全く別異の商標ということができるものである。

2.観念について

本件商標と引用各商標とは、上記のとおりの構成からなるものであるところ、いずれも、その構成全体から、直ちに、特定の観念を生ずるものとは認められないから、観念については比較すべくもないものである。

また、本件商標から「魚」と「耕」の文字を抽出し、これと引用商標1及び2の「魚幸」とを比較してみても、いずれも、一定の親しまれた意味合いを表したものとはいえないから、観念については比較することはできないものではあるが、漢字は表意文字であることから、これに接する取引者・需要者は、被請求人が主張しているような意味合いまでをも認識し得るとはいえないとしても、「魚」と「耕」及び「魚」と「幸」の各文字の持つ意味合いから、漠然としてではあっても、両者の語義上の差異を想起・認識し得るものということができる。

そうすると、両商標は、観念上明らかな差異を有するとまではいえないとしても、少なくとも、相紛れる要素は見当たらない。

3.称呼について

本件商標は、上記のとおり、全体として魚の形状を表現しているものではあるが、「魚」と「耕」の文字を把握・認識し得ることから、この読み得る「魚」と「耕」の漢字から「ウオコー」の称呼を生ずることを否定することはできない。

一方、引用商標1及び2は、「魚幸」の文字からなるものであるから、該文字に相応して「ウオコー」の称呼を生ずるものと認められる。また、引用商標3及び4は、「OKOH」の欧文字の左側に極めて抽象化された反り返った魚の如き図形を配した構成からなるものであるところ、この図形部分を請求人が主張しているように、「U」の欧文字を図案化したものであるとみれば、その全体の構成から「ウオコー」の称呼をも生ずるものということができる。

そうとすれば、本件商標と引用各商標とは、いずれも、「ウオコー」の称呼をもって捉えられる場合のあることを一概には否定し難いところがある。

4.類否判断について

ところで、最高裁 昭和39年(行ツ)第110号判決(昭和43年2月27日第3小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)によれば、「商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、しかもその取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである・・・商標の外観、観念または称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、・・・取引の実情によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきでない」と判示されているところである。

これを本件事案についてみれば、本件商標は、上記したとおり、デフォルメされた「魚」と「耕」の文字を用いて、極めて特徴のある魚の形状を描出してなるものであって、これに接する取引者・需要者は、そのユニークな発想と外観に強い印象を受け、特徴のある魚の形状をしたマークの「ウオコー」として記憶にとどめるものということができる。

そうすると、本件商標から「ウオコー」の称呼を生じ得ることは否定できないとしても、両商標は、外観において顕著な差異があり、観念においても識別が可能なものであって、両商標から受ける印象を全く異にするものであるから、取引の場において、本件商標を使用した商品及び役務が引用各商標を使用した商品及び役務とその出所について、誤認混同を生ずるおそれはほとんどないものとみるのが相当である。

してみれば、外観、称呼及び観念を総合して考察した場合、本件商標と引用各商標とは、その称呼が共通することのみをもって類似する商標であるとすることはできない。

5.まとめ

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものでないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。