結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2004−35142(T2004−35142/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
第1.本件商標
本件登録第4558874号商標(以下「本件商標」という。)は、平成13年6月28日に登録出願、別掲に示すとおりの構成よりなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、平成14年4月12日に設定登録されたものである。
第2.請求人の主張
請求人は、結論掲記の審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第86号証(枝番を含む)を提出した。
1.請求の理由
本件商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であり、その商品である「ワイシャツ類、寝巻き類、その他これに類似する商品」について使用するものであって、商標法第4条第1項第10号に該当するにも拘わらず登録されたものであるから、商標法第46条第1項に基づき一部無効とされるべきものである。
請求人は、その根拠として次の商標を引用する。
(1)引用商標
請求人が商品第25類「ワイシャツ類、寝巻き類、その他これに類似する商品」に使用する「CHOOP」の英文字からなる商標(以下「引用商標」と略称する。)は、本件商標の出願時点である2001年頃には既に「シュープ」の称呼によって需要者や取引者の間で周知となっていた商標である。
周知であることは、以下に例示する種々の証拠によって明らかである。
(A)引用商標の周知性獲得について
引用商標は、1994年頃から使用を開始しており、これはボイス情報株式会社発行の「ライセンスビジネス名鑑2003〔ブランド編〕」の19頁に掲載されているブランド開始年表の1994年の欄、及び194頁の「CHOOP(シュープ)」の「開始年」の項の記載により明らかである(甲第3号証)。
(B)雑誌による引用商標の周知化
引用商標を使用し始めた頃は、「CHOOP」は「シュープ」と称呼するものであることを特に需要者に印象付けるためにそのための説明を加えるなどの特別の努力を払っていた。
(ア)例えば、1994年12月発行の少女向け雑誌である「Zipper」(甲第4号証)には、「CHOOP」の文字の下に、「シュープから始めよう」「カジュアルのニューエントリィ(シュープ)」と称呼をカタカナ文字で表した記載がある。同じく、1995年5月発行の雑誌「Lemon」(甲第5号証)には、「CHOOP」の文字と「シュープ」が併記されている以外に、囲み枠で「シュープってなーんだ!?」のタイトルの下に当該ブランドについて紹介されている。
更に、1995年11月発行の「POMME」(甲第6号証)でも、「CHOOP」のブランド説明や「CHOOP」を「【シュープ】と読みます!とーぜん知ってた!?」などと「シュープ」の称呼の周知化を図ることを目的とした宣伝広告が行なわれている。
その後、1996年10月に雑誌「Olive」(甲第7号証)が発行される頃には、「CHOOP」即ち「シュープ」であるとの認識が定着した。
そして、初期の頃のような懇切丁寧な「シュープ」のブランド説明などはする必要も無くなり、1997年頃の雑誌広告には省略されるようになった。例えば、1997年4月発行雑誌「たまごクラブ」(甲第8号証)などを見ても、もはやブランド説明などは見当たらなくなり、単にカタカナ文字「シュープ」が併記されるのみになっている。
(イ)また、カタカナ文字「シュープ」単独でも商標「CHOOP」としての機能を発揮するようになり、例えば、1998年4月発行の「Olive」(甲第9号証)には、「アクティブに着こなせ!「CHOOP/シュープ」のカラフル旋風。」の表題の下「シュープ」単独の表記が商品の出所を示す機能を果たしている証拠として「フラワープリント長袖シャツ各¥4,900(シュープ/アウトバーン)」、「ロゴプリント長袖Tシャツ各¥3,900(シュープ/ヒルトップ東京)」、等の記載が頻出している。
このように、既にこの頃にはカタカナ文字「シュープ」という表記をすれば当然商標「CHOOP」のことを指し示しているものと一般的に理解されており、カタカナ文字「シュープ」単独で使用されても商標的機能を発揮し、その信用が商標「CHOOP」に蓄積されていったのである。
尚、前述のアウトバーン及びヒルトップ東京等は、請求人から引用商標の使用の許諾を受けた法人である。
(ウ)その後も、引用商標「CHOOP」はカタカナ表記「シュープ」を併記したり、単にカタカナ表記「シュープ」のみでも使用され、例えば、1999年4月号の少女向け雑誌の学研「ピチレモン」(甲第10号証)には、「春のオシャレはCHOOP/シュープにそろってるよ!」の表題の下で、「リスのマークがトレードマークで、みんなに大人気のシューブ。」「オシャレするならシュープにおまかせ!」の記載が見られる。
(C)テレビコマーシャルによる引用商標の周知化
(ア)テレビコマーシャルとしては、「リスを置く」編、「待ち合わせ」編、「リスとおおかみ」編、「愛すべきリスたち」編のスポット広告が作成され放映された(甲第15号証)。即ち、「リスを置く」編は、リスの図形と「CHOOP」の英文字の画面が出て「ストリートカジュアル・シュープ」の音声が流される内容の広告である。
(イ)更に、上述したテレビコマーシャルの提供とは別に、主な需要者である小・中学生・高校生が休みとなる春休みや夏休みを狙って特別番組を制作し放送した。例えば、1998年8月には、「シュープ/CHOOP」の文字をそのタイトルの最初に付したテレビ番組が日本テレビ系列全国28局ネットで「シュープ/CHOOP夏休みスペシャル『入道雲は白,夏の空は青』」(甲第32号証の1)(甲第32号証の2)(甲第33号証)として放映されている。
(D)新聞広告による引用商標の周知化
1998年8月15日付け読売新聞のテレビ番組欄のページに掲載されている前記提供番組『入道雲は白,夏の空は青』の広告(前出の甲第32号証の2)中や、1999年3月22日付け読売新聞のテレビ・ラジオ番組欄のページに掲載されている前記提供番組「卒業旅行」の広告(前出の甲第34号証の2)中、2000年3月30日付けの日経流通新聞の全面広告(前出の甲第38号証)中で、「シュープ」の称呼をカタカナで併記することによって引用商標「CHOOP」が「シュープ」と称呼することを周知化している。
(E)業界新聞による引用商標の周知化
業界新聞として周知の繊研新聞において、1997年9月29日付の「岐路に立つライセンス事業既存ブランドのてこ入れ本格化」の記事(甲第39号証)、1998年8月15日付の「シュープ」(ファッションブランド)がつくり出したテレビドラマ」の記事(甲第41号証)、1999年12月22日付の「『シュープ』を拡大クラウンファンシーグッヅ多ブランド化進める」の記事(甲第44号証)、及び2001年3月9日付の「総合カジュアル強化」の記事(甲第48号証)等のそれぞれにおいて、引用商標「CHOOP」の拡大展開の内容が書かれているが、引用商標「CHOOP」については、その称呼のカタカナ表記「シュープ」で全て記載されており、衣料関係の人々に対して「シュープ」の周知化が確実に図られた。
(2)引用商標の周知性の獲得の客観的事実
(A)広告批評雑誌の掲載内容から
テレビのスポットCMなどは広告批評雑誌などに取り上げられているが、その場合引用商標「CHOOP」については「シュープ」とカタカナ書きで記載されている。
(B)ブランド年鑑等による引用商標の周知性の明示
(ア)1997年12月発行の「別冊チャネラー/ファッション・ブランド年鑑」(甲第55号証の1)を見ると、目次の中に「シュープ」とカタカナ文字のみで掲載されており(甲第55号証の2)、該当頁を見ると「シュープ(CHOOP)」として掲載されている(甲第55号記の3)。
(イ)また、2000年12月発行の繊研新聞社「ファッションブランドガイド SENKEN FB2001」(甲第56号証の1)の目次のブランドインデックスにおいても、そのサ行に「シュープ」として掲載され(甲第56号証の2)、その該当頁には「シュープ」(CHOOP)として載っている(甲第56号証の3)。
更に、2001年1月発行の「別冊チャネラー ファション・ブランド年鑑2001年版」(甲第57号証の1)にも、その目次の全ブランド索引やアイテム別・傾向別ブランド索引の中に「シュープ」として掲載され(甲第57号証の2)、それぞれの該当頁に「シュープ」(CHOOP)として載っている(甲第57号証の3)。
(ウ)即ち、上記事実は、第一に、引用商標「CHOOP」及びその称呼「シュープ」は本件商標出願時以前から本件商標登録時以後に至るまで、継続して数々のブランド年鑑に掲載されるほど周知であるということを示しており、次に、目次において「シュープ」とのみ記載され「チョープ」などの記載では掲載されていないという事実によって引用商標は「シュープ」とのみ称呼されていた事実が判明する。さらに、単に「シュープ」とだけ記載されていても、それが引用商標「CHOOP」を特定するほどに周知であるという事実を示している。
(3)広告宣伝費用及び売上実績
これまで述べてきたような広告宣伝に費やした費用は、市場価格ベースで1994年において715万円、1995年において1億円、1996年において8800万円、1997年において1億4300万円、1998年において4300万円、1999年において1億1400万円、2000年において1億1000万円、2001年において5600万円であり、合計約6億6000万円であった。
また、引用商標を使用した衣料の売上実績は、市場価格ベースで1994年において4900万円、1995年において6億3200万円、1996年において15億9200万円、1997年において11億7500万円、1998年において3億1900万円、1999年において6300万円、2000年において2億6700万円、2001年において14億7000万円であり、合計約55億6700万円の売上実績があった。
(4)前述のように、引用商標「CHOOP」は「シュープ」の称呼として、雑誌により、テレビコマーシャルにより、新聞の広告や記事により、国内旅客機内の放送及び機内誌やマクドナルドのトレー広告等によって本件商標出願時には周知になっており、この周知であることは広告批評関係の雑誌やブランド年鑑等によって裏付けられる。
(5)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、その指定商品が引用商標の指定商品に類似し、その構成文字「shoop」から明らかに「シュープ」の称呼を生ずるので、前述の経過を経て需要者の間で既に周知になっている引用商標「CHOOP」の称呼「シュープ」と類似する。
従って、本件商標は請求人の引用周知商標と類似するので商標法第4条第1項第10号に該当し登録すべきではない。
また、このように同じ称呼を有する商標が登録されるならば、請求人のみならず、需要者にとっても出所の混同や品質の誤認を生じて不測の不利益を蒙ることにもなり、需要者の保護を図ると共に取引秩序の維持を図ろうとする商標法の法目的にも反するものである。
(6)以上述べたように、本件商標登録は、請求人の引用周知商標に類似するので商標法第4条第1項第10号に該当し登録を受けることのできない商標であって、商標法第46条第1項により無効とされるべきものである。
2.弁駁の理由
(1)被請求人は、答弁書において種々述べているが、それらの主張は現実の商標の使用の事実を無視し、商標法第4条第1項第10号や同法第25条を曲解した根拠の無い主張であり悉く失当である。
(2)まず、商標法第4条第1項第10号に規定するいわゆる周知商標とは、未登録であっても使用により業務上の信用が蓄積されて周知になった商標をいい、本件審判事件においては、請求人の引用商標、即ち、使用により「シュープ」と称呼するようになった「CHOOP」が該当する。
被請求人は、係る引用商標に対して法第25条を持ち出して種々答弁しているが、法第25条は商標権の効力に関する規定であり、登録商標ではない請求人の引用商標とは全く無関係の議論である。
(3)更に、被請求人は、引用商標の「CHOOP」からは「シュープ」の称呼が生じないと主張するが、請求人の長年の使用により、現実に引用商標「CHOOP」から「シュープ」の称呼が生じ、「シュープ」の称呼で周知になっているという事実が客観的に認められる以上被請求人の主張は全く的外れである。
(4)また、被請求人は、本件商標からは「シュープ」の称呼が生じないと主張するが、一般需要者が通常の注意力を払って観察した場合に本件商標から「シュープ」の称呼が生ずるのは明らかである。
(5)この他、被請求人は、「シュープ」との称呼が生ずる「SHOOP」という英文字からなる標章を、1995年9月頃から使用を開始して周知化したなどと主張しているが、そのような周知化の事実を示す証拠は全く提出されておらず何ら根拠の無い主張である。ブランド年鑑(甲第55号証の1乃至甲第57号証の3)に、カタカナの「シュープ」という項目で記載されているのは、請求人の「CHOOP」であって被請求人の「Shoop」では無いという事実、即ち被請求人の「Shoop」は周知ではなく、請求人の「CHOOP」が「シュープ」の称呼で周知であるという事実が判明している。
(6)本件商標が、黒人系女性の横顔シルエット図形と「シュープ」と称呼する英文字「Shoop」の組み合わせからなる商標であっても、前出の甲第87号証の異議申立事件の審決において、審判官が、「(本件商標は)「Shoop」の文字において独立に取引に資される場合がある」と認めているように、「Shoop」の文字が商標の要部として機能し「シュープ」の称呼が生じることは明らかである。
従って、引用商標の周知な称呼「シュープ」と同一の称呼の英文字が本件商標に表示されている以上、両商標は同一の称呼「シュープ」を生じることとなり、これらの商標を付された商品は出所の混同を生ずるのは明らかである。
(7)以上述べてきたように、本件商標は、「シュープ」の称呼で周知な引用商標「CHOOP」に類似するにもかかわらず登録されたものであって、需要者に対し出所の混同を生ぜしめるものであるから商標法第4条第1項第10号に該当し、その登録を無効にすべきである。
第3.被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁しその理由を次のように述べている。
1.請求人が本件商標を一部無効とすべきとする理由
(1)請求人は、引用商標として、商品区分の第25類に属する「ワイシャツ類、寝巻き類、その他これに類似する商品」について、「CHOOP」との英文字からなる商標が、本件商標の出願時点たる2001年頃には、「シュープ」との称呼によって、需要者・取引者の間で周知となっていた商標であることは、甲第3号証ないし甲第57号証の証拠により明らかであると主張している。
(2)本件商標の指定商品が、引用商標の指定商品に類似し、その構成文字「Shoop」からは、「シュープ」の称呼を生じるものであって、引用商標「CHOOP」の称呼「シュープ」と類似するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当し、商標法第46条第1項により無効とされるべきものである旨主張するものである。
2.本件無効審判は理由がないとする根拠
被請求人たる本件商標の商標権者が、かかる請求人の主張する審判請求の理由及びその証拠について、慎重にかつ仔細に検討したところ、請求人の主張は悉く失当であり、その審判請求には理由がなく、従って、到底容認することができないものであるから、速やかに本件審判は理由が無くその審判請求は棄却する旨の審決を求めるものである。
すなわち、請求人が、本件商標が一部無効とされるべきであるとする請求の理由及びその理由を立証する証拠について仔細に、かつ慎重に検討したところ、請求人の主張は悉く失当であり、その審判請求には理由がなく、到底容認することができないものであることが、以下に列挙する理由及びこれを立証するところの証拠に徴すれば、明らかである。
(1)本件商標
本件商標からは、「シュープ」との称呼が生じることはなく、よって、請求人が本件商標の称呼は、「シュープ」であると独断して認定し、かかる本件商標の称呼についての独断による認定を前提とした請求人の主張は失当である。
本件商標は、本件商標を示す商標公報(乙第1号証参照)に表された【登録商標】の表示において明らかな如く、黒人系女性の横顔シルエット図形と、その下段に表示されているところの、特定の観念も称呼も生じ得ない程度に高度に模様化図形化してなる模様文字状図形とからなるものである。
斯くの如き表示態様からなる本件商標について請求人は、仔細に、かつ慎重に観察判断することも無く、本件商標について「シュープ」との称呼が生じるものと、安易に独断した請求人の認定は、容認できないものである。
(2)引用商標
請求人が引用する商標「CHOOP」からは、「シュープ」との称呼が生じるものではない。
請求人は、引用する商標として英文字からなる「CHOOP」の商標が、商品第25類の「ワイシャツ類、寝巻き類、その他これに類似する商品」について「シュープ」との称呼により、本件商標の出願前に需要者や取引者の間で周知となっていた旨主張しているが、請求人が引用するところの引用商標は「CHOOP」と書してなるものであり、アルファベット文字により表示されてなる文字商標においては、英語読み風の称呼が生じるものとするのが商標観察判断における経験則上一般的に認められているところから、「CHOOP」と書してなる引用商標からは、一般に「チョープ」ないしは「チュープ」との称呼が生じるものとするのが、最も実直な引用商標に対する観察判断として容認されるところである。
しかるときは、引用商標からは「チョープ」ないしは「チュープ」との称呼が生じるものであるところ、引用商標「CHOOP」をもって、その称呼が「シュープ」であり、当該称呼「シュープ」が周知商標であると強弁し、もって、本件商標が、かかる引用商標「CHOOP」の称呼「シュープ」の周知商標に類似するから、商標法第4条第1項第10号の規定に違反するとの請求人の主張は何らの合理的根拠を有せず到底容認できないものである。
(3)引用商標の使用
請求人が、引用商標「CHOOP」から生じる称呼であると強弁するところの片仮名文字表示されてなる標章「シュープ」は、引用商標の商標権者たる請求人による正当なる登録商標の使用とは、認めることはできないものである。
けだし、商標法第25条において、「商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。」と規定するところであるところから、請求人が、引用商標「CHOOP」との称呼と強弁し、使用による周知商標と主張する「シュープ」は、引用商標「CHOOP」たる登録商標の範囲に属するものではなく、よって、引用商標「CHOOP」の正当なる使用とは認められず、ましてや、上記の如く、標章「シュープ」が、引用商標「CHOOP」の登録商標の類似の範囲に属するものとも認められず、したがって、所謂商標権の禁止権の範囲にも属するものとは、認められないところである。
請求人が、引用商標「CHOOP」の商標権の使用許諾により、使用権者による標章「シュープ」の使用によって、請求人が、引用商標「CHOOP」の称呼であると強弁する「シュープ」の商標が、周知商標化しているとの主張の根拠としているところの、引用商標「CHOOP」の商標権の使用許諾を受けた使用権者による標章「シュープ」は、引用商標「CHOOP」の使用とは、認められないものである。
けだし、上記の商標法第25条の規定によれば、引用商標「CHOOP」の類似範囲にも属するとは認められないところの「シュープ」については、いかに、引用商標「CHOOP」を所有する商標権者と主張している請求人といえども、商標権の正当なる権利行使として、使用許諾を与える権限を有しないものであり、従って、審判請求人が主張する引用商標「CHOOP」の商標権についての使用許諾権者による標章「シュープ」の使用が、請求人の引用商標「CHOOP」の使用であるとは、商標法上認められず、よって、これら請求人が主張するところの使用許諾権者による標章「シュープ」の使用が、請求人の引用商標「CHOOP」の称呼と強弁するところの「シュープ」の使用とは、認められない以上当該「シュープ」が使用により周知商標化しているとの請求人の主張は失当であり到底容認できないものである。
(4)本件商標の周知性
被請求人たる本件商標の商標権者は、「シュープ」との称呼が生じるアルファベット文字「SHOOP」と書してなる標章を、本件商標の指定商品に含まる「セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、水泳着、水泳帽及びこれらの類似商品」その他の商品を販売するために店舗の広告表示としての使用を、本件商標の出願時点たる2001年6月28日以前の平成7年9月(1995年9月)頃から使用を開始し、かつ、継続して現に本件商標の登録時点においても使用している事実があり、しかも、当該標章の「SHOOP」の文字表示は、被請求人たる本件商標の商標権者が、当該店舗において販売する商品につき自他商品の識別標識として、使用を開始してから間もなく、少なくとも当該店舗が存在する地域においては、一般需要者や取引者の間に相当広く知られて周知商標化しているという事実がある。
3.以上のとおり、請求人の主張は悉く失当であり、その審判請求には理由がなく、到底容認することができないものであることが、上記の2において列挙した理由及びこれを立証するところの証拠について、仔細に検討して記述したところから明らかとなったものである。
第4.当審の判断
請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当すると主張して甲号各証を提出しているので、以下、この点について判断する。
1.引用商標の周知性について
本件商標の出願前の2002年10月31日ボイス情報株式会社発行に係る「ライセンスビジネス名鑑 2003〔ブランド編〕」(甲第3号証)によれば、ブランド名「CHOOP(シュープ)」の頁には、ライセンス窓口の欄に請求人が記載され、ブランド開始年は1994年とある。
また、ライセンス状況の欄には「雑貨小物、キッズウェア、パジャマ、レディスカジュアルウェア」等が記載されている。
そして、甲第4号証ないし同第14号証は、本件商標の出願前の1994年から2001年にかけて発行された「Zipper」、「Lemon」、「POMME」、「Olive」、「ピチレモン」、「nicola」等の少女向けのファッション雑誌(抜粋、写し)と認められるところ、これらの各雑誌に広告掲載された該当頁には「CHOOP」の欧文字と共に同一頁において「シュープから始めよっ」「シュープってな〜んだ」等の記載のあるもののほか「シュープ」の文字が併記されている例が多数認められる。
このことは、「CHOOP」の欧文字は、通常わが国では最も親しまれた英語読みで発音すると「チュープ」または「チョープ」となることから、「シュープ」の読みを周知させることを目的としたものと容易に推認されるものである。
そして、請求人が広告主として放映したと認め得る「テレビCM放送証明書、テレビタイム放送確認書」(甲第15号証ないし同第31号証、枝番を含む)によれば、1995年、1997年、1998年、1999年に「CHOOP」のテレビコマーシャルが「シュープ」の文字及び音声と共に放映されたことが認められる。さらに、1998年8月及び1999年3月には「シュープ」が作ったドラマとして請求人(会社)が提供したドラマが読売新聞、産経新聞、繊研新聞等(甲第32号証ないし同第48号証、枝番を含む)に取り上げられて掲載されていることが認められる。
また、2000年3月20日発行の日経流通新聞、業界紙である1997年9月29日から2001年3月9日にかけて発行された繊研新聞等において、フアッションブランドとしての「シュープ」の記事が多数掲載されており、さらに、株式会社チャネラー1997年12月20日発行の「フアッション・ブランド年鑑’98年版」及び同チャネラー2001年1月20日発行の「フアッション・ブランド年鑑2001年版」に、何れも「シュープ(CHOOP)」が掲載されている。
そして、上記の広告費用として、1994年が715万円であったが、翌年からは1億円を超え、以後、2000年までは毎年1億円を超える金額が広告費用に当てられており、また、引用商標を使用した衣料の売上げ実績は、1994年が4900万円であったものが、翌年は6億3200万円、1996年約16億円に達し、その後増減はあるものの、2001年は14億7000万円とかなりの規模の売上実績を上げているものである。
以上のことから、請求人の使用に係る引用商標「CHOOP」は、「シュープ」の称呼のもと、本件商標の出願前から雑誌、テレビ、業界誌等で商品「キッズウェア、パジャマ、レディスカジュアルウェア」等に幅広く使用されてきたこと、その広告費用も1994年の715万円から2000年には1億円を超える額であったこと、また、売上げ高についても1994年の4900万円から2001年は14億7000万円に達していること等々のことからすれば、引用商標「CHOOP」は、「シュープ」と称呼され、遅くとも本件商標の出願時には、すでに請求人の業務に係る商品「雑貨小物、キッズウェア、パジャマ、レディスカジュアルウェア」等を表示するものとして需要者の間に広く認識され周知であったとみるのが相当である。
なお、被請求人は、本件商標も平成7年9月頃から「セーター類、ワイシャツ類」ほかに使用し、一般需要者、取引者に相当広く知られており、周知商標となっていた旨主張しているが、これを立証する何らの証拠も提出していないから、その主張は採用できない。
2.本件商標と引用商標の類否について
次に、本件商標と引用商標との類否について検討する。
本件商標は、別掲に示すとおりであるところ、その構成態様は黒人系女性の横顔を描いたシルエット図形と認められる図形を大きく表し、その下に欧文字を横書きしてなるものであり、該欧文字部分も独立して自他商品の識別標識として機能を果たし得るものと認められる。
そして、該欧文字は、「Shoop」の欧文字中「hoop」の文字部分を鋭利な刃物で縦と横に切り傷を入れ、「hoo」の文字部分の下半分をやや右にずらしたような印象を与えるデザイン文字を書してなるものであるが、この文字部分は容易に「Shoop」の文字と看取し得るものであり、そうとすれば、たとえば、「Shoot」が「シュート」と発音される用例にならい、該構成文字に相応して「シュープ」の称呼を生ずるものと判断するのが相当である。
これに対し、引用商標「CHOOP」は、前記したとおり「シュープ」の文字と併記して本件商標の出願前から前記商品に使用され、取引者、需要者に「シュープ」の称呼をもって、広く知られた商標といえるものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、「シュープ」の称呼を共通にする類似の商標といわざるを得ない。
さらに、本件商標の指定商品中の「セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、水泳着、水泳帽及びこれらの類似商品」と請求人が引用商標を付して使用する商品「キッズウェア、パジャマ、レディスカジュアルウェア」等 は、同一又は類似の商品と認められるものである。
3.結論
以上のことから、本件商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者間に広く認識されている引用商標と類似する商標であって、その商品と同一又は類似する商品について使用をするものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その指定商品中「セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、水泳着、水泳帽及びこれらの類似商品」についての登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。