Trademark Appeal Case
著名商標の混同性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−22632(T2001−22632/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「VALENTINO McDORMAND」と「バレンチノ マクドーマント」の各文字を二段に横書きしてなり、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」を指定商品として、平成11年3月19日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、イタリア出身の著名なデザイナーであるバレンチノ ガラバーニ(Valentino Garavani)が被服類、毛皮、バッグ等に使用して著名な商標である「VALENTINO」の文字を含むものであるから、本願商標をその指定商品について使用するときは、需要者は、バレンチノ ガラバーニ(Valentino Garavani)若しくはこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第3 当審の判断
1 当審において、イタリアのデザイナーである「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」並びにそのデザインに係る被服、ネクタイ、ベルト、バッグ、靴等に使用される「VALENTINO GARAVANI」、「Valentino Garavani」、「valentino garavani」等のローマ文字及びその片仮名表記である「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」、「バレンチノ ガラバーニ」等の表示、又はこれらの略称である「VALENTINO」、「Valentino」、「valentino」、「ヴァ(バ)レンティ(チ)ノ」の表示に関して行った職権による証拠調べの結果、以下の事実が認められる。(なお、氏名や表示(商標)等の表記方法については、書籍等を引用する場合を除き、デザイナー名として使用する場合は、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」として、また、そのデザインに係る被服、ネクタイ、ベルト、バッグ、靴等に使用される「VALENTINO GARAVANI」、「Valentino Garavani」、「valentino garavani」等のローマ文字及びその片仮名表記である「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」、「バレンチノ ガラバーニ」等の各表示は、まとめて「『VALENTINO GARAVANI(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)』商標」として、以下表示する。)
(1)デザイナーとしての「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の著名性について
(ア)「服飾辞典」(文化出版局、昭和54年3月5日第1刷発行、29及び30頁)には、「イタリア北部の都市に生まれる。・・・スチリストになるため、パリのサンジカ(パリ高級衣装店組合の学校)で技術を身につける。・・・1958年独立、ヴァレンティーノ・クチュールの名でローマに店を開いた。このころ、イタリアのモードは世界的に有名になりつつあった。彼の最初の仕事は、フィレンツェのピッティ宮殿でのコレクションである。このコレクションは、〈白だけの服〉という珍しい演出であったが、その美しさはジャーナリストの間で評判になり、「ニューズ・ウィーク」「ライフ」「タイム」「ウィメンズ・ウェア・デイリー」各誌紙で取材、モードのオスカー賞を獲得した。1967年、ヴァレンティーノの名は世界に知れわたった。1972年には紳士物も始め、その他アクセサリー、バッグ、宝石類、香水、化粧品、家具、布地、インテリアと、その仕事の幅はたいへん広いが、すべてヴァレンティーノ独特のセンスを保っているのはみごとである。」の記載がある。
(イ)「英和商品名辞典」(株式会社研究社、1991年第3刷発行、447頁)には、「イタリアRomaのデザイナーValentino Garavani(1932− )のデザインした婦人・紳士物の衣料品・毛皮・革製バッグ・革小物・ベルト・ネクタイ・アクセサリー・婦人靴・香水・ライター・インテリア用品など.・・・1967年にFirenzeで白一色のコレクションを発表してマスコミに大きく取り上げられ、一躍その名を高めた.」の記載がある。
(ウ)その他、「世界の一流品大図鑑」(株式会社講談社、昭和51年6月5日発行)の「一流ブランド物語 valentino garavani/ヴァレンティノ・ガラバーニ」の項(183頁)、「(新版)フェアチャイルド ファッション辞典」(株式会社鎌倉書房、1992年10月15日発行)の「Valentino(Valentino Garavani)【バレンチノ(バレンチノ・ガラバーニ)】」の項(647頁)、「新ファッションビジネス基礎用語辞典」(株式会社織部企画、1990年5月25日 全面改訂第1版発行)の「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ【Valentino Garabani】」の項(769頁)、「田中千代 服飾事典」(同文書院、1981年4月25日 新増補第1刷発行)の「ヴァレンチノ[Valentino]」の項(550頁)にも同様の記載がある。
(2)「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」のデザインに係る婦人服、ブラウス、ネクタイ、スカーフ、紳士服、シャツ、ベルト、紳士靴、香水等について使用される「VALENTINO GARAVANI(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」商標は、我が国において、例えば、以下のような雑誌に使用され、紹介されている。
(ア)前出「世界の一流品大図鑑」(株式会社講談社、昭和51年6月5日発行)の44頁
(イ)「世界の一流品大図鑑'78年版」(株式会社講談社、昭和53年5月10日発行)の32、92、106、130、134、147の各頁
(ウ)「EUROPE一流ブランドの本」(株式会社講談社、昭和52年12月1日発行)の「95−ROMA PIAZZA DI SPAGNA界隈 ヴァレンティノ ガラバーニ」の項
(エ)「男の一流品大図鑑'85年版」(株式会社講談社、昭和59年12月1日発行)の13、37、49、65、75、83の各頁
(オ)「男の一流品大図鑑'87年版」(株式会社講談社、昭和61年12月1日発行)の45頁
(カ)「男の一流品大図鑑'88年版」(株式会社講談社、1987年発行)の14、23、33、44、51、54、64、74、107の各頁
(キ)「Chaneller」(株式会社チャネラー、平成12年1月1日発行)の93頁
(3)「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の氏名、又はそのデザインに係る商品群が、我が国において単に「ヴァレンティ(チ)ノ」、「VALENTINO」などの表示をもって、例えば、以下のように紹介されている。
(ア)前出「世界の一流品大図鑑」の54、91の各頁
(イ)前出「世界の一流品大図鑑'78年版」の29頁
(ウ)「世界の一流品大図鑑'93年版」(株式会社講談社、平成5年5月20日発行)の278頁
(エ)「女性セブン 1988年11月17日号」(株式会社小学館発行)の「おしゃれ大特集」の項
(オ)「non−no 1989年12月5日号」(株式会社集英社発行)の173頁
(カ)「marie claire 1991年9月号」(中央公論社発行)の118、119の各頁
(キ)「marie claire 1996年2月号」(中央公論社発行)の表紙、66ないし89頁
(ク)「Men'sEx 2000年10月号」(世界文化社発行)の65頁
(ケ)「JJ 2001年1月号」(光文社発行)の299頁
(コ)朝日新聞 1977年(昭和52年)3月18日付けの家庭欄「77年春夏のコレクション」
(サ)朝日新聞 1982年(昭和57年)11月20日付けの「にゅうす・らうんじ」欄「世界をリードする3人」
(シ)流通サービス新聞(日刊工業新聞社)1993年(平成5年)2月13日付けの「93年春夏、パリオートクチュールコレクション(下)新風薫風、変化を促す」(7頁)の項
(ス)日刊スポーツ 1994年(平成6年)7月20日付けの「英ダイアナ妃、ヴァレンチノのファッションショーに出演か」(24頁)の項
2 前記1で認定した事実によれば、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」は、1967年に発表した「白一色のコレクション」を契機として一躍その名を高め、これ以来、同人はイタリア・ファッションの第1人者としての地位を確立し、世界的に著名なデザイナーとして知られるに至っていること、我が国においても、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の名前は、前記1967年(昭和42年)の「白一色のコレクション」により獲得したファッションオスカー受賞以来、新聞やファッション雑誌で取り上げられ、昭和50年年代の初めには、同人のデザインに係る被服、ネクタイ、ベルト、バッグ等が紹介されたこと、その後も、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の名前及びそのデザインに係る被服、ネクタイ、ベルト、バッグ等について使用される「VALENTINO GARAVANI(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」商標は、本願商標の登録出願日に至るまでに継続的に紹介されていたことなどが認められ、これよりすれば、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」及び「VALENTINO GARAVANI(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」商標は、世界のトップデザイナーとして、また、同人のデザインに係る商品群を表示するためのものとして、本願商標の登録出願日である平成11年3月19日には、既に我が国においても著名であったと認め得るところである。
また、同人のデザインに係る被服等の商品群に表示される商標は、「VALENTINO GARAVANI」のようにフルネームで紹介されることが多いが、同時に、単に「VALENTINO」、「Valentino」、「ヴァレンティノ」、「バレンチノ」と表示して紹介されていることも少なくなく、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」及び「VALENTINO GARAVANI(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」商標のファッション関連の商品分野における世界的著名性を考慮すれば、「VALENTINO」、「ヴァレンテイノ」、「バレンチノ」といえば、同人のデザインに係る被服、ネクタイ、ベルト、バッグ等の商品群に表示される商標及び同人を指すものとして、この種商品の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っているというべきである。
3 出所の混同について
本願商標は、前記したとおり、「VALENTINO McDORMAND」と「バレンチノ マクドーマント」の各文字を二段に横書きしてなるものであるところ、構成文字全体として我が国において親しまれた氏名等を表すものではない。また、本願商標の構成文字全体を称呼した場合の「バレンチノマクドーマント」の称呼も、長音を含め12音と冗長にわたるものである。
そして、本願商標中、冒頭部分に配された「VALENTINO」及び「バレンチノ」の文字部分は、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」のデザインに係る被服、ネクタイ、ベルト、バッグ等の商品群に表示され、本願商標の登録出願前より、その需要者の間に広く認識されている「VALENTINO」、「バレンチノ」と同一の綴り文字よりなり、同一の称呼を生ずるものである。
加えて、本願商標はその指定商品を「かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ」とするものであるであるところ、該商品は、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」のデザインに係り、その関連会社が製造、販売する被服、ネクタイ、ベルト、バッグ等と同一の商品若しくはファッション関連商品として密接な関係を有する商品と認められる。
そうすると、本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する需要者は、その構成中の「VALENTINO」及び「バレンチノ」の文字部分に強く印象づけられ、該商品が「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」のデザインに係る商品又は同人と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
4 請求人の主張について
請求人は、「VALENTINO」の文字を含む商標が「かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ」を指定商品として多数登録されている事実がある。また、証拠調べにおいて示した証拠は、いずれも「VALENTINO」のみの表示が「かばん類,袋物」等を表示するものとして著名性を獲得したものとはいえない。したがって、「かばん類,袋物」等の業界において、「VALENTINO」の文字を含む商標を使用しても、その需要者は、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」又はその関連企業の商品と出所の混同を生ずるおそれはない旨主張し、登録例として、甲第1号証ないし甲第72号証を、また、「VALENTINO」、「バレンチノ」を含む商標が取引の実際において使用されている例として、甲第73号証ないし甲第80号証を提出している。
甲第1号証ないし甲第72号証によれば、「VALENTINO」、「Valentino」、「valentino」の文字を含む商標が登録されたことが認められる。
しかし、世界的著名なデザイナーである「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」及びそのデザインに係る被服、ネクタイ、ベルト、バッグ等の商品群に使用される「VALENTINO GARAVANI(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」商標が、単に「VALENTINO」、「Valentino」、「ヴァレンティノ」、「バレンチノ」と表示され、本願商標の登録出願前より需要者の間に広く認識されていることは、前記認定のとおりである。
そして、商標法第4条第1項第15号は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」は、商標登録を受けることができないと規定しているところ、本願商標をその指定商品について使用した場合は、被服、ネクタイ、ベルト、バッグ等のファッション関連商品の主たる需要者といえる一般の消費者は、該商品が「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」のデザインに係る商品群の一つ、あるいはその兄弟ブランド等を使用した商品であろうと誤認、混同するおそれが高いことは明らかであり、これに反する証拠は見出せない。
そうすると、本願商標に係る指定商品等の商品の区分において、「VALENTINO」等の文字を含む商標が登録されている事実が存在するとしても、本願商標をその指定商品に使用した場合に、本願商標の登録出願時において、該商品が「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品との間に、出所の混同を生ずるおそれがあったか否かを問題とすべきであるから、請求人の挙げる登録商標の存在により、前記認定が左右されるものではない。
また、請求人の挙げた使用例が「VALENTINO GARAVANI(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」商標を使用した商品群との混同を惹起させ、「VALENTINO GARAVANI(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」商標へのフリーライドを狙ったものではないとの証拠はなく、その需要者が「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」のデザインに係る商品群の一つであると既に混同をしていた可能性も否定できないから、これらの使用例をもって、本願商標を使用した指定商品と「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」のデザインに係る商品群との間に出所の混同を生ずるおそれがないと断定することはできない。
したがって、上記に関する請求人の主張は、採用することができない。他に前記認定を覆すに足る証拠の提出はない。
5 むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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