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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第16886号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2714208号商標の登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2714208号商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙(1)に表示したとおりの構成よりなり、平成4年3月31日登録出願、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品および附属品」を指定商品として同8年5月31日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「結論同旨の審決を求める。」と申し立て、その理由を概要次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第98号証を提出している。

1.請求の理由

(1)商標法第4条第1項第11号に関する主張

請求人が引用する登録第733331号商標(以下、「引用A商標」という。)は、別紙(2)に表示したとおりの構成よりなり、昭和39年4月27日登録出願、第22類「長靴、短靴、靴型、その他のはき物並にこれらの部品及び附属品、その他本類に属する商品」を指定商品として、同42年2月15日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

同じく、引用する登録第1264468号商標(以下、「引用B商標」という。)は、別紙(3)に表示したとおりの構成よりなり、昭和49年3月14日登録出願、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品及び附属品」を指定商品として、同52年4月11日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

同じく、引用する登録第2452562号商標(以下、「引用C商標」という。)は、別紙(4)に表示したとおりの構成よりなり、平成2年2月22日登録出願、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品及び附属品」を指定商品として、同4年9月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

ア 引用A乃至C商標は、本件商標よりも先願に係る登録商標であり、また、これらの指定商品が互いに抵触しているものである。

イ そこで、本件商標と引用各商標との類似性について検討すると、本件商標は、その構成中の片仮名文字から「フェルディナンバリー」の称呼が生じるが、また、同時に本件商標からは「バリー」のみの称呼も生じるというべきである。

すなわち、本件商標の前半部分が欧米人の男性の名前として一般的な「FERDINAND」の中の一文字を変化させたにすぎない「FELDINAND」及び「FELDINAND」の発音を片仮名で標記した「フェルディナン」であること、後半部分が後述する請求人の有する世界的に著名な商標「BALLY」「バリー」と同一であることは一見して容易に認識することができるから、本件商標が、「FELDINAND」「フェルディナン」と「BALLY」「バリー」の2語を単に組み合わせたものであることは明白である。

また、「FELDINAND」「フェルディナン」と「BALLY」「バリー」とを組み合わせた語が特定の熟語的意味合いを有するものでもなく、むしろ、これは、外国人の姓と名が結合した構成であると認識されるのが普通である。

したがって、本件商標が、全体として一体不可分の造語として認識されることはなく、その上、「フェルディナンバリー」の称呼は7音(長音も1音と数えれば8音)と比較的冗長であること、さらに後述するように「BALLY」「バリー」が靴等について世界的に著名な商標であることと相侯って、本件商標は、「FELDINAND」「フェルディナン」と「BALLY」「バリー」の部分とに分離して認識され、本件商標からは、単に「バリー」のみの称呼も生じる可能性が高いというべきである。

これに対し、引用各商標から「バリー」の称呼が生じることは明らかである。

したがって、本件商標と引用各商標は、「バリー」の称呼を共通にする、称呼上類似の商標である。

よって、本件商標は、引用A乃至C商標に類似し、かつ、同一の商品を指定商品としているから、商標法第4条第1項第11号に該当するというべきである。

(2)請求人の商標「BALLY」「バリー」の著名性に関する主張

ア 請求人バリー シューファブリケン アクチェンゲゼルシャフトは、1851年にスイス国シェーネンヴェルトにおいて、カール フランツ バリー(Carl Franz Bally)がそれまでの家内工業とは違った本格的な製靴工場を設立したことに起源を有し、靴については世界中でも最も長い歴史と伝統を持つ企業である。

同社の140年を越える発展の歴史はそのまま世界における靴の歴史である。同社は創立当初から厳しい品質管理の下に質の高い製品のみを製作し、「バリーの靴」は丈夫で長持ちし履き心地が良いとの評判を得ており、また、現在では、請求人の靴は、靴の品質、型等についての世界的な基準であるといっても決して過言ではない(甲第16号証乃至同第19号証、同第37号証及び同第68号証)。

同社は、現在スイスを中心に世界各国に関連会社を有する国際的企業であり(甲第20号証)、木型の製作から、接着剤の製造まで靴、かばん類、その他の皮製品の製造に使用する全材料をグループ内で調達し、さらに現在では皮革製品のみならずネクタイ等の衣料品、化粧品、眼鏡等のファッション関連の多くの商品を扱っており、この分野においても世界的な名声を得ている企業の一つである。

請求人の商品を販売する販売店は直営店を含めて全世界で506店に上り(1994年現在)(甲第19号証乃至同第22号証)、全世界における同商品の販売総額はグループ合計で1988年には15億スイスフラン(当時の換算で1,290億円)に達していた(甲第20号証)。

請求人は、創業以来一貫して「BALLY」の商標を請求人の商品に使用し、現在では世界各国に同商標及び「BALLY」の語を含む商標の登録を有している。また請求人の名称も組織の変更によって何度か変わったが、いずれも「BALLY」を主要部とすることには変わりがなく、また前述の関連会社のほとんどが、その名称中に「BALLY」の表示を含んでいる。

したがって、「BALLY」の表示は、請求人の扱う靴をはじめとする各種の商品の商標並びに請求人及びその関連会社の略称として世界中に広く知られていることは疑いない。

イ 我が国において、請求人の靴が本格的に輸入販売されたのは1963年(昭和38年)にリーベルマン ウェルシェリーエンド コンパニー エス エイが、請求人の我が国における輸入総代理店になってからであるが、それ以前からヨーロッパの高級靴としての請求人の靴の存在は我が国においても知られていた。1963年以降、請求人の製品の我が国における販売活動は、上記リーベルマン社、1973年(昭和48年)にリーベルマン社と三喜商事株式会社の合弁によって設立された株式会社ビー・エイ・インターナショナル、1983年(昭和58年)に我が国における請求人の靴の市場の拡大に伴い、請求人と上記リーベルマン社によって設立されたバリーリーベルマン株式会社並びに1987年(昭和62年)に上記株式会社ビー・エイ・インターナショナル及びバリーリーベルマン株式会社が合併し設立された株式会社バリー・ジャパン(甲第19号証乃至同第23号証、同第42号証乃至同第47号証)によって、継続して積極的に行われてきており、同時に請求人の製品の品質及び品位を保つために宣伝広告の媒体を厳選する等上記の各社は「BALLY」ブランドの信用の維持、増進に長年継続して努力してきた(甲第24号証乃至同第39号証)。

株式会社バリー・ジャパンの過去9年間の売上及び宣伝費用の総額は、以下のとおりである(甲第19号証、同第40号証、同第48号証乃至同第52号証)。

年 度 売 上 宣伝費

1987〜88年 339,346 14,908

1988〜89年 585,914 11,644

1989〜90年 737,499 9,063

1990〜91年 870,309 11,185

1991〜92年 906,816 8,454

1992〜93年 819,702 7,851

1993〜94年 692,300 8,207

1994〜95年 724,113 8,750

1995〜96年 668,837 15,035(単位万円)

さらに、請求人及びその関連会社は、靴以外にも、被服類、かばん類、ベルト等の商品を、わが国において35店舗の直営店及び多数の有名デパート等において広く販売しており(甲第18号証、同第19号証、同第41号証、同第48号証、同第53号証乃至同第55号証)、これらの商品にも当然商標「BALLY」又はその片仮名表記「バリー」が使用されている。

また、請求人及び前記日本法人の我が国での業務活動及びその動向は、業界専門紙に頻繁に記事として掲載されてから、当業者間において請求人の存在は大きな影響力を有しているといえる(甲第20号証乃至同第22号証、同第42号証乃至同第66号証)。

以上のことから、「BALLY」は現在では請求人が所有するヨーロッパの代表的なブランドとして、我が国において一般にも広く知られていることは明らかであり、その名声は我が国でも確立しているといえる(甲第67号証乃至同第78号証)。

ウ 以上の事実より、「BALLY」「バリー」の表示は我が国においいても、本件商標の出願日である平成4年3月31日のはるか以前から、靴をはじめとする請求人の前記各種の商品について使用する商標として周知著名であったことは疑いなく、同時に「BALLY」「バリー」の表示が、それらの製品の出所としての請求人の名称の略称としても広く知られていることは明らかである。

(3)商標法第4条第1項第8号に関する主張

「BALLY」「バリー」が、前述のとおり、請求人及びその関連会社の著名な略称であることは明らかである。

本件商標は、その構成中に「BALLY」「バリー」の文字を含み、これが前述のとおり、「FELDINAND」「フェルディナン」の剖分と分離して認識されるものであるが、その構成中に「バリー」の文字を含んでいるにもかかわらず、商標権者は請求人から本件商標の登録について何ら承諾を得ていない。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第10号に関する主張

「BALLY」「バリー」が、請求人及びその関連会社の扱う各種製品の著名な商標であることは前述のとおりである。また、本件商標は、称呼において請求人の商標「BALLY」「バリー」に類似する。したがって、本件商標は、請求人の周知著名な商標「BALLY」「バリー」と関連付けて認識されるおそれが高い。

さらに、請求人は欧米のみならず、世界各国に「Bally Group」と呼ばれる多数の関連会社を有しており、また、我が国においても、前述のような関連会社が現実に存在している。また、商標「BALLY」「バリー」が使用され、請求人の製造に係る被服類、かばん類、ベルト等の商品が我が国において広く販売されている。他方、本件商標の指定商品も請求人自身によって扱われているものであり、また、それらは請求人の扱うファッション関連商品の分野に属するものである。

以上述べたように、本件商標は請求人の有する著名な商標と紛らわしく、その指定商品も請求人の商標が著名性を獲得している商品を含んでいるか、あるいは密接な関連を有するものである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものである。

(5)商標法第4条第1項第15号に関する主張

さらに、本件商標が、その指定商品について使用されれば、該商品はあたかも請求人あるいは少なくとも請求人と関連を有する(Ba11y Groupに属する)企業によって製造販売された商品であるかの如く、その出所について誤認混同が生ずること明らかである。

よって、本件商標は、商標法4条1項15号に該当するものである。

(6)商標法第4条第1項第7号及び同19号に関する主張

請求人の商標「BALLY(バリー)」は、我が国の一般的な英和辞書にも「(靴、革小物、香水、服飾品などの)商標」として掲載されている(甲第89号証)。このことは、我が国において中学・高校生を含む広い範囲において、少なくとも「BALLY(バリー)」が何人かの所有に係る商標であることを知っていることを示すものであり、それだけ請求人の商標「BALLY(バリー)」が周知著名であることを示すものである。

このように世界的に著名な商標をそっくりそのままその構成中に含み、当該商標と類似する本件商標の使用、登録を容認することは、請求人の著名商標が有する出所表示機能(指標力)を稀釈化するばかりでなく、請求人の著名商標に化体した業務上の信用すなわち莫大なグッドウィルに“ただ乗り”することを認めることとなり、国際信義上極めて穏当でない。また、被請求人は、そのことにより不正の利益を得ることになる。

さらに、本件商標が請求人の商標「BALLY(バリー)」と無関係に選択されたとは考えられず、その顧客吸引力を利用しようとするものであることは容易に看取されるというべきである。したがって、請求人がその製造・販売について何らの関連性もしくは責任を持たない商品について、本件商標が使用されれば、商標「BALLY(バリー)」に対して有する請求人の業務上の責任及び信用が損なわれ、他方、同商標に寄せる需要者・取引者の信頼を失う結果を招来することは明らかである。

すなわち、本件商標の使用は、客観的に不正の利益を得、若しくは請求人に損害を加える目的を持つものというべきである。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同19号にも該当する。

(7)以上、詳述したように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同8号、同10号、同15号、同7号及び同19号に該当するから、その登録は、同法第46条第1項第1号により無効とすべきである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を概要次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第42号証を提出している。

(1)一事不再理の原則が適用されてしかるべきである。すなわち、本件での甲第2号証乃至同第4号証は、本件登録異議申立事件(商願平4−48713号)での甲第1号証乃至同第3号証であり、無効理由の根拠は同一証拠にもとづくものであって、しかも適用条文も、両事件とも商標法第4条第1項第11号、同8号、同10号及び同15号である。

(2)商標法第4条第1項第11号に関する主張に対する反論

本件商標「FELDINANDBALLY/フェルディナンバリー」は、同書同大で一連に書されており、一体不可分のものであって、殊更に「FELDINAND/フェルディナン」と「BALLY/バリー」を分離して認識しなければならない理由は、特段認められないものである。

また、「BALLY△△/バリー△△」、「△△BALLY/△△バリー」のように、その構成上に「BALLY/バリー」の文字あるいは称呼を含んでいる請求人以外の登録商標が、多数存在することからしても、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当しないこと明らかである。

(3)請求人の商標「BALLY/バリー」の著名性に関する主張に対する反論

請求人は自己の商標「BALLY/バリー」の著名性について「世界中で最も長い歴史と伝統を持つ企業のブランドとして著名である」旨主張するが、仮りに該商標が著名であったとしても「BALLY/バリー」そのものが著名であるのであって、「△△BALLY」、「△△バリー」までその著名性が及ぶものではない。著名であればあるほど、そのものずばりが目立つのであって、バリーの称呼を含むものとは明確に識別される。

(4)「BALLY/バリー」が請求人及びその関連会社の著名な略称であることについての反論

確かに「BALLY/バリー」が「バリー シューファブリケン アクチェンゲゼルシャフト」の略称であるとしても、それ以上のものでないことは前述のとおりである。

(5)本件商標が、略称において請求人の商標「BALLY/バリー」に類似するとする点についての反論

前述したように、「△△バリー」、「バリー△△」と称呼できる請求人以外の登録商標が、多数存在することから、取引者・需要者は、請求人の商標「BALLY/バリー」と「△△バリー」、「バリー△△」とを関連付けることはあり得ないので商標法第4条第1項第10号にも該当しない。

(6)「Bally Group」なるものの存在についての反論

日本国において、「Bally Group」なるものが存在することすら知られていないので、「△△バリー」、「バリー△△」を関連企業のものと誤認、混同することはあり得ないので、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。

(7)欧米のブランドはデザイナーなり、創業者の名前を用いることにより、そのキャラクター、ポリシーがはっきりしているものが数多く存在することを否定するものではないが、それだけに、本物としてデザイン、材質等、他とは一線を画しているものが多い。

しかしながら、今日のように、成熟した市場の中においては「本物」と「そうでない物」とは自ずと区別・識別が可能である。なぜなら、今日は、交通機関が著しく発達し、かつ情報が国境を越えて国際化したため、「本物」を見極める目は消費者に充分に備ったといえる。と同時に、技術が高度で平準化したため、本物以外のものでも一定のコンセプトのものであれば充分に消費者の要求に耐えるものが提供可能となった。

このような市場環境、消費指向の中にあって、物作りをする者は一定のコンセプトのもとに、目標とする商品を品質的あるいはデザイン的に超えたものを提供するにあたり、商標的イメージも商品イメージに近いものを選択することは否定できないところである。このような中で、欧米崇拝は信仰に近いものがあり、一方では拒否しながら、他方では奨励していたことは否めないところである。

本件商標は、請求人が、主張する如く、「希釈化」につながらず、「ただ乗り」でもないので、「国際信義上云々」は的外れな議論であるといわざるを得ないから、商標法第4条第1項第7号、同19号にも該当するものではない。

(8)請求人は甲第93号証乃至同第98号証を示して本件商標の無効理由を論ねているが、仮りにこれら甲号証の存在を認めたとしても、これらの行為は指摘される条項による無効理由とはなり得ない。

すなわち、登録商標を何らかの意図のもとに登録になった商標をそのまま使用していない場合であって、かつ他人の商品と出所の混同を生ずることが具体的に生じた場合には、所謂「不正使用」の問題であって、商標法第46条第1項第1号による本件無効審判とは次元を異にするものであり、これら甲号証に対しては何ら答弁の必要を感じない。

第3 当審の判断

請求人が提出した甲第16号証(「世界の一流品ブランドうんちく辞典」1988年11月20日毎日新聞社発行)には、「『BALLY』は『主な製品が、靴、バック、皮小物等であり、1851年にスイスのシェーネンヴェルトで、カール・フランツ・バリーが創設し、1870年代に輸出を開始し、その品質の良さは、世界的に知られるようになった』」ことが記載されている。

同じく、甲第20号証(1989年10月13日付繊研新聞朝刊3面)には、「世界の有力企業が、国際戦力を強めている。ポロ・ラルフローレン社とバリー・インターナショナル社(平成4年6月16日合併後の名称、甲第2号証参照)は・・・・」及び「バリー・インターナショナル社は、世界百ヵ国にその販売網をもち、直営ショップ・コーナーは500店に上る。卸しと直営小売りの合計した販売総額(1988年)は、15億スイスフラン(一フランは約86円)。」と記載されている。

同じく、甲第43号証(1988年9月24日付日本繊維新聞朝刊3面)及び同第56号証(1989年1月12日付日本繊維新聞朝刊2面)には、「バリー社は、スイスの高級紳士・婦人靴メーカー。年商は千二百億円で世界トップにランクされる有力企業。」と記載されている。

同じく、甲第44号証(1988年9月24日付繊研新聞朝刊3面)、同第45号証(1988年9月29日付日経産業新聞朝刊4面)、同第46号証(1990年4月7日付日本繊維新聞10面)、同第47号証(1990年6月5日付日本繊維新聞朝刊14面)及び同第48号証(1990年8月22日付日本繊維新聞朝刊3面)には、「高級ファッションブランド『バリー』の日本のすべての活動を統括する新会社バリー・ジャパンを設立。『バリー』といえば、スイスの靴ブランドというイメージが強かったが、最近ではウェアをはじめバッグ、アクセサリーまで含めたトータルファッションのイメージも定着しつつある。バリーブランド製品は従来、バッグ、プレタポルテをB・A・インターナショナル、靴をバリー・リーベルマン社が扱う二社体制で販売されていた。バリー・ジャパンの設立時(1988年8月1日)の売上高は、旧二社の売上げを合わせると48億円、紳士・婦人靴15億円、同バッグ14億円、同プレタポルテ11億円、同アクセサリー・ベルト4億円、婦人服4億円であり、設立から一年目には約58億6千6百万円、1990年7月決算期の売上げ高は、73億円となった。」ことか記載されている。

また、甲第68号証、同第70号証、同第72号証乃至同第74号証及び同第76号証(「世界の一流品大図鑑’78年版、同’79年版、同’81年版、同’82年版、同’83年版、同’85年版」株式会社講談社発行)及び同第69号証、同第71号証(「男の一流品大図鑑」株式会社講談社発行)には、「BALLY」は、商品「ハンドバッグ、靴、ネクタイ」について請求人の業務に係る商標として掲載されている事実が認められる。

さらに、甲第75号証及び同第77号証(「世界の特選品’84、’90」株式会社世界文化社発行)及び同第78号証(「ヨーロッパの一流品’90」日本交通公社出版事業局発行)には、同じく「BALLY」は、商品「ハンドバッグ、靴、財布、眼鏡ケース、セーター、スカート、ベルト、タイツ」について請求人の業務に係る商標として掲載されている事実が認められる。

以上の事実及び請求人の提出した甲第17号証、同第18号証、同第23号証、同第24号証、同第30号証乃至同第39号証、同第42号証、同第67号証を総合勘案すれば、商標「BALLY」は、本件商標出願前より、請求人が「靴、ハンドバッグ、婦人服、財布、ベルト」等に使用し、請求人の業務に係る商標として取引者、需要者間に広く認識されていたものと判断するのが相当である。

ところで、本件商標は、「FELDINANDBALLY」の文字とその表音を表記したものと認められる「フェルディナンバリー」の文字とを二段に書してなるものであるところ、「FELDINANDBALLY」が全体として一般に親しまれた成語を表したものとは認め難く、かつ、「FELDINAND」と「BALLY」とを常に一体不可分のものとして把握すべき必然性も見出せないものである。

そうとすると、被請求人が、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、前記認定のとおり「靴、ハンドバッグ、婦人服、財布、ベルト」等に使用され広く認識されている、請求人の商標「BALLY」「バリー」と綴り及び称呼を同じくする後半部の「BALLY」「バリー」に着目し、該商品が請求人若しくは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品の如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項15号に違反して登録されたものであるから、他の法条について検討するまでもなく、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。

なお、被請求人は答弁書において、本件審判請求は「一事不再理の原則」に反すると主張しているが、登録異議申立がなされた後に登録された商標に対し、無効審判が請求され、その登録が無効とされることが商標法上起こり得ることは、登録異議申立制度と無効審判制度の両制度の目的・趣旨の相違から法があらかじめ予定しているところであり、また、過去の登録例を挙げているが、当該事案と本件とは事案を異にするものであって、本件については前記の認定を妥当とするから、その主張は採用することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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