結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成9年審判第20443号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1507826号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ASUKA」の欧文字と「アスカ」の片仮名文字とを二段に併記してなり、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、昭和52年8月18日に登録出願、同57年4月30日に設定の登録、平成4年6月29日に商標権存続期間の更新登録がなされ、その後、商標権一部取消審判(平成6年審判第11877号)により、指定商品中「薫料」については、平成7年5月8日に取消審決が確定したものである。
本件商標に対しては、指定商品中「化粧品」について、平成9年取消審判第9596号の審判請求(以下、「審判A請求」という。)がなされ、また、「せっけん類」について、平成9年取消審判第20443号の審判請求(以下、「審判B請求」という。)がなされたものである。両請求は、請求人及び被請求人が同一であるため審理を併合する。
(1)請求の趣旨
(a)審判A請求における請求の趣旨
請求人は、「本件商標の指定商品中『第4類 化粧品』についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を概略以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第5号証(平成10年4月17日付け甲第1号証及び同第2号証は、それぞれ甲第4号証及び同第5号証とした。枝番号を含む。)を提出した。なお、その後、口頭審理の結果に基づき上申書を提出している。
(b)審判B請求における請求の趣旨
請求人は、「本件商標の指定商品中『第4類せっけん類』についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を概略以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証の1及び2を提出した。なお、その後、口頭審理の結果に基づき上申書を提出している。
(2)請求の理由
(a)審判A請求における請求の理由
本件商標は、その指定商品「化粧品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
請求人は、甲第1号証に示すように、片仮名を左横書きにした「アスカ」からなる標章について、その指定商品を第3類「化粧品」として平成9年5月30日に商標登録出願をした。
そして、この商標登録出願に際して、これに類似する関係にある先願先登録商標の存在の有無を調査した結果、本商標登録出願に係る標章と類似すると思われ、本商標登録出願に係る指定商品と同一の商品に使用する本件商標及びその連合商標の存在が判明した。
本件商標及び連合商標は本願の登録の妨げとなる可能性がある。
そこで、審判請求人が調査したところによると、本件商標も連合商標もその指定商品中「化粧品」については継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても使用されていないことが判明した。
したがって、本件商標の指定商品中「化粧品」についてはその登録は取り消しを免れないものである。
よって、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「化粧品」についての商標登録を取り消すことについて、請求の趣旨のとおりの審決を求める。
なお、請求人は、被請求人に対して、上記連合商標についても、本件商標に対すると同趣旨の審判を請求している。
(b)審判B請求における請求の理由
請求人が調査したところによると、本件商標はその指定商品中「せっけん類」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても使用されていない。したがって、登録商標の指定商品中「せっけん類」については、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消しを免れないものである。
(3)答弁に対する弁駁
(a)審判A及びB請求共通の弁駁
被請求人は、乙第2〜4号証(審判A請求)、乙第2〜5号証(審判B請求)にて容器の写真を示すが、これらの写真については撮影者の氏名、撮影の日時、撮影の場所などの一切が不明である。このため、これら書証は商標使用の事実の証明の基礎とはなり得ない。
乙第5号証(審判A請求)、乙第6号証(審判B請求)は、被請求人である関西美工(株)と林硝子工業(株)との間の契約を示すが、信憑性に乏しい。2社の住所が同一であり、かつ、役員構成などから実質上別法人とは考えられないからである。また、この契約書においては、使用料、使用対象商品、使用権の種類などを取り決められておらず正規の契約がなされているとは考えられないからである。
乙第7号証(審判A請求)、乙第8号証(審判B請求)は、林硝子工業(株)と松本逸次氏とのビル賃貸借契約を示すものであるが、この契約書では林硝子工業(株)とエステビューティロードとの関係が不明確である。
乙第8号証(審判A請求)、乙第9号証(審判B請求)は、チラシのコピーである。しかし、このコピーは、配布されたのか、配布されなかったのか、また、配布されたとしても、いつ、どこで、誰に対してどのくらい配布されたのかがまったく不明である。このコピー提出の意味が不明である。
乙第10〜12号証(審判A請求)、乙第11〜12号証(審判B請求)は、エステビューティロードの営業日報のコピーとの主張であるが、信憑性に欠け採用することができない。
被請求人の主張によれば、乙第8号証(審判A請求)、乙第9号証(審判B請求)のチラシでは¥1,500との単価を示すが、これらの営業日報では役務の欄の単価が¥15,750であり一致していない。
(b)審判A請求における弁駁
乙第8号証のチラシには水曜日は定休日とあるのに対し、乙第10〜12号証の次回予約欄には5/14,5/21の記載があり、しかもこれら両日は水曜日である。いかにも不自然である。
さらに、乙第10〜12号証の商品売上数の欄の記載には「ホワイトリリー」と記載されており、この商品が不明確である。なお、エステビューティロードが林硝子工業(株)であることの証明もなされていない。
次に、乙第13〜16号証は容器の写真を示すが、これらの写真については撮影者の氏名、撮影の日時、撮影の場所などの一切が不明である。このため、商標使用の事実の証明の根拠とはなり得ない。
乙第17号証は、被請求人である関西美工(株)と株式会社ウイングベルとの間の契約を示すが、信憑性に乏しい。使用対象商品の特定がなされていないこと、商標の特定が不明確であること、商標使用の使用料(対価額)に対する取り決めを欠くこと、通常使用権か専用使用権かが不明であることなど正規の契約書としては到底考えられない大きな不備があるからである。
以上のように、乙第2〜5,7,8,10〜12号証が不備であるため、乙第1,6,9号証によっては、林硝子工業(株)による商標使用の事実を証明することができない。
同じく、乙第13〜17号証が不備であり証拠として採用することができず、乙第1、18号証によっては株式会社ウイングベルの商標使用の事実を証明することができない。
乙第2〜12号証に示す林硝子工業株式会社による商標「ASUKA」のスキンローション容器への使用は、もし万が一にもこれらの乙各号証が証拠として認められたとした場合であっても、いわゆる「駆け込み使用」であり、本件商標の不使用取消審判の請求を理由なしとすることはできない。
すなわち、林硝子工業株式会社の上記使用は、審判請求前3月から請求登録日までの使用であり、かつ、審判請求されることを商標権者が知った後の使用であるからである。
具体的には、本件審判請求日は平成9年6月6日である。一方、乙第10〜12号証によれば平成9年5月8日,12日,15日に商標を使用した事実を証明しようとしている。よって、この使用は、審判請求前3月から請求登録日までの間の使用である。
また、請求人が提出する甲第1,2号証(甲第4号証及び同第5号証と訂正する)によれば、被請求人は平成9年4月24日、5月8日付けで、審判請求人に対してファクシミリにより本件商標権についての侵害である旨を通知している。また、4月24日には被請求人(代表者)は電話により請求人(代表者)に対して侵害への対処を要求している。よって、被請求人は遅くとも平成9年4月24日に審判を請求されることを知ったものと解される。
すなわち、乙第10〜12号証により証明する商標使用は5月8日,同12日,同15日であるため、これらの使用は審判を請求されることを被請求人が知った後の使用に該当する。
以上の結果、林硝子工業株式会社の商標「ASUKA」の使用がもしあったとしても、この使用はいわゆる「駆け込み使用」である。
乙第13〜17号証がもし万が一にも採用されたとしても、乙第13〜18号証で証明しようとする株式会社ウイングベルの商標の使用は通常使用権者による使用ではあり得ない。
すなわち、乙第1号証によれば、本件商標権の移転の登録は平成6年9月12日である。一方、乙第17号証によれば、本件商標権の使用権の契約書の作成日は平成6年7月1日である。
よって、契約書作成日にあっては、本件商標権の真の商標権者は契約書記載の関西美工株式会社ではない。したがって、本件商標権について平成6年7月1日になされた使用権の許諾の契約は無効であることとなる。この結果、株式会社ウイングベルの商標の使用がもし万が一にもあったとしても、その使用は被請求人の答弁するところの通常使用権者によるものではあり得ない。
以上により、審判被請求人による答弁はいずれもその根拠を欠くものであり、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「化粧品」についての商標登録は取り消されるべきものである。
(C)審判B請求における弁駁
乙第10号証は、関西美工株式会社が林硝子工業株式会社に乙第2〜5号証の容器を納品する際の納品書のようであるが、本納品書は実際に記載の当日に発行されたものか否か不明である。通常納品書なるものは、後日の問い合わせに対応するため、納品品目毎に記号と番号を記載するものであるが、これがない。また、実際に受領されたか否か納入当事者の確認印もない。しかも、請求書または入金を確認する書類等が同時に提出されていない。従って、記載の当日に発行されたものか否か不明であり、証拠に値しない。
さらに、乙第11〜12号証の商品売上数の欄の記載には「アスカ」とのみ記載されており、この商品がシャンプーであるか否かが不明確である。なお、エステビューティロードが林硝子工業株式会社であることの証明もなされていない。
以上のように、乙第2〜6、8〜12号証が不備であるため、乙第1、7号証によっては、林硝子工業株式会社による商標使用の事実を証明することができない。
乙第6〜9号証により通常使用権者である林硝子工業株式会社が商標[ASUKA」を使用していた事実を証明しようしているが、林硝子工業株式会社とエステビューティロードとの関係が明白でない限り、林硝子工業株式会社が使用していた証明にはなり得ない。
以上により、被請求人による答弁はいずれもその根拠を欠くものであり、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「せっけん類」についての商標登録は取り消されるべきである。
(1)答弁の趣旨
(a)審判A請求における答弁の趣旨
被請求人は、「結論同旨の審決を求める。」と答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対する答弁を概略以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第27号証(枝番号を含む。)を提出した。なお、その後、口頭審理の結果に基づき、乙第28号証乃至同第33号証を提出している。
(b)審判B請求における答弁の趣旨
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対する答弁を概略以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第35号証を提出した。なお、その後、口頭審理の結果に基づき、乙第36号証乃至同第43号証を提出している。
(2)答弁の理由
(a)審判A請求における答弁の理由
被請求人は、本件商標を指定商品中「化粧品」について、乙第1〜18号証に示す通り、本件商標についての通常使用権者が「化粧品」に付いて継続して使用しているものであり、商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消されるものではない。
被請求人は、化粧品用容器、化粧用ブラシ等の製造・貼売を主たる業務とする企業であり、その主たる取り扱い商品との関連で、スキンローション、ヘアエッセンス等の化粧品やシャンプー(せっけん類)も取り扱っている。
本件審判請求に係る商標「ASUKA/アスカ」に関しては、被請求人は、化粧品の製造・販売を行っている関連・取引企業に対して通常使用権を許諾しており、当該通常使用権者によって商品「化粧品」に継続して使用されているものである。
従って、請求人は本件商標が商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても使用されていないと主張しているが、これは明らかに事実に反する不当な主張である。
被請求人は乙第2〜18号証を提出し、過去3年以内で本件審判の予告登録日(平成9年7月9日)以前から本件商標「ASUKA/アスカ」を付した化粧品を、通常使用権者が販売していた事実を証明する。
乙第2〜4号証(本件商標「ASUKA/アスカ」を付した「スキンローション」の写真)
商標「ASUKA」「アスカ」が付された化粧品の一種「スキンローション」の写真であり、通常使用権者である「林硝子工業株式会社」の直営エステティックサロン「エステビューティロード」に於いて販売されているものである。
乙第5号証は、被請求人「関西美工株式会社」と「林硝子工業株式会社」との間で交わされた平成9年3月1日付の契約書であり、これにより「林硝子工業株式会社」が商標「ASUKA/アスカ」の通常使用権者であることが証される。
乙第7及び8号証に拠り、乙第2〜4号証の「スキンローション」を販売している「エステビューティロード」が、本件審判請求の予告登録日(平成9年7月9日)以前にオープン(5月6日)していたことが証される.
乙第9号証の納品書は、平成9年4月26日の時点で、被請求人が通常使用権者「林硝子工業株式会社」へ「スキンローション」の容器を納品していた事実を示すものであり、又、乙第10〜12号証の営業日報は、該容器に内容物を充填した商品(即ち、スキンローション「ASUKA/アスカ」)が、エステビューティロードに於いて平成9年5月8日,12日,15日の3日間確かに販売されていた事実を示すものである.
乙第13〜16号証は、本件商標「ASUKA」「アスカ」が付された他の商品「ヘアエッセンス」の写真であり、発売元である「株式会社ウィングベル」も乙第17号証に示す通り、平成6年7月1日付で本件商標の通常使用権者となっている。
乙第18号証の納品書控の日付は’95年(平成7年)3月30日となっており、明らかに過去3年以内で本件審判の予告登録日(平成9年7月9日)以前の日を示すものである。
上記乙第2〜4号証、乙第13〜16号証に示されている本件商標の使用態様は、欧文宇「ASUKA」と片仮名「アスカ」を別々に付す態様となっているが、これは明らかに本件商標「ASUKA/アスカ」と社会通念上同一と認識し得る範囲内のものである。
従って、上記乙第2〜18号証に照らして判断すれば、本件商標が請求に係る商品「化粧品」に、過去3年以内で本件審判の予告登録日(平成9年7月9日)以前に、通常使用権者によって取引され使用されていた事実が証明される。
(b)審判B請求における答弁の理由
被請求人は、シャンプー容器、化粧品用容器等の製造・販売を主たる業務とする企業であり、その主たる取扱い商品との関連で、シャンプー(せっけん類)やスキンローション、ヘアエッセンス等の化粧品も取り扱っている。
本件商標「ASUKA/アスカ」に関しては、被請求人は、シャンプー・化粧品等の製造・販売を行っている関連・取引企業に対して通常使用権を許諾しており、当該通常使用権者によって商品「シャンプー(せっけん類)」に継続して使用されているものである。
乙第2〜5号証は商標「ASUKA」「アスカ」が付されたせっけん類に属する商品「シャンプー」の写真であり、通常使用権者である「林硝子工業株式会社」の直営エステティックサロン「エステビューティロード」に於いて販売されているものである。
乙第6号証は、被請求人「関西美工株式会社」と「林硝子工業株式会社」との間で交わされた平成9年3月1日付の契約書であり、これにより「林硝子工業株式会社」が商標「ASUKA/アスカ」の通常使用権者であることが証される。
また、乙第8号証及び同9号証により、乙第2〜5号証の「シャンプー」を販売している「エステビューティロード」が、本件審判請求の予告登録日(平成10年1月14日)以前にオープン(平成9年5月6日)していたことが証される。
乙第10号証の納品書は、平成9年4月26日の時点で、被請求人が通常使用権者「林硝子工業株式会社」へ「シャンプー」の容器を納品していた事実を示すものであり、又、乙第11及び12号証の営業日報は、該容器に内容物を充填した商品(即ち、シャンプー「ASUKA/アスカ」)が、エステビューティロードに於いて開店以来継続して販売されている事実を示すものである。
上記乙第2〜5号証(商品の写真)に示されている本件商標の使用態様は、欧文字「ASUKA」と片仮名「アスカ」を別々に付す態様となっているが、これは明らかに本件商標「ASUKA/アスカ」と社会通念上同一と認識し得る範囲内のものである。
従って、上記乙第2〜12号証に照らして判断すれば、本件商標が請求に係る商品「シャンプー(せっけん類)」に、過去3年以内で本件審判の予告登録日(平成10年1月14日)以前に、通常使用権者によって取引されていた事実が証明されるものである。
(3)弁駁に対する答弁
(a)審判A請求及び審判B請求共通の答弁
請求人は、乙第2〜4号証及び乙第13〜16号証(審判A請求)、乙第2〜5号証(審判B請求)の写真の撮影者氏名、撮影の日時、撮影場所が不明であり、証明の基礎とならない旨の主張を行っているので、これら写真撮影に係る事項を以下に示す。
撮影場所 大阪府大阪市中央区谷町9丁目1番22号NK谷町ビル13階辻本特許事務所第二応接室
撮影者氏名 神吉 出(辻本特許事務所勤務)
撮影年月日 平成9(1997)年9月8日
次に、請求人は、林硝子工業株式会社とエステビューティロードとの関係が不明確であると主張していしているので、乙第19,20号証(審判A請求)、乙第13,14号証(審判B請求)を提出する。
これらは、エステビューティロードに勤務する3名の従業員(前田桂子・甲田季子・北田可奈子)のタイムカード(平成10年4月分)写し及びこの3名の給与台帳(平成10年4月分)写しである。
そして、この給与台帳の下欄の記載より明らかな通り、この3名の従業員への給与支払者は「林硝子工業株式会社」となっており、これは明らかにエステビューティロードが、林硝子工業株式会社の直営エステティックサロンであることを示すものである。
次に、請求人は、乙第8号証(審判A請求)、乙第9号証(審判B請求)のチラシの配付の有無に関し疑問を呈しているので、乙第21号証(審判A請求)、乙第15号証を提出する。
これらは、当該チラシの折り込み広告を読売新聞の配達所に依頼した際の領収書写しである。
これにより、当該チラシが新聞の折り込み広告として松原市内の新聞購読者宅に実際に配付されていたことが証される。
尚、乙第8号証のチラシとは直接関連しないが、エステビューティロードの広告は、当該チラシ以外の方法でもなされているので、乙第22,23号証(審判A請求)、乙第16,17,号証(審判B請求)を提出する。
これらは、タウン情報誌にエステビューティロードの広告掲載依頼をした際の領収書写しであり、エステビューティロードの広告が掲載されたタウン情報誌「マイタウンかわち」のカラーコピーである。
従って、「林硝子工業株式会社」と事実上同一視し得る直営エステティックサロン「エステビューティロード」が、本件審判の予告登録日(平成9年7月9日)以前から営業活動を行っていたことは明確である。
(b)審判A請求に対する答弁
請求人は、乙第10〜12号証の営業日報の記載が不自然或いは不明確である旨の主張を行っているので、以下にこれらに付いて反論する。
先ず、請求人は、チラシには水曜日は定休日とあるのに対して、営業日報には水曜日である5/14,5/21の記載があり、不自然であると主張している。
しかし、これはエステビューティロードの様なエステティックサロンに限らず、他のサービス業や小売業にも言えることであるが、店舗の新装開店時から暫くの間(少なくとも数週間)は、新規顧客獲得等の目的から定休日をとらず、無休で営業することは、むしろ業界の常識ともいえることであり、何ら不自然なことではない。
又、請求人は、営業日報の商品売上数の欄には「ホワイトリリー」の記載があり、この商品が不明確と主張しているので、乙第24号証を提出する。
即ち、乙第24号証(請求書)より明らかな通り、「ホワイトリリー」とは他社から仕入れられたホワイトリリー化粧品のことであり、「アスカ」とは別ブランド商品として、乙第8号証(チラシ)の河内松原店の開店以前からエステビューティロードに於いて取り扱われていた商品である。
従って、例えば乙第10号証の営業日報の商品売上数の欄の記載「(アスカ/ホワイトリリー)2」というのは、「(アスカ)1」と「(ホワイトリリー)1」の意を表している。
又、請求人は、乙第17号証の契約書の作成日が平成6年7月1日となっていることから、株式会社ウイングベルの商標の使用は通常使用権者による使用ではない旨の主張を行っている。
しかし、本件商標が前権利者であるスワロー化研工業株式会社から現権利者である関西美工株式会社へ実際に譲渡されたのは平成5年12月6日であり(乙第25号証の譲渡証書参照)、この時点で被請求人が実質上本件商標の商標権者となっていたものである。
従って、将来、商標権移転登録申請の手続きがなされることを前提として、契約当事者である株式会社ウイングベルと被請求人が、商標の使用許諾に関する契約をすることは、何ら不自然なことではなく、実際、上記「商標権移転登録申請書」が特許庁に提出されたのは、乙第17号証の契約書作成日(平成6年7号1日)から1ヶ月を経過していない平成6年7月20日(発送日は18日)である。
よって、上記事情から、乙第18号証の納品書の日付(平成7年3月30日)の時点に於いて、株式会社ウイングベルが本件商標の通常使用権者であったことは明らかであり、本件商標が通常使用権者によって過去3年以内で本件審判の予告登録日(平成9年7月9日)以前に使用されていたとする、被請求人の主張が虚偽でないことは明確である。
(c)審判B請求に対する答弁
被請求人は、エステビューティロードの実際の営業状況を示す資料として、乙第18〜29号証を提出する。
乙第18〜28号証は、エステビューティロード河内松原店の外観・店内及び商品陳列棚を示す写真及びネガである(乙第18号証は平成9年5月7日、乙第19〜28号証は平成10年9月1日に撮影)。又、乙第29号証は、エステビューティロード河内松原店店長「坂田早苗」の陳述書であり、乙第30,31号証は、「坂田早苗」の実在を証するエステティック研究課程の終了証書と給与台帳写しである。これらの資料により、エステビューティロード河内松原店が平成9年5月の開店以来現在に至るまで、継続して営業している事実、及びエステティック美容の業務に付随して、エステビューティロード店内に於いて、「ASUKA」「アスカ」ブランドのシャンプーが実際に顧客に販売されていた事実が証される。
(a)審判A請求の判断
被請求人が本件商標を使用している証拠として提出している乙各号証をみると、次の事実を窺い知ることができる。
(i) 被請求人は、平成5年1月26日にスワロー化研工業株式会社より、本件登録第1507826号商標を含む9件の登録商標の譲渡を受けている。(乙第25号証)
(ii) 被請求人は、株式会社ウイングベルに対しては、平成6年7月1日に、林硝子工業株式会社に対して、平成9年3月1日に、それぞれ本件登録1507826号商標及び登録第1535596号商標についての使用許諾を与えている。(乙第17号証及び同第5号証)
(iii)株式会社ウイングベルは「ASUKA」「アスカ」の商標を付した商品「ヘアエッセンス」を、平成7年3月30日に、清水市鶴舞町2−16所在の吉田商会に738本を納品している。(乙第13号証乃至同第16号証、同第18号証)
(iv) 被請求人は、平成9年4月26日に、林硝子工業株式会社に対し、「ASUKA」「アスカ」の商標の付された商品「スキンローション容器」2,035本を納入している。(乙第2号証乃至同第4号証、同第9号証)
(v) 林硝子工業株式会社は、自己が経営するエステティックサロン「エステビューティロード」を、平成9年5月6日に松原市上田3−1−13サンライズビルディングに開業している。(乙第6号証乃至同第8号証、同第21号証乃至同第23号証)
(vi) エステティックサロン「エステビューティロード」は、「ASUKA」「アスカ」の商標を付した商品「スキンローション」を、平成9年5月8日、同12日及び同15日に顧客に販売している。(乙第10号証乃至同第12号証)。
以上の事実及び口頭審理における証人の証言等を総合勘案すれば、
▲1▼上記株式会社ウイングベル及び林硝子工業株式会社は本件商標に関し、被請求人より当事者間の上記(ii)の使用許諾契約書に基づき通常使用権を受けているものと判断するのが相当である。
▲2▼通常使用権者の一人と認められる株式会社ウイングベルは、「ASUKA」「アスカ」の商標を付した商品「ヘアエッセンス」を本件審判請求の登録前の3年以内である平成7年3月30日に吉田商会に納品している。
▲3▼被請求人は、平成9年4月26日に通常使用権者の一人と認められる林硝子工業株式会社に、「ASUKA」「アスカ」の商標を付した「スキンローション容器」を販売している。
▲4▼通常使用権者の一人である林硝子工業株式会社は、エステティックサロン「エステビューティロード」を経営する一方、そこで、「ASUKA」「アスカ」の商標の付された商品を本件取消審判請求日の3年以内である平成9年5月8日、同12日及び同15日に顧客に対して販売している。
そうとすれば、本件商標は、被請求人及び通常使用権者によって、日本国内で、本件審判請求の登録前3年以内に取消請求に係る「化粧品」の範疇に包含される商品(ローション)について使用していたものとみるのが相当である。
(b)審判B請求の判断
被請求人が本件商標を使用している証拠として提出している乙各号証をみると、
▲1▼乙第6号証の契約書によれば、商標権者である関西美工株式会社と化粧品の製造、販売、エステティックサロンの経営等を主たる業務とする林硝子工業株式会社は、平成9年3月1日に本件商標について使用許諾契約を行っている。
▲2▼乙第8号証及び同第9号証によれば上記林硝子工業株式会社は、平成9年5月6日より松原市上田3丁目1番13号のサンライズビルディング4Fにおいて「エステビューティロード」なる美容院の経営を開始した。
▲3▼乙第2号証〜同第5号証、同第11号証〜同第12号証及び同第17号証〜同第28号証によれば、上記「エステビューティロード」は、「ASUKA」なる商標を付した「シャンプー」を同美容院において顧客に販売していることを窺い知ることができる。
▲4▼商品「シャンプー」に使用されている「ASUKA」の商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。
なお、口頭審理後の被請求人提出に係る乙第36号証及び同第39号証乃至同第42号証によれば、被請求人は、「ASUKA」「アスカ」の商標の付された商品「シャンプー容器」を株式会社ウイングベル(審判A請求乙第17号証参照)に納入し、株式会社ウイングベルは、商品「シャンプー」を発売している事実が認められる。
そして、上記林硝子工業株式会社及び株式会社ウイングベルは、本件商標の通常使用権者とみるのが相当である。
以上、被請求人より提出された各証拠及び口頭審理における証人の証言等を総合勘案すれば、本件商標は、通常使用権者である林硝子工業株式会社及び株式会社ウイングベルによって、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において取消審判請求に係る商品である「せっけん類」に属する商品「シャンプー」について使用されていたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の「化粧品」、「せっけん類」のいずれについての登録をも取り消す限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
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