Trademark Appeal Case
地名商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−13225(T2002−13225/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「Bristol」の文字を書してなり、願書記載のとおりの商品を指定商品とし、平成13年4月25日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同14年2月12日付け手続補正書をもって、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、アメリカ合衆国南部、テネシー州北東部の都市と同バージニア州南西部の2都市が同名双子都市を形成している都市名であり、共に織物、皮革等の工業も盛んな地名『Bristol』(ブリストル)と同じ綴り音であり、同じ称呼である『Bristol』の文字を普通に用いられる態様で書かれたものであるから、このような商標を本願指定商品に使用しても、取引者、需要者は、その商品が前記した地方で製造あるいは販売された商品として把握するにとどまり、自他商品を区別する標識としては認識することができない商標と認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審において通知した審尋
当審において、本願について改めて証拠調べを行った結果、本願商標をなお、商標法第3条第1項第3号に該当すべきものとする新たな証拠を発見したので、商標法第56条において準用する特許法第150条の規定により、請求人に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した審尋書の内容は以下のとおりである。
本願商標を構成する「Bristol」文字は、「イングランド南西部Avon州、Avon河口に近い商工業都市・重要な貿易港で同州の州都」である都市を指称するものである。そして、該文字が該都市名を指称するものとして、我が国において周知であることは、例えば以下のような書籍等により充分窺われるところである。
(1)「日本大百科全書」(小学館 1989年7月1日 発行)の「ブリストル Bristol」の見出しのもと、「イギリス、イングランド南西部、エイボン県の県都で港湾都市。(中略)イギリスでもっとも大きな貿易港の一つで、イングランド南西地方の行政、商工業、金融などの中心地でもある。(中略)工業には、伝統を誇る造船業をはじめ、靴その他の皮革製品製造、製粉、ココア、チョコレートなどの食品加工がある。」との記載がある(第20巻 648頁)。
(2)「世界大百科事典」(平凡社 1988年4月28日 初版発行)の「ブリストル Bristol」の見出しのもと、「イギリス、イングランド南西部のエーボン州にある商工業都市で州都。(中略)1373年には独立の州となった。このころから毛織物工業が発展し、製品はアイルランド、スペインなどへ輸出された。(中略)19世紀中葉には大西洋貿易の拠点して繁栄を取り戻して、イングランド南西部の商業中心にもなった。」との記載がある(第25巻 165頁)。
(3)「大辞林 第二版」(三省堂 1995年11月3日 発行)の「ブリストル〔Bristol〕」の見出しのもと、「イギリス、イングランド南西部、エーボン川下流にある川港湾都市。十七〜十八世紀はアメリカとの貿易で栄えた。」との記載がある(2288頁)。
(4)「日本語大辞典 第二版」(講談社 1997年9月2日 発行)の「ブリストル〔Bristol〕」の見出しのもと、「イギリス南西部、エーボン川河口にある都市。中世以来の貿易港として発展。穀物・原油などの輸入物資の輸送拠点。工業がさかん。」との記載がある(1922頁)。
(5)「大辞泉 増補・新装版」(小学館 1998年12月1日 発行)の「ブリストル〔Bristol〕」の見出しのもと、「英国、イングランド南西部の港湾都市。ブリストル海峡に注ぐエーボン川の下流に位置する。十七世紀以来、アメリカ大陸との貿易で繁栄。造船業が盛ん。」との記載がある(2347頁)。
(6)「日本国語大辞典 第二版」(小学館 2001年11月20日 発行)の「ブリストル(Bristol)」の見出しのもと、「イギリス、イングランド南西部の港湾都市。(中略)伝統的な造船業はじめ、皮革・食品工業が盛ん。」との記載がある(第11巻 1055頁)。
以上によれば、「ブリストル(Bristol)」の文字は、我が国において前記の英国の都市名を指称するものとして周知であることが認められる。
そうとすれば、本願商標「Bristol」の文字をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が「英国製の商品」であると認識し、商品の産地、販売地を表示したものと理解するにとどまるものであるから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 当審の判断
本願商標は、「Bristol」の文字をやや太字で書してなるところ、該文字は、「イングランド南西部Avon州、Avon河口に近い商工業都市・重要な貿易港で同州の州都」である都市を指称するものとして我が国において周知なものである。そのことは、前記3で認定した事実により明らかである。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が「英国製の商品」であると認識し、商品の産地、販売地を表示したものと理解されるに止まるから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきでない。
なお、当審において、請求人に対し、前記3の内容の審尋を通知し、相当の期間を指定して回答書を提出する機会を与えたが、その後、請求人からは何らの意見、応答もない。
よって、結論のとおり審決する。
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