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Trademark Appeal Case

FAI商標の著名性と類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−35113(T2004−35113/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標登録の無効の審判

1 本件商標

本件登録第4479729号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に表示した構成よりなり、平成12年6月27日に登録出願、第14類「時計,記念カップ,記念たて,キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器,卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ」を指定商品として、平成13年4月19日に登録査定、同年6月1日に設定登録されたものである。

2 本件商標登録の無効の審判

本件商標登録の無効の審判は、本件商標が商標法4条1項7号及び同8号に違反して登録されたものであるとして、同法46条1項により本件商標の登録を無効にすることを請求するものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、請求書において甲第1号証ないし同第61号証(枝番を含む。)及び弁駁書において甲第1号証ないし同第20号証(枝番を含む。)(以下、弁駁書に添付された甲各号証は「弁駁甲第〇〇号証」のようにいう。)を提出した。

1 請求の理由

(1)商標法4条1項8号について

(ア)請求人は、本件商標の出願前に、第41類「アクロバット飛行競技大会の企画・運営又は開催」を指定役務として、登録出願(商願平9−1445号及び商願平9−1450号)をしたところ(甲第2号証の1及び同第3号証の1)、上記の出願に対して、商標法4条1項8号に該当する、旨認定、判断され拒絶査定がなされている(甲第4号証の1ないし同第4号証の6)。

本件商標と上記請求人に係る出願商標は、その構成中に「FAI」と「WORLD GRAND PRIX」の欧文字を共に有するので、類似のものと認められるものである。

(イ)「FAI:国際航空連盟」の著名性

国際航空連盟「FAI:Federation Aeronautlque Inter nationale」(フランス語であり、標記中「Fede」、「Aero」の「e」にはアクサン・テギュが付されているが、本件において、以下このように標記する。)は、1905年に国際オリンピック委員会(IOC)の総会決議により、バルーニング(気球)、パラシューティング(落下傘)、アエロバティックス(曲芸飛行)などのスカイスポーツを統括する国際機関として設立された非政府、非営利の団体で1985年に国際オリンピック委員会(IOC)の傘下団体になっている(甲第6号証の1ないし同第6号証の4)。

甲第7号証の1ないし同第7号証の3は、同際航空連盟(FAI)のスポーツ規定の総則編の表紙、総則及びスポーツ規定の序説であるが、この表紙には「FAI」の欧文字を顕著に有する図形が表示されている。

国際航空連盟の定款(1990年版)の表紙には「FAI」の欧文字を顕著に有する図形が表示されている(甲第8号証の1及び同第8号証の2)。

日本での国際航空連盟(FAI)の活動歴も古く、1919年(大正8年)には、財団法人日本航空協会が唯一の正会員として同会に加盟をしている(甲第9号証の1ないし同第9号証の4)。1981年(昭和56年)には、第74回国際航空連盟(FAI)総会が東京で開催されている。甲第10号証の1ないし同第10号証の5は、その第74回国際航空連盟総会報告書の表紙及び目次の資料であるが、「FAI」の欧文字を顕著に有する図形が表示されている。

「FAI」の総会は、日本経済新聞、朝日新聞及び読売新聞が取り上げ、記事として報道している(甲第11号証ないし同第13号証)。

その何れの記事にも、必ず「FAI」の欧文字が「国際航空連盟」を表す略称であることが解るように「国際航空連盟(FAI)」と記載されている。

兵庫県但馬空港で行われた「ブライトリング・ワールド」等のスカイスポーツ競技会においても、「FAI」の文字はチラシ等に数多く使用されている(甲第14号証の1ないし同第20号証の3)。

これらの競技会においては「FAI」の欧文字を顕著に有する図形が表示された関連商品(帽子、ポロシャツ、ウィンドブレーカー、Tシャツ,マグカップ、オペラグラス、薄手バッグ、ペットボトル人れ等)が販売されている(甲第21号証の1ないし同第22号証の3)。関連商品は雑誌でも紹介され、「FAI」の欧文字を顕著に有する図形が表示されている(甲第23号証の1ないし同第26号証)。

上記の競技大会の内容や、アエロバティックスはどのようなスポーツなのか等について、新聞、雑誌等で盛大に取り上げられているが、記事中に「FAI」の欧文字又は「国際航空連盟」の文字が記載されている証拠を提示する(甲第27号証ないし同第35号証の3)。

1998年及び1999年に栃木県の「ツインリンクもてぎ」で行われた「アエロバティックス日本グランプリ」に関する記事は各雑誌でも盛大に取り上げられている(甲第36号証の1ないし同第50号証の4)。

このように、各新聞、各種雑誌等で盛大に記載されたことから、航空スポーツの関係者や一般愛好家の間においては、「FAI」の欧文字は国際航空連盟を表示する著名な略称として、本件商標の出願時には広く知られていたものである。

さらに、「FAI」の欧文字が国際航空連盟を表示する著名な略称として、本件商標の出願時には広く一般にも知られていたことは、多くの国民が愛読をしている、「例文で読むカタカナ語の辞典(小学館発行)」等の辞典に「FAI」の欧文字が略語として記載されていることからも明らかである(甲第51号証の1ないし同第56号証の2)。

以上のように、本件商標の出願前に「FAI」の欧文字は、航空スポーツに関する統括機関である国際航空連盟(Federation Aeronautlque lnternatIonale)を表示する著名な略称として広く知られていたものである。

(ウ)商標法4条1項8号は人格権の保護を目的とする規定

商標法4条1項8号は人格権の保護を目的とする規定と解されている(工藤莞司著「実例でみる商標審査基準の解説 社団法人発明協会発行」及び「石川義雄(商標法第4条第1項第8号と株式会社の商号:内田修先生古希記念「判例特許訴訟法」)」(甲第57号証の1ないし同第58号証の3)。

してみれば、請求人の商標登録出願の商願平9−1445号及び商願平9−1450号に示された商標法4条1項8号の拒絶理由と全く同じ「FAI」の欧文字を有する本件商標は、同号に該当する無効理由を内包しているものである。

(2)商標法4条1項7号について

本件商標の当初の権利者は、第28類「おもちゃ,人形,運動用具」を指定商品として、本件商標と全く同一の構成よりなる商標を登録出願(2000−90943号)しているが(甲第60号証の1)、該出願は、商標法4条1項7号及び同11号に該当する、旨認定、判断され拒絶査定がなされている(甲第61号証の1ないし同第61号証の3)。

本件商標と上記の登録出願とは、その指定商品の相違があるが、上記の登録出願で4条1項7号の拒絶理由の対象となっている「FAI」の文字を含む両商標の構成は全く同じものである。

してみれば、前記出願に示された4条1項7号の拒絶理由と全く同じ「FAI」の欧文字を有する本件商標は、同号に該当する無効理由を内包しているものである。

(3)結論

以上のように、本件商標と類似する関連事案において、法の運用に軽重の差が生じていることは前述したとおりであり、本件商標は、商標法4条1項8号又は同7号に違反して登録されたものであるから、商標法46条1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)商標法4条1項8号の解釈について

(ア)社団法人発明協会発行の特許庁編「工業所有権法逐条解説」(第16版)、新日本法規出版株式会社発行の著作権法・商標法判例研究会編集「著作権法・商標法判例解説集3」及び第一法規出版株式会社刊行「判例工業所有権法」(現行法編11)の解説のとおり、(弁駁甲第1号証の1ないし同第3号証の3)、商標法4条1項8号は人格権保護の規定であるとする考えが主流をなす見解であって、被請求人の見解こそ異説と言わなければならない。

(イ)商標法4条1項8号の審・判決例(甲第57号証及び弁駁甲第4号証ないし同第10号証の2)は、いずれの商品又は役務を指定する出願にも同号を適用している具体的な例である。

(ウ)「FAI:国際航空連盟」の著名性について

請求人は、請求書において述べたとおり、「FAI」は国際航空連盟を表示する著名な略称として、本件商標の出願時にはすでにスカイスポーツの分野を超えて広く知られていたことは明白である。

しかるに、被請求人がインターネットの検索サイト「Google」でキーワード「FAI」をウェブ全体から検索すると最初に表示されたのは「FAI BallooningCommission−HomePage」である(弁駁甲第11号証の1ないし同第12号証の4)。

(エ)被請求人は、第28類「おもちゃ,人形,運動用具」を指定商品として出願した商願2000−90943号が商標法4条1項7号により拒絶されたのは、商品「運動具」を含むが故、スカイスポーツと関連性があるからである、旨述べている。

しかし、第28類「運動用具」はスカイスポーツという役務とどの様に関連性があり、他方、本件商標の指定商品とスカイスポーツの役務とはどの様に関係がないのかについては何にも述べていない。スカイスポーツとの関連性で言えば、本件商標の指定商品中「時計,記念カップ,記念たて,キーホルダ−」等は、スカイスポーツを初めとする各種の競技会等の記念グッズとして使用されることが多い点では関連性は多いにあると言わなければならない。

その具体的な事実として、シチズン時計株式会社が製造、シチズン商事株式会社が販売する時計のカタログ(2000年5月号)には、「FAI」「WORLDGRAND PRIX」及び「AEROBATICS」の文字を顕著に有する図形が表示されている(弁駁甲第14号証の1ないし同第20号証の2)。

このように、シチズン時計のカタログ、航空雑誌、JALの機内販売及び通信販売用の商品カタログ等で、時計の文字盤に「FAI」「WORLD GRAND PRIX」及び「SINCEI905」の文字を顕著に有する図形が表示されている時計がFAI(国際航空連盟)アエロバティックス飛行委員会公認のオフィシャル・ウオッチとして盛大に販売されている。この内航空雑誌は愛好者向けであるとしても、シチズン時計のカタログ、JALの機内販売及び通信販売用の商品カタログは一般需要者も目や手にする機会の多いものである。これらの事実から、被請求人の本件商標の商品はスカイスポーツとは関連性がなく、4条1項7号に該当しないのは当然である、との主張は、全く根拠のないことは明白である。

してみれば、「FAI」の欧文字を有する本件商標は商願平2000−90943号に示された4条1項7号の拒絶の理由と同じ無効理由を内包しているものである。

さらに、本件商標は「FAI」の欧文字の下部に「WORLD GRAND PRIX」の欧文字を顕著に書してなる構成よりなるところ、「WORLD GRAND PRIX」の文字は「世界大賞」の意味合いを有し、各種の競技大会とは縁の深い語であることからすれば、これが「国際航空連盟」の略称である「FAI」の文字と結び付いた時には、国際航空連盟に関連する商標として把握・認識されることは明らかであるから、本件商標は被請求人が引用する乙第2号証ないし同第4号証の登録商標とは、事案を異にするものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第5号証を提出した。

1 商標法4条1項8号について

(1)4条1項8号でいう「著名」の程度の判断については、特許庁審査基準に明記されているように「商品又は役務との関係を考慮する」べきものである。

請求人の出願(商願平9−1445号、商願平9−1450号)は、その指定役務が第41類「アクロバット飛行競技大会の企画・運営又は開催、気球大会の企画・運営又は開催」であり、「FAI:国際航空連盟」の役務と極めて密接な関係があるので、拒絶査定されて当然のものである。

一方、本件商標の指定商品は、第14類「時計,記念カップ,記念たて,キーホルダー,貴金属製食器類,金属製のくるみ割り器・こしよう入れ・砂糖入れ・塩振り出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ」であって、「FAI:国際航空連盟」の役務とは何等関係がなく、同8号に該当しないのは当然である。

(2)4条1項8号は一部の分野で著名である場合、その分野に係る商品又は役務を指定している出願商標にのみ「著名な略称」とする。

上記事項は請求人の提出した、商標審査基準の解説(甲第57号証の1ないし同第57号証の3)自体に記載されており、これが原則である。

してみれば、請求人が「FAI:国際航空連盟」の著名性について、と題している記載及び甲第6号証ないし同第56号証は、いずれもスカイスポーツという一分野についてのものであり、その著名性の認否以前の問題として、本件商標に係る指定商品はスカイスポーツという役務とは何の関連性もないのであるから、同号に該当するものではない。

また、請求人は甲第21号証ないし同第27号証で「帽子,ポロシャツ,ウインドブレーカー,Tシャツ,マグカッブ,オペラグラス,薄手バッグ,ペットボトル入れ」等について表示されている旨主張しているが、本件商標に係る指定商品とは何の関連性もなく、しかも、この甲第21号証ないし同第27号証程度の証拠で上記した商品についての「FAI」の著名性などは到底立証し得ないものである。

(3)提出する乙第1号証は、インターネットの検索サイト「Google」でキーワード「FAI」を検索してプリントアウトしたものであるが(ただし、約19,600件中の100件目まで)、「FAI」の表示は国際航空連盟に関するもののほかに、クラブ、投資、人口知能、薬物識別装置、人形、工作、観光情報、盗難通報器、異業種交流会、アトリエ、音楽雑誌等々、数多くの商品、役務の分野で使用されていることが分かる。

スカイスポーツと関連性のない分野で「FAI」の表示があったからといって、国際航空連盟および他の商品、役務分野での取引者、需要者の利益が保護されないという虞れはなく、本件商標の指定商品分野においてまで4条1項8号を適用するなどという主張は、まさに、行き過ぎである。

(4)本号の実例と解釈

(ア)請求人は、「商標基準の解説(工藤莞司 説)」(甲第57号証の1ないし同第57号証の3)及び「商標法第四条一項八号と株式会社の商号(石川義雄 説)」(甲第58号証の1ないし同第58号証の3)をあげ、商品、役務の全分野での人格権説を主張しているが、これらは異説であり、通説は特許庁の運用基準の原則及び甲第58号の2に記載された三宅元判事説(商標法雑感)の、4条1項8号は人格権保護説だけでは説明しきれず、商品の出所の混同を念頭においたとする説であり、商標法が競業秩序法である以上、同号が競業秩序の枠内で解釈されることは商標法1条の目的を示すまでもなく、後者が正解であるのが妥当であり、本件商標が登録されたのはこの通説に従った正しい判断である。

請求人は具体例として「SONY」「雅叙園」事件をあげているが、これまさに他分野においても出所の混同を生じる程に著名、つまり一部の分野を超えて著名であるからであり、前記判例、審決例をもってしては通説を覆す根拠にはならない。

(イ)また、請求人は、請求人自身が登録出願した商願平9−1445号および商願平9−1450号の経過を述べているが、これらは前記通説に従って4条1項8号が適用されたのであるから、この2件の出願が拒絶査定されたのは当然の理である。

2 商標法4条1項7号について

(1)請求人は、第28類の「おもちゃ,人形,運動用具」を指定商品として出願をした商願2000−90943号が4条1項7号により拒絶された旨を述べている。

しかし、これは商品「運動具」を含むが故、つまりスカイスポーツと関連性があるからであり、本件商標の商品はスカイスポーツとは関連性が全くなく、同号に該当しないのは当然である。

それが証左に、乙第2号証(商標登録第3322569号)、同第3号証(商標登録第4432945号)、同第4号証(国際登録第749682号)に示す通り、「FAI:国際航空連盟」の役務とは関連性のない指定役務や指定商品の分野では、たとえ「FAI」の語を顕著に含んでいても、全て登録されている。

また、これら乙第2号証ないし同第4号証の商標が商標法4条1項8号にも該当せず、登録されていることも言うまでもない。さらに、「FAI」が国際航空連盟の略称であることを知っている者がスカイスポーツの愛好家以外に多数いるとは到底考えられない。

(2)参考

ちなみに、請求人は、かつて本件商標の正当権利者である被請求人に対して、乙第5号証で示すように商標法4条1項19号を理由として無効審判(無効2002ー35285)を請求した。しかしながら、この無効審判請求は「不成立」であったので、他の理由をもってして本件審判を請求したに過ぎないものである。

なお、この「審判請求不成立」の審決に対して、さらに本件請求人はその取消しを求めて東京高等裁判所へ出訴したが(平成15年(行ケ)369号)、「原告の請求を棄却する」との判決が出されている。

3 以上述べた通り、本件商標は商標法4条1項8号又は同7号には該当せず、その登録が無効とされるべきものではない。

第4 当審の判断

1 商標法4条1項8号について

(1)商標法4条1項8号における「他人の名称の著名な略称」について

商標法4条1項8号は、他人の名称の著名な略称を含む商標は登録を受けることができない旨を規定のひとつとしているところ、他人の名称の著名な略称には、その正式な名称と同様に特定人との同一性を認識させる機能があり、それゆえ、他人の名称の略称については、登記簿に登記される正式な名称とは異なるものの、これと同様の保護を得るために、その略称が特定人を表示するものとして、特定の限られた分野に属する取引者・需要者にとどまらず、世間一般に広く知られ、著名となっていることが必要であるというべきである。

なぜならば、同号の趣旨は、他人の人格権を保護するためと解するのが相当であり(同号が、そのカッコ書きにおいて、(その他人の承諾を得ているものを除く。)と規定しているのは、この立場からのものというべきである。)、他人の名称の著名な略称については、それが、我が国において特定の限られた分野に属する取引者・需要者にとどまる場合には、その分野に属しない商品又は役務に商標として使用されても、当該他人の人格権が侵害されたということができないからである。

そうであれば、本件の場合、少なくとも、本件商標の指定商品の取引者・需要者間において、「FAI」の欧文字が、著名な略称となっていることが必要であるというべきである。

(2)「FAI」の欧文字の著名性について

そこで、以下、前記「(1)」の観点から、本件商標構成中の「FAI」の欧文字が、本件商標の登録出願時において「国際航空連盟(Federation Aeronautlque Inter nationale)」(以下、単に「国際航空連盟」と標記することがある。)の著名な略称となっていたか否か検討する。

(ア)請求人の提出した甲各号証によれば、以下のことが認められる。

(a)「FAI」の欧文字は、国際オリンピック委員会(IOC)により、バルーニング(気球)、バラシューティング(落下傘)、アエロバティックス(曲芸飛行)等のスカイスポーツ(以下「スカイスポーツ」という。)を統括する国際機関として設立された非政府、非営利の団体である国際航空連盟の略称であること(甲第6号証ないし同第9号証(枝番を含む。))。

(b)我が国においては、財団法人日本航空協会が国際航空連盟に加盟していること。また、第74回国際航空連盟総会が東京で開催され、そのことを日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞等が報道していること。我が国においても兵庫県「但馬空港」、栃木県「ツインリンクもてぎ」等で航空機の曲芸競技大会が開催され、チラシ、新聞、雑誌等で報道していること(甲第9号証ないし同第50号証(枝番を含む。))。

(c)現代用語の基礎知識(自由国民社発行)、知恵蔵(朝日新聞社発行)、コンサイスカタカナ語辞典(三省堂発行)等に「FAI」の欧文字が国際航空連盟の略称であることが記載されていること(甲第51号証ないし第56号証(枝番を含む。))。

(d)航空機の曲芸競技大会において、「FAI」の欧文字を含んだ標章を付した関連商品(帽子、ポロシャツ、ウィンドブレーカー、Tシャツ,マグカップ、オペラグラス、薄手バッグ、ペットボトル人れ)等が販売され(甲第21号証(枝番を含む。))、また、シチズン時計株式会社が製造、シチズン商事株式会社が販売する時計、カタログ、航空雑誌等には「FAI」の欧文字を含んだ標章を付した時計が、国際航空連盟の公認モデルとして販売されていること(弁駁甲第14号証ないし同第20号証(枝番を含む。))。

(e)これらの各号証を総合して検討すれば、「FAI」の欧文字は、国際航空連盟(Federation Aeronautlque Inter nationale)の略称として、我が国のスカイスポーツの競技者、愛好家の間において、本件商標登録出願時においてある程度知られていたということができるものである。

(イ)しかしながら、「FAI」の欧文字が、我が国のスカイスポーツの愛好者を超えて、本件商標の指定商品の取引者・需要者を含めた社会一般において国際航空連盟の著名な略称を表すものとして知られていると認めることはできないものである。

すなわち、

(a)甲第6号証ないし同第10号証(枝番を含む。)は、我が国のスカイスポーツに関係する資料、規定、定款、総会報告書等であり、これらは、当該スポーツの関係者間におけるものであり、世間一般の人々が日常生活において目に触れ、手に取るものとはいえないことから、これらによっては、「FAI」の欧文字が、我が国のスカイスポーツの分野を超えて国際航空連盟の略称として広く知られているとする証左とすることはできない。

(b)甲第11号証ないし同第13号証の新聞記事は、航空法規制に関する記事と国際航空連盟の総会開催記事であって、この記事中には、「FAI」の欧文字について、これを国際航空連盟の略称として標記していることが認められるが、「FAI」の欧文字自体が、見出し部に表示されているものでもなく、記事自体についても、「FAI」の欧文字そのものが読者に印象付けられる内容とは認められず、これら3件の報道記事によっては、「FAI」の欧文字が、国際航空連盟の略称として読者の印象に強く残るものとすることはできない。

(c)甲第14号証ないし同第20号証(枝番を含む。)のチラシ・ポスター・地方新聞の広告は、1997年10月ないし1999年10月の間に開催された、航空機の曲芸競技大会(平成7年・同8年の兵庫県豊岡市の「但馬空港」における大会、平成9年の北海道豊頃町の「とよころ飛行場」における大会、平成10年・同11年の栃木県茂木町の「ツインリンクもてぎ」における大会)の開催を知らせるためのものと認められるが、一般的に、役務の開催を宣伝する、この種のチラシ・ポスター・新聞の広告等は、開催する役務の内容を告知するためのものであり、これらに目を止める者も、その役務の内容や開催日時、開催場所、演技者等を認知するにとどまり、開催者(団体)が誰であるかについて払う注意は二次的なものであって、特別な事情のない限り、開催者(団体)の名称、ましてやその略称を強く記憶に止めるとはいえないとみるのが相当である。

本件の場合、航空機の曲芸競技大会の開催は、各年1回であり、それを告知するこれらのチラシ・ポスター・新聞広告等が、地域的にどの程度の範囲に、どの程度の枚数により告知されたかが明らかではなく、また、これらのチラシ・ポスター・新聞広告における「FAI」の欧文字の標記ついて、それが国際航空連盟の略称であることを看者に強く印象付ける方法ともいえないものであって、これら各号証によっては、「FAI」の欧文字が、我が国のスカイスポーツの分野を超えて国際航空連盟の略称として広く知られているとする証左とすることはできないものである。

(d)甲第21号証ないし同第26号証(枝番を含む。)に示された商品には、「FAI」等の文字が付されているが、これらから、「FAI」の欧文字が、商標であるとの認識がされることはあっても、それが国際航空連盟の略称であるとの認識がされるとすることはできないものである。

(e)甲第27号証ないし同第50号証(枝番を含む。)の新聞・雑誌の記事中には、「FAI」の欧文字について、これを国際航空連盟の略称として標記していることが認められるが、これらの記事は、航空機の曲芸競技大会の開催を告知する内容のものであって、「FAI」の欧文字自体が、見出し部に表示されているものでもなく、「FAI」の欧文字が、我が国のスカイスポーツの競技者、愛好家の間において国際航空連盟の略称であることを記憶されることがあるといえるとしても、この文字が国際航空連盟の略称を示すものとして多くの読者の印象に強く残るとすることはできないものである。

(f)ここまでにおいて、「FAI」の欧文字が、我が国のスカイスポーツの愛好者を超えて、国際航空連盟の著名な略称であるとすることはできないとしたことは上記認定のとおりであるところ、甲第51号証ないし同第56号証(枝番を含む。)の各辞典類には、「FAI」の欧文字が、フランス語で標記する「Federation Aeronautlque Inter nationale」の略称であることが記載されている。

しかしながら、請求人が提出した甲各号証によっては、国際航空連盟(Federation Aeronautlque Inter nationale)が、甲第6号の1に示されている団体の名称として、我が国のスカイスポーツの競技者、愛好家間を超えて一般に著名となっているともいえない本件においては、「FAI」の欧文字が、国際航空連盟の略称である旨上記の各辞典類に記載されている事実のみでは、本件商標登録出願前において、わが国で「FAI」の欧文字が、我が国のスカイスポーツの愛好者を超えて、国際航空連盟(Federation Aeronautlque Inter nationale)の著名な略称となっていたとすることはできないものである。

(g)弁駁甲第14号証ないし同第16号証(枝番を含む。)によれば、「FAI」の欧文字を含んだ標章を付した時計が取り扱われており、これらの号証に「『FAI』とは?」として、国際航空連盟に関する記載がされていることが認めらるが、これらの号証における事例のみでは、商品「時計」の取引者・需要者の間において、「FAI」の欧文字が国際航空連盟の著名な略称であると認識されているとすることはできないものである。

(ウ)請求人のこのほかの主張について

(a)請求人は、甲第57号証や弁駁甲第4号証外の審・判決例等をもって、本件商標が商標法4条1項8号に該当する証左である旨の主張をしているが、これらは本件と事案を異にするものであって、これらの事例の結論をもって本件の結論が左右されるとは必ずしもいいえないものである。

(b)請求人は、本件商標の出願前に、第41類「アクロバット飛行競技大会の企画・運営又は開催」を指定役務として登録登録出願をしたところ(甲第2号証及び同第3号証(枝番を含む。))、該出願は商標法4条1頂8号に該当するとして拒絶査定がなされており(甲第4号証(枝番を含む。))、本件商標は請求人の上記商標と類似するから、本件商標は4条1項8号の無効理由を内包している旨述べている。

しかしながら、本件商標と該登録出願とは商標の態様及び指定商品・役務を異にするものであり、これらの審査例をもって本件の結論が左右されるとすべき事情ないし理由は認められない。

(エ)してみれば、本件商標は、別掲に表示したとおり、その構成中に「FAI」の文字を有するとしても、他人の名称の著名な略称を含む商標ということはできないものである。

2 商標法4条1項7号について

本件商標は、その構成自体が矯激、卑猥、差別的な印象を与えるような文字又は図形からなるものではなく、その指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般道徳観念、国際信義に反するものとは認められないものである。

また、本件商標の当初の権利者あるいは、被請求人が、本件商標を採択して商標登録を受けた行為、あるいは、これを使用することについて、社会一般の道徳観念、商取引上の信義則、国際信義に反するような行為があったとする証左もない。

したがって、本件商標が、商標法4条1項7号に違反して登録されたとすることはできないものである。

請求人は、本件商標の当初の権利者は、第28類「おもちゃ,人形,運動用具」を指定商品として、本件商標と全く同一の構成よりなる商標を登録出願したところ(甲第60号証の1)、該出願は商標法4条1項7号及び同11号に該当するとして拒絶査定がなされており(甲第61号証(枝番を含む。))、本件商標は、該登録出願で同法4条1項7号の拒絶理由の対象となっている「FAI」の文字を含むから、本件商標は4条1項7号の無効理由を内包している旨述べている。

しかしながら、本件商標と該登録出願とは商標の態様及び指定商品・役務を異にするものであり、これらの審査例をもって本件の結論が左右されるとすべき事情ないし理由は認められない。

3 結語

以上、本件商標は、商標法4条1項7号び同8号に違反して登録されたものではないから、同法46条1項の規定により、その登録を無効とすべきではない。

よって、結論のとおり審決する 。

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