Trademark Appeal Case
地名と一般名称の結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−6489(T2002−6489/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1.本願商標
本願商標は、「山辺ぶどう」の文字を標準文字で横書きしてなり、第31類「ぶどう」を指定商品として、平成12年7月28日に登録出願されたものである。
2.原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『山辺ぶどう』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、長野県の美ヶ原山麓にある山辺地方はぶどうの産地として知られ、そこで収穫されたぶどうが『山辺ぶどう』として市場に流通しているものであるから、これをその指定商品に使用しても、単に商品の産地・品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、本願商標は、使用によって著名性を得たものであり、その証拠提出のために処分の猶予をして欲しい旨述べていたが、相当の期間が経過しても何ら手続がなされなかったから、商標法第3条第2項の要件を具備したものとも認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3.当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて
本願商標は、「山辺ぶどう」の文字を書してなるところ、該文字が、長野県松本市入山辺を産地とするぶどうを指称する語として使用されていることについて、以下の事実を認めることができる。
(ア)「角川日本地名大辞典 20 長野県」(角川書店、平成8年9月30日三版発行)1330頁、「松本市」の「いりやまべ 入山辺」の項に、「市の東部。北は三才山、南は中山、東は小県郡和田村に接する。・・・地区の東部が美ヶ原高原である。...西方里山辺へ続く谷口の平野部にはブドウ栽培が多く、山辺ブドウとして有名。」の記載がある。
(イ)「入山辺公式ホームページ」(http://www.mcci.or.jp/www/iriyama/)の、[松本市入山辺地区]の概要の項目に「...『山辺ブドウ』としてその名が高いぶどう栽培の歴史は、明治以前にまでさかのぼることができる。」の記載がある。
(ウ)「ワイン検索エンジン」(http://cyu-ou.com/wse/2001/html)の「2001.12.18」に「“日本一のブドウ”でワイン、松本・山辺地区に醸造所@中日新聞」の欄に「2001年12月18日付けの中日新聞によると、『山辺ブドウ』の産地・松本市入山辺で一七日、山辺地区初のワイン生産を目指す醸造所の起工式が開かれた。来年秋の完成予定で、冬には山辺ブドウから醸造したワインを味わえることになる。」の記載がある。
そうすると、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、単に商品の産地、品質を表示するにすぎないものと認める。
(2)商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて
商標法第3条第2項の適用を受け、使用により識別力を有するに至った商標として登録が認められるのは、使用により識別力を有するに至った商標と同一の商標及びその商標を使用していた商品と同一の商品に使用する場合のみであって、また、商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは、例えば、(a) 実際に使用している商標並びに商品、(b) 使用開始時期、(c) 使用期間、(d) 生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域売上高等)、(e) 広告宣伝の方法、回数及び内容の事実を総合勘案して判断するものであるところ、請求人は、本願商標が商標法第3条第2項の適用を受けられるものであると主張して、証拠書類として甲第1号証ないし同第10号証を提出しているので、同法の要件を具備するか否かにつき以下検討する。
(ア)甲第1号証及び甲第2号証によれば、長野県松本市入山辺では、古くからぶどうの栽培が行われており、そこで栽培されるぶどうが「山辺ぶどう」と呼ばれて販売されていること、そのぶどうが高品質であること、生産量が多く、その荷受会社も多県に及んでいること、及び甲第3号証ないし甲第10号証によれば、請求人が郵便小包「ゆうパック」を使って販売している事実が認められる。
しかしながら、前記(1)で認定したとおり、長野県松本市入山辺が「山辺ぶどう」と称される「ぶどう」の産地としてよく知られていることからすると、「山辺ぶどう」の文字は、入山辺の特産品である「ぶどう」を表示するものとして、その栽培事業に携わる事業者のいずれもが使用を欲する語といえるものであり、請求人の提出した甲各号証を総合して検討するも、請求人のみがこれを独占して使用することが妥当であると認めるに充分であるとはいえない。
(イ)また、甲各号証における「山辺ぶどう」の使用についてみると、(a)ぶどうの販売に使用されたと認められる箱の写真(甲第2号証37及び59頁)において、箱の上に書かれている「山辺ぶどう」の文字は、図形、「松本平農協」及び「山辺共撰」の文字と共に記載されているものであるから、これによって、「山辺ぶどう」の文字が独立して請求人の業務に係る商品を表示するためのものとして、著名性を獲得していると認めることはできない。(b)「ゆうパック」の取扱い商品リスト(甲第4号証ないし甲第10号証)中における「山辺ぶどう」の記載箇所名は、「内容」とあり、例えば他の商品である「すいか」、「桃『王紅』」、「ゴールデンナイヤ」、「みつ入りサンふじ」)」、「ナガイモ(土付き)」、「きのこ」等と同列に表示されており、請求人の商標として、自他商品識別標識機能を果たし得る表示のされ方とはいえない。
(ウ)そうすると、請求人の提出した甲各号証によっては、本願商標が商標法第3条第2項の要件を満たすものと認めることができない。
(3)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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